『ムービー43』:2013、アメリカ

[The Thread]
カルヴァン・カトラーと友人のJJは、『Jackass』を模倣したような映像をYouTubeにアップした。あっという間にアクセス数が100万を超えたため、カルヴィンは大喜びする。だが、それは彼の弟であるバクスターのダミーサイトを使ったエイプリルフールの悪戯だった。腹を立てたカルヴィンは報復しようと考え、ポルノサイトを利用してバクスターのパソコンにウイルスを仕込む計画を思い付いた。彼はバクスターを呼び、「ムービー43」と呼ばれる違法なポルノ動画をネット上から発見してほしいと依頼した。すぐにネットで検索を開始したバクスターが最初に見つけたのは、キャリアウーマンのベスが写っている映像だった。

[The Catch] ベスはデイヴィスという男性とブラインド・デートをするため、レストランへ赴いた。デイヴィスは若き実業家で、雑誌の表紙になるほどの人物だ。浮かれた気分になっていたベスだが、レストランに入ったところで絶句してしまう。スカーフを取ったデイヴィスの首から、ダラリと睾丸がぶら下がっていたからだ。しかしデイヴィスだけでなく店員たちも、その睾丸を全く気にしていない様子だった。
食事を始めても戸惑いを隠せないベスは言葉に詰まりながらも、「首にボールのような物が」とデイヴィスに告げる。するとデイヴィスは、すました顔で「子供の頃は、からかわれることも多かったよ」と言う。しかし彼は睾丸のことではなく、吃音のことを話したのだった。「何人かは首のことを気にした」という彼の言葉で、ベスは安堵した。しかし、それも睾丸のことではなく、「子供の頃に受けた手術の縫合跡が首にある」とデイヴィスは説明した。
デイヴィスの友人夫婦であるアンジーとレイが店を訪れ、彼に挨拶した。アンジーとレイも、やはり睾丸の存在を全く気にしていない様子だった。アンジーとレイに促され、デイヴィスはベスに顔を寄せて写真を撮ったり、額にキスしたりする。しかし、それによって睾丸が近付くので、ベスは顔を引きつらせる。キスの時は睾丸が口に入りそうになり、ベスは慌てて身をのけぞらせた。そんな映像にJJが夢中になっている間に、カルヴィンはバクスターのパソコンを盗み出した。バクスターの方は、別の動画をチェックした。

[Homeschooled]
引っ越してきたばかりのショーンとクレア夫婦は、近所に住むロバートとサマンサ夫婦を訪ねていた。ロバートとサマンサは、息子のケヴィンを自宅で学習させていることを話す。彼らは教師として息子に接し、まるで学校のように授業をしたり、宿題を課したりしていた。普通の学校生活で起きることも体験させるべきだと考える夫婦は、ケヴィンへのイジメも行っていた。ケヴィンの失恋相手を家に招き、彼を追い出してロバートが一緒に踊ることもあった。
サマンサはケヴィンの恋人に成り切り、ファースト・キスの相手を請け負った。ロバートはゲイの相手役として、ケヴィンと関係を持った。ケヴィンが降りて来たので、ショーンとクレアは困惑しながら彼と挨拶を交わす。ケヴィンは明るい表情で、「宿題は終わったよ。これからジェンと映画に出掛ける」と言う。しかし彼は顔写真を貼り付けてモップで作った人形を持って来て、「ジェンだよ」と紹介する。ケヴィンがジェンの声色で話す様子を見て、ショーンとクレアは顔を引きつらせた。

