『グリフィン家のウエディングノート』:2013、アメリカ

エリーは彫刻家のドン・グリフィンと20年の結婚期間を経て離婚したが、今も良好な関係を保っている。10年ぶりにグリフィン家へ戻った彼女は、鍵が開いていたので中に入った。懐かしい写真を眺めているとドンが恋人のビービーと共にやって来たので、エリーを身を隠した。2人がセックスを始めようとしたのでエリーは密かに外へ逃げ出そうとするが、気付かれてしまった。エリーとビービーは、互いに少し気まずそうな表情を浮かべながら挨拶を交わした。
ドンはエリーを昔の仕事部屋に案内した。「子供たちは?」と問われ、ドンは「ジャレドは仕事、アルは結婚講座だ」と答えた。2人の末子でコロンビアからの養子であるアレハンドロは、恋人であるメリッサとの結婚を控えてカトリックの教会へ赴いていた。2人は中学からの知り合いで、交際して1年になる。神父のビル・モナハンはアレハンドロに、避妊しているかどうかを尋ねた。アレハンドロは避妊していると告げるが、それは嘘だった。
モナハンから「養父母のドンとエリーはカトリックじゃないな」と問われたアレハンドロは、「母はユダヤ教か仏教、父は宗教嫌いです」と答えた。メリッサは取り繕うように、慌てて「実母はカトリックで、コロンビアで司教のお世話を。結婚式にも来てくれる予定です」と付け加えた。モナハンは満足そうな表情を浮かべるが、メリッサの言葉を聞いたアレハンドロはハッとして「マズい」と漏らした。
グリフィン家の長女で弁護士のライラは、産婦人科医である兄のジャレドが勤務する病院へ赴いた。待合室で何人もの赤ん坊を見た彼女は気分が悪くなり、失神してしまった。病室のベッドで目を覚ましたライラは、看護婦のジェーンから30歳になるジャレドが童貞だという噂について確認される。ライラが「その通りよ」と認めると、ジャレドに好意を抱くジェーンはニンマリした。ジャレドはライラから彼女と付き合うよう勧められるが、イケイケな女性との交際に消極的な態度を示した。夫であるアンドリューのことを彼に訊かれたライラは、「私たちは、すれ違い夫婦の見本よ」と述べた。
エリーとビービーは、メリッサの母であるマフィンが整形したこと、披露宴に文句ばかり付けていることを話題に会話を交わした。エリーが「ドンとは結婚したの?」と問われたビービーは、「まだよ。指輪は要らないの。今のところは」と答える。「ねだれば?」とエリーが言うと、彼女は「彼はそこまで踏ん切りが付かないの」と告げた。夜、グリフィン家でパーティーが開かれ、ライラはジャレドと共に出席した。メリッサはライラに、「両親がアルの肌の色を気にしてるの。褐色の子が産まれるんじゃないかって」と話した。
両家が揃って会食を始めると、マフィンと夫のバリーは平気でアレハンドロに対する差別的な言葉を口にした。ライラやエリーたちが「オーガズム」や「オナニー」といった言葉を口にして下品な会話を始めたので、オコナー夫妻は困惑した。ライラに童貞を茶化されたジャレドは、「アンドリューは?」と問い掛けた。「家出よ」とライラが答えると、ドンは「浮気だったらタマを引っこ抜く」と言う。するとライラは父への反発心を露わに「浮気男が良く言うわ」と告げた。
ライラは「検査と注射と屈辱の4年間だった。いつも喧嘩ばかりで彼が音を上げたから解放してあげたのよ」と、不妊治療に苦しんだことを語った。ライラがプールサイドへカクテルを飲みに行くと、ドンはエリーが止めるのも聞かずに後を追った。エリーは「父親と娘でも、すれ違いに解決の道は無いわ。昔から浮気性ね。パパとママが築いた家でビービーが眠るなんて。売るか、焼き払うべきよ」と告げた。ドンは「家族に迷惑を掛けて済まない」と口にした。
アレハンドロはエリーに、「子供をカトリックにしないと挙式を断ると神父が言ってる」と相談した。エリーが「信じてるフリをして、ハレルヤと言っておけばいいのよ」と軽く告げると、アレハンドロは「メリッサもそう言うけど、大事なことだろ」と言う。するとエリーは、「大事なのは結婚よ。1つ妥協すれば全て上手く行くわ」と述べた。アレハンドロは彼女に、大事な頼みがあるんだ」と告げた。その頼みを説明されたエリーは、慌てた様子でドンの元へ走った。
アレハンドロの頼みというのは、母のマドンナが式に出席するためアメリカへ来ている間、ドンとエリーに夫婦のフリをしてほしいというものだった。マドンナは敬虔なクリスチャンであり、離婚は重罪だと考えている。そしてアレハンドロは、ドンとエリーが異教徒であることも、離婚したことも彼女に伝えていなかったのだ。翌日、グリフィン家の面々は、改めてアレハンドロから事情説明を受けた。ドンとエリーは、夫婦の芝居をすることを承諾した。
ビービーが「2人が夫婦を装うとして、私の立場は?」と質問した。ドンが冗談めかして「2号か?」と言うと、ビービーは不機嫌な態度で自分の部屋へ向かう。彼女は荷物をまとめ、式が終わるまで家を出ることを告げた。彼女はアレハンドロに、「私がいたら、ぶち壊しになるわ。私からの結婚祝いだと思って」と述べた。ドンが引き留めても、ビービーの考えは変わらなかった。「俺が何をした?」とドンが苛立つと、ビービーは「貴方の奥さんに訊けば?説明してくれるわ」と冷たく告げて車で去った。
