『エクソシスト ビギニング』:2004、アメリカ

1949年、エジプトのカイロ。酒場で飲んだくれていたランカスター・メリン神父の元に、セメリアという男がやって来た。古美術収集家の 代理人だと自己紹介した彼は、東アフリカで5世紀のキリスト教の教会が発見されたことを告げる。メリンが「有り得ない。その頃は、 ビザンティン帝国にキリスト教が入って来たばかりだ。そんな南までは進出していない」と述べると、セメリアは「しかしイギリス政府が 発掘しようとしています。そこに変わった埋蔵品があるはずです。それを持ち帰ってほしい」と語った。
セメリアは大金を差し出し、「貴方は信仰を失った人間だ。オックスフォードで考古学を学び、戦前は司祭だった。何があったのです?」 とメリンに尋ねた。メリンが何も答えずにいると、セメリアは悪魔の彫像のレプリカを見せて「これの本物を見つけてほしい」と依頼した 。「本当にこれが、アフリカの教会にあるのか」とメリンが問い掛けると、セメリアは「ナイロビにある発掘責任者のグランヴィル少佐 には、貴方が参加することを打診してあります」と告げた。
メリンはナイロビに飛び、グランヴィルに発掘の詳細を尋ねる。グランヴィルによると、トゥルカナ湖から少し離れた場所で発掘調査を 開始しているという。そこへフランシス神父が来て、「あるはずのない教会が発見された」とメリンに言う。彼は発掘に同行する予定に なっている。フランシスはメリンのローマ式儀法に関する論文を読んでおり、尊敬の念を示す。しかしメリンは、そっけない態度で「神父 だったのは昔のことだ」と口にした。
メリンはフランシスと共に村へ向かう途中で、多くの墓碑を目にした。車を運転した通訳係のキューマに「ここで何があった?」と訊くと 、「祟りです。50年前に」という答えが返って来た。「何人ぐらい死んだ?」と質問すると、彼は「全員です」と告げた。村に着いた メリンは、現場監督のジェフリーズに挨拶した。「教会の屋根が見つかってから仕事が進んでいないようだが」とメリンが質問すると、彼 は「すぐに理由が分かるさ」と告げた。そこへ女医のサラ・ノヴァックが来て、メリンに挨拶した。
メリンの「内部調査は出来るか」という問い掛けに、ジェフリーズは「いや、無理だ。崩壊の危険は無いが、誰も入りたがらない」と言う 。サラはメリンに、村人は悪霊のせいで入りたがらないのだと教える。それはトゥルカナの言い伝えだ。そこへフランシスが調査のために 家を提供してくれた村人のエメクイを連れて来て、メリンに紹介する。彼の息子であるジェームズとジョセフも一緒だった。
メリンが発掘現場へ行くと、教会の屋根の部分だけが見えている。1500年前に建設された教会のはずだが、驚くほど保存状態が良かった。 中に入って調べたくなったメリンは、キューマに「ジェフリーズはどこだ、中に入りたい」と言う。その時、ハイエナが集まって来た。 キューマは「発掘を始めてから出没するようになりました」と説明する。1人の男が急に怯えて倒れ込み、泡を吹いて失神した。キューマ はメリンに、「熱病かもしれない」と告げた。
メリンはジョセフが一人でいるのを発見し、声を掛ける。彼が石集めしているというので、メリンは発掘道具を貸してやった。サラは病人 について、「発作は治まったけど、経過を見たい。彼らは私のことを疑い始めてる」と述べた。ジェフリーズは発掘現場で見つけたという ネックレスを持って現れ、「君にやろう」とサラにプレゼントした。メリン、フランシス、キューマ、ジェフリーズの4人は、屋根から 教会に入った。中には逆さ吊りにされたキリストの彫像があった。
周囲を見回したメリンは、十字架が持ち出された形跡に気付いた。するとキューマは「ベッソンの仕業でしょう」と言う。メリンが面会を 望むと、彼は「ベッソンは発狂した。あそこに入った奴は、みんな変になった」と言う。メリンがベッソンの暮らしていた部屋に行くと、 悪魔の偶像を描いた絵があった。さらに彼は、キリスト生誕時のパレスチナの言語が書かれているのを目にした。それは「血の川に落ちる だろう」という意味だった。
