『クルージング』:1980、アメリカ

ニューヨークで男性のバラバラ遺体が発見される事件が続発するが、捜査は一向に進展しなかった。クリストファー・ストリートを巡回していた警官のディシモーネは、相棒のデッシャーに妻子が出て行ったことを話した。彼はゲイのダヴィンチをパトカーに連れ込み、性的サービスを強要した。黒い服装で身を固めた男はゲイクラブに入り、俳優のローレン・ルーカスに誘われた。2人はホテルへ赴き、肉体関係を持った。ポールがベッドで寝ていると、服を着た男はナイフを突き付けた。男は囁くように歌い、背中をうつ伏せになるよう命じた。ポールが従うと、男は彼の両手を縛り上げてから背中を何度もナイフで突き刺した。
ポールの遺体を調べた検死官は、犯人が無精子の男だと刑事部長のエデルソンに説明した。その傷跡や犯行の手口は、以前にコロンビア大学のポール・ヴィンセント教授が殺害された事件と一致していた。エデルソンは警察署にダヴィンチを呼んで情報を聞くが、手掛かりは何も得られなかった。ダヴィンチは第6分署の警官2人が目の敵にしているので助けてほしいと訴え、シモーネ何とかとジェリー何とかという2人だと説明する。しかしエデルソンは偽の警官ではないかと疑い、ダヴィンチを追い払った。
エデルソンは新人警官のスティーヴ・バーンズを呼び出し、囮捜査を提案した。被害者の肉体的特徴が、スティーヴと一致しているからだ。潜入するのはSM趣味を持つ男たちの世界であり、エデルソンは「引き受ければ刑事に抜擢する」と言う。拳銃もバッジも所持できず、連絡できるのは自分だけだと彼は説明した。しかしスティーヴは全く迷わず、引き受けることを決めた。彼は新たな任務について、恋人のナンシーにも内緒にした。
スティーヴはグリニッジ・ヴィレッジのアパートに引っ越し、荷物を片付ける。部屋のクローゼットには大量のゲイ雑誌が置いていたが、彼は廊下のゴミ箱に捨てる。そこへ隣人のテッド・ベイリーが現れ、スティーヴに声を掛けた。テッドが自己紹介すると、スティーヴはジョン・フォーブスという偽名を使った。テッドはゲイ雑誌について、「ボビーが置いていったんだろう。変わった趣味だったから」と告げる。彼はスティーヴに、「管理人が雑誌は取っておくよう言ってた。売るんだって」と教えた。
スティーヴはテッドに誘われ、近くのカフェへ出掛けた。テッドは売れない脚本家で、昼間に寝て夜に働いていた。同居人のグレゴリーはダンサーで、今はツアーで不在だった。その夜、スティーヴはクリストファー・ストリートへ赴き、大勢のゲイが集まっている様子を目にした、彼は露天商に尋ね、ハンカチを使ったゲイの合図を知った。ひとまずアパートに戻ったスティーヴは、ゲイに好かれそうなメイクを施して服も着替えた。再びストリートへ出掛けた彼は、周囲のゲイを観察する。1人の男が声を掛けると「見ているのが好きなんだ」とスティーヴは告げた。
その後も彼はストリートに通い、あちこちのバーテンと顔馴染みになって情報を貰えるようになった。ディシモーネもストリートに来るが、スティーヴは別の男に誘われて一緒に森へ向かった。スティーヴはエデルソンと会い、トミー・マンクージという男の名前が頻繁に出て来ることを報告した。しかしエデルソンは既にトミーの存在を知っており、「奴には手が出せない」と告げた。橋にいた犯人はジーンズの男に声を掛けられ、一緒に森を歩く。犯人は歌を口ずさんで姿を消し、辺りを見回す男の背中にナイフを突き刺した。同じ夜、スティーヴはナンシーとセックスし、翌朝を迎えた。彼は朝食を用意したナンシーにキスをして、「愛してる」と抱き締めた。
スティーヴはテッドから、主役が肝炎で倒れたのでツアーが打ち切りになってグレゴリーが戻ってくることを聞かされた。テッドは「今度は俺が働く番だってさ」が愚痴をこぼし、ボビーも同じように苛立っていたことを話した。彼は「ボビーはゲイ専用の風俗店へ出掛けて、1時間に1ダースの相手とやるんだ」と語り、「俺は行かないが、気持ちは分かるよ」と口にした。ゲイクラブへ出掛けたスティーヴは、警官の衣装を着た大勢の男たちを見て圧倒される。そこへ1人の男が来て「今夜は分署の夜だ。アンタは間違えたんだよ」と言うので、スティーヴは店を出た。店でスティーヴに注目していたスキップ・リーという男が追って来て、「散歩しないか」と誘う。「また今度」と断り、その場を去った。