[The Proposition]
次にバクスターが検索したのは、カップルのダグとジュリーが登場する動画だ。ピクニックに出掛けたダグは指輪を用意し、ジュリーにプロポーズしようと決意していた。「君にお願いがある」と彼が告げると、ジュリーは「私も」と言う。そこで同時に打ち明けようということになるが、ジュリーが「私に排便してくれない?」と口にしたのでダグは困惑した。冗談だと思ったダグだが、ジュリーは本気だった。「私が嫌いになった?」とジュリーに言われたダグは、「そんなことは無い」と告げる。
ダグが友人のラリーとビリーに相談すると、ジュリーのために頑張って排便するよう促される。ラリーはダグに排便のための食事を助言し、下剤を渡した。ベッドインの直前、ダグは食事を取って下剤を飲んだ。しかしダグがベッドで排便しようとすると、ジュリーは会話を求める。我慢できなくなったダグが「ウンコさせてくれ」と言うと、ジュリーは家を飛び出した。追い掛けたダグは走って来た車と激突し、ウンコが激しく飛び散る。それに感激したジュリーは、ダグの求婚を受け入れた。
バクスターはホワイトボードを使って独自の検索方式を編み出し、ビデオの情報を誰から聞いたのかカルヴィンに尋ねる。カルヴィンが戸惑いながら「スティーヴィー・シュライダー」と答えると、バクスターはファルコントロンという世界最強の検索サイトにアクセスした。ごく少数の人間しか利用できないサイトだが、ハッキングによって見つけたのだとバクスターは説明した。ファルコントロンで検索した彼は、また新たな動画を見つけ出した。

[Veronica]
深夜のスーパーマーケットでニールが働いていると、別れた恋人のヴェロニカが客として訪れる。2人は互いに悪口を浴びせ、その声はマイクを通じて買い物中の客たちにも届く。罵声の飛ばし合いは、いつの間にか性的な内容へと変化していく。2人は互いに相手を求め、そしてキスをする。ヴェロニカは目に涙を浮かべながら、「私は貴方の物よ」と告げて立ち去る。彼女に話し掛けようとしたニールは、大勢の客がレジに並んでいることに気付いた。老人客は他の客たちに呼び掛け、ニールがヴェロニカを追うために彼らは仕事を交代することを持ち掛けた。ニールは彼らに感謝し、ヴェロニカの後を追った。

[Super Hero Speed Dating]
ゴッサムシティーではお見合いパーティーが開かれ、ロビンはステイシーという女性と話していた。だが、そこへバットマンが来たことで台無しにされ、ステイシーは腹を立てて立ち去ってしまう。バットマンが去った後、次にロビンの席へ来たのはロイス・レーンだった。ロビンは「何度か会ってる。レックス・ルーサーから助けたでしょ」と言うが、ロイスは彼のことを全く覚えていなかった。ロイスは彼に、スーパーマンと破局したことを明かした。
ロイスがスーパーマンのストーカー行為を不愉快そうに語っていると、バットマンが戻って来た。ロイスに挨拶した彼は、スーパーマンと連絡を取ってしまう。あっという間に店へ飛び込んできたスーパーマンはロビンをトイレへ連れ出し、「ロイスを奪ったら、タダじゃおかない」と脅す。ロビンは慌てて、「僕とバットマンは爆弾を捜索しているんだ」と釈明した。ロビンが席に戻ると、バットマンはロイスと楽しそうに喋っていた。
バットマンは「次の女をモノにする手伝いをしてやる」とお節介を言い、テーブルの下に潜り込んだ。次の女性はスーパーガールで、バットマンは彼女の股間を覗き込む。スーパーガールが腹を立てて去った後、バットマンはペンギンを見つけて「爆弾はどこだ」と問い詰める。そこへワンダーウーマンが来て、「電話するって言ったでしょ」とバットマンを非難した。彼女はコンドームが破れてから連絡が途絶えたことを、泣きながら抗議した。
ペンギンはスーパーガールの体に時限爆弾を取り付け、お見合いパーティーが自分の策略だったことを明かした。ロビンはペンギンを倒し、スーパーガールを救った。ロビンはバットマンに促され、スーパーガールとキスを交わした。彼はスーパーガールの背後に回ってカツラを脱がし、リドラーの変装であることを指摘した。スカートを覗き込んだ時に正体を見抜いたのに、彼はロビンにキスをさせたのだ。