エリーは悪態をつくドンを非難し、顔面にパンチを食らわせた。そこへマドンナがタクシーで到着したので、ドンとエリー仲良し夫婦を装った。アレハンドロの妹であるヌリアも同行しており、ドンたちは2人を家に招き入れた。アレハンドロはライラとジャレドに、母と妹を紹介した。ビービーの写真に気付いたドンたちは、慌ててマドンナたちから隠した。ドンは2人をアトリエに案内するが、女性の裸像があったので取り繕った。マドンナはドンについて、「快楽主義と芸術魂が同居している男性」と評した。
ジャレドはヌリアに興味を抱き、湖の桟橋で佇む彼女に話し掛けた。ヌリアが「泳いでもいい?」と言うので、ジャレドは「待ってて、妹の水着を取って来る」と告げる。しかしヌリアは全裸になり、「一緒に泳がない?」と彼を誘って湖に飛び込んだ。ヌリアに「数日の滞在だから、なるべくアメリカを見ておきたい。あちこち案内してくれる?」と言われ、ジャレドはドギマギしながら「いいよ」と答えた。「私とセックスしたい?」という問い掛けに、ジャレドは激しく狼狽した。
ドンはマドンナからモナハン神父に会いたいと頼まれ、教会へ連れて行く。エリー、メリッサ、アレハンドロも同行した。かつてモナハンアルコール依存症を患い、3度もリハビリ施設に入っていた。マドンナがモナハンに「全員が懺悔します」と告げたので、ドンたちは仕方なく順番に懺悔室へ入った。夜、オコナー家と会食するため、グリフィン家の面々はマドンナとヌリアを連れてレストランへ出向いた。すると雨が降りそうな天気にも関わらず、バリーとマフィンはテラス席を取っていた。
ドンはマフィンから「ビービーは?」と訊かれ、「おばさんの葬儀なんだ」と嘘をついた。「死んだのは昔よ」とマフィンに指摘されると、「死人は死人だ」とドンは告げた。「給仕長のイヴェット」と称してビービーが現れたので、ドンたちは驚いた。マドンナが「なぜオコナー家で結婚式を挙げないのか」という疑問を示すと、バリーは「色々と取り込んでいて」と言う。メリッサが「差し押さえよ」と事情を明かし、「株式詐欺の捜査中で、窮乏を装うためよ」と説明した。マフィンが「お金はあるの。海外口座に一時的に移したのよ」と言うと、バリーは「バラすな」と声を荒らげた。
ヌリアはエリーに「素敵な家ね」と話し掛けながら、テーブルの下でジャレドの股座を撫で回した。エリーが「手作りの家よ」と言うと、アレハンドロは「そのことを話して」と促した。ドンとエリーがプロポーズのエピソードを笑顔で話すと、ライラが嬉しそうに加わった。その様子を見つめるビービーに気付いたエリーは、立ち去る彼女を追うように席を外した。ヌリアがジャレドのペニスを手でしごいていることに気付いたエリーは、慌てて彼女を化粧室へ連れ出した。
テラスに残った面々は乾杯して食事を始めようとするが、大雨が降り出したので屋内に避難した。エリーはヌリアに、「男はカボチャだと思うのよ」と助言した。家へ帰る車中、アンドリューから連絡が無いことを気にするライラにエリーは「貴方が彼を捨てたのよ」と言う。「引き留めもしない」とライラが告げると、エリーは「恋しいのね?」と問い掛ける。ライラが「少しね」と言うと、エリーは「それなら電話してみれば?」と持ち掛ける。だが、ライラは「出来ない」と拒んだ。
家に到着したジャレドは、ヌリアに「僕の部屋で音楽でも聴かないか」と持ち掛けた。するとヌリアは「それより詩の朗読を」と言い、困惑するジャレドに「お母様から教えてもらったの。敬意を示してもらえって」と述べた。アレハンドロはメリッサから、ビービーのことで責められた。「不器用だから神父に嘘もつけないのよ」と言われたアレハンドロは、彼女に謝罪した。モナハンに「子供たちを信者にする」と一時凌ぎの嘘をついたことを彼が明かすと、メリッサの機嫌は良くなった。
エリーがアリハンドロの幼少時に撮影したビデオを見ていると、ドンが口説いてきた。エリーが部屋を去ると、ジャレドが「ヌリアが大声でソネットを朗読してた。せっかくチャンスが来たのに、母親に邪魔されるなんて」と文句を言う。エリーが「ベッドインの前に男の誠意を確認しろと言ったのよ」と告げると、ジャレドは「ハードルが高すぎる」と述べ、ヌリアから「1年間毎日、コロンビアに花を贈る」という条件を突き付けられたことを明かした。
マドンナが凝視しているのに気付いたエリーは、ドンの寝室へ戻った、ドンに口説かれた彼女は、マドンナが目を覚ますほど激しい喘ぎ声を上げてセックスした。翌朝、ライラはドンがエリーとセックスしたと知り、最低で下劣だと非難した。ライラは妊娠していることを告白し、「アンドリューは知らないのか」という質問に「私には産む資格が無い気がして」と告げた。ヌリアはジャレドに、「貴方とは寝ないことにした。運命の人を待ち続けているんでしょ。それを奪ったら自分を許せないわ」と述べた…。

