『キャノンボール2』:1984、アメリカ&香港

キャノンボールとは、アメリカ大陸を横断する速さを競う非合法のレースである。中東のファラウェル王家の王子シークは、前年に開催されたキャノンボールに出場したが、優勝できなかった。スピードを支配力の源とするファラウェル王家の誇りに傷を付けたため、父王は激怒した。シークは「胃潰瘍のせいで負けた」と言い訳するが、父は「今年もアメリカへ行って今度は優勝しろ」と告げる。今年はレースが休みだと知ると、「それなら、お前が主催しろ」と命じた。
前回のキャノンボールに出場したJ.J.マクルーア、人間爆弾のスタント・ショーをやっていた。酔っ払いの操縦士によって落とされたJ.J.は、地上を跳ねて藁の山に突っ込み、何とか止まった。ヴィクターは「俺たちスターだぜ。これで大儲けできるぞ」と浮かれ、キャノンボールの招待状を破る。シークは優勝賞金100万ドルを用意し、レースの招待状を送付していたのだ。J.J.は危険すぎるスタントに怒り狂い、キャノンボールへの参加を決めた。
マフィアのドン・カネロニは子分のスリム、トニー、シーザー、ソニーを集め、一家の凋落を嘆いていた。期待していた息子のドンドンが出来損ないだったため、一家が落ちぶれてしまったのだ。ドンは4人衆に、「ラスヴェガスへ行って息子のネズを巻け」と命じた。4人衆はドンドンの元へ行き、「何でもいいからプラスになる仕事を言ってくれ」と告げた。ちょうどドンドンには、3万ドルの借金を取り立てる仕事があった。借金をしたのは、前回のレースに参加したモーリス・フェンダーバームだった。
三菱チームのアーノルドとジャッキーは、貨物機でアメリカにやって来た。管制塔から着陸指示が届くが、通関手続きをしているとレースに間に合わなくなる。そこで2人は飛行機から車を滑走路に降ろし、空港から逃走した。ラスヴェガスのホテルでは、フェンダーバームが相棒ジェイミー・ブレイクの部屋をノックする。しかしブレイクは女と楽しくやっていたため、無視を決め込んだ。フェンダーバームは窓からノックし、キャノンボールの招待状を見せた。優勝賞金が100万ドルだと知り、ブレイクも乗り気になった。
レース前日、参加者たちはホテルのバーで飲んでいた。シークは酔いどれ医者ニコラス・ヴァン・ヘルシングに連絡を付け、主治医として同行するよう求めた。ニコラスが報酬を要求すると、シークは札束を渡した。J.J.は美女コンビのジルとマーシーを口説き、一緒にバーから去った。カネロニ一家の4人衆が現れたため、ブレイクとフェンダーボームは逃亡を図るが、捕まった。フェンダーボームは拳銃で脅され、「借金を返す当てはある。レースに優勝すれば100万ドルが入る」と説明するが、4人衆は信用しない。
そこへシークが現れて4人衆の姿を眺め、「この金でもっとマシな服装にしろ」と札束を渡し、立ち去った。シークが主催者だというので、4人衆はフェンダーバームの話を信用した。一方、ドンドンが経営する売春宿「ピント・ランチ」に、マフィアの大物ハイミーが現れた。彼はドンドンに多額の金を貸しており、「明日までに金を返さないと殺す」と脅した。
レース当日、地方の舞台劇『サウンド・オブ・ミュージック』に尼僧役で出演している女優のヴェロニカとベティーは、その仕事に辟易していた。ダイナーに入った2人は、「ブロードウェイに行きたい」「玉の輿に乗りたい」と話した。隣の席では、J.J.とヴィクターが賞金の使い道を話していた。それを聞いた2人は、声を掛けた。2人は自分たちが尼僧だと嘘をつくが、J.J.に詳しいことを追及されると、ボロが出る前にレースの出発時間を聞いて去った。
ドンドンは4人衆に電話を掛け、「どうしても金が必要だから、そのシーク王子を身代金目的で誘拐しろ」と指示した。J.J.とヴィクターは、将軍と伍長の格好でレース会場に赴いた。するとヴェロニカとベティーが現れ、「ニューヨークで緊急の要件があるので送ってほしい、コレラ患者が逃げ出したので連れ戻さないと」と告げた。J.J.は「尼僧なんか乗せてレースは出来ない」と渋るが、ヴィクターが「神の加護があるかも知れない」と言い出したので、同乗させることを承諾した。