[Machine Kids]
これはモノクロ映像による公共広告である。自動販売機に金を入れて商品が出て来ないことに腹を立てた男が、激しく殴り付ける。販売機の中にいる子供たちが、怯えた様子を示す。「醜い行為を彼らがどう思うか、考えてみましょう」という語りが入る。コピー機の中にも子供たちがいて、苛立ちを機械にぶつけるサラリーマンの様子を見ている。「機械は子供たちのようなものです」という文字が出て、この広告は終了する。新たな動画を検索しようとしていたバクスターとJJだが、画面上にミノタウロスと呼ばれる男が現れて「ボタンをクリックするな」と警告した。しかしバクスターは従わず、画面上のボタンをクリックした。

[iBabe]
ある会社がiBabeという音楽プレーヤーを開発したが、使用者の事故が多発していた。社長は事故の映像を見るが、原因が全く分からない。すると部下のロバートやアーリーンたちは、高性能CPUの排気ファンが陰部に設置されていること、ファンがチンコを切り刻むことを説明する。ロバートたちは社長に、iBabeがダッチワイフに見えることから、そういう使い方をする若者が多いことを告げた。アーリーンは警告シールを貼るよう提案するが、社長は却下した。開発部のブライアンは新型のiBabeを披露するが、試そうとした社長は危うく指を切断しそうになった。iBabeの新しいCMでは、「ファックするな」というメッセージが盛り込まれた。
ミノタウロスがバクスターたちに「ムービー43を探すな」と警告していると、背後から中国人ギャングが現れて銃を突き付けた。彼らは「ムービー43はどこだ?」と問い詰め、ミノタウロスを暴行する。彼らは画面を通して、バクスターたちに「お前らは知ってるな」と訊く。バクスターがスティーヴィーの名前を口にすると、その正体を彼らは知りたがった。彼らは「ムービー43を見つけ出すんだ」と要求し、バクスターは新たな動画を検索した。

[Middleschool Date]
中学生のネイサンは、恋人のアマンダを自宅に招いてキスをした。そこへネイサンの兄であるマイキーが現れ、2人をからかう。ネイサンはマイキーを怒鳴り付け、リビングから追い払った。アマンダは陰部から出血し、トイレへ向かった。ネイサンはソファーに付着した染みに気付くが、生理の血だとは分からなかった。アマンダの臀部の血を目にしたマイキーは、彼女が生理になったと気付く。しかしネイサンは生理が理解できず、「出血死する」とパニックになる。アマンダも初潮なので、対処が分からない。そこへネイサンの父親が来るが、間違った助言をする。アマンダの父親が駆け付けるが生理を誤解し、ネイサンの父親と言い争いになる。アマンダは2人を制し、母親を呼ぶよう告げてリビングから立ち去った。

[Tampax]
ネイサンの父親は落ち着きを取り戻し、息子たちと共にテレビを見た。2人の女性が海で優雅に泳いでいると、サメが現れて片方を食べてしまうという漏れ防止機能付きタンポンのコマーシャルが流れた。中国人キャングたちは、スティーヴィーを拉致してバクスターとJJに見せ付けた。バクスターは「そいつらにムービー43のことを話せ」と促すが、もちろんスティーヴィーにはムービー43が何のことだか分からない。ギャングがスティーヴィーの指を切断しようとするので、JJはバクスターに「ムービー43は僕とカルヴィンの考えた嘘だ」と打ち明けた。「でも、あれは現実だ。見つけなきゃ友達が殺される」とバクスターは告げ、ある作戦を思い付く。バクスターが席を外している間に、JJは新たな動画を検索した。

[Happy Birthday]
ブライアンはルームメイトのピートに恋人を寝取られ、腹を立てて出て行くことにした。ピートは彼を引き留め、「誕生日プレゼントを用意した」と告げる。彼はブライアンを地下室へ連れて行き、拘束しておいたレプラコーンを見せた。ピートが壺一杯の黄金を渡すよう要求すると、レプラコーンは彼を口汚く罵って拒絶した。ピートは殴り付けるが、レプラコーンは反抗的な態度を崩さなかった。
ブライアンはピートをなだめ、穏やかな口調でレプラコーンに話し掛ける。しかしレプラコーンが頭突きを食らわせたので、ブライアンは激昂して彼に殴り掛かった。今度はピートがブライアンを制し、「殺したら黄金が手に入らない」と言う。レプラコーンの仲間が電話を掛けて来たのでピートは「黄金を渡さないと、こいつを殺す」と脅した。すると仲間は承諾し、黄金を詰めた壺を用意した。しかし壺の中に仲間が隠れており、ピートとブライアンを襲撃する。ピートはレプラコーンを2人とも射殺し、死体をゴミ箱に捨てる。ピートはブライアンのために、金貨をあげたらフェラしてくれる妖精も捕まえていた。