メリンはサラの診療所に行き、「ベッソンを診察したことはあるか」と尋ねた。サラは「彼にはどんな薬も効果が無かった。完全に精神の 病気」と言う。「だから呪われると言っていたのか」とメリンが口にすると、彼女は「それに、数週間で大勢の人々が行方不明になった」 と明かす。メリンが「明日、ベッソンに会うため、ナイロビへ行く」と言うと、サラは「ジネッティー神父に会うといいわ。精神病院の 院長よ」と教えた。
部屋に戻ったメリンは、第二次世界大戦時の出来事を回想した。オランダにいた彼は、ナチ将校が「今日、ここに神はいない」と言って 子供を銃殺するのを見せ付けられた。井戸の近くにいたジェームズは、ジョセフがメリンから貰った道具を取り上げてからかった。すると ハイエナが集まり、ジェームズに襲い掛かった。その様子を、ジョセフは冷徹な表情で眺めていた。悲鳴を耳にしたメリンたちが、外に 飛び出した。メリンが発砲してハイエナの群れを追い払うと、ジョセフは失神した。フランシスはメリンに「ハイエナたちはジョセフを 襲わなかった。まるでジョセフの存在など無かったかのように」と告げた。
翌日、メリンはナイロビ精神病院へ赴いた。ベッソンの部屋へ行くと、扉には鍵が掛かっていた。しかしメリンが背を向けると、扉は勝手 に開いた。メリンが「偶像の絵を描いていますね。どこで見たんです?」と質問すると、背を向けた状態のベッソンは不敵に笑った。彼は メリンの名を知っていた。ベッソンが振り向くと、その胸には血の鉤十字を刻まれていた。ベッソンは血を流しながら、「私は自由だ」と 言う。彼は「今日、ここに神はいない」と告げ、自分の首を斬って死亡した。
メリンはジネッティーと会い、「彼は悪魔に取り憑かれていたとしか考えられません」と聞かされる。「悪魔に取り憑かれた?」とメリン が言うと、彼は「1647年、フランスの修道院で34人のシスターが悪魔に翻弄され、想像を絶する行動に出ました。聞いたところでは、山羊 の祟りに取り憑かれて発狂したとか。4人の神父が悪魔祓いに送られましたが、3人が死んだそうです。残る一人も悪魔と戦っている最中 に気が狂いました」と話した。そして「あの場所に留まるのなら、気を付けなさい。奴は心を汚そうとしている」と警告し、悪魔祓いの本 をメリンに渡す。しかしメリンは「私はもう神父ではない」と口にした。
サラは診療所で不気味な気配を感じた。病室へ行くと、ジョセフが生首を抱えていた。それはサラの見た悪夢だった。目を覚ましたサラは 、隣にジェフリーズがいたので顔を引きつらせた。ジェフリーズは「なぜ投げ捨てた?外に落ちてた」とネックレスを掲げた。「捨てて ないわ」とサラが釈明すると、ジェフリーズは「そんなに俺が嫌か」と怒鳴った。そこへジョセフが現れ、「奴がお前の元にやって来る」 とジェフリーズに告げた。
深夜に村へ戻ったメリンは、診療所へ足を向けた。病室で寝ているジョセフの様子を見に行くと、その首には傷があった。サラが現れて 「ここで起きてる全てのことが分からない」と不安を吐露するので、メリンはキスをした。その時、ジョセフのベッドが急に横移動した。 メリンがジョセフに触れようとすると、彼の体が激しく痙攣した。メリンとサラが驚いていると、その動きは止まった。
メリンは一人で教会に入り、棺をこじ開けた。蓋を開いた彼は、地下通路を見つける。奥へ進むと悪魔の彫像があり、無数の蠅が集まって 来た。ジェフリーズはバーに侵入し、酒を盗もうとする。しかし扉が閉まり、何者かに襲われた。サラがシャワーを終えると、停電に なった。蝋燭を持って室内を移動していると、ジョセフが走って行く声が聞こえた。声のした方へ向かう。いきなり電気が付いてラジオ から音楽が流れ出す。サラが床を見ると、血の跡が点々と落ちていた。彼女が股間をまさぐると血だらけだった。
