『暗殺者』:1995、アメリカ
超一流の殺し屋ロバート・ラスはインターネットでしか連絡を取れない雇い主“ザ・コントラクター”の依頼で大富豪アラン・ブランチの命を狙っていた。しかし、ロバートがチャンスを狙っている内に、ミゲル・ベインという男がブランチを射殺してしまう。
激しい銃撃戦の末に、ミゲルは警察に逮捕される。だが、ミゲルは連行される途中で脱走してしまう。ミゲルはロバートと同じく、プロの殺し屋だった。ミゲルを追い掛けたロバートは彼との銃撃戦を展開するが、警察の到着で勝負はお預けとなる。
次にハワードがザ・コントラクターから依頼されたのは、オランダ人のバイヤーとコンピュータのハッカーを消す仕事だ。だが、その現場にもミゲルが現れ、ロバートに先んじてバイヤーを殺害する。ハワードはハッカーのエレクトラを救出し、現場から逃亡する。しかし、ザ・コントラクターがハワードとエレクトラの暗殺をミゲルに依頼する…。監督はリチャード・ドナー、原案はアンディ・ウォシャウスキー&ラリー・ウォシャウスキー、脚本はアンディ・ウォシャウスキー&ラリー・ウォシャウスキー&ブライアン・ヘルゲランド、製作はリチャード・ドナー&ジョエル・シルヴァー&ブルース・A・エヴァンス&レイノルド・ギデオン&アントリュー・ラザー&ジム・ヴァン・ウィック、製作総指揮はディノ・デ・ラウレンティス&ローレン・シュラー・ドナー、撮影はヴィルモス・ジグモンド、編集はローレンス・ジョーダン&リチャード・マークス、美術はトーマス・E・サンダース、衣装はエリザベス・マクブライド、音楽はマーク・マンシーナ。
出演はシルヴェスター・スタローン、アントニオ・バンデラス、ジュリアン・ムーア、アナトリー・ダヴィドフ、ミューズ・ワトソン、スティーヴ・カーン、ケリー・ローワン、リード・ダイアモンド、カイ・ウルフ、ケリー・スカルスキー、ジェームズ・ダグラス・ハスキンズ、スティーヴン・リスカ、ジョン・ハームズ、エドワード・J・ローゼン、クリスティーナ・オーキッド、ブルース・R・オーキッド他。
既にビッグネームだったシルヴェスター・スタローンと、当時は売り出し中だったアントニオ・バンデラス、2人のアクション俳優が共演した作品。脚本を書いたアンディ&ラリーのウォシャウスキー兄弟は、これが映画界へのデヴュー作品である。
『リーサル・ウェポン』のリチャード・ドナーが監督を務め、『ダイ・ハード』のジョエル・シルバーが製作に携わっている。そのように書くと、文句無しに面白いアクション大作が生まれるはずだと思うかもしれないが、世の中はそんなに甘くないのだ。
スタローンは相変わらずスタローン臭(それはどういう匂いだ)をプンプンと漂わせ、バンデラスも負けじと濃い目の男性フェロモンを放出する。となれば、絶対に「熱く燃える男のドラマ」になるはずだと思うかもしれないが、世の中はそんなに甘くないのだ。
簡単に言ってしまえば、「2人の暗殺者が戦う話」である。
いや、難しく表現しようとしても、やっぱり「2人の暗殺者が戦う話」だ。
ストーリーには捻りが無くて、だったらシンプルにアクションだけを見せるのかと思いきや、妙に分かりにくかったりする。隠しているはずの黒幕はバレバレだし、ヒロインのはずのエレクトラは邪魔なだけ。スタローンが演じるロバートは、まるでヒーローみたいに描かれている。つまり、「ヒーロー対ヒール」という図式を描いているのだが、そこは無理があるだろう。それによって、闇の世界に生きるワル同士の対決という面白味が薄れてしまった。
物語としては大して面白くないので、おそらく今作品は、シルヴェスター・スタローンとアントニオ・バンデラスという2人の役者だけを見せようとしているんだろう。2人の男の魅力だけで、クドいくらいの男臭さだけで、最後まで引っ張って行こうとしているんだろう。
実際に観客が最後まで付いて来てくれるかどうかは、ともかくとして。
第16回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低主演男優賞[シルヴェスター・スタローン]
<*『暗殺者』『ジャッジ・ドレッド』の2作でのノミネート>
第18回スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最悪の男優】部門[シルヴェスター・スタローン]
<*『暗殺者』『ジャッジ・ドレッド』の2作での受賞>