[Truth or Dare]
エミリーはドナルドという冴えない男と、メキシコ料理店でデートしていた。出身地や家族について知りたがるドナルドに、エミリーは「ありきたりなデートはやめましょう」とゲームを提案した。2人は「真実か挑戦か」のゲームを始めるが、「真実」を選択したドナルドは陳腐な愛の言葉を口にした。何度か続ける中で彼が「挑戦」を選ぶと、待ってましたとばかりにエミリーは強面の男性客の尻をつねるよう指示した。ドナルドは困惑するが、エミリーが帰ろうとするので承諾した。
ドナルドは怯えながら男性客に近付き、尻に触った。すると男性客は激怒し、ドナルドを殴り付けた。必死に謝って席に戻ったドナルドは、盲目の少年が誕生日パーティーを開いている様子を見つけた。挑戦を選択したエミリーに、「少年より先にロウソクの火を消して」と彼は要求した。エミリーは要求を遂行し、その後も2人はゲームを続行した。どんどん挑戦する内容はエスカレートし、2人は整形手術で容姿を変貌させた…。

製作はチャールズ・B・ウェスラー&ジョン・ペノッティー&ピーター・ファレリー&ライアン・カヴァナー、共同製作はケネス・ハルスバンド&ジェイソン・バーハイト&マーク・アンブローズ&トム・ゴーミカン&クリストファー・K・ピア&マイケル・B・ガーフィンクル、製作協力はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ、製作総指揮はティム・ウィリアムズ&タッカー・トゥーリー&ロン・バークル&ジェイソン・コルベック&ジェイソン・フェルツ、共同製作総指揮はレネ・リガール&ブライアン・コーンライヒ、撮影はスティーヴ・ゲイナー&ティム・サーステッド&ウィリアム・レクサー&ダリン・オカダ&フランク・G・デマルコ&エリック・シャーバース&ニュートン・トーマス・シーゲル&マティアン・アンデルソン・ラドー&マシュー・F・レオネッティー、美術はトビー・コーベット&ハッピー・マッシー&インバル・ウェインバーグ&ディナ・リプトン&ジェイド・ヒーリー&ロブ・ウィルソン・キング&ジェイ・ヴェッター、編集はパトリック・J・ドン・ヴィトー&サム・セイグ&ポール・ザッカー&クレイグ・エルミジャー&マイロン・カーステイン&ジョー・ランドール・カトラー&ジョナサン・ヴァン・タルケン&デブラ・チアーテハカン・ウォーン&マーク・ヘルフリッチ&サンディー・ソロウィッツ&カーラ・シルヴァーマン、追加編集はパトリック・J・ドン・ヴィトー、音楽監修はハッピー・ウォルターズ&ボブ・ボウエン。

"The Thread"
監督はスティーヴン・ブリル、脚本はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ、撮影はスティーヴ・ゲイナー、編集はパトリック・J・ドン・ヴィトー、美術はトビー・コーベット、衣装はフロリー・ケンパー・ブンゼル、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はアダム・キャグリー、デヴィン・アーシュ、マーク・L・ヤング、フィッシャー・スティーヴンス、ベス・リトルフォード、ティム・チョウ、ジェームズ・シュー、ネイト・ハートリー、リズ・ケアリー。

"The Catch"
監督はピーター・ファレリー、脚本はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ&ビル・オマリー、撮影はティム・サーステッド、編集はサム・セイグ、美術はハッピー・マッシー、衣装はアンナ・ビンジマン。
出演はヒュー・ジャックマン、ケイト・ウィンスレット、ジュリー・クレア、ケイティー・フィナラン、ロイ・ジェンキンズ、ロッキー・ルッソ、アンナ・マディガン。