サラはメリンに、「村人たちは正しい。ここは呪われている」と言う。メリンは「全てを悪魔のせいにするのは簡単だが、精神状態も関係 している。教会に地下通路があった。その下に、生贄を捧げるための教会が見つかった」と語る。翌朝、メリンが悪夢で目を覚ますと、 フランシスが慌てた様子で駆け込んでくる。「一緒に来てくれ。ジェフリーズがいないと思ったら、バーに入った形跡があった」と彼は 言う。メリンがバーに行くと、酒蔵には彼の歯が残されており、蠅が群がっていた。
フランシスが「昨晩、死産があった。村人たちは白人のせいだと思ってる」と言うので、「村人たちがジェフリーズを拉致したと?」と メリンは口にする。フランシスが「反乱が起きそうだと少佐に伝えた。今日の遅くに小隊が到着する」と告げると、メリンは「経験から して、軍隊が来るとロクなことにならない」と述べた。グランヴィルが小隊を率いて村に到着し、メリンとフランシスに「この発掘計画を 遂行するため、英国軍が指揮する」と言う。メリンは「トゥルカナの人々は反対するでしょう」と懸念を示すが、彼は「村人や貴様の考え など、どうでもいい」と怒鳴った。
メリンは村人たちが死産の胎児を葬っている現場へ赴き、村長に「50年前に村を全滅させた祟りについて聞きたい」と言う。すると村長は 「そんなものは無い。悪いのはあの教会だ。エメクイの息子を追い出せ。放っておくと大変なことになる。作業を中止させろ」と語るだけ で、50年前の祟りについては何も話そうとしなかった。メリンは、村では土葬でなく火葬だと知り、「では墓地に埋葬されているのは誰 なんだ?」と疑問を抱いた。
深夜を待って、メリンは墓地を掘り起こした。一方、エメクイと数名の村人はジョセフを包囲し、神への生贄として彼を殺そうとする。 剣が振り下ろされようとした時、ベッドが激しく揺れ、ジョセフは白目を剥いた。窓が開いて突風が吹き込み、村人たちは謎の力によって 死亡した。メリンは墓を掘り起こしながら、オランダにいた時の出来事を回想した。将校から「10人選べ。さもないと全員を殺す」と 迫られ、「出来ません」と答えた。すると将校は少女を射殺した。メリンが「私を殺せ」と要求すると、彼は少年を射殺した。メリンは 苦悩しながらも、仕方なく10人を選んだ。
夜が明ける中、メリンは棺を発見して蓋を開けた。村に戻った彼はフランシスに詰め寄り、「3つの墓を掘り起こしたが、全て空だった。 ずっと嘘を言っていたんだな。教会のオカルト騒ぎも全て嘘なんだな」と言う。「何を隠している?」と彼が訊くと、フランシスは「ここ は呪われた土地だ。大虐殺があった。1500年前、2人の僧侶に率いられた軍隊が邪悪の根源を求めて西からやって来た。辿り着いた時には 悪魔が取り憑き、兵士は互いに殺し合い、一人の僧侶だけが生き残った。僧侶は皇帝の元へ戻り、教会を建てるよう進言した。こうして 悲劇は封印された」と説明した。
メリンが「あの墓は少し違った」と口にすると、フランシスは「1893年、研究チームが、ある古文書を発見した。4人の聖職者が村を訪れ 、村人たちは調査のために教会へ入った。その後、全員が消えた。バチカンは墓地を隠すよう命じた。私が派遣されたことが、言い伝えの 信憑性を物語っている」と語る。メリンが「どんな言い伝えだ」と尋ねると、「天上での争いの後、この地にルシファーが降臨した」と フランシスは答えた。
フランシスは「悪魔は、あの少年の中にいる。村人たちは彼を殺そうとした。現実から目を背けないでくれ。貴方には私を手助けする義務 がある」と言うが、メリンは「俺は何も信じない」と協力を拒む。ジェフリーズが教会で惨殺死体となって発見され、グランヴィルは村人 仕業だと決め付ける。彼はメリンの制止を無視し、村長を銃殺した。この出来事が発端となり、軍隊と村人たちは戦闘準備に入った。 メリンはキューマから「彼らはジョセフの中に悪魔がいると思っている。ジョセフを殺すつもりです」と聞かされ、ジョセフを村から 連れ出そうとする。しかし砂嵐が迫って来たため、脱出するのは困難になった…。

