『デス・リベンジ』:2007、ドイツ&カナダ&アメリカ

魔術師のガリアンは、司祭の娘ムリエラのベッドで彼女にキスをする。「貴方が来るのが分かったわ」と言うムリエラに、ガリアンは「力 が目覚めてるってことだよ。一緒にいるから上手く行っているんだ」と告げる。ムリエラが「一緒にいてはダメよ。貴方に会うと、いつも 力が出なくなって吸い取られるみたいなの」と不安を吐露すると、ガリアンは「愛するというのは、そういうことだよ」と言う。
ある農夫が、田舎の一軒家で妻ソラナ、息子ゼフと平穏に暮らしている。農夫の元に育ての親であるノリックが現れ、「王が新兵を募って いる。勇気を試してみないか」と持ち掛ける。だが、農夫は全く興味を示さない。夕食の時も、ノリックは「兵士になった方が金になる」 と勧める。ソラナが心配すると、農夫は「家族がいるんだ、どこにも行かないよ」と言う。翌日、ソラナはゼフを連れて村へ出掛ける。 彼女はゼフから「なぜ父さんは名前が無くて農夫と呼ばれているの?」と問われ、「彼は幼い頃、ノリックに村へ連れて来られたの。村の 人たちがみんなで彼を養子にしたのよ」と説明する。
コンリード王の元に、クラッグの軍隊が襲撃して偵察部隊が全滅したという報告が入った。すぐにコンリードは、魔法が使われたことを 確信する。ソラナはゼフを連れて、ストーンブリッジ村にある両親の家を訪れた。家には母のデリンダと弟のバスティアンがいた。父の トルメインは、火の見櫓に行っていた。農夫は怪物クラッグの集団に襲われるが、撃退した。黒煙を目にした彼は、ノリックの農場へ 走った。ノリックもクラッグに襲われており、農夫が加勢に入った。ノリックは「おかしいぞ、クラッグは野獣だから鎧や武器は使わない はずだ」と口にする。すぐに2人は、ストーンブリッジへ向かうことにした。
ソラナはゼフを連れて火の見櫓へ行き、トルメトンと共に結婚式を眺めた。その時、彼女はクラッグの軍勢が村にやって来るのを目撃した 。彼は父にゼフを任せて家に戻らせ、半鐘を鳴らした。ムリエルは王国軍のタリッシュ司令官と剣の稽古をしていた。ムリエラは戦いに 参加することを望むが、タリッシュから「貴方の父上で何とおっしゃるか」と言われて険しい顔になる。ムリエラは「父は私のやりたい ことを何もやらせてくれない」と不満をこぼした。
コンリードの甥であるファロウ侯爵がタリッシュの元に来て、「クラッグが暴れている。兵隊の準備をしてくれ」と告げる。しかし タリッシュは冷淡な態度で、「私は王の命令にしか従いません」と拒絶した。村でクラッグが暴れているところへ、農夫とノリックが到着 した。クラッグを操っているのはガリアンだった。農夫とノリック、さらに父から剣を受け取ったバスティアンも、クラッグと戦う。 しかし大勢の村人たちが殺され、ソラナの両親とゼフも犠牲となった。火の見櫓は炎に包まれ、焼け落ちた。
農夫はゼフたちを埋葬した後、ソラナの墓を作ろうとした。するとノリックが「ソラナの亡骸は見つかっていない。上手く逃げたのかも」 と言う。コンリードは親衛隊を率いて村に現れ、戦うよう持ち掛ける。しかし農夫は「クラッグが襲って来た時、王国軍はどこにいた」と 批判。アジエル将軍たちが軍隊への参加者を募るが、農夫は拒んだ。ノリックとバスティアンも彼に同調した。司祭のメリックはノリック を見て、「前に会っているな?」と問い掛ける。農夫はメリックから「王がお前を必要としている。我々の人生より重要なことがあるとは 思わないか」と尋ねられ、「無いね」と答えた。
農夫たちは峡谷に辿り着くが、橋が壊れていた。峡谷を迂回すると時間が掛かりすぎるため、農夫は縄にベルトを通して向こう岸へ渡った 。城に戻ったコンリードは、遊び呆けていたファロウを叱責した。苛立ったファローは、城に入れておいたガリアンに「もう待てない。 何とかしてくれ」と喚く。予定の変更を要求されたガリアンは、荒々しい口調で「分かりました、急ぎましょう」と答えた。彼はムリエラ の部屋に行くが、「ここから出て行って。父が貴方が王の敵だと考えているのに、歓迎できると思うの」と拒絶された。
