『氷の微笑』:1992、アメリカ
かつての人気ロック歌手ジョニー・ボズが、ベッドの上でアイスピックによって殺害された。捜査を開始したサンフランシスコ警察のニック・カラン刑事は、相棒のガスと共にジョニーの恋人キャサリン・トラメルに会いに行く。
キャサリンは心理学者にして小説家でもあり、引退したロック歌手をアイスピックで殺すという作品を発表したばかりだった。そして彼女は、今度は以前に観光客を誤射したニックをモデルにした作品を書くつもりだと告げる。
ニックはキャサリンを容疑者としてマークするが、彼女と肉体関係を持ってしまう。ニックは自分の別れた恋人で心理カウンセラーのベスが、学生時代にキャサリンと関係があったことを知る。ニックはベスに疑惑の目を向けるのだが…。監督はポール・ヴァーホーヴェン、脚本はジョー・エスターハス、製作はアラン・マーシャル、製作総指揮はマリオ・カサール、撮影はヤン・デ・ボン、編集はフランク・J・ユリオステ、美術はテレンス・マーシュ、衣装はエレン・ミロジニック、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
出演はマイケル・ダグラス、シャロン・ストーン、ジョージ・ズンザ、ジーン・トリプルホーン、デニス・アーンド、レイラニ・サレル、ブルース・A・ヤング、チェルシー・ロス、ドロシー・マローン、ウェイン・ナイト、ダニエル・フォン・バーゲン、スティーヴン・トボロウスキー他。
監督はポール・ヴァーホーヴェン、脚本はジョー・エスターハス、製作総指揮はマリオ・カサール。逆ゴールデン・トリオが作り出した、エロティック・ムーヴィー。
この作品によって、シャロン・ストーンはトップ女優への仲間入りを果たした。公開された当時、「犯人が分からない」という声がかなり多かったようだ。素直に考えれば簡単明瞭なのだが、無理に難しく考えようとして分からなくなるのかもしれない。
乳のデカさで混乱する人もいるようだが、あれはたぶん監督の計算ミスだろう。というか、そもそも犯人が誰なのかなんて、この作品にとってはどうでもいいことだ。
緻密に張り巡らされた伏線が犯人へ結び付いていく、といった作品ではない。
だから、真面目に謎解きをしようとする必要は全く無いのだ。ミステリーやサスペンスの雰囲気はあるが、それらは見せ掛けでしかない。
意味ありげな個所もあるだろうが、本格ミステリーでは無いので深く考えなくていい。
緊張感はゼロに等しいが、サスペンスではないので当然なのである。断言する。
この作品が描きたいのは、エロエロとドロドロなのだ。
この映画、ノーパンで足を組み替えるシーンが最大のセールスポイントだ。
つまり、そういう作品なのである。
エロければOK。
エロとエロとエロさえあればOKなのである。魔性の女が、強烈なセクシービームをこれでもかと撒き散らす。
そして、バカなスケベ男が翻弄される。
それさえ分かっていれば、それでいいのだ。
バカバカしいまでのエロティック全面押し出し攻撃を、存分に楽しむべし。
もしくは笑うべし。なお、余談ではあるが(そして完全ネタバレだが)、シャロン・ストーンが1998年に行われたインタヴューにおいて、犯人がキャサリンだということを明かしている。
また、ラストシーンでキャサリンがニックとベッドを共にするが、あの後でニックはキャサリンに殺されることになるとも語っている。
第13回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低助演男優賞[マイケル・ダグラス]
<*『氷の微笑』『嵐の中で輝いて』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低助演女優賞[ジーン・トリプルホーン]
ノミネート:最低新人賞[シャロン・ストーンの“セオドア・クリーヴァーへの敬意” ]
(管理人注:どうやら彼女の陰毛のことを示しているらしい)