『D.N.A.』:1996、アメリカ

時は2010年。国連弁護士のエドワード・ダグラスの乗った飛行機は南太平洋に墜落してしまった。命は助かったものの、たった1人でジャワ海をゴムボートで漂流していたダグラスは、国籍不明の貨物船オンバク・ペナーリ号に乗るモンゴメリーという男に救出された。
貨物船に乗ったダグラスは、ある孤島に到着した。その島の主はモロー博士。ノーベル賞を受賞した後、行方不明となっていた天才遺伝学者だ。モンゴメリーによって軟禁されたダグラスだが、獣のうめき声を聞いて部屋を飛び出す。
叫び声がしたのはモロー博士の研究室だった。そこでは博士やモンゴメリー達が人間と動物の配合手術を行っていたのだ。逃げ出したダグラスを追っ手から助けようとしたのは、猫族と人間の混血であるアイッサだった。
しかしダグラスの逃走劇は失敗に終わり、彼は連れ戻されてしまった。その翌日、掟を破って肉を食べた獣人ローメイがに射殺された。しかし、そのことをきっかけに、獣人達はモロー博士への怒りを爆発させようとしていた…。

監督はジョン・フランケンハイマー、原作はH・G・ウェルズ、脚本はリチャード・スタンリー&ロン・ハッチンソン、製作はエドワード・R・プレスマン、製作総指揮はティム・ジンネマン&クレア・ラドニック・ポルスタイン、撮影はウィリアム・A・フレイカー、編集はポール・ルーベル、美術はグラハム・“グレイス”ウォーカー、衣装はノーマ・モリシュー、特殊効果はスタン・ウィンストン、音楽はゲイリー・チャン。
出演はマーロン・ブランド、ヴァル・キルマー、デヴィッド・シューリス、ファイルーザ・バルク、ロン・パールマン、マルコ・ホフシュネイダー、テミュエラ・モリソン、ウィリアム・ホートキンス他。


H・G・ウェルズの古典SF小説「ドクター・モローの島」の3度目の映画化。
1933年の『獣人島』ではチャールズ・ラフトン、1977年の「ドクター・モローの島」ではバート・ランカスターが演じたモロー博士を、今回はマーロン・“金が貰えりゃ何でもやるぜ”・ブランドが演じている。

とにかくマーロン・ブランドの突き抜けてしまった芝居を楽しむべきだろう。なぜか白塗りオバケで大仰な芝居を見せるブランド。貫禄を感じさせる彼の存在感には、笑っていいのかどうなのか、判断に困ってしまう。
とりあえず苦笑しておくことにしよう。

モロー博士の子供達、すなわち獣人達が笑顔で自己紹介。「よろしく」なんて言って愛想を振りまく。見た目は獣人だけど、人間と全く変わらない生活を送っている。本も読むしピアノも弾くよ。しかし、別に怪物ホームコメディではない。たぶん。
真剣に作られた縫いぐるみショーかな。たぶん。

スタン・ウィンストンが特殊メイクを担当した獣人は確かに良く出来ている。まるで人間みたいだ。というか、人間だ。獣人として生きている哀しみや、博士のエゴによって作り出されてしまった怒りを細かい表情の変化で示す。でも、なんか笑える。
だって縫いぐるみショーなんだもん。


第17回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低助演男優賞[マーロン・ブランド]

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ジョン・フランケンハイマー]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低助演男優賞[ヴァル・キルマー]
<*『ゴースト・アンド・ダークネス』『D.N.A.』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低スクリーンカップル賞[マーロン・ブランド&繕いものをする獣人]


第19回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の助演男優】部門[マーロン・ブランド]

ノミネート:【最悪のヘアスタイル】部門[マーロン・ブランド]

 

*ポンコツ映画愛護協会