翌朝、ファロウはコンリードにペコペコと謝罪する態度を示した。タリッシュはコンリードに、クラッグ軍が北の沼地へ向かっていると いう推測を説明した。農夫たちはセジウィックの森に入った。誰もが畏怖する場所だが、農夫は平然と足を進める。そこに森の民である エローラたちが現れ、「森から出て行って。貴方たちの殺戮には耐えられない」と告げる。農夫が「通り抜けたいだけだ」と言うと、彼女 は「抜けたら二度と戻って来ないで」と口にした。農夫が道に迷ったことを明かすと、エローラは仕方なく道案内を承諾した。
ムリエルはコンリードに、「父はどこです」と質問した。「使いに出ている」という答えに、彼女は「父は私を城に閉じ込めておくべきだ と考えていますが、それは間違いです」と語る。コンリードは「この国は魔法の闇に包まれている。その原因を君の父が突き止めようと している」と話した後、意識を失って倒れてしまう。ガリアンが食事に毒を混入していたのだ。何も知らずに同じ食事を食べたファロウも 、苦しんでいた。ガリアンは自分への服従を承諾させて、解毒剤を渡した。
城に戻ったメリックは、王が毒に倒れ、ファロウが部隊の3分の2を率いて城から逃げたことをタリッシュから知らされる。メリックは タリッシュに、「ガリアンがクラッグを軍隊にしたのだ」と告げる。タリッシュが驚いて「どうやって、そんなことが?」と訊くと、彼は ガリアンがムリエルに備わっている力を利用したことを説明した。それを知ったメリックは、ムリエラを激しく叱責していた。
エローラの案内で森を抜けた農夫たちは、クラッグの軍隊を目撃した。農夫たちはクラッグの斥候を倒した。メリックの治療で意識が回復 したコンリードは、反撃のための部隊を準備しろとタリッシュに命令した。農夫たちはクラッグ軍に紛れ、捕まったソラナを発見する。 しかしクラッグに見つかり、捕まってしまった。翌朝、国王軍は出撃した。ノリックとバスティアンはソラナと同じ檻に入れられ、連行 される。農夫は木に縛られ、首吊り状態にされる。反撃して脱出するが、その場で失神してしまう。農夫はメリックに発見され、薬で意識 を取り戻した。
ムリエラが責任を感じて自害を考えていると、侍女がやって来た。「私がバカだから父に迷惑を掛ける」とムリエラが漏らすと、侍女は 「死んでしまっては、もっと迷惑が掛かりますよ」と諭す。ムリエラは父に誇りに思ってもらえるように、戦おうと決意する。メリックは 衰弱している農夫をコンリードの元へ連れ帰り、「彼は貴方の息子です」と告げる。女王の馬係だったノリックが、30年前の大虐殺の際に 戦場で見つけた3歳の子供を村へ連れ帰った。それが農夫だというのだ。
しかし農夫は冷淡な態度で「俺に両親はいない。ここには何の用も無い」と言い、その場を立ち去ろうとする。メリックは「この王国が 滅びたら、君は妻にどんな未来を見せてやれるというんだ」と説く。コンリードはタリッシュたちを引き連れ、ファロウの軍勢がいる場所 へ赴く。ファロウに同行していたバックラー将軍が「我々は陛下に従います」と言い、軍勢は全てコンリードの側に戻った。
タリッシュは兵士たちの前で、クラッグ軍との戦いに向けた演説を行った。そこに農夫が現れ、「俺も戦う」と告げる。森の中で、国王軍 とクラッグ軍の戦闘が開始される。激しい戦いが繰り広げられ、国王軍は森に来たクラッグ軍を全滅に追い込んだ。しかしコンリードは、 ファロウの放った矢によって重症を負い、テントで農夫に看取られて息を引き取った。しかもガリアンは「ただ時間稼ぎをしただけだ」と 余裕を持っており、彼の本拠地には多くのクラッグ軍が残っていた…。