女性洋品店を経営するマルティーノは仕事を終えた後、クリストファー・ストリートへ出掛けた。彼はコインボックスで犯人と一緒にゲイ・ポルノを観賞し、ナイフで刺し殺された。エデルソンはバーマン捜査本部長に呼ばれ、捜査に進展が無いことを咎められる。エデルソンは「もう少し情報が必要です」と釈明するが、バーマンは「君と心中は御免だ。民主党大会までに解決できなければ、誰かと交代させる」と通告した。エデルソンは部下のレフランスキー刑事とリフキン刑事から、ボックスのコインにマルティーノとは別人の指紋が付着していたことを知らされた。
スティーヴはゲイクラブへ行き、いつものように周囲を観察する。スティーヴは近くにいた男にスキップのことを質問し、すぐに喧嘩を始めるワルだから近付かないよう忠告された。スティーヴは別の男に誘われ、フロアに出て激しく踊った。スティーヴはレフランスキーに報告を入れ、スキップを調べるよう頼んだ。レフランスキーはダヴィンチにスキップのことを尋ね、ステーキハウスで働いていることを知る。さらにダヴィンチは、コインボックスの殺人事件についても情報を持っていた。現場にいた友人が、童謡のような歌を耳にしたことをダヴィンチはレフランスキーに教えた。
警察はステーキハウスで使われているナイフを入手し、遺体の腕や足を切断することは可能だと知った。スティーヴはエデルソンから情報を貰い、スキップをモーテルへ連れ出した。レフランスキーたちは車で張り込むが、盗聴器の音声が上手く届かなかった。仕方なく彼らが部屋へ突入すると、スティーヴは全裸でベッドに縛られていた。スキップはナイフを持っておらず、警察署で脅すような取り調べを受けて「何もしていない」と主張した。エデルソンたちはスキップにオナニーさせて精液を採取するが、コインの指紋が一致しなかったこともあって無実だと断定した。
スティーヴは顔に痣を作ったまま、ナンシーの元へ赴いた。ナンシーが「どうなってるの?」と訊くと、彼は「仕事の話はしたくない」と告げる。ナンシーが「しばらく別れた方がいいわね」と言うと、スティーヴは「そうだな」と受け入れた。スティーヴはエデルソンに、「酷いじゃないですか。あんな仕打ちをさせるなんて。別の方法を探してください。こんな割に合わない仕事は、もう嫌です」と訴える。「好きでやってるわけじゃない。犯人を捕まえるためだ」とエデルソンが話すと、彼は「スキップは無実だったのに、大統領の狙撃犯のように扱われた。あんなに痛め付けて、起訴も出来なかった」と語った。
エデルソンが「君が名指ししたんだ。刑事になれば、ああいう連中を何人も逮捕しなきゃいけない」と諭すと、スティーヴは「そんな仕事、私には出来ません。気持ちの上で割り切れないんです。自信が無いんです」と吐露する。エデルソンは「ガッカリさせないでくれ。頼りは君だけだ」「ポールの授業を受けた生徒の写真付き名簿を渡し、調べるよう指示した。アパートに戻って写真を確認したスティーヴは、ストリートで何度も見掛けたスチュアート・リチャーズに目を留めた。スティーヴはスチュアートが暮らす学生寮の場所を突き止め、張り込みを開始した。スチュアートは部屋で体を鍛え、規則正しい生活を送っていた。
スティーヴは彼がジョギングに出た隙に、窓際の換気扇を外して部屋へ忍び込んだ。クローゼットには未投函の手紙の束が保管されており、全て宛名は父親のジョン・リチャーズだった。スティーヴは手紙を読むが、手掛かりは得られなかった。スチュアートはバスに乗っている時、自分を凝視するスティーヴに気付いた。学生寮に戻ったスチュアートは、誰かが侵入した形跡に気付いた。彼が窓の外に目をやると、スティーヴがじっと見つめていた。手紙の束を確かめたスチュアートは、公園で父に会った時のことを思い出す。彼が「一度でいいから僕のことを認めてもらいたい」と漏らすと、ジョンは「やるべきことは分かってるな」と告げた。回想を終えたスチュアートはブーツに手を伸ばし、ナイフを取り出した…。

