『エントラップメント』:1999、アメリカ&イギリス&ドイツ

2000年まであと16日のニューヨーク。高層ビルの一室から、レンブラントの名画が盗まれた。ウェイバリー保険会社の女性調査員ジンは、犯人が美術品専門の老泥棒マックだと断定し、上司のクルーズに話す。
ジンは中国の黄金のマスクを使って、マックを罠に掛けるという計画を立てる。クルーズの許可を得たジンは、マックのいるロンドンに飛んだ。マックに会ったジンは自分も泥棒だと告げ、黄金のマスクを盗むための協力を要請する。
マックはジンの電話を盗聴し、彼女の正体を知った。しかしジンは、セキュリティ・コードを盗むために保険会社に入ったと弁明する。そして彼女はマックに、クアラルンプールの銀行から80億ドルを盗み出すという計画を持ち掛ける…。

監督はジョン・アミエル、原案はロン・バス&マイケル・ハーツバーグ、脚本はロン・バス&ウィリアム・ブロイルズ、製作はショーン・コネリー&マイケル・ハーツバーグ&ロンダ・トーレフソン、製作総指揮はロン・バス&イェーン・スミス&アーノン・ミルチャン、撮影はフィル・メイヒュー、編集はテリー・ロウリングス、美術はノーマン・ガーウッド、衣装はペニー・ローズ、音楽はクリストファー・ヤング。
出演はショーン・コネリー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ヴィング・レイムス、ウィル・パットン、モーリー・チェイキン、ケヴィン・マクナリー、テリー・オニール、マッドハヴ・シャーマ、デヴィッド・イップ、ティム・ポッター、エリック・メイヤーズ、アーロン・スウォーツ他。


マックを演じたショーン・コネリーが、製作にも携わっている作品。
彼の相棒ジンをキャサリン・ゼタ=ジョーンズが演じている。
たぶん、オシャレで洗練された、クールでカッコイイ泥棒ムーヴィーとして作ろうとしているのだと思われる。で、それが実際にはどうなのかってことだ。

軽快な犯罪アクション映画かと思わせておき、途中でサスペンス風味が入ってくる。
そして結局は、「なんだ、恋愛映画だったのか」という印象が残る。
そして、ジジイと若い女の恋愛ドラマに、ムズがゆいモノを感じてしまうという次第。

いくら元007だとはいえ、ショーン・コネリーも年寄りなので、激しいアクションをやるにはムリがある。キャサリン・ゼタ=ジョーンズには若さはあるが、アクションを得意とする役者ではない。だから、アクション以外の要素もたっぷり詰め込んだのだろうか。

“騙して騙されて”という展開が続くのだが、「質なんてどうでもいいから、ようするに多ければ、それでいいんだろ」という状態になってしまっている。
しかも、伏線をキッチリと張り巡らせる行為を怠ってしまい、甘すぎる展開を用意することによって、何度にも渡るドンデン返しがスパッと決まらない。

そして、そういうドンデン返しの連続を描くことだけに気を取られてしまったのか、人間の心情を描くことがすっかり忘れてられている。
マックとジンというキャラクターには、奥行きってモノが見えてこないし、2人が惹かれ合っていくような心の動きも、見つけることは難しい。

この作品は、ショーン・コネリーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズという役者の魅力だけで、最後まで押し切ろうとしているような感じだ。
だから、2人が演じるキャラクターに全く魅力が感じられなくても、キャサリン・ゼタ=ジョーンズのケツがプリプリしていれば、それでOKってことなのだろう。


第20回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低主演女優賞[キャサリン・ゼタ=ジョーンズ]
<*『エントラップメント』『ホーンティング』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低スクリーンカップル賞[ショーン・コネリー&キャサリン・ゼタ=ジョーンズ]


第22回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪のカップル】部門[ショーン・コネリー&キャサリン・ゼタ=ジョーンズ]

 

*ポンコツ映画愛護協会