『コンゴ』:1995、アメリカ
アメリカの通信会社・トラビコム社は、レーザー通信に利用するダイヤモンドを採掘するため、中央アフリカのコンゴに調査隊を派遣した。調査隊はダイヤを発見するが、本社に連絡した後、ゴリラらしき動物に襲われる。
トラビコム社のトラビス社長は、科学者カレン・ロスを調査隊の捜索に向かわせることにした。カレンは元CIAで、今はトラビコム社の企画顧問だ。しかし、秘密が漏れることは避けねばならない。そこでカレンは、霊長類学者のピーター・エリオットに同行するという形を取ることにした。
ピーターは大学でゴリラに手話を教えており、エイミーというゴリラに手の動きを言葉にする特殊な装置を着用させ、人間と会話させることに成功していた。ピーターはエイミーをアフリカに戻すため、コンゴに向かったのだ。
ピーターとカレンの他、慈善家を自称するホモルカも同行。アフリカに到着した彼らは現地人のガイドであるモンローに案内され、コンゴへと入る。ソロモン王の幻の都“ズインジ”の遺跡を発見した彼らに、人を襲うように訓練された殺人ゴリラが襲い掛かってくる…。監督はフランク・マーシャル、原作はマイケル・クライトン、脚本はジョン・パトリック・シャンリー、製作はキャスリーン・ケネディ&サム・マーサー、製作総指揮はフランク・ヤブランス、撮影はアレン・ダヴュー、編集はアン・V・コーツ、美術はJ・マイケル・リーヴァ、衣装はマリリン・マシューズ、スタント・コーディネーターはM・ジェームズ・アーネット、クリーチャー・デザインはスタン・ウインストン、視覚効果監修はスコット・ファーラー、フィジカル効果監修はマイケル・ランティエリ、特殊視覚効果はILM、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
出演はディラン・ウォルシュ、ローラ・リニー、アーニー・ハドソン、ティム・カリー、グラント・ヘスロフ、ジョー・ドン・ベイカー、アデワール・アキヌオウェ=アグバエ、メアリー・エレン・トレイナー、スチュアート・パンキン、キャロリン・シーモア、ロミー・ローズモント、ジェームズ・カレン、ビル・プージン、ブルース・キャンベル、ジョン・ホークス、テイラー・ニコルス他。
マイケル・クライトンの原作を映画化。コンゴを舞台にしたスペクタクル・アドベンチャーかと思いきや、全く違っていた。原住民の儀式を見たり、ヒルに血を吸われたり、カバと遭遇したりする、ボンヤリした珍道中が描かれる作品であった。
ピーター、カレン、ホモルカは三者三様の目的を持っているが、映画の目指す目的地はハッキリしない。一行はコンゴへ向かうのだが、ストーリーがどこへ向かおうとしているのかは分からない。
頭の悪い人のチープな妄想を、そのまま映像化してしまったような感じだ。なんせ一行の目的がバラバラなので、遺跡を発見するまでは主題が何なのかも分からない。で、殺人ゴリラに襲われる段階では、既に映画は終盤。もっと早い段階で遺跡に関わるトラブルを発生させておかないとマズかったのではないだろうか。
困ったことに、コンゴに着くまでに前半が終わってしまう。コンゴに着くまでの場面でも緊張感を出して観客を惹き付けなければならないので、政情不安によって危険な場面を演出する。しかし、必然性のあるエピソードは無い。展開は御都合主義の連続。“バカバカしい”という表現がピッタリだろう。キャラクター設定は非常に薄く、わざと印象に残らないようにしているかのようだ。おそらく、あれだけ薄っぺらいキャラクターならば、どの役者が演じても同じだっただろう。
ゴリラの活躍だけが、セールスポイントなのかもしれない。ゴリラといっても本物ではなく、人間の入ったヌイグルミ。エイミーと殺人ゴリラがホントの主役。人間達は脇役どころか、エキストラのレベル。いてもいなくても同じ。
なお、エイミーが人間と会話できるという設定は全く生かせていない。
第16回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[フランク・マーシャル]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低助演男優賞[ティム・カリー]
ノミネート:最低助演女優賞[会話するゴリラのエイミー]
ノミネート:最低新人賞[会話するゴリラのエイミー]
ノミネート:最低オリジナル歌曲賞「(Feel The) Spirit Of Africa」