監督はレニー・ハーリン、原案はウィリアム・ウィッシャー&カレブ・カー、脚本はアレクシ・ホーリー、製作はジェームズ・G・ ロビンソン、共同製作はウェイン・モーリス、製作総指揮はガイ・マケルウェイン&デヴィッド・C・ロビンソン、撮影はヴィットリオ・ ストラーロ、編集はマーク・ゴールドブラット&トッド・E・ミラー、美術はステファノ・オルトラーニ、衣装はルーク・ライクル、音楽 はトレヴァー・ラビン。
出演はステラン・スカルスガルド、イザベラ・スコルプコ、ジェームズ・ダーシー、アラン・フォード、レミー・スウィーニー、 ジュリアン・ワダム、デヴィッド・ブラッドリー、ベン・クロス、アンドリュー・フレンチ、イズラエル・アドゥラモ、アントニー・ カメルリング、ラルフ・ブラウン、エディー・オセイ、パトリック・オケイン、ジェームズ・ベラミー、セシリア・アマティー、 マッティー・リスチネン、リディア・ダーリー他。


『エクソシスト』シリーズの第4作で、時系列としては1作目の序章に当たる。
監督は『ディープ・ブルー』『ドリヴン』のレニー・ハーリン。
メリンをステラン・スカルスガルド、サラをイザベラ・スコルプコ、フランシスをジェームズ・ダーシー、ジェフリーズをアラン・フォード、 ジョセフをレミー・スウィーニー、グランヴィルをジュリアン・ワダム、ジネッティーをデヴィッド・ブラッドリー、セメリアをベン・ クロス、キューマをアンドリュー・フレンチが演じている。

当初、この映画はジョン・フランケンハイマーが監督する予定だった。しかし彼が死去したため、ポール・シュレイダーが代役を 務めた。
だが、出来上がったフィルムを見た製作会社は地味すぎる内容を見て恐怖描写が不充分だと考え、彼を解雇した。
製作会社は派手な恐怖シーンを追加撮影してもらうため、新たにレニー・ハーリンを雇った。彼はアクション畑の人だから、そういうのを 製作会社は期待したんだろう。かつてはホラー映画である『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』も撮っているし、適任 と考えたのだろう。
そのレニー・ハーリンは追加シーンを撮るだけでは済まさず、ほぼ全面的に撮り直した。

上述したように1作目の序章に当たる作品だが、これまでのシリーズとの整合性は取れていない。
『エクソシスト2』で、メリンが40年前(1977年から遡ってのことだから1937年)にパズズに憑依されたアフリカの少年コクモへの悪魔 祓いを行ったことが描かれている。
それが『エクソシスト』で言っていた「過去に行ったことがある」という悪魔祓いのはずだ。
「その悪魔祓いを経験した上で、メリンは本作品の悪魔祓いをやったのだ」と強引に解釈できないこともないが、まあ辻褄については深く 考えない方がいいんだろう。

1作目の序章で、メリン神父が主役という時点で、もう苦しいものがある。
メリンは『エクソシスト』に登場するキャラクターで、そこで「過去に悪魔祓いをやったことがある」と証言している。だから、この映画 で登場するメリンは信仰心を失っており、悪魔祓いにも全く積極的ではないが、最終的に「信仰心を取り戻し、悪魔祓いを行って成功させ 、そして生き延びる」ということが分かっているのだ。
言ってみりゃあオチが分かっているわけで、作品としては、最初からハンデを背負っているようなものだ。
っていうか序章であれ、続編であれ、『エクソシスト』って、もう噛んだところで味がしないように思うんだけどなあ。あれは1作目だけ で終わらせておくべきモノだったんじゃないかと。
そりゃあ1作目が大ヒットしたから、「まだ何か見つかるだろ」と考えて掘りたくなる気持ちは、分からんではないんだけどね。21世紀に 入ってからのハリウッドは、リメイクや続編に頼りまくっている状況だしね。

