『ゲッタウェイ』:1994、アメリカ

犯罪のプロフェッショナルであるドク・マッコイと妻のキャロルは、知り合いのルディから儲け話を持ち掛けられ、受けることにした。仕事の内容は、メンドーサという護送犯を奪還して叔父の元へ連れていくことだ。メンドーサを奪還したドクは、ルディと共に飛行機で彼を叔父の元へ連れていく。
しかし、叔父はドクの目の前でメンドーサを射殺する。彼の目的は大金を横領した甥を殺すことだったのだ。彼が連絡していた警察が駆け付けたため、慌てて逃げようとするドク。しかしルディがドクを置き去りにして飛行機で逃げてしまい、ドクは警察に逮捕されてしまった。
刑務所に面会に来たキャロルに、ドクはギャングのボスであるベニヨンに会うよう告げる。ベニヨンの仕事をドクが手伝うと約束すれば、彼が出所の手回しをしてくれるというのだ。キャロルがベニヨンに会って事情を説明し、ドクは釈放されることになった。
約束通り、ドクはベニヨンの指示でドッグレース場の収益金を強奪する計画を実行することになった。ベニヨンが呼んでいた実行犯のメンバーに、ルディの姿があった。ドクは収益金強奪を成功させた後、ルディを撃ってからベニヨンの屋敷に戻る。
ベニヨンはドクに対して、キャロルが自分に惚れていると告げる。そこに姿を現したキャロルが、ベニヨンを射殺してしまう。ドクとキャロルは逃亡するが、ベニヨンの部下に追われることになる。さらに、防弾チョッキを身に付けていて助かったルディも2人を追っていた…。

監督はロジャー・ドナルドソン、原作はジム・トンプソン、脚本はウォルター・ヒル&エイミー・ジョーンズ、製作はデヴィッド・ フォスター&ローレンス・ターマン&ジョン・アラン・サイモン、製作協力はマリリン・ヴァンス、撮影はピーター・メンジーズJr.、 編集はコンラッド・バフ、美術はジョセフ・ネメック三世、音楽はマーク・アイシャム、音楽監修はダニー・ブラムソン。
主演はアレック・ボールドウィン&キム・ベイシンガー、共演はジェームズ・ウッズ、マイケル・マドセン、ジェニファー・ティリー、 リチャード・ファーンズワース、バートン・ギリアム、フィリップ・ホフマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)、デヴィッド・モース、ジェームズ・スティーヴンス、 ロイス・D・アップルゲイト、ダニエル・ヴィラレアル、スコット・マッケンナ他。


ある作品をリメイクしようとする時、オリジナル作品の評価が高いと、それを超えるというのは非常に難しいことだと言える。
その点、『ゲッタウェイ』はオリジナルの評価が高いので、かなりハードルは高い(個人的には、それほど傑作だとは思わないのだが)。

1972年のオリジナル版は監督がサム・ペキンパーで脚本がウォルター・ヒル。
音楽はクインシー・ジョーンズ、ドクを演じたのはスティーヴ・マックィーンだった。
スタッフとキャスティングだけを比べてみると、リメイクは完全に負けている。

そんなことは、もちろん内容の面白さで挽回すれば済む問題だ。
しかし、アレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーの2人をドクとキャロルにキャスティングした時点で、もはや答えは出てしまっているのだ。
そう、これは思いっきり“夫婦共演”だけをセールスポイントとした作品なのだ。

実生活で夫婦の2人がコンビを組む。
実生活で夫婦の2人が熱い言葉を交わす。
実生活で夫婦の2人が言い争いをして、実生活で夫婦の2人がアクションに体を張って、実生活で夫婦の2人が激しいセックスを見せる。
何をしても、常に「実生活で夫婦」という冠が付くのである。

つまり、この作品は内容で勝負する気など、最初からさらさら無いのである。
基本的には、まさに「オリジナルの塗り直し」をしているだけなのであり、そこに新しく作り直している意味など無いのである。
だから、この作品は内容ではなく、アレックとキムを見るべき作品なのだ。


第15回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低最低主演女優賞[キム・ベイシンガー]


第17回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の女優】部門[キム・ベイシンガー]

 

*ポンコツ映画愛護協会