ブレイクとフェンダーボームは警官の格好で、レース会場に現れた。オランウータンが運転士を務めるリムジンも参加していたが、実際は後部座席のメルとテリーが運転を担当している。シークは主催者の特権として、最初にロールス・ロイスで出発した。車に乗り込もうとしたJ.J.は、ヴィクターがキャプテン・ケイオスに変身して現れたので、呆れ果てた。
トニーとシーザーは、車の前面に爪を付け、ロールス・ロイスのバンパーを掴んで停める作戦を考える。彼らはロールス・ロイスを発見し、追い掛けて爪でバンパーを挟んだ。しかしロールス・ロイスががスピードを上げると、爪を付けた前の部分だけが取れてしまった。次に彼らは、ヘリコプターの底に巨大磁石を付け、車を釣り上げる作戦に出た。しかし車の重さで、ヘリは全く浮上しない。車がトンネルに入り、ヘリは壊れてしまった。
三菱チームは白バイに迫られるが、アフターバーナーで一気にスピードを上げた。J.J.たちは制限速度を軽くオーバーし、パトカーに追跡される。先輩警官は新人にテクニックを自慢するが、調子に乗ったせいで事故を起こした。メルとテリーは、オランウータンが乱暴なので苦労させられた。美女コンビは車が壊れたので、若い男を色仕掛けで騙し、車を拝借した。
J.J.たちは保安官のカルに停められ、「放射能漏れがあって汚染物質を運んでいる最中だ」と説明した。カルの甥のホーマー二等兵が帰還し、挨拶に来た。彼は将軍の格好をしたJ.J.を見て驚いた。カルは汚染物質を運んでいるのが本当かどうか、無線で確認を取ろうとする。だが、尼僧姿のヴェロニカたちが「この国の安全は将軍に懸かっています」と言うので、すっかり信用した。
J.J.は「カルに、警官の紛争をしたテロリストたちが赤いコルベットで我々を追っている」と告げる。無線で保安官が連絡したため、ブレイクたちはテロリストとしてパトカーに追われるハメとなった。ホーマーはJ.J.たちの車に乗り込み、運転を担当した。市場で暴れている暴走族を見つけたジャッキーは車を降り、クンフーで叩きのめした。市場の娘から食事に誘われたジャッキーは喜ぶが、アーノルドに首根っこを掴まれて車に戻された。
ヴェロニカたちは尼僧の服装から着替えて、派手な格好になった。J.J.は尼僧がニセモノだと気付いたが、ヴェロニカとキスして、いい感じになった。スリムとソニーはワイヤーを道路に張り、ロールス・ロイスを停止させようとする。だが、ロールス・ロイスはワイヤーを固定した看板を壊して突っ切った。また車が停止した美女コンビは、通り掛かった修理屋の男に目を付ける。色仕掛けで男を誘惑した2人は、トラックに同乗させてもらってハンドルを握った。
三菱チームはパトカーから逃げるためアフターバーナーで飛ばすが、そのまま湖に突っ込む。保安官は乗っていた人間が死んだと思い込むが、その車は水陸両用だった。大物を狙ってボートから釣竿を垂らしていた老人たちは、釣り針が車に引っ掛かり、湖に転落した。ヴェロニカとベティーは、J.J.に「ホーマーにいつまで非常勤務をさせておくつもりなの?」と告げる。J.J.は「もう手助けは充分だ」と告げてホーマーを車から降ろし、ヴィクターの掛けていた勲章を与えた。
トニーとシーザーは、金髪美女にエッチな格好をさせてヒッチハイクさせるという作戦を取った。この単純な作戦は見事に成功し、シークは車を停めた。J.J.たちは、参加者数名が集まっているのに気付いて車を停めた。彼らは、カネロニ一家がシークと金を奪って逃げたことを知った。しかしフェンダーバームによると、彼らがいるピント・ランチの警備は厳重だという。
ブレイクは「いい手がある。キングに助けてもらおう」と口にした。キングというのは、フランク・シナトラのことだ。ブレイクとフェンダーバームはJ.J.とヴィクターを引き連れ、シナトラの元へ赴いた。事情を説明して助けを求めると、シナトラは「考えがある。ウチが使ってるダンサーたちをドンドンが欲しがってる」と告げた。ブレイクがエージェントになり、J.J.たちはダンサーに化けてピント・ランチに乗り込んだ…。