1作目の面白さは、信仰を巡って苦悩する心理ドラマと、コケ脅しの映像描写と、その2つを組み合わせたところにあった。
その両輪があったからこそ、1作目は面白いオカルト映画になったのだ。
で、この映画だが、まず苦悩の心理ドラマについては、一応は盛り込まれている。
メリンはナチによる卑劣な殺人から人々を救えなかったことで神を信じられなくなっており、彼が信仰心を取り戻すまでのドラマがある。
ただ、監督がレニー・ハーリンだからなのか、あまり厚みや深みは感じられないものになっている。

コケ脅しの映像表現についても、一応は盛り込まれている。
1作目ではリーガンという少女が悪魔に憑依されたが、今回はジョセフという少年がハイエナに襲われる兄を冷徹に眺めたり、彼の眠る ベッドが勝手に動いたり、白目を剥いて突風を呼び込んだりする。
ただ、1作目のリーガンが突っ立ったままで放尿したり、ナイフで自分の性器を突き刺して血だらけになったり、首から上が後ろに一回転 したり、緑色のゲロを吐いたりしていたのを比べると、質も量も落ちる。
そもそも、リンダ・ブレアとジョセフ役のレミー・スウィーニーを比較しても、かなり分が悪いしね。
「少女」と「少年」というだけでも、少女に軍配が上がる。
ジョセフだけでは弱いと踏んだのか、村の女性が出産した赤ん坊が悪魔のような顔でウジが湧き出しているとか、サラの股間が血だらけに なるとか、別のトコでも怪奇現象を起こしているけど、それが不足分を補えているわけではなく、むしろ一点に集中した方がいいんじゃ ないかと思ってしまう。
ジョセフに悪魔が憑依しているはずなのに、彼がいない場所で奇怪なことが起きると、「悪魔憑き」というところからピントがボヤけ ちゃってるんじゃないかと。怪奇現象を全て、ジョセフに憑いた悪魔が起こしているとしてもさ。

ただ、コケ脅し映像に関しては、ポール・シュレイダーであれ、レニー・ハーリンであれ、厳しいモノがあったと思うよ。
というのも、「悪魔に取り憑かれている人物の体に異様なことが起きる」「神父が儀式によって悪魔を祓おうとする」という内容が、 かなり薄いのよ。
タイトルは『エクソシスト』だけど、メリンがエクソシストとして行動するのは最終盤の10分程度だし。
そんで、いざ悪魔祓いを始めると、もう映画の残り時間が少ないので当然だけど、数分で成功しちゃうんだよね(でもサラは死んじゃうん だけど)。

英国軍と村人たちの戦いが勃発するとか、巨大な砂嵐が来るとか、そういうところでスケールのデカさや派手な恐怖映像を見せようとして いるのかもしれないが、この映画、そういうスケールのデカさが求められているわけじゃないんだよね。
そんなことよりも、もっと早い段階で「神父と悪魔の戦い」という図式を描いてくれよ。
英国軍と村人たちの戦いなんて、悪魔が直接的に手を出しているわけじゃないし。
悪魔がメリンを精神的&肉体的に追い込もうとするのも、悪魔祓いが始まってからだし。

あと、残り20分を切った辺りで「実は悪魔つきはジョセフじゃなくてサラだった」と明かされるんだけど、その捻りも要らないわ。
だって、それまでにジョセフが白目を剥いたり、不気味な言葉を吐いたりと、明らかに「普通じゃない」状態になっているシーンが何度も あったじゃないか。それはどう説明するんだ。それまではジョセフに憑依していた悪魔が、終盤になってサラに移動したってこと なのか。
そう言えば、どうしてレニー・ハーリンはマイク・オールドフィールドの『チューブラ・ベルズ』を使わなかったんだろう。
そりゃあ1作目でも、実はほとんど使われておらず、使用されているポイントも恐怖とは無縁のシーンだった。
だけど、あの曲を流しておけば、「パブロフの犬」状態で恐怖を感じる観客も少なくなかったんじゃないかと思うんだけどな。

(観賞日:2013年1月2日)


第25回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低リメイク・続編賞
ノミネート:最低監督賞[レニー・ハーリンかポール・シュナイダー]

 

*ポンコツ映画愛護協会