『ボールズ・ボールズ2/成金ゴルフマッチ』:1988、アメリカ
ケイト・ハートゥニアンはミシガン大学からラドクリフ大学に転校し、親しくなったミフィー・ヤングやトッド・ヤングに誘われて一緒にブッシュウッド・カントリークラブでゴルフを楽しんだ。ミフィーは大学生でキャディーのハリーに、ルート・ビアを買って来るよう頼む。ハリーは売店まで遠いので文句を言いながらも、仕方なく走った。彼がルート・ビアを買って戻って来ると、ミフィーは一口飲んだだけで缶を置いた。
カントリークラブの息子であるトッドはハリーに「ウチは50台のゴルフカートを買った。もうキャディーは要らない」と語り、クビを通告した。ミフィーはケイトに、「貴方のパパも会員になって、一緒にプレーしましょうよ」と告げた。ケイトの父であるジャックは建設会社を営んでおり、クラブの近くでアパートを建設中だった。史跡保存協会のシンシアたちがジャックの元を訪れ、市が決定を下すまで裁判所から建物の取り壊し中止命令が出たことを伝えた。
協会が取り壊しを阻止しようとしているのは、70年の歴史を持つ小さな馬車置き場だった。ジャックは「ただの小屋だ」と怒って反論し、「ずっと眠ったままの土地だった。それを俺が買い上げて安いアパートを建ててる。貧乏人が済むのは気に入らないんだろ」と言い放つ。彼はビジネス・パートナーのレイエットにブルドーザーで威嚇させ、シンシアたちを追い払った。ケイトはジャックに、クラブ会員になるよう頼んだ。上流階級を嫌悪するジャックにその気は無かったが、娘のために承諾した。
ジャックはケイトに連れられてクラブへ赴き、タイ・ウェッブに声を掛けた。タイから会員になりたいのかと問われた彼は、「娘のためだ。俺はゴメンだ」と言う。タイはジャックをロッカールームへ案内し、会員のジェイミソンやチャンドラーたちに紹介した。コースに出たチャンドラーは、ジャックに姪のエリザベスを紹介した。チャンドラーの妻がシンシアと知り、ジャックは顔をしかめた。シンシアは一緒にプレーするのを嫌がるが、チャンドラーが「ミフィーに約束した。史跡を守れるかもしれん」と説得した。
ジャックはエリザベスを口説き、すぐに仲良くなった。彼が改造したクラブでマナーを無視したプレーを繰り返すので、シンシアは苛立ちを隠せなかった。チャンドラーはジャックから「私は会員になれるかな」と問われ、「君次第だ。世の中は持ちつ持たれつだ」と答えた。彼が「土地問題は弁護士に任せよう」と提案すると、ジャックは了承した。ジャックの顧問弁護士を務めるピーター・ブラントは事務所を訪れたトッドに脅しを掛けて追い払い、聴聞会が開かれることをジャックに話した。
チャンドラーはジャックを障害馬術に誘い、腕前の違いを見せ付けようと目論んだ。しかし彼は調子に乗ったせいで落馬し、ジャックは障害を見事に飛び越えた。カントリークラブでパーティーが開かれ、ジャックはケイトと共に参加してテッドを紹介された。バンドの演奏が始まり、参加者がフロアで踊り始めた。しかしジャックはエリザベスを誘ってノリノリで踊ると、他の面々は引いてしまった。庭に出たケイトはハリーを見つけ、上流の仲間に入りたいのだと語った。
クラブでは奴隷オークションが始まり、最初にシンシアが競売対象となった。オークションの目的はチャリティーであり、本当に奴隷扱いするわけではない。競り落とした人は奴隷を家に連れ帰って掃除や庭仕事をしてもらい、ランチを御馳走して終わりになることをジャックはエリザベスから教えてもらった。彼はチャンドラーから、「会員の希望だ。今後、君にはクラブへの出入りしてほしくない」と言われた。ジャックは仕返しとして全ての奴隷を高額で競り落とし、建設現場で働かせた。
チャンドラーは腹を立て、仲間たちにジャックを追い出すための協力を要請した。ジャックは市から工事を中止され、建設現場には資材も電気も届かなくなった。憤慨したジャックはタイの元へ行き、「仕返しにクラブを買いたいから株を売ってくれ」と持ち掛けた。タイは気付いていなかったが、亡き父がクラブの株を53%も保有していたのだ。タイから株を買い取ったジャックはチャンドラーたちの元へ乗り込んで「特権階級を持つ連中が問題だ」と非難し、クラブを一般に開放すると宣言した。