監督はジャスティン・ザッカム、脚本はジャスティン・ザッカム、 オリジナル版監督はジャン=ステファン・ブロン、オリジナル版脚本はジャン=ステファン・ブロン&カリーヌ・スダン、製作はクレイ・ペコリン&ハリー・J・アフランド&ジャスティン・ザッカム&リチャード・サルヴァトーレ&アンソニー・カタガス、共同製作はマット・オトゥール&バーバラ・フィオレンティーノ、製作総指揮はティエリー・シュピーヘル&フィリップ・マルタン&アヴィ・ラーナー&ダニー・ディムボート&トレヴァー・ショート&ボアズ・デヴィッドソン&ジョン・トンプソン&ロニー・ラマティー、製作協力はクリス・ロバート、撮影はジョナサン・ブラウン、編集はジョン・コーン、美術はアンドリュー・ジャックネス、衣装はオード・ブロンソン=ハワード、音楽はネイサン・バー。
出演はロバート・デ・ニーロ、キャサリン・ハイグル、ダイアン・キートン、ロビン・ウィリアムズ、スーザン・サランドン、アマンダ・セイフライド、トファー・グレイス、ベン・バーンズ、クリスティーン・エバーソール、デヴィッド・ラッシュ、パトリシア・ラエ、アナ・アヨラ、カイル・ボーンハイマー、メーガン・ケッチ、クリスタ・キャンベル、イアン・ブラックマン、シャナ・ダウズウェル、ダグ・トーレス、マーヴィナ・ヴィニク、ジョシュア・ネルソン、クインシー・ダン=ベイカー、シルヴィア・カウダース、エドムンド・リンデック他。


2006年のフランス映画『Mon frere se marie』をハリウッドでリメイクした作品。
『最高の人生の見つけ方』の脚本家であるジャスティン・ザッカムが、2001年の『Going Greek』に続く2本目の長編監督を務めている。
ドンをロバート・デ・ニーロ、ライラをキャサリン・ハイグル、エリーをダイアン・キートン、モナハンをロビン・ウィリアムズ、ビ―ビ―をスーザン・サランドン、メリッサをアマンダ・セイフライド、ジャレドをトファー・グレイス、アレハンドロをベン・バーンズが演じている。