監督はウィリアム・フリードキン、原作はジェラルド・ウォーカー、脚本はウィリアム・フリードキン、製作はジェリー・ワイントローブ、製作協力はバート・ハリス、撮影はジェームズ・コントナー、美術はブルース・ワイントローブ、編集はバド・スミス、衣装はロバート・デモラ、音楽はジャック・ニッチェ。
主演はアル・パチーノ、共演はポール・ソルヴィノ、カレン・アレン、リチャード・コックス、ドン・スカルディーノ、ジョー・スピネル、ジェイ・アコヴォーン、ジーン・デイヴィス、ランディー・ユルゲンセン、バートン・ヘイマン、アーナルド・サンタナ、ラリー・アトラス、アラン・ミラー、ソニー・グロッソ、エドワード・オニール、マイケル・アローニン、ジェームズ・レマー、ウィリアム・ラス、マイク・スター、スティーヴ・インウッド、キース・プレンティス、リーランド・スターネス、ロバート・ポープ、レオ・バームスター、ブルース・レヴァイン、チャールズ・ダンラップ、パワーズ・ブース他。


ジェラルド・ウォーカーの同名小説を基にした作品。
監督&脚本は『エクソシスト』『恐怖の報酬』のウィリアム・フリードキン。
スティーヴをアル・パチーノ、エデルソンをポール・ソルヴィノ、ナンシーをカレン・アレン、スチュアートをリチャード・コックス、テッドをドン・スカルディーノ、ディシモーネをジョー・スピネル、スキップをジェイ・アコヴォーン、ダヴィンチをジーン・デイヴィスが演じている。
ちなみに原作小説は「バッグ・マーダース」と呼ばれる連続殺人事件がモチーフになっているが、その犯人であるポール・ベイトソンは1973年に公開されたフリードキン監督の映画『エクソシスト』に出演していた。

まだ日本だと男性の同性愛者が「ゲイ」ではなく「ホモ」とか「オカマ」と呼ばれていた時代に、公開された作品である。
まだ今でもゲイに対する偏見や蔑視は根強く残っているが、当時はLGBTQなんて表現も無かった時代だ。それは決して日本だけのことではなく、アメリカでも同様だった。
そんな中で公開された本作品は、ゲイを異常者扱いしているということで、激しい抗議も起きた。
ホモセクシャルの立場になってみれば、腹を立てるのは充分に理解できる。こういう映画が公開されたら、「ゲイは総じてこんな感じ」と誤解される恐れもあるだろうしね。
あくまでも一部のゲイ・コミュニティーだし、さらに言うとフィクションとしての世界観だ。ウィリアム・フリードキンは「怪しげなアングラ世界」が舞台設定として欲しくて、それを利用しているだけだ。