監督はウーヴェ・ボル、原案はジェイソン・ラパポート&ダン・ストロンカク&ダグ・テイラー、脚本はダグ・テイラー、 製作はショーン・ウィリアムソン&ダニエル・クラーク&ウーヴェ・ボル、製作協力はジョナサン・ショア &マイケル・ロッシュ&ピーター・シーラー&ブランドン・ベイカー&ブライアン・C・ナイト、 製作総指揮はチェット・ホームズ&ウォルフガング・ヘロルド&スティーヴン・ヘジェス、撮影はマティアス・ニューマン、編集は デヴィッド・M・リチャードソン、美術はジェームズ・スチュアート、衣装はカーラ・ヘットランド&トニ・ラッター、 アクションコレオグラファーはチン・シウトン、音楽はヘニング・ローナー&ジェシカ・デ・ローイ。
主演はジェイソン・ステイサム、共演はリーリー・ソビエスキー、ジョン・リス=デイヴィス、ロン・パールマン、バート・レイノルズ、 レイ・リオッタ、クレア・フォーラニ、クリスタナ・ローケン、マシュー・リラード、ブライアン・ホワイト、マイク・ドプド、ウィル・ サンダーソン、タニア・ソルニエ、コリン・フォード、 ガブリエル・ローズ、テレンス・ケリー、ミシェル・ハリソン、エヴァ・パドベルグ、ダーレン・シャーラヴィ、アーロン・パール、 マイケル・エクランド、ロン・セルモア、ポール・ウー、スティーヴン・パーク、マーセル・メイラード、ダニエル・ボアロー他。


2002年にGas Powered Gamesが開発したマイクロソフト社のコンピュータ・ゲーム『ダンジョン・シージ』をベースとした作品。
監督は『ブラッドレイン』のウーヴェ・ボル。
農夫をジェイソン・ステイサム、ムリエラをリーリー・ソビエスキー、メリックをジョン・リス= デイヴィス、ノリックをロン・パールマン、コンリードをバート・レイノルズ、ガリアンをレイ・リオッタ、ソラナをクレア・フォーラニ 、エローラをクリスタナ・ローケン、ファロウをマシュー・リラード、タリッシュをブライアン・ホワイトが演じている。ドイツ人の スーパーモデルでシンガーのエヴァ・パドベルグが、ムリエラの侍女役で1シーンだけ出演している。

まず『デス・リベンジ』という意味不明な邦題に引っ掛かってしまう。
そもそも、農夫の目的は復讐よりもソラナの奪還ってのが大きいし、終盤に入ると「新しい国王としてガリアンを倒す」という形になる ので、「リベンジ」ってのは違う感じだし。
とは言っても、なんせウーヴェ・ボル監督作品なので、日本の配給会社の担当者が超テキトーな気持ちで邦題を付けたとしても、それを 責める気にはなれない。
ただ、どうせだったら、もっとZ級テイストがプンプン漂って来るような邦題にしてくれても良かったのに、とは思うよ。

主人公が「ファーマー」と職業で呼ばれているのは無理がある。
これが一匹狼の殺し屋とか、どこから来たのか分からない流れ者とか、そういうキャラなら「名前は無い」という設定でも理解できるよ。
だけどさ、こいつは妻も息子もいるんだぜ。それなのに名前が無いって、有り得ないでしょうに。最初は名前が無かったとしても、呼び名 ってものが付くはずでしょうに。
それが「ファーマー」という設定なのかもしれないが、それでも不自然だぞ。
だって、その辺りにいる連中は、みんな農夫でしょ。そいつの特徴を示すようなコトを呼び名にするはずでしょうが。

