『ＢＯＤＹ／ボディ』：1993、アメリカ
オレゴン州で資産家の老人アンドリュー・マーシュが死亡し、遺体からはコカインの陽性反応が検出された。寝室からは、彼が若い恋人レベッカ・カールソンと倒錯的な性行為をしている場面を撮影したビデオテープが発見された。マーシュは重い心臓病を抱えていたが、性交は激しいものだった。
マーシュは遺言書によって、レベッカに800万ドルを残していた。ボブ・ギャレット検事はレベッカがコカインをマーシュに服用させ、激しいセックスを強要して死に至らしめたと考えた。弁護士フランク・デュレイニは、逮捕されたレベッカの弁護を担当することになった。
マーシュの秘書ジョアンヌ・ブラズローや担当医師ペイリーの証言で、レベッカは不利な立場に立たされる。しかしフランクはジョアンヌがコカイン常用で更正施設に入っていたことや、ペイリーがレベッカを脅迫していたことを暴いていく。
裁判が進む中、レベッカの誘惑に負けたフランクは彼女との情事に溺れるようになっていく。公判はレベッカ側が優位だったが、ギャレットがレベッカの昔の恋人ロストンを証人として呼んだことから状況が変わってくる。ロストンもマーシュと同じく高齢で、しかも心臓病を抱えていたのだ…。監督はウリ・エデル、脚本はブラッド・マーマン、製作はディノ・デ・ラウレンティス、製作総指揮はステファン・ドゥイッチ＆メリンダ・ジェイソン、撮影はダグ・ミルサム、編集はトム・ノーブル、美術はヴィクトリア・ポール、衣装はスーザン・ベッカー、音楽はグレイム・レヴェル。
出演はマドンナ、ウィレム・デフォー、ジョー・マンテーニャ、ユルゲン・プロホノフ、アン・アーチャー、ジュリアン・ムーア、スタン・ショウ、チャールズ・ハラハン、リリアン・レーマン、マーク・ポルストン、ジェフ・ペリー、リチャード・リール他。
“セックスで人は殺せるか”というのがテーマのサスペンス映画。そりゃ殺せるかもしれません。腹上死ってのもあるぐらいだし。もう少し詳しく書くと、「心臓の弱い老人を激しいセックスで殺せるか」ってのがテーマ。
でもホントは、「マドンナを色んな形でエロエロに描く」というのがテーマだと思う。レベッカ役がマドンナで、溺れる弁護士がウィレム・デフォー。マドンナはレベッカを演じるに当たり、1957年のビリー・ワイルダー監督作品『情婦』におけるマレーネ・ディードリッヒの演技を意識したらしい。
その意欲だけは素晴らしい。内容としては、魔性の女が妖艶な魅力を振り撒き、男が過激な快楽に溺れるという話。
確かに官能的ではあるが、それだけである。ホントはハラハラしなきゃいけないんだろうけど、エロティックな場面に映画が持つエナジーを全て吸い取られてしまったようだ。実は法廷サスペンスであり、映画の半分近くは裁判所でのシーン。ところが肝心の裁判のシーンが今一つ盛り上がらない。ちょっとしたきっかけから大きな謎が明かされるのではなく、急な形で新しい証拠が出てくる。意外性があるというより、唐突なだけ。
とにかく裸が目玉。ジュリアン・ムーアはウィレム・デフォーとのノーマルなセックスで脱いでいる。アン・アーチャーも裸で戯れる場面が登場する（でも吹き替えだね、あれは）。
で、やっぱりマドンナはハダカ祭りの脱ぎっぷり。ウィレムと絡みまくり、ヤリまくり。しかもノーマルな形ではない。まずウィレムを革のベルトで後ろ手に縛り、ロウソクでＳＭプレイ＆酒を胸に垂らしてすする。地下駐車場で車のボンネットの上に立ち、ウィレムにアソコを舐めさせる＆ボンネットの上でセックス。逆上したウィレムに手錠で拘束され、バックから入れられる。
頑張ってるね、マドンナ。
第14回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞：最低主演女優賞［マドンナ］
ノミネート：最低作品賞
ノミネート：最低監督賞［ウリ・エデル］
ノミネート：最低脚本賞［パトリシア・コーンウォールの小説を基にしていない、ブラッド・マーマンによる脚本］
ノミネート：最低主演男優賞［ウィレム・デフォー］
ノミネート：最低助演女優賞［アン・アーチャー］
第16回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート：【最悪の女優】部門［マドンナ］