冒頭、ドンのナレーションで「20年暮らして目が覚めた。離婚したけど今も愛し合っている」ということが語られる。
しかし、愛し合っているのなら、離婚する理由が無いってことになってしまう。
ドンが勝手に思い込んでいるだけなのかと思ったら、むしろエリーの方が彼に今でも惚れているんだよな。ってことはドンの浮気性が原因で別れたのかと思ったりもしたけど、ライラは「昔から浮気性」と言うものの、ビービーとは10年も付き合っているんだから、それは整合性が取れないでしょ。
で、まあ「ドンがビービーに惚れたから離婚した」ってことなんだろうけど、そうなるとドンの「今でもエリーを愛している」というコメントが今度は整合性を失ってしまう。

かなり下ネタが多く盛り込まれていて、そういう方向で笑いを取ろうとしていることは良く分かる。ただし、あまり艶笑劇としては上手く行っているという印象を受けない。
特に気になるのは、ドンが下ネタに関与するシーン。
ドンは登場したシーンから下ネタを口にしており、その勢いでビービーとセックスを始めようとするんだけど、その時点で引っ掛かってしまう。なんかロバート・デ・ニーロが無理して下ネタを使っている感じがして、ちょっと痛々しいんだよなあ。
あと、そのシーンに関しては、エリーがドンとビービーを見て隠れようとするのは、ちょっと良く分からない行動だ。彼女が来ることは事前に連絡してあるわけで、普通に挨拶すればいい。ドンとビービーが来た段階では、まだセックスなんて始めてないんだし。

アレハンドロが式の直前になるまで「母に養父母の離婚を伝えていない」と気付かないのは、かなり無理のある設定だ。
「母が来るとは思っていなかった」とアレハンドロは言うけど、彼が誘わなければマドンナがコロンビアから来ることなんて有り得ない。つまり、「式に招待したけど来るとは思っていなかった」ってことだろう。
で、もう結婚式に誘った時点で、養父母の離婚を伝えていないこと、養父母が異教徒だと伝えていないことに、どう考えても気付くはずでしょ。それに気付かないとしたら、ものすげえボンクラってことになる。
でも、そこまでマヌケなキャラ造形になっていないから、やはり無理筋だと感じる。

ドンとエリーにはジャレドとライラという2人の子供がいたわけだから、「実子が出来ない状況だったのでアレハンドロを養子に貰った」ということではない。
後になって、「子供たちが巣立って夫婦共通の目的が無くなり、だから養子を貰った」と説明されているが、やや無理を感じる理由だなあ。
あと、「子供たちが巣立った」と言うけど、キャサリン・ハイグルとベン・バーンズって3歳しか違わないのよ。
ってことはライラが巣立った頃にアレハンドロを養子として貰っていたら、かなりの年齢ってことになるぞ。18歳や20歳ぐらいの養子を貰ったってことなのか。どうにも良く分からん。

ジャレドはヌリアについて「外国に出るのは初めてで内気な性格」とエリーに説明している。
しかし実際のヌリアは、これっぽっちも内気なトコなんて無い。むしろ情熱的で行動的だ。だから「ジャレドは内気だと思っていたけど、それは誤解」ってことなんだろう。
ただ、「ジャレドが自分の間違いを知って驚いたり困惑したりする」という展開が無いので、「内気」と言わせておいたのが観客へのネタ振りだけになっていて、それは格好が良くない。
あと、タクシーで到着した時点では、ヌリアは内気っぽく見えるんだよね。でも、母親の前では内気を装っているのかと思ったら、そうじゃないわけで。
だったら、そこで彼女が内気っぽく振る舞う意味は何も無い。観客を欺くためだけに彼女を内気っぽく見せるのは、これまた恰好が良くないぞ。

ビービーはレストランの給仕長として登場した際、エリーに「ドンを困らせるために」と言っている。
でも彼女が登場して困るのはドンだけじゃなくて、アレハンドロだって同様でしょ。彼にとっても、もしバリーやマフィンが不用意な発言をして真相が露呈してしまったらマズいわけで。
つまりビービーの行為は、アレハンドロを困らせることにも繋がっているのよ。
「結婚祝いと思って」と告げて家を出て行ったビービーが、アレハンドロも困らせるようなことをするのは、どうにも違和感があるなあ。すんげえバカなのか。