キワモノ映画と言ってもいいような作品で、ハードゲイの沼にハマっていくような主人公をアル・パチーノが演じているのは、かなり意外に感じる。
アル・パチーノは『ゴッドファーザー』や『セルピコ』、『狼たちの午後』などの映画に出演し、1972年から1975年に掛けて4年連続でアカデミー賞にノミネートされるなど、名実共にハリウッドのトップスターだった。そんな人が主演するのは、合わないような類の映画じゃないかと思うのだ。
ところがウィリアム・フリードキン監督によれば、アル・パチーノの方から出演したいと売り込んで来たらしい。
1979年の『ジャスティス』も含めて5度もオスカー候補になりながら受賞を逃し続けたことで、ちょっと疲れていたのかな。何か風変わりなキャラでも演じないとダメだと思ったのかな。

スティーヴはエデルソンから潜入捜査を提案されると、即座にOKする。かなり危険な任務であることはエデルソンの説明でも理解できるはずだが、そこでの迷いは全く無い。ナンシーから心配されると、「2階級特進で刑事になれる」と言う。ナンシーが「そんな野心家だとは知らなかったわ」と告げると、「君の知らないことは色々とあるさ」と返す。
ってことは、「刑事になれるから」という理由で引き受けたんだろうとは思う。
ただ、その「強い野心」ってのは、彼の表情や言動からは全く感じられない。
ずっと表情が乏しいし淡々としているので、何を考えているのか、どんなことを感じているのかが、サッパリ分からないんだよね。

スティーヴはアパートに引っ越すと、そこに置いてあったゲイ雑誌を捨てようとする。
でもゲイの世界に潜入しようとしているんだから、そういうのを見て勉強した方がいいんじゃないの。せっかく自分から買わなくても研究材料が手に入ったのに、それを捨てるのは勿体無いでしょ。
どうやら彼は、ほとんど予習せずストリートに行ったみたいだけど、それは潜入捜査官としてボンクラすぎるでしょ。話の作りとしても、「スティーヴがゲイについて学習する」という手順を入れた方がいいはずだし。
もちろん、ストリートに出てゲイの世界に触れることで、学習できることは多いと思うよ。でもスティーヴは、ゲイの世界について何も知らないわけで。だったら、事前に情報を入れようとする方が、行動としては自然じゃないかと。

いざストリートに出たスティーヴは、最初は戸惑うばかりで、さっさとアパートに戻る。そしてメイクと服を変えて、再びストリートに行く。今度は1人の男に声を掛けられるのだが、「見ているのが好きだ」と断る。
その後も、彼が男と肉体関係を持つシーンは、なかなか訪れない。
潜入捜査なので、実際にゲイと肉体関係を持たなきゃいけないわけではない。
ただ、それにしても「ただ見ているだけ」という行動を続けるだけで済むってのは、ちょっと無理があるんじゃないかと。

この映画を今の時代に作ろうとしたら、まず間違いなく映画会社がOKを出さないだろう。
当時は一部のゲイ・コミュニティーから抗議が来るだけで済んだが、今は昔に比べて遥かに性的マイノリティーに対する意識が高まっているので、もっと大規模な運動が起こるだろう。
ただ、この映画が酷評を浴びて興行的にも失敗に終わったのは、ゲイの描写に問題があったことが大きな理由でない。
単純に、映画の出来が悪くて、面白くなかったからだ。

ひとまず「ゲイの描写が偏見と差別に満ちているか否か」ってのは置いておくとして、スティーヴがハードゲイの世界に足を踏み入れたのなら、そこを丁寧に描いて深く掘り下げた方がいいはずだ。スティーヴが今まで知らなかった世界に触れ、初めての光景や初めての体験に当惑し、次第に馴染んでいく様子を描くべきだ。そんな中で、「新しい刺激に興奮を覚えてハマっていこうとする自分と、不安で逃げようとする自分の狭間で苦悩&葛藤する」というドラマを描くってのが、本来はあるべき姿じゃないかと思うのだ。
ところがスティーヴが初めてゲイの世界に足を踏み入れた後、なかなか話が先に進まないのだ。
一応、「犯人が新たな殺人を起こす」とか「スティーヴがスキップを怪しむ」といった辺りで、捜査の部分では少しだけ進展がある。でも、「スティーヴとゲイの世界」を巡る話は、ずっと同じような状況が続く。スティーヴは同じクラブに通い、ゲイの面々が踊ったり飲んだりする様子を眺め、声を掛けられることもある。
そんな大して変わり映えのしない光景が、ずっと続くのだ。