督はハル・ニーダム、キャラクター創作はブロック・イェーツ、脚本はハル・ニーダム&アルバート・S・ラディー&ハーヴェイ・ミラー、製作はアルバート・S・ラディー、製作総指揮はレイモンド・チョウ&アンドレ・モーガン、撮影はニック・マクリーン、編集はウィリアム・ゴーディーン&カール・クレス、美術はトー・E・アッツァーリ、音楽監修はスナッフ・ギャレット。
出演はバート・レイノルズ、ドム・デルイーズ、シャーリー・マクレーン、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.、ジェイミー・ファー、マリル・ヘナー、テリー・サヴァラス、フランク・シナトラ、ジャック・イーラム、リカルド・モンタルバン、ジャッキー・チェン、リチャード・キール、シド・シーザー、スーザン・アントン、キャサリン・バック、メル・ティリス、トニー・ダンザ、ヘンリー・シルヴァ、アレックス・ロッコ、エイブ・ヴィゴダ、マイケル・ガッツォ、チャールズ・ネルソン・ライリー、ジム・ナボーズ、ジョー・シーズマン、モリー・ピコン、フォスター・ブルックス、ルイス・ナイ、ティム・コンウェイ、ドン・ノッツ他。


香港のゴールデン・ハーヴェスト社が製作した1981年の映画『キャノンボール』の続編。
映画は3年後に製作されているが、劇中では前作の1年後という設定になっている。
J.J.役のバート・レイノルズ、ヴィクター役のドム・デルイーズ、ブレイク役のディーン・マーティン、フェンダーバーム役のサミー・デイヴィスJr.、シーク役のジェイミー・ファー、ニコラス役のジャック・イーラム、メル役のメル・ティリスは、前作に引き続いての出演。
ジャッキー・チェンも前作からの続投だが、同じ役柄という設定なのかは不明。ちなみにジャッキーは続編への出演に乗り気ではなかったが、アメリカでの配給会社であるワーナー・ブラザーズとの出演契約を結んでいたため、仕方なく出演したそうだ。

美女コンビとテリーは、キャラクターとしては前作にも登場していたが、演じる役者が違っている。
今回はジルをスーザン・アントン、マーシーをキャサリン・バック、テリーをトニー・ダンザが演じている。
他に、ヴェロニカをシャーリー・マクレーン、ベティーをマリル・ヘナー、ハイミーをテリー・サヴァラス、シークの父をリカルド・モンタルバン、アーノルドをリチャード・キール、釣り人の一人をシド・シーザー、スリムをヘンリー・シルヴァ、トニーをアレックス・ロッコ、シーザーをエイブ・ヴィゴダ、ソニーをマイケル・ガッツォ、ドンドンをチャールズ・ネルソン・ライリーが演じている。
前作の脚本家で、モチーフになったレースの主催者でもあるブロック・イェーツは、今回は全くのノータッチ。

続編映画ってのは大抵の場合、第1作よりも質が下がることが多い。
で、この映画だが、出演者に限れば、前作よりも向上しているのではないだろうか。
前作のヒロインだったファラ・フォーセットは続投していないが、その代わりにシャーリー・マクレーンが出演している。
セクシー度は一気に下がっているが、役者としては当然のことながらシャーリーの方が遥かに格上だ。

