『エンド・オブ・デイズ』:1999、アメリカ

1979年、バチカン市国の修道士トーマス・アキナスは、古い預言書の言い伝えにある前兆を目撃した。それは、人類の運命を握る女の赤ん坊が誕生することを示していた。その子が成長してサタンと交われば、世界は破滅してしまうのだ。
1999年12月、民間の警備会社で働くジェリコ・ケインは、相棒のシカゴと共にウォール街の銀行マンを警護することになった。ビルの屋上から狙撃されたジェリコは、犯人を追い詰める。すると犯人は、「1000年の時は終わりに近づいた」という謎の言葉を吐く。
犯人の正体は、トーマス・アキナスだった。彼のアパートを突き止めて捜索したジェリコは、若い女性の写真を発見する。その女性はアップタウンに住むクリスティン・ヨークだった。彼女は恐ろしい幻覚に悩まされていた。幻覚の中にジェリコの警護した銀行マンが登場し、彼女をレイプした。
銀行マンの体には、サタンが入り込んでいた。サタンは世界支配を企んでいたが、そのためには1999年12月31日の11時から12時の間に、運命の女性クリスティンと交わる必要があった。ジェリコはクリスティンを守るため、サタンに戦いを挑む…。

監督&撮影はピーター・ハイアムズ、脚本はアンドリュー・W・マーロウ、製作はアーミヤン・バーンスタイン&ビル・ボーデン、共同製作はポール・ディーソン&アンドリュー・W・マーロウ、製作総指揮はマーク・エイブラハム&トーマス・A・ブリス、編集はスティーヴン・ケンパー、美術はリチャード・ホランド、衣装はボビー・マニックス、クリーチャー効果監修はスタン・ウィンストン、視覚効果監修はエリック・ダースト、音楽はジョン・デブニー、音楽監修はG・マーク・ロズウェル、主題歌はガンズ・アンド・ローゼス。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はガブリエル・バーン、ロビン・タニー、ケヴィン・ポラック、CCH・パウンダー、ロッド・スタイガー、デリック・オコナー、ミリアム・マーゴリス、ウド・キアー、デヴィッド・ワイゼンバーグ、レイナー・ジャッド、ヴィクター・ヴァーナード、マイケル・オヘイガン、マーク・マーゴリス、ジャック・シアラー、イヴ・シーガル、ルシアーノ・ミール、ロバート・レッサー他。


心臓手術を受けてしばらく休んでいたアーノルド・シュワルツェネッガーが、2年ぶりに復活した映画。1999年に公開されるということで、ハルマゲドンという要素を中軸に据えたオカルト・アクション映画になっている。
この作品が駄作となったのは、きっと悪魔の仕業だろう。

この作品の中では、「黙示録の666という数字があるが、夢の中では数字が逆さまになることが多い。だから、本当は666ではなく999なのである。それは1999年を示しており、サタン再生の年である」という解釈になっている。
ところで、1999年の“1”はどこから持ってきたのだろうか。
数字が999なら、999年にサタンは再生しているはずだが。

銀行マンにサタンが憑依するのも、クリスティンが狙われるのも、同じ理由だ。
「そういう星の下に生まれたから」だそうだ。
星のせいにしておけば、理由を説明しなくていいのだから、ラクなものだ。
1999年12月31日の11時から12時の間という、良く分からない奇妙な時間制限があるのだが、そこにも、たぶん星が関係しているんだろう。

サタンはクリスティンの居場所が分からずにジェリコに尋ねたりする。
どうやらサタンの力では、居場所を見つけることは出来ないようだ。
サタンなのに、思ったほど驚異の力を見せることが無い。
せいぜい、小便がガソリンになっていることぐらいだろうか。
それがマジなのかギャグなのかは不明だが。

ジェリコはアキナスの死体に刻まれた「キリスト・イン・ニューヨーク」の文字を「クリスティン・ヨーク」のことだと瞬時に見抜き、すぐに彼女の居場所を突き止めてしまう。彼女の家で一冊だけ本を拝借し、そこから犯人の残した首飾りの持つ意味を読み取ってしまう。
そんな奇跡のような芸当が出来るのは、きっとジェリコが神だからだろう。
何のメリットも無いし何の関係も無いのに、彼は命を賭けてクリスティンを守ろうとする。
それは、ジェリコが神だからだ。
普通の武器でも、サタンと対等に戦えたりする。
それは、ジェリコが神だからだ。
決して、御都合主義ではないはずだ。

私はこの作品に、ハリウッドの度量の広さを感じずにはいられない。
簡単に説明すると、これは筋肉バカがレイプ魔と戦う映画である。
そんなB級テイスト丸出しの骨格に、150億円も投入して肉付けしようとする。
そこに、ハリウッドの度量の広さを感じてしまう。

私はこの作品に、ハリウッドの度量の広さを感じずにはいられない。
ジェリコは妻子を殺されて自責の念に苦しんでいる。
彼は神を信じなくなったが、再び信じるようになっていく。
そんな難しい心情表現が必要なキャラクターを演じるという、到底ムリなことをシュワちゃんにやらせている辺りに、ハリウッドの度量の広さを感じてしまう。


第20回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低監督賞[ピーター・ハイアムズ]
ノミネート:最低主演男優賞[アーノルド・シュワルツェネッガー]
ノミネート:最低助演男優賞[ガブリエル・バーン]
<*『エンド・オブ・デイズ』『スティグマータ/聖痕』の2作でのノミネート>


第22回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の主演男優】部門[アーノルド・シュワルツェネッガー]

 

*ポンコツ映画愛護協会