『アルマゲドン』:1998、アメリカ

スペースシャトル“アトランティス号”が謎の事故で爆発し、無数の小隕石群がアメリカ東海岸に降り注いだ。さらにNASAの総指揮官ダン・トルーマンは、テキサス州ほどの大きさの小惑星が時速3万5000キロで接近しているという報告を受ける。
地球滅亡を回避するため、小惑星の地中深くに核爆弾を埋め込み、爆破によって軌道を反らせるという計画が立てられた。そこで、30年のキャリアの中で一度もミスを犯したことない掘削のプロ、ハリー・S・スタンパーが呼び出された。
ハリーは決意を固め、信頼できる仲間を招集した。その中には、ハリーの娘グレースの恋人A・Jも含まれていた。彼らは宇宙飛行訓練を受け、スペースシャトル“フリーダム号”と“インディペンデンス号”に乗り込んで小惑星へと向かう。
だが、A・Jの乗り込んだインディペンデンス号が降り注ぐ隕石に機体を破壊され、墜落してしまう。仲間を失ったハリー達だが、掘削作業を開始する。しかし、岩盤が固くて作業は一向に進まない。さらに、宇宙掘削機が壊れるという事態が発生する…。

監督はマイケル・ベイ、原案はロバート・ロイ・プール&ジョナサン・ヘンズリー、翻案はトニー・ギルロイ&シェーン・セラーノ、脚本はジョナサン・ヘンスレー&J・J・エイブラムズ、製作はジェリー・ブラッカイマー&ゲイル・アン・ハード&マイケル・ベイ、製作総指揮はジョナサン・ヘンズリー&ジム・ヴァン・ウィック&チャド・オーマン、撮影はジョン・シュワルツマン、編集はマーク・ゴールドブラット&クリス・レベンゾン&グレン・スキャントルバリー、美術はマイケル・ホワイト、衣装はマイケル・カプラン&マガーリ・ギダッシ、視覚効果監修はパット・マックラング&リチャード・フーヴァー、音楽はトレヴァー・ラビン、音楽監修はキャシー・ネルソン&ボブ・バダミ。
主演はブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、リヴ・タイラー、ベン・アフレック、ウィル・パットン、ピーター・ストーメア、キース・デヴィッド、オーウェン・ウィルソン、ウィリアム・フィシュナー、スティーヴ・ブシェーミ、ジェシカ・スティーン、ジェイソン・アイザックス、ケン・キャンベル、グレイソン・マッコーチ、クラーク・ブローリー、マーシャル・ティーグ、クリス・エリス他。


ナンダカンダとキレイごとを言ったところで、映画というのは所詮は商売なのである。
金儲けのことを考えれば、どれだけ評論家に酷評されたとしても、大勢の観客を動員するような作品を作ることが大切だ。
この世は「売れたら勝ち」なのである。

息もつかせぬほどのテンポで、グイグイと引っ張っていく。
大事なことは、「その瞬間をいかに乗り切るか」ということであり、観賞後に何が残るかではない。
むしろ、何も残さない方が良いのだ。
ジェットコースターに乗った後で、余韻を楽しむ人が多くないのと同じように。

作戦は完璧だ。
公開前から宣伝に金を費やして、エアロスミスのテーマ曲をガンガンと流しておいた。
そのことによって、人々には「テーマ曲が流れると感動する」という効果が擦り込まれる。
こうしておけば、ドラマの内容に関係無く、テーマ曲が流れたら反射的に観客は感動してくれるはずだ。

家族の関係、親子の愛情劇、恋人達の恋愛劇、勇気ある男の行動など、様々な人間ドラマを詰め込んでいる。
しかし、決して饒舌に語ろうとはしない。
そもそも人間ドラマを味わう余裕など観客に与えないのだから、人間ドラマは触りだけ描けばいいのだ。

ハリーがショットガンを持ってA・Jを追い回すシーンや掘削人が酒場でケンカするシーンなどは、無駄に思えるかもしれない。
しかし、そういう無駄に思えるシーンも必要だ。
なぜなら、これは大作映画なのであり、だから2時間以内で収めるようなことは避けるべきだからだ。
そのため、そういったシーンで時間を稼ぐことも必要なのだ。

展開が取って付けたようだったり、御都合主義が酷すぎたり、ウソ臭すぎたりしても、そんなことはどうだっていい。
大事なのは、観客に考える暇を決して与えないことだ。
爆発や破壊といった派手なアクションを迫力のある映像で見せ続けておけば、それは立派な目くらましとなってくれる。

娘と恋人の関係に怒って父親が銃をぶっ放すなんて、陳腐な展開だと思うかもしれない。
仕事を受ける代わりに税金を死ぬまで無料にしろと要求するなんて、バカかと思うかもしれない。
訓練シーンに緊張感が全く無いのは、情けないと思うかもしれない。

石油掘削人に世界を救わせるという設定の時点で、バカバカしいと思う人もいるだろう。
普通に考えれば、掘削を学ばせた宇宙飛行士に任せるはずだと思うかもしれない。
実際、わざわざ集めた優秀なはずの石油掘削人達は、何の活躍も見せていない。
しかし、だからどうしたというのだ。

聞き心地の良い音楽と目まぐるしく変わる映像さえあれば、他に何が必要だというのか。
全世界で大ヒットして、興行収入は600億円を突破しているのだ。その結果以外に、いったい何が必要だというのか。
物語の内容?
そんなもの、どうだっていい。
遊園地のアトラクションに、物語の厚みを求めても意味が無いのだから。

(観賞日:2002年6月16日)


第19回ゴールデン・ラズベリー賞(1998年)

ノミネート:最低助演女優賞[リヴ・タイラー]

 

*ポンコツ映画愛護協会