『沈黙の要塞』:1994、アメリカ

アラスカ・イヌイット湾にあるエイジス石油会社の採掘所で火災が発生した。石油火災の専門家であるフォレスト・タフトが出動し、何とか被害を最小限に食い止めることに成功。だが彼は、事故の真相を調べる中で不審を抱き始める。
やがてフォレストは、その火災がジェニングス社長が利益追求を優先して安全管理に投資してこなかった結果だと気付く。さらにジェニングスは、アラスカの先住民族であるイヌイットを迫害し、自然環境も破壊していたのだった。
エイジス石油会社の秘密を知ったフォレストの同僚は、ジェニングスの用心棒マッグルーダー達によって殺された。彼らはフォレストの命も狙ってくる。自分を助けてくれたエスキモーの老首長も殺され、怒りに燃えるフォレストは、エイジス石油会社に戦いを挑む…。

監督はスティーヴン・セガール、脚本はエド・ホロウィッツ&ロビン・U・ラッシン、製作はスティーヴン・セガール&A・キットマン・ホー&ジュリアス・R・ナッソー、製作総指揮はロバート・ワッツ&ジェフリー・ロビノフ、撮影はリック・ウエイト、編集はロバート・A・フェレッティー&ドン・ブロチュ、美術はウィリアム・ラッド・スキナー、衣装はジェセフ・G・オーリシ、音楽はベイジル・ポールドゥリス。
出演はスティーヴン・セガール、マイケル・ケイン、ジョアン・チェン、ジョン・C・マッギンレー、R・リー・アーメイ、シャリ・シャタック、ビリー・ボブ・ソーントン、リチャード・ハミルトン、チーフ・アーヴィン・ブリンク、アパングラク・チャーリー・カイライウアク、エルジー・ピストルヘッド、ジョン・トルーデル、マイク・スター、スヴェン・オーレ=トールセン、ジュールス・デスジャーライス、モーゼス・ワシリー他。


スティーヴン・セガールの初監督作品。「沈黙」シリーズと呼ばれていたりするが、『沈黙の戦艦』とは何の関係も無い。邦題をつけたのが誰だか知らないが、そういうセンスなのね。
で、そのせいで本来の『沈黙の戦艦』の続編『暴走特急』が、沈黙シリーズ第3弾にされちゃってる。そんなバカな。

『沈黙の戦艦』『ターミネーター2』などの“爆破の専門家”T・L・フィッシャーが3,000万ドルを投じて描いた要塞大爆破シーンが見せ場らしい。マジな話、爆破シーンとセガールの格闘シーンしか見るべき点が無い。
他は散々な出来映え。

話は面白くないし、展開もスリルや緊張感に欠ける。悪役のマイケル・ケインも、『沈黙の戦艦』のトミー・リー・ジョーンズほどのインパクトを与えられない。
私はてっきりセガールが誰かと戦うのがクライマックスだと思っていたが、違っていた。まあ、マイケル・ケインと格闘アクションをするわけにもいかんしね。

マイケル・ケインも存在感が薄いんだけど、ヒロインのはずのジョアン・チェンも影が薄い。というか、何のために出て来たのか分からん。魔術の使い手として登場したエスキモーの老首長も存在価値が良く分からん。
彼の魔術が物語に効果をもたらすことがあったかなあ?記憶に無いぞ。

それと、この映画、実は環境保護を声高に主張する作品である。ラストシーンでセガールが「自然を大切にね」なんて説教するのだが、それが妙に胡散臭い。しかも唐突。
よって、日本の総理大臣の演説よりも、さらに説得力が無い。

別に環境問題に感心があるのは構わないよ。でもさ、こんな映画に注ぎ込む金があるのなら、そっくりそのまま自然保護団体にでも寄付した方がイイと思うんだけど。アクション映画の中に、環境保護のメッセージを強引に入れ込んでもなあ。


第15回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低監督賞[スティーヴン・セガール]

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[スティーヴン・セガール]
ノミネート:最低主演女優賞[ジョアン・チェン]
ノミネート:最低オリジナル歌曲賞「Under The Same Sun」

 

*ポンコツ映画愛護協会