コンリードの元に部隊の伝令役が来て「クラッグが襲撃してきました。まるで人間のように戦います」と報告するシーンがあるんだけど、 その時点で何を言っているのか理解できない。一応、戦っている様子が挿入されているんだけど、あまりに1カットが短すぎて、何が 写し出されているのかサッパリ分からない。
で、その後、怪物を倒した農夫にノリックが「おかしいぞ、クラッグは野獣だから鎧や武器は使わないはずだ」と言っているので、農夫 たちが戦っていた怪物がクラッグだということが、ようやく分かるのよね。
あと、「おかしいぞ、クラッグは鎧や武器は使わないはずだ」と言われても、そもそも「普通のクラッグ」が分からないのに、いきなり 「普通じゃないクラッグ」を見せられても、それが異常だということがイマイチ伝わらない。しかも鎧や兜を装着していることによって、 なんか陳腐になってるんだよな。
むしろ、武器とか鎧を使わない方が、モンスターらしさがあって良かったんじゃないかと。

農夫とノリックがクラッグたちと戦う様子と、ソラナが村で家族と過ごしている様子がカットバックで描かれているんだけど、そこを カットバックにしている意味が全く無い。
しかも、その後、村にクラッグの軍勢が来る様子が描かれ、ソラナが鐘を鳴らすので、そこから村が襲撃されるシーンへ雪崩れこむの だろうと思ったら、ムリエラが剣の練習をしているシーンへ移ってしまう。
いやいや、なんちゅうタイミングの悪い場面転換だよ。
あと、クラッグ軍が村を襲撃した後もソラナが鐘を鳴らしているけど、もう無意味でしょ。

クラッグがファンタジーの怪物と言うよりも、ストーム・トルーパーの亜流っぽく見えちゃうんだよな。鎧や兜を着用させることで、逆に ファンタジーっぽさが薄まるという皮肉な結果になっている。
あと、アクションがモッサリしているなあ。クラッグも武器と鎧だから、モンスターにしている意味が弱いし。
で、村でのバトルに長く尺を取って盛り上げようとしているのは分かるけど、アクションに全く魅力が無いので、ただダラダラと長いなあ としか感じない。
ハッキリ言って、退屈になってしまう。

ソラナは殺されるか拉致されるかどっちかだなあと分かるし、家族が皆殺しにされるのも予想できる。だから、ゼフが家を飛び出して 逃げるのを見せるのも、無駄に時間を割いているなあと感じる。
そこは家族と一緒に殺されてくれればいいのに。殺されるシーンを描写しないってのは、アメリカ映画では暗黙のルールだから、それを 守っているのはいいんだけどさ。
ただ、暗転を挟んで、農夫が布に包んだ息子の死体を埋葬するシーンに移ってしまうぐらいなら、いっそのこと「ソラナを助けるために火 の見櫓へ行って、家に戻ったら家族が殺されている」という描写にしておけばいいでしょ。わざわざ妻の両親の家で戦ったり、ゼフが逃げ 出したりというのを描くために時間を割く必要は無い。
もっとサクッと処理しちゃえば良かったのよ。それで5分ぐらいはシェイプアップできるはず。

ソラナがどうなったのかはボンヤリしたまま戦いが終わっているが、そこは「ソラナが連れ去られる」というのをハッキリと描いた方が いい。
コンリードが来た時に村民の一人が「クラッグに連れ去られた者はどうなるんだ」と口にしており、そこで農夫が反応しているけど 、そういう中途半端な形で「妻は連れ去られたに違いない」と農夫が思うよりも、拉致されるのを目撃している方がいいでしょ。
タリッシュがファロウに対して、生意気で冷淡な態度を取るのは不可解だ。相手は王様でないにしても、血の繋がりのある甥なんだから、 それなりの立場にあるわけで。
王様が国を支配している国であるならば、王の血筋にある人間と将軍の上下関係は、かなり厳しいはずだ。幾ら相手を不愉快な奴だと 思っても、そこまで無礼な態度は取れないはず。そんなことをしていたら、将軍の座にいられなくなる可能性が高いし。
「不愉快だけど、仕方なく従っている」ということにしておけばいいのに。

