『ボレロ/愛欲の日々』:1984、アメリカ
マックは親友のカタリーナとルドルフ・ヴァレンティノの主演映画を観賞し、彼への熱情を語り合った。マックが劇場から出て来ると、2人の男が見とれた。翌日に寄宿学校の卒業を控えるマックは、カタリーナに「自由にやれる。待ってた時が来たのよ」と嬉しそうに話す。彼女は「でも男性のことは何も知らない。パリへの卒業旅行は取り止めましょう」と提案し、「モロッコの砂漠をシークに抱かれながら、馬で駆け回るの。夜はエクスタシーの勉強」と語った。
翌日、卒業式を終えたマックは、運転手のコットンに車を停めてもらった。彼女は「ずっとやりたいことがあったの」と言い、寄宿舎の女子生徒たちに向かって裸を見せ付けた。マックの亡き父の弁護士であるロバート・スチュワートが、その様子を眺めていた。コットンはロバートに気付き、マックにショールを羽織らせた。マックはカタリーナ、コットンと共にモロッコへ行き、仲介人からシークを紹介してもらった。彼女が「貴方に処女を捧げるために来ました」と言うと、シークは宮殿へ来るよう誘う。マックが「砂漠のテントの中がいい」と告げると、シークは飛行機で発つことを語った。
マックはシークと共に、飛行機で砂漠を飛び立った。戻って来た彼女は、カタリーナに自身の体験を詳しく語る。彼女はヴァレンティノが馬でヒロインをさらうシーンを再現してほしいと、シークに頼んだ。しかしシークは乗馬が苦手で、まるで上手く行かなかった。彼は英国で生まれ育ってオックスフォード大学を卒業しており、砂漠に来たのは3度目だったのだ。夜、マックがテントで裸になると、シークは彼女の体に蜂蜜を垂らして舐めた。しかし変な煙草を吸ったせいて眠り込み、マックはセックスできずに終わった。
マックはスペインに移動し、闘牛士のアンヘルに目を付けた。彼女は教会へアンヘルを追って話し掛け、夕食に誘われた。マックは彼と親しい少女のパロマに近付き、手鏡を贈って取引した。パロマはアンヘルが幼馴染のナティーと一緒にいる温泉へ、マックを連れて行く。ナティーはマックにライバル心を見せ、「彼と寝るのは私よ。誰にも渡さない」と告げた。パロマはナティーが14歳からアンヘルと一緒にいること、もうアンヘルの気持ちが離れていることをマックに話し、「次に彼と寝るのは私」と告げた。
次の日、マックはアンヘルが逃げた牛を連れ戻しに山へ向かったと知り、コットン&カタリーナ&パロマと共に車で追い掛けた。アンヘルはマックから「馬が欲しい」と言われると、「ワインや牛なら売るが、馬は絶対に売らない」と告げた。マックはバロマから情報を入手し、カタリーナと2人でアンヘルが通うアヘン屋敷へ遊びに出掛けた。マックとキャットはアヘンを吸い、アンヘルが来ていることをマダムから聞いて部屋に赴いた。
マックとカタリーナはアンヘルの案内で、彼が所有するワイン貯蔵庫へ赴いた。大量のワイン樽を見たカタリーナは、マックに全て購入するよう勧めた。「私が売り捌くから」と言われたマックは快諾し、アンヘルに取引を持ち掛けた。アンヘルは銀行が見積もった額で売ることを約束し、カタリーナが銀行担当者との交渉に赴いた。マックはアンヘルと馬に乗り、浜辺へ出掛けた。夜、アンヘルがマックと一緒にいると、ナティーが来て連れ出した。彼女はアンヘルが馬を売ったと決め付けて「殺してやる」と喚き、ナイフを取り出した。アンヘルはナイフを取り上げ、彼女を帰らせた。
アンヘルはマックから体験談を聞き、「俺に処女を捧げる気は無いか」と持ち掛けた。マックが快諾すると、アンヘルは夜明けに来るので寝室で待つよう告げた。翌朝、マックはアンヘルと肉体関係を持ち、「もう処女じゃない」と喜んだ。闘牛に参加したアンヘルは、牛の角で股間を突き刺された。命は助かるが、医師からは性的機能が戻らない可能性が高いと宣告された。それでもマックはアンヘルとの関係を続けようと考え、彼にプロポーズする。しかし気持ちが落ちているアンヘルは、「今の僕には資格が無い」と漏らした…。脚本&監督はジョン・デレク、製作はボー・デレク、製作総指揮はメナハム・ゴーラン&ヨーラン・グローバス、製作協力はロニー・ヤコヴ、撮影はジョン・デレク、美術はアラン・ロデリック=ジョーンズ、音楽はピーター・バーンスタイン、音楽監修&指揮はエルマー・バーンスタイン、ラブシーン作曲はエルマー・バーンスタイン。
主演はボー・デレク、共演はジョージ・ケネディー、アンドレア・オキピンティー、アナ・オブレゴン、オリヴィア・ダボ、グレッグ・ベンセン、イアン・コクラン、ミルタ・ミラー、ミッキー・ノックス、ポール・ステイシー、ジェームズ・ステイシー他。
『ファンタジー』『類猿人ターザン』のジョン・デレクが脚本&監督を手掛け、妻のボー・デレクが主演を務めた作品。
2人が監督と主演でコンビを組むのは、『ファンタジー』『類猿人ターザン』に続いて3作目。
マックをボー・デレク、コットンをジョージ・ケネディー、アンヘルをアンドレア・オキピンティー、カタリーナをアナ・オブレゴン、パロマをオリヴィア・ダボ、シークをグレッグ・ベンセン、ロバートをイアン・コクラン、エヴィータをミルタ・ミラーが演じている。
オリヴィア・ダボは、これがデビュー作。「なぜマックがエキゾチックな場所で暮らす男性とのセックスを求めるのか」という理由については、冒頭のシーンが説明の意味を持っている。