"Homeschooled"
監督はウィル・グレアム、脚本はウィル・グレアム&ジャック・クコダ、共同製作はメリッサ・ウェルズ、撮影はウィリアム・レクサー、編集はポール・ザッカー、美術はインバル・ウェインバーグ、衣装はアンナ・ビンジマン、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はジェレミー・アレン・ホワイト、リーヴ・シュレイバー、ナオミ・ワッツ、アレックス・クランマー、ジュリー・アン・エメリー、オースティン・コープ。

"The Proposition"
監督はスティーヴ・カー、脚本はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ、製作はジェイソン・タラガン、撮影はダリン・オカダ、編集はクレイグ・ヘリング、美術はディナ・リプトン、衣装はナンシー・セオ、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はアンナ・ファリス、クリス・プラット、J・B・スムーヴ、ジャレッド・ポール、マリア・アルセ、アーロン・ラプランテ。

"Veronica"
監督はグリフィン・ダン、脚本はマシュー・ポートノイ、撮影はウィリアム・レクサー、編集はスージー・エルミジャー、美術はインバル・ウェインバーグ、衣装はアンナ・ビンジマン、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はキーラン・カルキン、エマ・ストーン、アーサー・フレンチ、ジョシュ・シューマン。

"iBabe"
監督はスティーヴン・ブリル、原案はクレス・チェルシュトレーム&ジョナス・ウィッテンマーク&トビアス・カールソン、脚本はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ、撮影はウィリアム・レクサー、編集はマイロン・カーステイン、美術はインバル・ウェインバーグ、衣装はアンナ・ビンジマン。
出演はキャシー・クリフテン、シェリーナ・モンテニクエス・スコット、リチャード・ギア、ケイト・ボスワース、ジャック・マクブライヤー、アーシフ・マンドヴィ、ザック・ラスリー、ダービー・リン・トッテン、マーク・アンブローズ。

"Super Hero Speed Dating"
監督はジェームズ・ダフィー、脚本はウィル・カーロフ、共同製作はジェームズ・ダフィー&ジャスティン・ロング&ジェイソン・マクドナルド、撮影はフラン・G・デマルコ、美術はジェイド・ヒーリー、衣装はシドニー・マレスカ、音楽はデヴィッド・J・ホッジ。
ジャスティン・ロング、ジェイソン・サデイキス、ユマ・サーマン、ボビー・カナヴェイル、クリステン・ベル、ジョン・ホッジマン、レスリー・ビブ、ウィル・カーロフ、カトリーナ・ボウデン。

"Machine Kids"
脚本&製作&監督はジョナサン・ヴァン・タルケン、共同製作はジェイコブ・ジャフケ、撮影はエリック・シャーバース、編集はジョー・ランドール・カトラー&ジョナサン・ヴァン・タルケン。
ナレーターはフィル・クローリー。
出演はエド・ブライス、オリヴィア・ロバーツ・ペイン、モニーク・デリー、ジュリー・マクニーヴェン、ジャロン・ヘンリー=マクレー、セバスチャン・ブロジアク、セヴェリン・K・ブロジアク他。

"Middleschool Date"
監督はエリザベス・バンクス、脚本はエリザベス・シャピロ、撮影はティム・サーステッド、編集はデブラ・チアーテ、美術はトビー・コーベット、衣装はサルヴァドール・ペレス、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はクリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレーツ・モレッツ、パトリック・ウォーバートン、ジミー・ベネット、マット・ウォルシュ。

"Tampax"
監督はパトリック・フォーシュベリ、脚本はパトリック・フォーシュベリ&オーレ・サリ、製作はマティアン・アンデルソン・ルドー、編集はハカン・ウォーン、美術はノーラン・フーパー。
出演はコリーン・ホフマン、エルベ・ヴァン・ダー・マーヴ。

"Happy Birthday"
監督はブレット・ラトナー、脚本はジェイコブ・フライシャー、撮影はニュートン・トーマス・シーゲル、編集はマーク・ヘルフリッチ、美術はロブ・ウィルソン・キング、衣装はジュディアナ・マコフスキー、音楽はクリストフ・ベック&レオ・ビーレンバーグ。
出演はジェラルド・バトラー、ショーン・ウィリアム・スコット、ジョニー・ノックスヴィル、エスティー・ギンズバーグ。

