『ツイスター』:1996、アメリカ
1969年、オクラホマ州で巨大な竜巻が少女の住む家を襲った。少女は両親と共に地下室へ避難するが、目の前で父親が竜巻にさらわれてしまった。そして現在、少女だったジョー・ハーディングは大人へと成長し、竜巻の観測に精力を傾けている。
ジョーの元を、夫ビルが恋人メリッサと共に訪れた。ビルは離婚届のサインを求めてやって来たのだった。ジョーはビルに、彼が発案した竜巻観測機“ドロシー”の完成を告げる。それを竜巻の中に設置すれば、竜巻のメカニズムが解読できるのだ。
竜巻が接近しているという情報が入ったため、ジョーは観測チームの仲間達と共に現場へ向かうみとにした。かつては仲間だったビルもジョー達に同行し、興味を持ったメリッサも付いて行くことになった。
途中、ジョー達は豊富な資金に支えられたジョーナス達の観測チームに出会う。ジョーナスはビルの発案を盗んで観測機を作り、まるで自分のアイデアだったかのように宣伝していた。2つのチームは、先に観測機を設置しようと競い合う。
ジョー達は何度か竜巻の中への観測機の設置を試みるが、なかなか思うように成功しない。観測チームはジョーの叔母メグが住むワキタの町を訪れ、しばしの休息を取る。だが、ワキタの町に最大級の竜巻が襲い掛かってくる…。監督はヤン・デ・ボン、脚本はマイケル・クライトン&アン=マリー・マーティン、製作はキャスリーン・ケネディ&イアン・ブライス&マイケル・クライトン、製作協力はグレン・サロウム、製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ&ウォルター・パークス&ローリー・マクドナルド&ジェラルド・R・モーレン、撮影はジャック・N・グリーン、編集はマイケル・カーン、美術はジョゼフ・ネメック三世、衣装はエレン・ミロジニック、音楽はマーク・マンシーナ。
出演はヘレン・ハント、ビル・パクストン、ジャミー・ガーツ、ケイリー・エルウェス、ロイス・スミス、フィリップ・シーモア・ホフマン、アラン・ラック、ショーン・ウェイレン、スコット・トンプソン、トッド・フィールド、ジョーイ・スロットニック、ウェンドル・ジョセファー、ジェレミー・デイヴィース、ザック・グレニエ、グレゴリー・スポールダー、パトリック・フィシュラー他。
ユニバーサル映画とワーナー・ブラザースが手を組んで作った作品。
ジョーをヘレン・ハント、ビルをビル・パクストン、メリッサをジャミー・ガーツ、ジョーナスをケイリー・エルウェスが演じている。
様々な役者が出演しているが、この映画の主役は竜巻である。この作品にとっては何度も竜巻を見せることが最も重要なのだが、それだけでは時間が持たないと思ったのか、恋愛話なども織り込んでみる。
そして見終わった後には、「牛が飛んでいた」という印象だけが残される。この作品で人工的に作られた竜巻は、凄まじい破壊力で様々な物を吹き飛ばす。
牛までも吹き飛ばすパワーを持っているが、メインの2人だけは吹き飛ばさない。
さすがの竜巻も、ギリギリのところで物分かりの良さを見せている。竜巻が吹き飛ばすのは、何も目に見える物だけではない。
他にも、例えば意味ありげに登場したジョーナスの存在感を吹き飛ばす。
さらには、三角関係の一辺を形成すべきメリッサの存在価値をも吹き飛ばしてしまう。そして、ついに竜巻は、すごいモノを吹き飛ばす。
「この作品が映画である」という意味合いさえ、吹き飛ばしてしまうのだ。そもそも、ジョー達は望んで竜巻に接近しているわけだ。
そういう意識があるため、どれだけジョー達がピンチに陥っても全くハラハラしない。
この時点で、ディザスター・ムービーとしては破綻している。これは、映画ではない。
もはや、テーマパークのアトラクションである。
竜巻は脅威ではなく、興奮を与えるために存在している。
「あんなに短期間に、何度も竜巻が発生するのか」という疑問は成立しない。
なぜなら、そういうアトラクションなのだから。
第17回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞:ジョー・エスターハス最低脚本賞受賞
第19回スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最悪の助演女優】部門[ジャミー・ガーツ]
受賞:【最悪な総収益1億ドル以上の作品の脚本】部門ノミネート:【最悪の作品】部門