『コナン・ザ・グレート』:1982、アメリカ
約2万5000年前、アトランティス大陸が沈んで新しい文明が起こるまでの間、長い暗黒の時代が続いた。後に王となるコナンは、この時代に生まれた。彼が幼い頃、村は蛇の紋章の武装集団に襲われた。大人達は皆殺しにされ、コナンは他の子供達と共に北へと連れて行かれた。そして、奴隷となったコナンは厳しい労働を課せられた。
青年に成長したコナンは、赤毛の商人に買われて闘技士となった。ある時、多くの勝利を収めたコナンを、商人は逃がした。コナンは弓の名手サボタイと出会い、彼と共に家族を殺した蛇の紋章の集団を探す。やがてコナンは、集団を率いていたのが蛇の化身と言われる男・タルサであり、彼が邪教の教祖となっていることを知る。
教団の塔に向かったコナンとサボタイは、ヴァレリアという女盗賊と出会う。コナンはサボタイとヴァレリアと共に塔に潜入し、大蛇を倒して宝石を奪う。宝石を売って得た大金で贅沢にふけったコナン達だが、オズリック国王の兵に捕まってしまう。
オズリック国王はタルサを憎んでおり、コナン達を罰せずに賞賛した。そして国王は、邪教の信者となってしまった娘を奪還すれば、褒美は好きなだけ渡すと告げる。サボタイとヴァレリアは敬遠するが、コナンは魔法使いに馬と剣を預け、教団の本拠地である魔の山へと向かう。だが、コナンはタルサに見つかり、捕まってしまう…。監督はジョン・ミリアス、原作はロバート・E・ハワード、脚本はジョン・ミリアス&オリヴァー・ストーン、製作はバズ・フェイトシャンズ&ラファエラ・デ・ラウレンティス、撮影はデューク・キャラハン、編集はC・ティモシー・オメーラ、美術はロン・コッブ、衣装はジョン・ブルームフィールド、音楽はベイジル・ポールドゥリス。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はゲリー・ロペス、サンダール・バーグマン、ジェームズ・アール・ジョーンズ、マックス・フォン・シドー、マコ、ベン・デヴィッドソン、カサンドラ・ギャヴィオラ、ヴァレリー・クイネッセン、ウィリアム・スミス、ルイス・バーブー、フランコ・コロンブ、レスリー・フォールドヴァリー、ゲイリー・ホルミー、アキオ・ミタムラ他。
ロバート・E・ハワードのファンタジー小説“英雄コナン”シリーズを基にしたヒロイック・ファンタジー映画。コナンをアーノルド・シュワルツェネッガー、サボタイをゲリー・ロペス、ヴァレリアをサンダール・バーグマン、タルサをジェームズ・アール・ジョーンズ、オズリック国王をマックス・フォン・シドー、魔法使いをマコが演じている。
「力こそ正義、信じられるのは鍛え上げた肉体」という、とても分かりやすいマッチョ至上主義の映画である。アメリカらしいと言えば、アメリカらしい作品かもしれない。
というよりも、いかにもジョン・ミリアスの作品らしいと言うべきだろうか。
ドラマもアクションも、ドッシリとズッシリとガッシリと、重厚感を意識して描かれる。
アクションシーンはパワー&テクニックではなく、パワー&パワーの世界。
100パーセント、重厚感で勝負する。
スピード感なんて、犬にでも食わせてしまえばいいのだ。マッチョな映画なので、深く意味や理由を考えてはいけない。
赤毛の商人がコナンを解放した理由なんて、誰にも分からない。
偶然にも落ちた場所で剣を手に入れるのは思いっきり御都合主義のような気もするが、あまり深く考えてはいけない。何しろ、頭の中にも、脳味噌ではなく筋肉が詰まっているので、難しいことは分からないのだ。魔法使いの存在意義があんまり無いような気もするが、そんなことも気にしてはいけない。さんざん偉そうに振る舞っていたタルサが、あっさり倒される貧弱野郎だということも、気にしてはいけない。
大事なのは、そんなことよりも筋肉なのだ。コナンは復讐のためにタルサを探していたはずが、なぜか宝石を盗んで贅沢にふける。筋肉バカだから、簡単に金に目が眩んでしまったんだろう。
そんなコナンは魔の山に向かうが、タルサへの復讐心を思い出したのか、オズリック国王の褒美につられたのか、それは分からない。
そんなことはバカだから分からないし、考えたくもない。製作サイドは、マッチョな映画にピッタリの男を主役に連れて来た。
それが、アーノルド・シュワルツェネッガーである。
製作サイドは、最初から彼に俳優としての演技力など求めてはいない。
求めていたのは、彼のマッチョな肉体だけだ。製作サイドは、ちゃんと分かっているので、シュワルツェネッガーに難しい芝居はさせようとしていないし、セリフも少なくしてある。
シュワルツェネッガーも期待に応えて、マッチョな肉体を誇示している。
そう、マッチョな肉体があれば、他に何も要らない。
第3回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低主演男優賞[アーノルド・シュワルツェネッガー]