農夫たちが壊れた橋を渡るシーン、緊迫のシーンとして盛り上げるのかと思っていたら、農夫がクールに渡るのを見たノリックがビビって バスティアンがからかうとか、ノリックが渡る途中で止まってバスティアンの元へ戻って川に落するとか、そういうのをユーモラスな テイストで描いている。
農夫が息子を殺され、妻を奪還するために行動を開始したのに、いきなりユーモラスなテイストって、どういう計算なのか。
そこに限らず、この映画にユーモラスなテイストなど要らないよ。

ガリアンがどういうポジションなのかが良く分からない。
魔法使いってのも、どうやらムリエルと付き合っているらしいってのも、序盤で分かる。
でも、王宮の中で何かしらの地位を得ている立場なのか、何の関係も無いのか、その辺りが良く分からない。
序盤の内に、王やメリックがガリアンについて言及し、彼の立場や関係性を観客に説明する箇所を用意した方がいい。
あと、メリックの立場も、王の司祭だと名乗るまではボンヤリしているし。

冒頭では不安を吐露しつつもガリアンには惚れている様子だったムリエラが、次に彼が部屋へ来た時は、完全に嫌っているような拒否姿勢 を示すのは、ものすごく不可解に思える。
その短い間に、何があったのかと。
父親が「王の敵だ」と言ったら、それだけでガラリと態度を変えるのかよ。
しかも、その「メリックがムリエラに、ガリアンは王の敵だと告げる」というシーンが無いのは手落ちでしょ。

アクションシーンに重点を置いているためか、兵隊の数は多いのだが、一方で城の中にいる人間は少ない。
まず妃がいないことに違和感があるし、側近や衛兵の数も少ない。
食事の時も、配膳係や調理担当者の姿が見えない。毒が盛られたのなら、その犯人探しとして、まず最初にそういう連中が怪しまれると いう手順があって然るべきなのだが、そういうことは無い。なぜなら、配膳係や調理担当者が存在しないからだ。
っていうか、ガリアンって魔法使いなのに、王を殺そうとする手口は魔法じゃなくて毒物なのかよ。

なぜファロウに兵隊の3分の2が付いて行くのか、ちょっと理解できない。
タリッシュは「私が命令に従うのは王様だけ」と言っていたが、そのタリッシュが司令官なんでしょ。
で、タリッシュがいないのに、ファロウが勝手に兵隊を動そうとして、それに3分の2の兵隊が付いて行くってのが、ちょっと理解 できない。
あと、クラッグ軍と戦う前には、その連中も王の下に戻るけど、その前には簡単にファロウに付いて行き、王を裏切っていたんだから、 「そんなに忠誠心が弱くて適当な奴ら、当てにならないなあ」としか思えないぞ。

ガリアンが国を滅ぼそうとしており、それに王が対抗するという「国王軍vsガリアン&ファロウ」という対立の図式と、農夫がソラナを 救出しようとする物語が、まるで上手く絡み合っていないんだよね。
ずっとバラバラのままで進行しており、時間が経つに連れ、「国王軍vsガリアン&ファロウ」の方が、どんどん比重がデカくなって いく。そのままじゃマズいってことで、後半に入ると農夫が国王軍と一緒に戦う展開になるんだけど、一緒に戦うことを決める経緯に 説得力が無いし、テンションが高まらない。
まずメリックが農夫に説く「王国が滅びたら、妻にどんな未来を見せてやれるというんだ」という言葉に、説得力の弱さを感じる。しかも 、そこから王様がファロウの元へ行く手順を挟んで、タリッシュが兵隊をアジっているところへ農夫が来て「俺も戦うよ」と言うので、 ますますテンションが下がる。
しかも、その時点では、まだ農夫が王子ってのは兵隊は知らないわけで、そんな奴が急に「参加する」と言い出しても、「ただの農夫」 でしかないでしょ。他の兵隊は歓迎しないだろうし、厄介者扱いされるのが普通じゃないのか。まるで厄介者扱いされていないけどさ。

