『薔薇の素顔』:1994、アメリカ

ビル・キャパはニューヨークの精神分析医。患者が目の前で飛び降り自殺をして以来、赤い色に拒絶反応を示すようになっていた。心身の疲労に悩んだキャパは、ロサンゼルスに住む同じ精神分析医の友人ボブを訪れることにした。
ボブは毎週月曜日に5人の患者に対する集団セラピーを行っているのだが、その患者の中の誰かに命を狙われているとキャパに告げる。そして数日後、ボブは何者かに殺されてしまう。一方、キャパはローズという謎めいた女性と出会い、心を奪われる。
キャパは事件の真相を探るため、ボブの行っていた治療を引き継ぐことにした。集団セラピーを受けていた患者は、情緒不安定な女性サンドラ、自閉症で失語症のリッチー、妻子を強盗に殺されたことから立ち直れないバック、被害妄想気味の若者ケイシー、潔癖症の弁護士クラークの5人。
ボブの家に住み始めたキャパに、何者かの嫌がらせが始まる。そんな中、キャパはローズと再会する。何かに怯えている様子のローズと、キャパは激しく体を求め合う。ある日、事件の秘密を教えると言われてケイシーの家を訪れたキャパは、そこでケイシーの死体を発見する…。

監督はリチャード・ラッシュ、原案はビリー・レイ、脚本はビリー・レイ&マシュー・チャップマン、製作はバズ・フェイトシャンズ&デヴィッド・マタロン、共同製作はデヴィッド・ウィリス&カーマイン・ゾゾーラ、製作総指揮はアンドリュー・G・バイナ、撮影はディートリッヒ・ローマン、編集はジャック・ホフストラ、美術はジェームズ・L・ショッペ、衣装はジャクリーン・G・アーサー、音楽はドミニク・フロンティーア。
出演はブルース・ウィリス、ジェーン・マーチ、ルーベン・ブラデス、レスリー・アン・ウォーレン、スコット・バクラ、ブラッド・ダーリフ、ランス・ヘンリクセン、ケヴィン・J・オコナー、アンドリュー・ロウリー、エリック・ラ・サル、ジェフ・コーリー、キャスリーン・ウィルホイト、シャーリー・ナイト、ジョン・バウアー他。


ブルース・ウィリスとジェーン・マーチの過激なラブシーンが話題となった作品。
ジェーン・マーチは1992年の映画デビュー作『愛人(ラマン)』でも大胆なセックスシーンを演じており、今作品をきっかけにブルース・ウィリス・プロダクションの社長カルミネ・ゾッツォーラと結婚している。

2人のラブシーンは、あまりに過激ということでアメリカでは大幅にカットして再編集され、R指定で公開された。自分のチンポコが映っている場面をカットされたブルース・ウィリスは、「女は大丈夫で男のチンポコがNGとはどういうことだ」と怒ったりした。

そんなわけで、この映画は建て前としては「エロティックなサイコ・サスペンス」なのだが、本当はショボくれたエロ映画である。何しろサスペンスの部分がデタラメすぎて、謎として成立していない。
基本の設定に無理がありすぎるのだ。

入り組んだ人間関係はただ複雑なだけで、赤色への恐怖や多重人格など意味ありげな要素は上手く消化できず、犯人の行動も事件の真相もメチャクチャだし分かりにくい。
疑問は多いが、その疑問を解決してほしいと思わないほどデタラメ度数が高い。

多重人格が重要なポイントになるが、男装したり派手な化粧をしたりしても、同一人物だというのはすぐに分かってしまう。だから謎が謎として成立していない。
こんな映画でも、なんと140分の“オリジナル・ディレクターズ・カット”バージョンがあったりする。もちろん、全く見たいとは思わない。


第15回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低作品賞

ノミネート:最低監督賞[リチャード・ラッシュ]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[ブルース・ウィリス]
<*『薔薇の素顔』『ノース 小さな旅人』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低主演女優賞[ジェーン・マーチ]
ノミネート:最低助演男優賞[リッチー役のジェーン・マーチ]
ノミネート:最低助演女優賞[レスリー・アン・ウォーレン]
ノミネート:最低スクリーン・カップル賞[出演する任意の2人の役者の組み合わせ]
ノミネート:最低オリジナル歌曲賞「The Color Of The Night」


第17回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の男優】部門[ブルース・ウィリス]
<*『薔薇の素顔』『ノース 小さな旅人』の2作での受賞>

ノミネート:【最悪の女優】部門[ジェーン・マーチ]

 

*ポンコツ映画愛護協会