『ウォーターワールド』:1995、アメリカ

未来の地球。極地の氷が解け尽くし、地球は全て水に覆われた。生き残った人間は新しい世界に順応し、巨大な人工の浮遊都市“アトール”を築いて生活していた。彼らの中には伝説の陸地“ドライランド”が存在すると信じる者もいた。
放浪の旅を続けている一匹狼の男マリナーは、ある街でトラブルを起こした。耳の裏にあるエラを見てマリナーがミュータントだと知った男とケンカになり、殺してしまったのだ。マリナーは捕らえられ、処刑されることになった。
そこへ、ディーコン率いる海賊集団スモーカーズが来襲した。マリナーは少女エノーラと養母ヘレンに助けられ、彼女達と共にその場から逃げ出した。実はエノーラの背中にはドライランドの地図が彫られており、ディーコンは彼女を探していたのだった…。

監督はケヴィン・レイノルズ、脚本はピーター・レイダー&デヴィッド・トゥーヒー、製作はチャールズ・ゴードン&ジョン・デイヴィス &ケヴィン・コスナー、製作総指揮はジェフリー・ミューラー&アンドリュー・ライト&イローナ・ハーツバーグ、撮影はディーン・ セムラー、編集はピーター・ボイル、美術はデニス・ガスナー、衣装はジョン・ブルームフィールド、音楽はジェームズ・ニュートン・ ハワード。
出演はケヴィン・コスナー、デニス・ホッパー、ジーン・トリプルホーン、ティナ・マジョリーノ、マイケル・ジェッター、ジェラード・ マーフィー、R・D・コール、キム・コーツ、ジョン・フレック、ロバート・ジョイ、ジャック・ブラック、ジョン・トールス=ベイ、 ジットー・カザン、ゼイクス・モカエ、サブ・シモノ他。


約190億円という莫大な製作費を掛けて作られた、超大作の海洋アクション映画。海上に設置された壮大なセットでのロケーションが素晴らしい。美術と装置、特撮は凄い。
でも、映画としてはつまらない。「未来少年コナンじゃないの?」というツッコミは、コナンに失礼なのでやめておく。

簡単に言えば地図の取り合いなのだが、その主軸が非常に細く、余計なエピソードでぜい肉を付けすぎる。例えば漂流していた男が紙と交換にヘレンを要求する下りなど、全く無意味で無価値な場面だ。そのくせ、大事な本筋は弱いんだよなあ。

エノーラの背中にある地図は古代の特殊な文字で書いてあるらしく、解読が難しいようだ。でも、日本人なら一目で分かる。だって漢字で「経度ニ十七度五十八分緯度八十六度五十六分」と書いてあるんだから。
これってギャグじゃないよね。マジだよね。

ケヴィン・コスナー演じるマリナーは魚人間で、水の中で呼吸することが出来たり、動きが素早かったりする。でも、それほど効果がある設定とは思えない。てっきり、魚人間の仲間や魚人間の国でも登場してくるのかと思ったが。

助けてもらっておきながら、マリナーはヘレンやエノーラに冷たく接する。ヘレンをぶん殴ったり、金で男に売り飛ばそうとする。エノーラも海に投げ込んだりする。
ワルという設定なんだろうが、そのキャラ設定も効果は薄い。別にヒーローとして描いても良かったんじゃないの。

スピード感、躍動感、迫力、そういった冒険活劇にあるべき要素が、壮大な装置の割に物足りない。いや、物足りないどころでは済まないか。
ちなみにケヴィン・レイノルズ監督は途中降板して、その後はコスナー自身が監督も務めているらしい。どっちに問題があったんだろうか。


第16回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低助演男優賞[デニス・ホッパー]

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ケヴィン・レイノルズwithケヴィン・コスナーの頼みもしない多大な援助]
ノミネート:最低主演男優賞[ケヴィン・コスナー]


第18回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪の男優】部門[ケヴィン・コスナー]

 

*ポンコツ映画愛護協会