『エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち』:1997、アメリカ

エミリー・ホープは父アレクサンダーの注意を惹くため、自分が誘拐された芝居をすることにした。100万ドルを持って来るよう父に要求するが、もちろん金は目的じゃない。彼女は駐車場に止めた緑のBMWのトランクに身を隠して、父の到着を待った。
ところが、そんなことは全く知らない車泥棒のヴィンセント・ローチェが、緑のBMWを駐車場から盗み出してしまう。倉庫に戻ったヴィンセントは、トランクにエミリーが入っているのを見つけて動揺し、相棒のグレッグに相談する。
エミリーの火の不始末で倉庫が火事になり、緑のBMWが現場から発見された。そのことで誘拐犯人と間違われることを恐れたヴィンセントは、身の潔白を証明するようエミリーに頼む。しかし、エミリーは言うことを聞いてくれない。
娘より仕事が大事なアレクサンダーは、部下のレイ・パーキンスにエミリーの捜索を依頼する。レイは早い段階から、今回の事件がエミリーの芝居だと気付いていた。そして彼は、エミリーがヴィンセントと一緒にいることもすぐに突き止めた。
レイはエミリーを見つけ出すが、彼女は家に帰ることを拒否して、ヴィンセントと共に逃げ出してしまう。エミリーとヴィンセントは、いつの間にか惹かれ合うようになっていた。そんな中、今度は本当にエミリーが誘拐されてしまう…。

監督はマルコ・ブランビヤ、原案はマックス・D・アダムス、脚本はマックス・D・アダムス&ディック・クレメント&イアン・ラ・フレノワ、製作はビル・ボーデン&キャロリン・ケスラー、共同製作はB・ケイシー・グラント、撮影はジャン・イヴ・エスコフィエ、編集はスティーヴン・リヴキン、美術はミッシー・スチュワート、衣装はベアトリクス・アルーナ・パストゥール、音楽はジョン・ルーリー、音楽監修はアニタ・カマラタ。
出演はアリシア・シルヴァーストーン、ベニチオ・デル・トロ、クリストファー・ウォーケン、ハリー・コニックJr.、ジャック・トンプソン、ニコラス・タートゥーロ、サリー・カークランド、マイケル・ボウエン、リーランド・オーサー、ロバート・ウィズデン、ヒロ・カナガワ、ブレンダン・ベイサー、デミトリ・ゴリツァス、ホルヘ・ヴァルガス、ダニエラ・サクロフスキー、ステイシー・グラント、カラム・レニー他。


アリシア・シルヴァーストーンが設立したファースト・キス・プロダクションの第1回作品。彼女がエミリーを演じ、他にヴィンセントをベニチオ・デル・トロ、レイをクリストファー・ウォーケン、グレッグをハリー・コニックJr.が演じている。
ビデオ邦題は『エクセス・バゲッジ』と、サブタイトルが外されている。

普通の感覚だと、エミリーの心情が全く理解できないかもしれない。
ダルダルに緩んだ物語の中で、観客が心情を理解できないような不可解な行動を取る女性を演じなければならないのだから、アリシアはとっても大変なのだ。

アリシアはデヴューして間もなく、ティーンのアイドルとして人気者になった。
だが、いつまでもアイドルのままではいられない。
製作者となったからには、ただのキュートな女の子じゃいられない。
そんなわけで、貫禄を付けるために少し太ったシュガーな肉体になった。

アリシアはケバめのメイクでキツめの顔を作り、可愛らしさを打ち消すようにした。
彼女が演じるエミリーは、可愛らしさが薄い。
そして性格の捻じ曲がった女にしか見えない。
だが、何しろ今回の彼女はアイドルじゃなくて製作者なのだ。
だから、自分を可愛く見せる必要は無いのである。

アリシアは主演女優であることよりも、製作者であることを優先した。
だから、今作品での女優としての魅力が薄くても仕方が無いのである。
その代わりに、彼女は映画製作者としてベニチオ・デル・トロの魅力を引き出した。
それが、アリシアの今作品における最大にして、唯一かもしれない貢献である。


第18回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低主演女優賞[アリシア・シルヴァーストーン]


第20回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の主演女優】部門[アリシア・シルヴァーストーン]

ノミネート:【最悪のカップル】部門[アリシア・シルヴァーストーン&ベニチオ・デル・トロ]

 

*ポンコツ映画愛護協会