『ランボー 怒りの脱出』:1985、アメリカ
かつてベトナム戦争で活躍したジョン・ランボーは、現在は5年の実刑判決を受けて服役中の身だった。そんな彼の元を、上司だったトラウトマン大佐が訪れた。大佐はランボーに対し、政府の極秘任務を引き受けないかと持ち掛けてくる。
その任務とは、兵士時代にランボーが脱出したベトナムの収容所を調査することだった。成功すれば大統領の恩赦も受けられるだろうと聞かされ、ランボーは任務を引き受けることにした。刑務所を出た彼は、タイの軍事基地へと向かう。
基地には大佐の他に、作戦の指揮を取る大統領補佐官マードックが待っていた。ベトナムで行方不明になった兵士の近親者から上院委員会に正式な捜索依頼の嘆願書が提出されたため、今回の作戦が行われることになったのだ。
ランボーが与えられた任務は、収容所に捕虜がいるかどうかを確認し、写真を撮影することだ。マードックはランボーに対して、敵と戦うのは大佐が率いるデルタ・フォースの仕事であり、決して戦ってはいけないと強く言い聞かせる。
ベトナムに入ったランボーは、連絡員の女性コー・バオと接触する。収容所に行ってみると、そこにはベトナム兵に非人道的な扱いを受けている捕虜の姿があった。ランボーはマードックの命令を無視し、捕虜を救出する。
だが、マードックは救出ヘリをランボーの目の前で引き返させる。今回の作戦は捕虜がいないことを示すことが目的であり、捕虜の存在が世間に知れると困るのだ。ランボーはベトナム兵に捕まり、ソ連軍のポドフスキーから執拗な尋問を受ける…。監督はジョージ・P・コスマトス、キャラクター創作はデヴィッド・モレル、原案はケヴィン・ジャーレ、脚本はシルヴェスター・スタローン&ジェームズ・キャメロン、製作はバズ・フェイトシャンズ、製作協力はメル・デラー、製作総指揮はマリオ・カサール&アンドリュー・ヴァイナ、撮影はジャック・カーディフ、編集はマーク・ゴールドブラット&マーク・ヘルリッヒ、美術はビル・ケニー、衣装はトム・ブロンソン、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
主演はシルヴェスター・スタローン、共演はリチャード・クレンナ、チャールズ・ネイピア、スティーヴン・バーコフ、ジュリア・ニクソン、マーティン・コーヴ、ジョージ・キー・チェン、アンディ・ウッド、ウィリアム・ギェント、ヴォーヨ・ゴリッチ、デイナ・リー、ベイガン・コールマン他。
これは、ランボーがベトナムの後始末をする作品ではない。
悲しい男の生き様を描く作品でもない。
どうしても戦争の味が忘れられなくて我慢が出来なかったランボーが、「もう1回、戦いたくなったので、とりあえず好き勝手に暴れてみました」という作品なのである。1作目よりも、ランボーが、強いアメリカと反共産主義の象徴であることを、さらに強く押し出している。強いアメリカと反共を見せるには、共産主義の敵と戦うのが一番だ。
というわけで、今回の敵に選ばれたのは、ベトナムに来たソ連軍の顧問団である。ランボーは近代科学に付いていけないが、負けず嫌いなので、「戦いに大切なのは精神力だ」などと言い訳をする。というか、あまり近代科学に頼ると、自分のマッチョな体が見せられないので、筋肉ナルシストの彼にとっては困るのである。
ランボーはベトナムのジャングルにヘリからパラシュートで降下しようとする際、ロープが引っ掛かってしまう。しかし、それはランボーの狙い通りである。
ロープを切るためには、ナイフを使う必要がある。
そう、彼は、一刻も早くナイフが使いたかったのだ。さて、降下するためには、設備を切り離してしまわなければいけない。
これも、ランボーの狙い通りである。
たくさんの装備があったら、自慢の肉体を見せ付けることができないからだ。
表情はクールだが、内心はニヤニヤしていたに違いない。戦うことが、3度のメシよりも大好きなランボーだ。
だから、「戦うな」というマードックの命令など、守るはずも無い。
自分の勝手な行動でコーを危険に巻き込んでいるとか、そういうことは関係無い。
自分がカッコ良く戦う様子さえ見せれば、それで満足なのだ。
第6回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞:最低作品賞
受賞:最低脚本賞
受賞:最低主演男優賞[シルヴェスター・スタローン]
<*『ランボー 怒りの脱出』『ロッキー4 炎の友情』の2作での受賞>
受賞:最低オリジナル歌曲賞「Peace In Our Life」ノミネート:最低監督賞[ジョージ・P・コスマトス]
ノミネート:最低助演女優賞[ジュリア・ニクソン]
ノミネート:最低新人賞[ジュリア・ニクソン]