"Truth or Dare"
監督はピーター・ファレリー、脚本はグレッグ・プリティキン、撮影はマシュー・F・レオネッティー、編集はサム・セイグ、美術はジェイ・ヴェッター、衣装はフロリー・ケンパー・ブンゼル。
出演はハル・ベリー、スティーヴン・マーチャント、セイド・バドレヤ、ニコール・エリザベス・ポリッツィー、カリル・リップマン・ウエスト、リッキー・ノエル・ランダー他。

"Victory's Glory"
監督はラスティー・カンデッフ、脚本はロッキー・ルッソ&ジェレミー・ソセンコ、撮影はスティーヴ・ゲイナー、編集はサンディー・ソロウィッツ、美術はトビー・コーベット、衣装はフロリー・ケンパー・ブンゼル、音楽はウィリアム・グッドラム。
出演はテレンス・ハワード、アーロン・ジェニングス、ジャレッド・ダドリー、コーリー・ウェイン・ブリュワー、ラリー・ユージーン・サンダース二世、ジェイ・エリス他。

"Beezel"
脚本&監督はジェームズ・ガン、撮影はスティーヴ・ゲイナー、編集はカーラ・シルヴァーマン、美術はトビー・コーベット、衣装はサルヴァドール・ペレス、音楽はタイラー・ベイツ。
出演はエリザベス・バンクス、ジョシュ・デュアメル、エミリー・アリン・リンド、ミシェル・ガン、クリスティーナ・リンハート。


『メリーに首ったけ』や『愛しのローズマリー』を弟のボビーと共に手掛けたピーター・ファレリーと、兄弟の作品でプロデューサーを務めてきたチャールズ・B・ウェスラーが中心となって企画したオムニバス映画。
[The Thread]のスケッチが、全体を横断して何度かに分けて描かれる。
そのスケッチの中でネット検索される動画として、10本の短編と2本のコマーシャル(本編より先に流されるiBabeのCMを含めると3本)がある。
そしてクロージング・クレジットの途中に、[Beezel]のスケッチが入るという構成になっている。

[The Thread]の監督は『リトル★ニッキー』『Mr.ディーズ』のスティーヴン・ブリルで、JJ役はアダム・キャグリー、バクスター役はデヴィン・アーシュ、カルヴィン役はマーク・L・ヤング。
[The Catch]はピーター・ファレリーが監督で、デイヴィスをヒュー・ジャックマン、ベスをケイト・ウィンスレットが演じている。
[Homeschooled]のロバート役はリーヴ・シュレイバー、サマンサ役はナオミ・ワッツ。
[The Proposition]は『ドクター・ドリトル2』『チャーリーと14人のキッズ』のスティーヴ・カーが監督で、ジュリー役がアンナ・ファリス、ダグ役がクリス・プラット。

[Veronica]の監督は『プラクティカル・マジック』『New York 結婚狂騒曲』のグリフィン・ダンで、ニールをキーラン・カルキン、ヴェロニカをエマ・ストーンが演じている。
[Super Hero Speed Dating]ではロビンをジャスティン・ロング、バットマンをジェイソン・サデイキス、ロイスをユマ・サーマン、スーパーマンをボビー・カナヴェイル、スーパーガールをクリステン・ベルが演じている。
[iBabe]はスティーヴン・ブリルが再登板し、社長役がリチャード・ギア、アーリーン役がケイト・ボスワース。
女優のエリザベス・バンクスが初監督を務めた[Middleschool Date]は、マイキー役がクリストファー・ミンツ=プラッセ、アマンダ役がクロエ・グレーツ・モレッツ。

[Happy Birthday]は『ラッシュアワー3』『ペントハウス』のブレット・ラトナーが監督を務め、レプラコーン役はジェラルド・バトラー、ブライアン役はショーン・ウィリアム・スコット、ピート役はジョニー・ノックスヴィル。
[Truth or Dare]の監督はピーター・ファレリーで、エミリーをハル・ベリー、ドナルドをスティーヴン・マーチャントが演じている。
[Victory's Glory]は『スプラング/お前にゾッコン』のラスティー・カンデッフが監督で、テレンス・ハワードがコーチのジャクソンを演じている。
[Beezel]は『スリザー』『スーパー!』のジェームズ・ガンが監督を務め、エイミーをエリザベス・バンクス、アンソンをジョシュ・デュアメルが演じている。