ジャックはカントリークラブを安っぽい遊園地のように改装し、ゴルフコースは全く別物になってルールも無視された。チャンドラーは元海兵隊員のトム・エヴェレット大尉と会い、ジャックを徹底的に叩きのめすよう依頼した。ジャックはケイトからクラブの改装を批判されて激怒し、「出て行け。もう家族じゃない」と言い放った。チャンドラーは市からアパート建設中止命令を取り付け、書類をジャックに突き付けた。ジャックとチャンドラーが喧嘩を始めるとタイが仲裁し、2対2のゴルフ勝負で決着を付けるよう促した…。監督はアラン・アーカッシュ、キャラクター創作はブライアン・ドイル=マーレイ&ハロルド・ライミス&ダグラス・ケニー、脚本はハロルド・ライミス&ピーター・トロクヴェイ、製作はニール・キャントン&ピーター・グーバー&ジョン・ピーターズ、撮影はハリー・ストラドリング、美術はウィリアム・F・マシューズ、編集はバーナード・グリッブル、衣装はメイ・ルース、視覚効果監修はマイケル・オーウェンズ、音楽はアイラ・ニューボーン、音楽監修はマイケル・ディルベック。
出演はジャッキー・メイソン、ロバート・スタック、ダイアン・キャノン、チェヴィー・チェイス、ダン・エイクロイド、ランディー・クエイド、ダイナ・メリル、ジョナサン・シルヴァーマン、ブライアン・マクナマラ、マーシャ・ウォーフィールド、ポール・バーテル、ジェシカ・ランディー、チャイナ・フィリップス、トニー・モッカス、ペペ・セルナ、マイケル・J・ハワード、ビビ・オスターウォルド、ドン・ドレイパー、テッド・ハートリー、アンドレ・“ロージー”・ブラウン、カルロス・セルヴァンテス、デニス・ボーウェン、マーク・クリストファー・ローレンス、ケニー・ダキーラ、シド・コンラッド、ベン・ハーティガン他。
1980年の映画『ボールズ・ボールズ』の続編。ただし舞台が前作と同じブッシュウッド・カントリークラブというだけで、物語としては全く繋がりが無い。
監督は前作のハロルド・ライミスから『ハートビープス/恋するロボットたち』『ゲット・クレイジー』のアラン・アーカッシュに交代。
脚本は前作から続投のハロルド・ライミスと、『天才アカデミー』『私立ガードマン/全員無責任』のピーター・トロクヴェイによる共同。
前作から続投しているキャストは、タイ役のチェヴィー・チェイスのみ。ジャックをジャッキー・メイソン、チャンドラーをロバート・スタック、エリザベスをダイアン・キャノン、トムをダン・エイクロイド、ピーターをランディー・クエイド、シンシアをダイナ・メリル、ハリーをジョナサン・シルヴァーマン、トッドをブライアン・マクナマラ、ロイエットをマーシャ・ウォーフィールド、ジェイミソンをポール・バーテル、ケイトをジェシカ・ランディー、ミフィーをチャイナ・フィリップスが演じている。「続投キャストはチェヴィー・チェイスのみ」と前述したが、厳密に言うとハリボテモグラのゴーファーも続投している。
前作から8年も経過しているのに、ゴーファーのチープさは前作から何も変わっていない。
台詞を喋るトコだけは進化しているけど、見た目とカクカクした動きは全く同じだ。ちなみに声を担当しているのは、フランク・ウェルカー。
今回は酒好きの設定になっており、冒頭ではミフィーが遺したビールを飲んで「ルートビア」と口にする。パーティーのシーンでは、忍び込んでワインを飲んで酔っ払う。タイは自分でも気付かない内にカントリークラブのオーナーになっているが、1作目の物語とは全く繋がりを持たせていない。前作に登場した面々のことは、台詞で触れることさえ皆無。
っていうかザックリ言うと、続編じゃなくて前作の焼き直しみたいな作品になっている。
クラブのボスは高慢で嫌な奴で、解放的な姪がいる。近所でアパートを建設している成金の建設業者がいて、無作法を繰り返して会員たちに迷惑を掛ける。