粗筋でも書いたようにマックはルディー・ヴァレンティノに憧れているのだが、彼の主演作に関連しているのだ。
ルディーは映画『シーク』でアラブ系の族長、『血と砂』ではスペイン人の闘牛士を演じており、だからマックはシークや闘牛士を逆ナンしているのだ。
とても分かりやすく、そして安っぽくて浅薄な女性なのだ。「寄宿学校を卒業したヒロインが、処女を捧げるために世界を旅して複数の男を口説く」というプロットからして、バカバカしさが満開の映画である。
これがソフトポルノじゃなく一般映画として製作され、大々的に公開されるんだから、アメリカ映画界ってのは奥が深いよね(それはどうだろう)。
まあ製作したのがメナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスのキャノン・フィルムズなので、「なるほどね」と妙に納得してしまうけどね。幾らキャノン・フィルムズの製作でジョン・デレクの監督作品とは言っても、こういう企画が通ってしまうのは、それだけボー・デレクがセックス・シンボルとして一定の地位を築いていたってことなんだろう。
そして本作品は、「とにかくボー・デレクのエロい部分を存分にお楽しみ下さい」という内容に仕上がっている。
ボー・デレクのヌードを売りにした映画であり、それ以上でも、それ以下でもない。
ああ、ボー・デレクだけじゃなくて撮影当時15歳だったオリヴィア・ダボも脱いでいるので、そこもセールスポイントだね。シナリオは映画としての体裁を整えるためだけに用意されており、ストーリーはあって無いようなモノだ。何の生産性も無い退屈な会話や、意味を求めても徒労に終わるだけの場面を連ねることによって、時間を稼いでいる。
例えば、寄宿舎に向かって脱いだマックにコットンがショールを羽織らせた後のシーン。
かいつまんで内容を書くと、「恥ずかしい思いをさせちゃったわね。許してくれる?」とマックが言うと、コットンは「私の立場を」と告げる。マックが「運転手は感情を持たないとでも言うの?じゃあ私が運転すれば許してくれる?」と尋ねると、彼は「つまり私はクビですか」と言う。
マックが「質問に答えなければね」と口にすると、コットンは「質問はお嬢様を許すかどうかでしたね。最初は当惑しました。随分と成長しましたね」と語る。マックが「私と友達になるなら復職させてあげる」と話すと、コットンは承諾する。
この会話、「なんだコレ?」って感じである。マックがシークとテントでセックスしようとすると、サイレント映画的な演出が入る。ようするにルディー主演作を模倣しており、だからマックたちの音声を消して字幕で台詞を表記するわけだ。
でも、ちっとも粋じゃなくて、ただバカバカしいだけ。
舞台がスペインに移る時には、カタリーナが故郷のバルセロナに行くことを嫌がるが、この要素は後の展開に全く繋がらない。
なぜアンヘルが「馬だけは絶対に売らない」と言うのか、その理由はサッパリ分からない。一方、マックが「どうしても馬が欲しい」と固執する理由も良く分からない。
幾ら金持ちの道楽であっても、大量のワインを購入する気になるのも良く分からないし。たぶん、「セックスでエクスタシーを得ることばかり考えていたヒロインが、真実の愛に目覚める」という物語を描こうとしているんじゃないかと推測される。
でも実際には、「ボー・デレクが何度も脱いで、ついでにアナ・オブレゴンもイアン・コクランとの濡れ場で脱いでいる映画」という印象しか残らない。
エロスからアガペーと至るヒロインの心情の移り変わりなんて、これっぽっちも表現できていない。
パロマやナティーなど周囲のキャラも、全く使いこなせていない。終盤にはシークがマックを拉致しようとする展開があるが、死ぬほど「どうでもいい」としか思わない。
マックがシークよりアンヘルを選ぶのも、「真実の愛の物語」としての盛り上がりには全く繋がっていない。
「アンヘルがマックの愛で立ち直る」というドラマも、ただ表面を薄っぺらくなぞっているだけ。
最後はマックがアンヘルと結婚式を挙げて「幸せになりました」ってことで終幕になるが、これも「あらかじめ定められた段取り」を消化しているだけだ。(観賞日:2024年6月9日)
第5回ゴールデン・ラズベリー賞(1984年)
受賞:最低作品賞
受賞:最低監督賞[ジョン・デレク]
受賞:最低脚本賞
受賞:最低主演女優賞[ボー・デレク]
受賞:最低音楽賞ノミネート:最低助演男優賞[ジョージ・ケネディー]
ノミネート:最低助演女優賞[オリヴィア・ダボ]
<*『ボレロ/愛欲の日々』『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低新人賞[オリヴィア・ダボ]
<*『ボレロ/愛欲の日々』『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低主演男優賞[トム・クルーズ]
第10回ゴールデン・ラズベリー賞(1989年)
ノミネート:1980年代最低作品賞
第7回(1984年)スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:作品賞