『ランボー3/怒りのアフガン』:1988、アメリカ

ジョン・ランボーは、タイの寺院で心の傷を癒していた。そんな彼の元を、かつての上司トラウトマン大佐が訪れた。トラウトマンはアフガニスタンに潜入する極秘任務への参加を依頼するが、ランボーは「俺の戦争は終わった」と告げて断った。
トラウトマンはアフガニスタンに潜入するが、ザイセン大佐が率いるソ連軍に発見される。情報部員グリッグスからトラウトマンが捕虜になったと聞かされたランボーは、救出に向かうことを決意する。だが、アメリカ政府は非公式な援助しか出来ない。
アフガニスタン国境に近いパキスタンのペシャワールに到着したランボーは、協力者であるゲリラ兵ムサと会った。アフガンへと向かったランボーは、ムジャヒディンの村でリーダーのマスードや少年ハミドと親しくなった。だが、ソ連軍の襲撃を受けて村は破壊される。ランボーはソ連軍の砦に侵入するが、トラウトマン救出に失敗する…。

監督はピーター・マクドナルド、キャラクター創作はデヴィッド・マレル、脚本はシルヴェスター・スタローン&シェルドン・レティック、製作はバズ・フェイトシャンズ、製作協力はトニー・ムナフォ、製作総指揮はマリオ・カサール&アンドリュー・ヴァイナ、撮影はジョン・スタニアー、編集はジェームズ・サイモンズ&アンドリュー・ロンドン&O・ニコラス・ブラウン、美術はビル・ケニー、衣装はリチャード・ラ・モッテ、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
主演はシルヴェスター・スタローン、共演はリチャード・クレンナ、マーク・ド・ジョング、カートウッド・スミス、スピロス・フォーカス、サッソン・ガーベイ、ドゥーディー・ショウア、ランディ・レイニー、マーカス・ギルバート、アーロン・アバトバル、マハムード・アサドラヒ、ジョセフ・シローチ、ハロルド・ダイヤモンド、セリ・マティー、ハニー・サイード・エル・ディーン他。


反共戦士ランボーが戦うシリーズ第3弾。
ランボーをシルヴェスター・スタローン、トラウトマンをリチャード・クレンナ、ザイセンをマーク・ド・ジョング、グリッグスをカートウッド・スミス、マスードをスピロス・フォーカス、ムサをサッソン・ガーベイが演じている。

「俺の戦争は終わった」と何度も口にするランボーだが、本当に戦いを忘れたわけではない。その証拠に、冒頭からスティックを使った賭け試合でハロルド・ダイヤモンドと戦う。それも、たっぷりと時間を掛けて、ランボーが戦う姿を描写している。
反共戦士ランボーは、深く考え込むような素振りを見せてみても、本当は頭の中が空っぽで、「とにかく暴れたい」ということしか無い。彼には学習能力も無ければ、成長するということも無い。ただし、強さのインフレだけは無駄に起こしてしまうが。

ランボーはムジャヒディンと協力関係を組むが、本当に仲間になったわけではない。“反共”を打ち出すために、たまたま都合が良かったからムジャヒディンと手を組んだだけだ。心底からムジャヒディンのことを考えているわけではない。そこまで頭が回るほど、ランボーは利口ではない。何しろ、彼は反共戦士アメリカンなのだから。
とにかく、ランボーは暴れたくて仕方がなかった。ウズウズしていた。どこか自分が暴れる場所が無いかと探していたら、アフガニスタンをソ連軍が攻撃していた。だから、これはラッキーとばかりに食い付いた。アフガンの問題なんて、どうでもいいのだ。

ランボーは頭が空っぽなので、同じことを繰り返すしか脳が無い。彼は強いアメリカと反共を象徴する戦士なので、それを見せるには共産主義の敵と戦うのが一番だ。
というわけで、敵はソ連軍になる。
そして『ランボー 怒りの脱出』と同じことを繰り返す。
『ランボー 怒りの脱出』の敵はベトナムのソ連軍だったが、今回はアフガンのソ連軍。場所が変わっただけで、やっていることは大して変わらない。ソ連軍と戦う連中と手を組み、捕虜を救出し、ヘリが登場し、ランボーが暴れまくる。そういう内容だ。

内容は、かなり薄っぺらい。
とにかくアクションシーンだらけにして引っ張ろうとしているが、何しろ前作と同じことの繰り返しなのだから、そりゃあ薄くなっても当然だ。
ある意味、いかにもスタローンらしい、いかにもマリオ・カサールらしい作品と言える。

当時の情勢を取り入れた映画というのは、公開のタイミングも大切になってくる。
この映画、完成した頃にはソ連軍がアフガンから撤退するという動きが起きていた。ゴリゴリの反共タカ派作品は見事なぐらいバッド・タイミングでの公開となったわけである。
当時の情勢を取り入れた映画というのは、時代が過ぎるに従って評価が上がる場合もあれば、逆に下がる場合もある。
かつてムジャヒディンを応援していたアメリカは、後にアフガンを攻撃した。
これにより、ますます本作品はマヌケなことになってしまった。


第9回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低主演男優賞[シルヴェスター・スタローン]

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ピーター・マクドナルド]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低助演男優賞[リチャード・クレンナ]

 

*ポンコツ映画愛護協会