この映画は、とても低俗で品質が悪い。
それは「下ネタのオンパレードだから」ということが理由ではない。「豪華な俳優陣が下ネタ満載の映画に出演している」というのが売りになっていることが理由だ。
この映画って前述したような出演者の顔触れが揃っていなかったら、何の話題にもならないようなクソ映画なのである。それぐらい、内容はシオシオのパーなのである。
そういう、くだらなさに満ち溢れた映画に豪華な出演者が揃うことで、ただの楽屋オチ映画になってしまっているのだ。

まるで面白くないわけじゃなくて、[The Catch]は面白いと感じた。
アンジー&レイ夫婦の赤ん坊を抱いたデイヴィスの睾丸が赤ん坊の頭にピタッと密着しているとか、床に落ちた物を拾おうとした時に睾丸がスープに浸かってしまうとか、ツーショット写真を撮る時に顔を寄せたら睾丸が当たるのでベスが嫌がるとか、額にキスするときに睾丸が口に入りそうになって慌てるとか。
その辺りはヒュー・ジャックマンとケイト・ウィンスレットではなく無名俳優が演じていても、下品な喜劇として普通に面白い。
ただし、有名俳優じゃなくても面白いのは、そのスケッチぐらいだろう。

続く[Homeschooled]は、リーヴ・シュレイバーとナオミ・ワッツという本物の夫婦が夫婦役を演じているということ以外に、見所が無い。
「自宅学習なのに学校と同じようにやる」という着眼点は悪くないが、なんせ掌編だから1つ1つのエピソードが短いし、その内容も笑えない。
「人形を本物の恋人として扱っている」というオチにしても、「自宅学習」という内容からすると、ちょっと着地点が違うような気がしてしまう。

[The Proposition]は、車に激突してウンコがビシャーと飛び散るシーンなんて、ただ汚いだけだ。
そもそもスカトロ趣味を題材にしている時点で、下ネタ映画としても度が過ぎていると感じるが、せめて排便を見せずしてスカトロ趣味を喜劇に昇華すべきだろう。
飛び散るウンコを見せなきゃ物語を着地させられないのは、センスが無いと言っているようなモンだぞ。
[Veronica]に関しては、何のオチも無い。
悪態合戦から「君のアレを舐めたい」といったエロい会話に展開していき、それを客が聞いているけど、だから何なのか。

[Super Hero Speed Dating]は、せっかくアメコミのヒーローとヒロインたちが集まっているのに、それを充分に活用しているとは到底言い難い。
「深夜に窓の外を見るとスーパーマンがオナニーしてスペルマを撒き散らした」など、ただ下ネタを言ってるだけに終始する。
[Machine Kids]に関しては、ただの真面目な公共広告なので、何をどのように受け取ればいいのかサッパリ分からない。
「子供の虐待をやめましょう」という広告ではなくて、「機械に囲まれている子供たちへの虐待を防ぎましょう」という広告なので、そこをネタとして受け取ればいいんだろうか。

[Middleschool Date]は、生理現象を理解できなかったり、誤解したりする男どもの愚かさを描いてはいるものの、笑いが煮え切らないまま終わっているような印象だ。
そこにいる連中のやり取りでオチを付けられず、海で泳ぐ美女がサメに食われるというタンポンのCMをオチのように使っているのも、なんか逃げているように思えるし、しかもオチていない。
っていうか、それは別のスケッチという扱いなので、オチとして使う狙いがあったのかどうかは良く分からないけど。