農夫が王子という設定にするのなら、もう早い段階でそれを明かして、側近はみんな知っている設定にした方がいいのでは。で、農夫に 拒否姿勢を示す奴も用意して、「農夫が何かの時にピンチを救ったり活躍したりして、それによって兵隊を納得させるカリスマ性を発揮 する」という形にでもしておくとかさ。
あと、王子と言っても、戦いの能力に秀でているわけではないんだから、「一緒に戦ってくれ」と誘う意味があるのかと。
彼が一緒に戦ったからって、それが部隊の戦闘能力が一気に上昇するわけでもないでしょうに。鎧や兜は着用していないんだし、「防御力 の弱い兵士が一人増える」ってだけだからね。
例えば国王軍の士気を高めるためのリーダーが必要であり、それを農夫に求めているというのなら、まだ分かるんだけどね。

半分ぐらい経過したところで国王軍とクラッグ軍の戦争が開始されるので、そりゃ早すぎるだろうと思っていたら、それが20分ぐらいで 終了する。
で、もちろん、その後もたっぷりと時間は残っているので、まだ話は続くんだけど、構成のマズさを感じてしまう。
ガリアンもファロウも生き残っているし、人質も救出できていないので、それを解決しなきゃいけないことは分かっているんだけど、 全面戦争でガリアンやファロウも出て来るような形にしておいた方が良かったんじゃないかと。
で、全面戦争に突入する時間帯を、もっと後にズラせば良かったんじゃないかと。

全面戦争の後、セジウィックの森でムリエラがエローラたちに助けられるとか、ファロウが捕まるとか、そういうのを見せられてもなあ。
実質的には、全面戦争がクライマックスになっているんだよな。
コンリードが死ぬ前に農夫に語り掛けるのもダラダラと長いし、「そんなに饒舌に、苦しそうな様子も無く喋れているのに、なんで ポックリと死ぬのか」とツッコミを入れたくなってしまうし。
で、コンリードが死んで、農夫が新しい王としてノリックに紹介され、そして最後の戦いに赴くという流れになるんだけど、そこで テンションが上がる仕掛けになっていない。
さっきまで単なる農夫だった奴が急に偉そうなことを言って「今こそ軍勢を立ちなおして攻撃を再開しよう」と説いても、そこに何の カリスマ性も統率力も感じないのよ。
そこに高揚感を持たせたいのなら、その前の段階で、農夫が兵士たちに忠誠心を持ってもらえるようなモノを行動で示しておく必要がある 。そりゃあ戦いでは活躍していたけど、それは他の兵士たちには伝わらないものだしね。

ムリエラって、何のために最後の戦いに参加したのか、サッパリ分からない扱いなんだよなあ。ほとんど役に立っていないぞ。
一応、ガリアンの攻撃魔法を解いて農夫を助ける時に、一度だけ魔法を使って貢献しているけどさ。
あと、ラストは農夫がガリアンとタイマンで対決しているんだけど、その結末が「ソラナが背後から剣でガリアンを刺して弱らせ、そこを 農夫が倒す」って、なんじゃ、そりゃ。
メリックも軽く殺すぐらいの魔術師が、そんなしょっぱい死に方でいいのかよ。

(観賞日:2012年6月2日)


第29回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低作品賞
受賞:最低監督賞[マイケル・ベイ]
<*『T-フォース べトコン地下要塞制圧部隊』『Postal』『デス・リベンジ』の3作でのノミネート>

ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低助演男優賞[バート・レイノルズ]
<*『Deal』『デス・リベンジ』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低助演女優賞[リーリー・ソビエスキー]
<*『88ミニッツ』『デス・リベンジ』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低スクリーンカップル賞[ウーヴェ・ボル&俳優、カメラ、脚本のどれでも]

 

*ポンコツ映画愛護協会