クラブでは大学生の青年キャディーが働いているが、クビになる。クラブのボスと建設業者は険悪な関係で、そこでの戦いが勃発する。建設業者とクラブの社長が喧嘩になると、タイが仲裁に入る。2対2のゴルフ勝負で決着を付けることになり、タイは建設業者の味方になる。
対決が始まると、大学生キャディーが建設業者のチームとしてプレーする。そのキャディーの活躍で、建設業者チームが勝利する。
その対決シーンと、人間とゴーファーの戦いが並行して描かれる。最後はゴーファーを始末しようと目論んでいた人間がヘマをしたせいで、爆発が発生する。
そんな感じで、色んな設定が前作と似ている。シリーズ2作目だから、前作の要素を踏襲する部分があるのは一向に構わない。でも、この映画がやってることは違うなあ。
むしろ、引き継ぐべきじゃない展開まで引き継いでいる。前作から登場人物をゴッソリと入れ替えて話の関連性も持たせていない中で、キャラ配置だけ似せているわけだし。
まるで『ボールズ・ボールズ』に便乗したバッタモンみたいになっちゃってんのよ。
もちろんバッタモンじゃなくて正規の続編だけど、やる気が無くて手抜きしたのかと言いたくなるような脚本だ。前作でもそうだったんだけど、とにかく製作サイドとしては「日常的にゴルフを楽しむような上流階級の連中はクソどもで、中産階級に嫌がらせされても当然」という構図を作りたいらしい。
そりゃあチャンドラーたちは、お世辞にも性格が良いとは言えない。いけ好かない連中であることは確かだ。
だけどジャックだって、決して褒められたモンじゃないのよ。こっちはこっちで、あまりにも無作法が過ぎるし、失礼な言動も多い。
ところが、こっちは「上流階級じゃない」ってだけで、全面的に肩を持っているのだ。ちゃんと丁寧に作れば、「鼻持ちならない上流階級の連中を、中産階級や貧乏人がギャフンと言わせる」という、スカッとできるようなコメディー映画に仕上がった可能性は充分に考えられる素材なのだ。
ところがジャックのキャラ造形を大きく間違えているせいで、目クソ鼻クソの醜い争いになっている。
そして、その愚かしくて醜い争いを、ガハハと能天気に笑えるように仕上げているわけでもない。
私は決して、前作のシナリオが良く出来ていたとは、これっぽっちも思っちゃいない。実際、ポンコツ判定を下しているぐらいだからね。
でも、この続編に比べれば、二番煎じではないだけ少しはマシだ。前作ではビル・マーレイ演じるカントリークラブのグリーンキーパーが、ゴーファー人形を退治しようとするパートが用意されていた。今回はビル・マーレイが続投しておらず、ゴーファー退治を命じられるスタッフもいない。
それに代わって、ジャックの排除を狙うトムというキャラクターが後半から登場する。
ただ、何度も失敗を繰り返すのは前作と同じだが、相手がゴーファーじゃないという大きな違いがある。
前作でマシだったのは「ビル・マーレイとゴーファーの対決」という部分なので、そこは引き継いでも良かったのに。ゴルフ対決のシーンでは、トムが邪魔なゴーファーを退治しようとする展開がある。そこで急に攻撃対象がジャックからゴーファーへ移るわけだ。
これによって、前作と全く同じ状況が出来上がる。
いや人間とゴーファーの「トムとジェリー」的な対決は大きく扱ってもいいと思うけど、その内容に関しては、もうちょっと丁寧に練ろうよ。突貫工事で慌てて作ったのならともかく、8年ぶりの続編なんだし。
その対決に関しては、前作より劣化しているぐらいだぞ。
推敲の作業とか全くやらず、ノリと勢いだけで作っちゃったのかと。(観賞日:2025年12月17日)
第9回ゴールデン・ラズベリー賞(1988年)
受賞:最低助演男優賞[ダン・エイクロイド]
ノミネート:最低作品賞
受賞:最低オリジナル歌曲賞「Jack Fresh」
ノミネート:最低主演男優賞[ジャッキー・メイソン]
第11回スティンカーズ最悪映画賞(1988年)
受賞:作品賞