下ネタばかりなのかと思いきや、[Happy Birthday]はそっち系統じゃない。
どうやらファレリー兄弟が好んで持ち込む「タブーな笑い」ってのがテーマになっていて、[Happy Birthday]なんかは「小人のレプラコーンをボコボコにしたり、容赦なく殺したりする」って部分がそれに該当するんだろう。
でも、タブーかどうかという観点からしても特に「タブーに挑戦している」という印象も受けない上に、それが笑えるのかと問われたら、まるで笑えない。ただ単に「妖精を脅して金を手に入れ、殺しました」というだけだ。
[Truth or Dare]は、「エスカレートするゲーム」というのを喜劇としてやっているのは分かるけど、頬にペニスのタトゥーを彫ったり、アジア系の顔に整形したりするのが、ただ悪趣味なだけにしか思えない。

[The Thread]の物語が進行する中で、「ギャングがムービー43を見つけ出そうとしており、悪戯だったはずのムービー43を巡って大変な事態に陥る」という展開がある。
だが、そこで変にサスペンス色を出して何の得があるのかサッパリ分からない。[The Thread]は全ての短編を繋ぐためのモノであり、そこに大きなドラマ性を持ち込むのは邪魔なだけだ。
ところが終盤に入ると「本物のムービー43が見つかった」という展開があり、半年後のバクスターが世界滅亡を教えるメッセージを発信する。
そして大地震が起きて2年3ヶ月と4日後に飛び、カルヴィンがパソコンを発見し、そのパソコンに「映画でも見ない?」と持ち掛けられて、[Victory's Glory]が描かれる。
だけど、そんな無駄にゴチャゴチャした構成にしているメリットが何も無い。

[Victory's Glory]は、1959年のアメリカが舞台。
黒人だけの高校バスケ部を率いるコーチのジャクソンが、白人相手に怖がっている選手たちに対し、「黒人は白人より優れている。だから必ず勝つ」と説く。
でも、「黒人の方がチンコがデカい」というのを言う以外で、黒人の方が優れている具体的なポイントを何も挙げないのよね。
チンコ以外でも白人より黒人の方が勝っている部分を幾つも列挙せず、「お前たちは黒人だ」ってのを強調するだけだと、人種ネタの喜劇としては弱すぎるわ。

1つ目のクロージング・クレジットの後に、最後のスケッチである[Beezel]が描かれる。
エイミーにはアンソンという恋人がいるが、彼の飼い猫であるビーゼルから嫌われている。ビーゼルはアンソンの前では可愛く振る舞うが、気付かれないようエイミーへの敵意を示す。
さらにエイミーは、ビーゼルがアンソンの写真でオナニーしているのを目撃する。アンソンがエイミーの頼みを聞き入れてビーゼルを手放すことを承諾すると、ビーゼルはエイミーを殺そうとする。
しかしアンソンはエイミーから訴えられてもビーゼルの行為を信じず、エイミーの反撃だけを見ていた子供たちは彼女を殺害する。

まあブラックであるは確かだけど、ビーゼルを2Dアニメで描写したのが大失敗。
細かい表情とか、猫っぽくない行動(車を運転するとか、発砲するとか)を取らせるためにはアニメの方が適しているのと、たぶん予算的な都合もあったんだろう。
しかし、カートゥーン的に猫を表現したことによって、「可愛い猫がアンソンでオナニーしたり残虐な行為を取ったりする」というギャップの面白さが弱くなっている。
せめてアニメで描くにしても、もっと可愛いキャラクター造形にしておかないとダメでしょ。

(観賞日:2015年1月20日)


第34回ゴールデン・ラズベリー賞(2013年)

受賞:最低作品賞
受賞:最低監督賞[[エリザベス・バンクス、スティーヴン・ブリル、スティーヴ・カー、ラスティー・カンデッフ、ジェームズ・ダフィー、グリフィン・ダン、ピーター・ファレリー、パトリック・フォーシュベリ、ウィル・グレアム、ジェームズ・ガン、ボブ・オーデンカーク、ブレット・ラトナー、ジョナサン・ヴァン・タルケン]
受賞:最低脚本賞

ノミネート:最低主演女優賞[ハル・ベリー]
<*『ザ・コール [緊急通報指令室]』『ムービー43』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低主演女優賞[ナオミ・ワッツ]
ノミネート:最低スクリーン・コンボ賞[全キャスト]

 

*ポンコツ映画愛護協会