ロジャー・ムーアが「これ以上、セルフ・パロディーには付き合えない」ということで降板したので、ボンド映画の悪役ジョーズを演じたリチャード・キールを呼んできた。
ここは完全に前作の勝ちだが、それを取り返そうと、ラット・パックの親分であるフランク・シナトラが本人役で登場する。
さらにテリー・サヴァラス、リカルド・モンタルバン、シド・シーザーも顔を見せる。
あと、実はオランウータンもハリウッドの有名スターで、『ダーティファイター』ではクリント・イーストウッドの相棒だった。

ジルとマーシーの役は、前作のエイドリアン・バーボー&タラ・バックマンと、今回のスーザン・アントン&キャサリン・バックを比較すると、少なくとも負けているってことは無い。
今回の方が上じゃないかな。
さらにカネロニ一家の4人衆の内、ヘンリー・シルヴァを除く3人は、『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPART II』のマフィアたちだったりする。

前作のシークは、「車が道楽なので、姉に呆れられながらもキャノンボールに参加する」という設定だった。
だが、今回の冒頭シーンで、「父親から指令を受けて参加していた」という設定に変更されている。
その後、ジル&マーシーのランボルギーニ・カウンタックが登場し、パトカーとカーチェイスを繰り広げ、標識を勝手にいじる様子が描かれるオープニング・クレジットに入る。これは前作と同様。
ちなみにシリーズ第3作でも、同様のオープニングになっている。

そのオープニング・クレジットでは前作と同様、Ray Stevensの軽快なテーマ曲『Cannonball』が流れてくる。
警官は必死で追跡しているわけではなく、浮かれたノリでパトカーを走らせている。
ここが映画のピークと言ってもいい。いや、マジで。
「役者の質はともかく、肝心の中身は前作と比べてどうなんだ」と聞かれたら、そこは相変わらずグダグタで薄っぺらい。

今回もスタート地点でタイムカードを押すが、まるで意味は無い。
「スタートが時間差なので、所要時間の短さで優勝を決める」というルールなど、全く意味を成していない。
参加者の中で一番のキワモノは、オランウータンの運転士を起用した車だと思う。
だが、オランウータンが運転しているように見せ掛けることによって、何の優位性があるのかはサッパリ分からない。

前作では、終盤の格闘アクションが強引に取って付けたモノだったが、今回は「レース開始時点からシークが狙われており、彼を救出に向かったJ.J.たちがピンチになったので参加者たちが加勢する」という風に、ちゃんと流れを作っている。
ただし、その一方で、市場でジャッキーが暴走族と戦うシーンが取って付けたものになっている。
でも皮肉なことに、ジャッキーのアメリカ進出失敗作である『バトルクリーク・ブロー』より、格闘シーンの見せ方は上手いんだよな。
スタントマンとの殺陣もスムーズだし。

「終盤の格闘アクションのために、ちゃんと流れを作っている」と前述したが、しかしシナトラに助けを求めるというのは、かなり強引な展開だ。
その時点で上手い作戦があるわけではないからね。
シナトラが「ウチが使ってるダンサーたちをドンドンが欲しがってる」と言い出し、それに化けて牧場へ乗り込むという展開だからね。
で、そこのダンスがイカしていれば見せ場になるんだけど、動きは揃っていないし、キレもへったくれも無くてグダグダだからね。

レースが再開してからの様子は、現在地とコースを示す地図をアニメで挿入して省略している。
だが、それを「手抜きだ」とか、「尺を計算することが出来ていない」とか、そんな風に批判しようとは思わない。
どうせマトモにレースの様子を描いたところで、迫力も疾走感も無いことは確実なので、そんな処理であっても一向に構わない。
っていうか、どうでもいいわ。

(観賞日:2010年6月12日)


第5回ゴールデン・ラズベリー賞(1984年)

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ハル・ニーダム]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[バート・レイノルズ]
<*『キャノンボール2』『シティヒート』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低主演女優賞[シャーリー・マクレーン]
ノミネート:最低助演男優賞[サミー・デイヴィスJr.]
ノミネート:最低助演女優賞[スーザン・アントン]
ノミネート:最低助演女優賞[マリル・ヘナー]

 

*ポンコツ映画愛護協会