「最初はゲイの世界の入り口だけを見ていたスティーヴが、もっと深いモノを見る」という変化が無い。「いつもと違う店を訪れ、今までとは異なるSMプレーを知る」という変化も無い。
「ゲイの表層的な部分しか知らなかったスティーヴが、本質的な部分に触れる」という変化も無い。
「最初は見ているだけだったが、キスをされたり体を触られたりするのを受け入れ始める」という変化も無い。
だから当然のことながら、スティーヴはずっと変わらないまま、粛々と仕事をこなしているだけになる。

「事件の捜査」という部分に限定しても、表面的には色々なことが起きているが、実は起伏に乏しい。
例えば犯人が殺人を犯すシーンでも、かなり淡白な処理になっている。スキップをおびき出すシーンではスティーヴが全裸で縛られているが、これも「刑事たちが突入したら全裸で縛られていた」というだけ。そこへ至る経緯は、全く描かない。
そうなると、「囮捜査のはずなのに貞操の危機が訪れる」というスティーヴの焦りや緊迫感ってのが全く伝わってこない。
なので、本来ならスリリングなシーンのはずなのに、淡々と過ぎ去ってしまう。
スティーヴが初めて容疑者と本格的に接触し、初めて肉体的な危機に見舞われるという重要なシーンでさえ緊迫感を高めようとする演出が見られないんだから、全体を通してどんな出来栄えになっているかってのは、言うまでもないだろう。

1つだけ、良くも悪くも印象的なシーンがある。
警察署で詰め寄られたスキップが「弁護士を呼んでくれ」と訴えると、ブリーフ一枚でカウボーイハットを被った黒人のマッチョが部屋に入って来てスティーヴをビンタする。スティーヴが驚いて声を荒らげると、刑事たちは彼を連れ出す。
これ、どういうシーンなのか困惑してしまった。
たぶん「スキップを怖がらせて指示に従わせるための芝居」ってことじゃないかとは思うのよ。でも、だからってブリーフ一枚の黒人マッチョにスティーヴをビンタさせるのは、すんげえヘンテコなシーンにしか見えないぞ。場違いなギャグシーンみたいになっちゃってるぞ。

ミステリーとしての面白さは、全く味わえないことを保証しておく。
前半でトミー・マンクージの名前が出るが、エデルソンが「知っているけど手が出せない」と言うと、そこで終わる。不審に思ったスティーヴが独自で調べるようなこともなく、トミーの存在は完全に忘れ去られる。実際に事件には全く絡んで来ないので、何のために用意した手順なのかサッパリ分からない。
続いてスキップが容疑者として挙がるが、彼じゃないのは明らかだ。それまでに描かれていた犯人の印象と、大きく異なっているしね。なのでミスリードとしての力は、全く無い。
他に目ぼしい容疑者を出す気配も無い中で、今度はスチュアートの名前が出る。ここに関しては、最初から彼が犯人ってことが明らかだ。アリバイ崩しや動機の追及といった要素も無いので、謎解きの面白さは皆無なのだ。

スキップの尋問シーンの後、ようやくスティーヴがエデルソンに感情を爆発させる様子が描かれる。
でも、そういうトコだけじゃなくて、もっと彼の心情を丁寧に描かないとダメでしょ。ミステリーの面白さは皆無と書いたけど、実は「スキップの心の旅路」こそが本作品の肝になる部分なんだからさ。
最後は「スティーヴがハードゲイの世界にハマりました。ミイラ取りがミイラになりました」ってのを匂わせて終わっている。
だけど、それも彼の心情の経緯を追い掛けていないから、「途中の計算を完全に失敗して、最後の答えだけ帳尻を合わせようとしている」という風にしか見えないんだよね。

(観賞日:2021年3月22日)


第1回ゴールデン・ラズベリー賞(1980年)

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ウィリアム・フリードキン]
ノミネート:最低脚本賞

 

*ポンコツ映画愛護協会