『ハドソン・ホーク』:1991、アメリカ
1481年、レオナルド・ダ・ヴィンチはミラノの王様の指示により、馬の彫刻“スフォルツァ”を作ることになった。ダ・ヴィンチは鉛を青銅に変える機械を発明するが、なぜか金が出来てしまった。それは機械の中核となるプリズムの仕業だった。
それから500年後、天才的な大泥棒ハドソン・ホークが刑務所から出所した。マフィアのマリオ兄弟に脅された彼は、相棒のトミー・ファイヴ=トーンと共にスフォルツァを盗み出す。マリオ兄弟の元に行くと、執事アルフレッドがスフォルツァを待っていた。
翌日、ホークとトミーは、スフォルツァが警備員の手で守られ、盗まれずに済んだという新聞記事を目にする。スフォルツァが出品されるというオークションに出掛けたホークは、そこでバチカンの鑑定人アンナ・バラグリと出会った。
競売に掛けられたスフォルツァは贋物のはずだが、なぜかアンナは本物だと鑑定する。競り落としたのはダーウィンとミネルヴァのメイフラワー夫妻だったが、いきなり爆発事故が発生し、スフォルツァは跡形も無く破壊されてしまった。
CIAのジョージ・カプランと菓子の名前をコードナンバーにした部下達が、ホークに接触してきた。気絶させられたホークが正気を取り戻すと、そこはローマであった。目の前に現れたアルフレッドによって、ホークはメイフラワー夫妻の元へ連れて行かれる。
ホークはメイフラワー夫妻に脅され、ダ・ヴィンチのノートを盗み出した。バチカンの諜報員だったアンナはホークに睡眠薬を飲ませて眠らせ、カプランがノートを手に入れる。さらにカプランは、ダ・ヴィンチの模型ヘリを盗むことをホークに要求する。
スフォルツァ、ノート、模型ヘリには、それぞれダ・ヴィンチが金を作り出した機械のプリズムのピースが隠されていた。それを全て集めることが、メイフラワー夫妻の狙いだったのだ。トミーの協力で逃げ出したホークだが、アンナが誘拐されてしまう…。監督はマイケル・レーマン、原案はブルース・ウィリス&ロバート・クラフト、脚本はスティーヴン・E・デ・スーザ&ダニエル・ウォーターズ、製作はジョエル・シルヴァー、共同製作はマイケル・ドライハースト、製作協力はデヴィッド・ウィリス&スザンヌ・トッド、製作総指揮はロバート・クラフト、撮影はダンテ・スピノッティー、編集はクリス・レベンゾン&マイケル・トロニック、美術はジャクソン・デゴヴィア、衣装はマリリン・ヴァンス=ストレイカー、音楽はマイケル・ケイメン&ロバート・クラフト。
主演はブルース・ウィリス、共演はダニー・アイエロ、アンディ・マクドウェル、ジェームズ・コバーン、リチャード・E・グラント、サンドラ・バーンハード、ドナルド・バートン、ドン・ハーヴェイ、デヴィッド・カルーソ、アンドリュー・ブリニアースキー、ロレイン・トゥーセイント、バート・ハリス、フランク・スタローン、カーマイン・ゾゾーラ他。
ブルース・ウィリスが暖めていた企画を映画化したアクション・コメディー。
ハドソン・ホークをブルース・ウィリス、トミーをダニー・アイエロ、アンナをアンディ・マクドウェル、カプランをジェームズ・コバーン、ダーウィン&ミネルヴァのメイフラワー夫妻をリチャード・E・グラントとサンドラ・バーンハードが演じている。さて、冒頭。
いきなり意味ありげに登場した男が、単なる通行人だったというギャグから始まる。
ダ・ヴィンチが、出っ歯のモナリザを描いているというシーンなんかも登場。
最初に、これがシリアスな作品じゃないことを観客に知らしめておく。
そして、我らがハドソン・ホーク様の登場だ。ハドソン・ホークは、根っからの泥棒だ。
出所した時には「もう足を洗う」と言っていたのに、マリオ兄弟に命令されると、別に弱みを握られてるわけでもないのに早速、盗みを行う。
口では文句を言ったりしているが、やっぱり泥棒稼業が好きなのである。ハドソン・ホークは、とても素敵な男だ。
彼は、どんな時でもユーモアを忘れない。
犯行時間は、歌を歌って確認する。
もちろん、相棒のトミーも一緒に歌う。
いつの間にか盗みを忘れるぐらい、ノリノリで歌い踊ってる。
周囲を脱力させるほどの軽いノリこそ、ハドソン・ホークの持ち味だ。他の登場人物も、ユーモアを忘れない。
メイフラワー夫妻も、夫妻の部下も、アルフレッドも、カプランも、アンナも、彼の部下達も、マリオ兄弟も、みんなジョークたっぷりで自己主張。
ヌイグルミを階段の手摺りに何度も叩き付ける少女なんて、わずかな登場時間にも関わらず、ジョークたっぷりで強い自己主張を見せる。
大勢のキャラクターを整理できるかどうかなんて、知ったこっちゃない。ハドソン・ホークと仲間達は、みんな楽しい連中だ。
徹底的に遊びまくって、筋書きさえも飛び越える。
観賞して面白いかどうかなんて、彼らには関係が無い。
そしてハドソン・ホークは、人々から映画の観賞時間を盗んで去って行った。
第12回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞:最低作品賞
受賞:最低監督賞[マイケル・レーマン]
受賞:最低脚本賞ノミネート:最低主演男優賞[ブルース・ウィリス]
ノミネート:最低助演男優賞[リチャード・E・グラント]
ノミネート:最低助演女優賞[サンドラ・バーンハード]第20回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:1990年代最低作品賞
第14回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:最悪作品賞