ドンから「2号」と言われたビービーが腹を立てて立ち去っても、エリーはビービーを追い掛けてフォローするでもなく、ドンを非難するでもなく、そのまま家族との会話を続けている。
ところがビービーが車で家を去った後、エリーは「愛する女を傷付けた。貴方こそ独身でいれば」とドンを責めてパンチを浴びせる。
そこで非難するのなら、なぜドンが「2号」とビービーに言った時点で責めなかったのか。
彼女の動かし方に疑問を感じる。

グリフィン家の面々が腫れ物でも扱うかのように、マドンナに対して異常なほど気を遣う理由がちょっと良く分からない。
マドンナからアレハンドロを養子を貰ったってのは、そんなに弱みを握られているかのような態度を取らなきゃいけないようなことなのかと。
さっさと明かしても、別に構わないんじゃないかと思ってしまう。
「アレハンドロのためにグリフィン家の面々が芝居をする」というトコからドタバタ劇を繰り広げたいのは分かるんだけど、その入り口の段階で無理を感じてしまう。

「アレハンドロがマドンナに養父母の離婚を明かしていない」という問題だけでなく、グリフィン家の面々はそれぞれに問題を抱えている。
ダンは不用意な発言でビービーを怒らせ、エリーはダンへの恋心が残っている。
ジャレドは童貞をこじらせており、ライラは夫婦関係&父娘関係が上手く行っていない。
しかし、そういった各自の問題が、結婚式に向けた物語の中で巧みに絡み合ったり、厚みを持ったドラマに昇華されたり、有効に機能したりしているとは言い難い。

ドンとビービーの関係については、単なる軽い口喧嘩という程度にしか感じない。
ドンがデリカシーの無い人間ってのは今に始まったことじゃないんだから、そういう性格はビービーも分かっているはずだ。それを分かった上で付き合っているから、10年も続いているんでしょ。
それを考えると、大した問題ではないと感じる。
エリーのドンに対する感情は、仮に本当の未練だったとしても、それでビービーと彼の関係を壊そうとすることは絶対に無いってのが透けて見えるので、大した問題じゃない。

ライラの夫婦関係に関しては、アンドリューが終盤まで登場しないこともあって、その悩みが今一つ伝わりにくい。
親子関係に関しては、なんだかんだ言っても普通にドンと喋っているし、簡単に修復できそうな匂いが漂っている。そして実際、簡単に修復されちゃうし。
ジャレドに関しては、30歳まで童貞が続いている理由はモテないからでもなければ、女性恐怖症だからでもない。選り好みしているだけだ。
むしろ彼はモテモテで、その気になれば簡単に童貞を捨てることが出来る状況にある。そして彼はヌリアに興味を抱き、ヌリアの方も彼を誘惑する。
つまり、もうヌリアと親しくなった段階で、彼の問題は解決してしまうのだ。

ジャレドの問題については、エリーがヌリアに「敬意を払ってもらいなさい」と助言してセックスを邪魔しているから、そう簡単に運ぶわけではない。しかし、その辺りは、すんなりと話を運ばせないためにキャラを強引に動かしているとしか思えない。
結婚式直前になってドンが禁酒を破って悪酔いし、エリーと寝たことをビービーに暴露するのも同様。そんなに悪酔いするきっかけなんて何も無かったんだし。
そこから「ビービーがエリーとバリーの浮気を暴露する」「マフィンがレズビアンでエリーに興味を持っていると明かす」といった展開になるのも同様で、段取りの処理がことごとくギクシャクしている。
ドタバタ劇って「ドタバタ」という表現はするけど、実際はテンポ良くスムーズに運ばないと面白味が出ないものなのよ。

オリジナル版を観賞していないから、どの程度の踏襲なのか、どれぐらい改変しているのかは分からない。
だけど、とにかく無理が多すぎるという印象だ。
それと、こんなことを言っちゃうと身も蓋も無いかもしれないけど、幾ら会社がデカくなったとは言え、やはりミレニアム・フィルムズが手を出すべき素材じゃなかったような気がしないでもないぞ。
それは吉本興業が夕刊紙や漫画雑誌に手を出すようなモンで、やっぱり畑違いじゃないかと思ってしまうんだよな。

(観賞日:2015年6月15日)


第34回ゴールデン・ラズベリー賞(2013年)

ノミネート:最低助演女優賞[キャサリン・ハイグル]

 

*ポンコツ映画愛護協会