『スクービー・ドゥー2 モンスター パニック』:2004、アメリカ&カナダ

ミステリー社のフレッド、ダフネ、シャギー、ヴェルマ、そしてシャギーの飼い犬スクービーは、クールズヴィル犯罪博物館のグランド・ オープンに招待された。一行が博物館に到着すると大勢のファンが待ち受けており、TVリポーターのヘザーが取材に来ていた。博物館 には、これまでにミステリー社が正体を暴いて来た犯罪者たちのコスチュームが展示されている。ヘザーから展示品についての説明を 頼まれたフレッドとダフネは、最初に捕まえた黒騎士ゴーストを始めとするコスチュームについてコメントした。
フレッドたちが取材を受ける中、ヴェルマは歩いて来た学芸員のパトリックを見つけて顔を赤らめる。パトリックに惚れているヴェルマは 、「一緒にシンポジウムに行こう」とデートに誘われる。しかし「行けないわ。今は仕事に全てを捧げたいの」と断ってしまった。突然、 窓が割れて、博物館にプテロダクティルが入り込んだ。ミステリー社の面々は怪物を捕まえようとするが失敗し、シャギーとスクービーは ロープに繋がれて引きずられてしまった。
窓の外に仮面の男が現れ、フレッドたちに「これはお前たちにとって破滅への一歩に過ぎない。今後はお前たちの仮面を剥がしてやる」と 告げた。彼は高笑いを浮かべ、プテロダクティルと共に逃亡した。荒らされた館内を調べたヴェルマは、秘密の入り口と爬虫類の鱗を発見 した。フレッドは彼女に歩み寄り、仮面の男が黒騎士ゴーストと1万ボルトゴーストのコスチュームを盗んでいったことを話した。
犯人を取り逃がしたミステリー社を、ヘザーは番組で徹底的に扱き下ろした。それだけでなく、彼女はフレッドのコメントの一部分だけを 編集して使い、ミステリー社が自分たちはクールズヴィルに必要ないと考えているかのように捏造した。フレッド、ダフネ、ヴェルマは 事件を解決するため、ラボに向かった。一方、博物館でヘマをやらかしたシャギーは、すっかり落ち込んでいた。シャギーはスクービーに 、「俺たちって、いつも足を引っ張って来たんだな。俺たちもミステリー社の一員だと証明しなきゃ」と告げた。
名探偵になる誓いを立てたシャギーとスクービーは、自信に満ちた態度でラボへ向かう。まずは服装からと考え、シャギーはフレッドの服 、スクービーはダフネのセーターとブーツを拝借した。鱗を分析した結果、博物館に現れたのが本物のプテロダクティルであることが 明らかとなった。フレッドとダフネは、仮面の男が自分たちに正体を暴かれた犯罪者だと推理した。すぐにミステリー社の面々は、かつて ゴーストを装って強盗を繰り返したジョナサン・ジャコボのことを連想した。
ジャコボは強盗で奪った金を元手に、モンスターを発明しようとしては失敗を繰り返していた。しかしジャコボは3年前に刑務所を脱獄 しようとして、海の藻屑と消えていた。そこでダフネは、ジャコボと同房で2ヶ月前に出所しているジェレマイア・ウィックルズに目を 付けた。ウィックルズは黒騎士ゴーストだった男である。そこでミステリー社の面々は、ウィックルズの屋敷へ行くことにした。
フレッドがドアベルの紐を引っ張ると、床に穴が開いた。4人と1匹は地下に落とされ、球体の檻に閉じ込められた。地下室に落ちると、 クッキー売りの少女やセールスマンも檻に閉じ込められていた。ロックを解除して檻から脱出したフレッドたちは、少女たちも解放した。 一行が手分けして邸内を探索すると、オカルト系の本が何冊もあった。フレッド、ダフネ、ヴェルマは、ウィックルズがジャコボから 貰った古代ケルト語の本を発見した。それを読んだヴェルマは、モンスターの製造法が記されていることを知った。
シャギーはスクービーが集めて来たガラクタの中に「THE FAUX GHOST、今夜」というメモを見つけ、「手掛かり見つけちゃった」と大喜び する。シャギーとスクービーは黒騎士ゴーストと遭遇し、慌てて逃げ出した。駆け付けたダフネが戦って時間を稼いでいる間に、ヴェルマ が本を読んでゴーストの弱点を見つけようとする。ヴェルマがゴーストの金的を蹴り上げ、ミステリー社の面々は屋敷から脱出した。
ヴェルマは鱗の成分を分析し、モンスター製造に欠かせない成分が含まれていることを突き止めた。その成分は、クールズヴィルの閉鎖 された鉱山で採取することが出来る。すぐに鉱山へ向かおうと考えるヴェルマだが、パトリックが来たので慌てて身を隠す。自信が無くて 男を避けようとするヴェルマを、ダフネはデートに行くよう説得した。ヴェルマが「彼のことは好きだけど、私のことを誤解してるの。彼 は私のこと、ゴージャスでミステリアスって言ったわ」と口にするので、ダフネは「そうなればいいじゃない」と述べた。
ヴェルマはダフネが用意した服に着替え、いつもと全く違う態度でパトリックの前に現れた。困惑するパトリックを同行させ、3人は鉱山 へ向かう。一方、シャギーとスクービーは自分たちだけで事件を解決しようと目論み、バー“FAUX GHOST”へ赴いた。離れた場所から観察 すると、ミステリー社が正体を暴いた犯罪者たちが店へ入って行った。シャギーとスクービーは変装し、店内に足を踏み入れた。
シャギーはカウンターで飲んでいるウィックルズに気付き、「最近は何か面白いゴーストを作ってないんですか?」と尋ねた。すると ウィックルズは、「忠告してやる。引き返せる内に引き返せ。ここにいるのはロクな連中じゃない」と語った。スクービーは女性客から 「踊らない?」と誘われ、ノリノリでダンスを披露する。しかし激しく踊ったせいでカツラが外れ、正体が露呈してしまう。誤魔化そうと したシャギーも、正体がバレてしまった。シャギーとスクービーは、慌てて店から逃げ出した。
フレッドたちが博物館の前を通り掛かると、大勢のマスコミが取材に来ていた。戸惑いながら車を降りた一行は、黒騎士ゴーストと プテロゴーストが他のコスチュームを全て盗んだことを知らされた。ショックを受けたパトリックは、「真相を突き止めなきゃ」と口に する。ヘザーはフレッドのコメントを編集し、彼が「クールズヴィルが嫌いだ」と言っているように捏造した。ダフネが抗議に行くと、 ヘザーは嘲笑して侮蔑する態度を取った。
博物館の屋根に仮面の男が現れ、「ミステリー社の諸君、お前たちは無能だ。すぐにクールズヴィルは私の物になる」と言い放って姿を 消した。スラム街を歩いていたシャギーは、パトリックがチンピラの胸倉を掴んで「仲間を集め、コスチュームについて知ってることを 聞いて来い。さもなきゃ、お前をゴーストに変身させるぞ」と脅している現場を目撃した。いつもの柔和で弱々しいパトリックとは全く 違う態度だったが、シャギーに気付いた彼は「強いフリをしないと殺されるからね」と説明した。
シャギーとスクービーは閉鎖されたクールズヴィル鉱業へ向かうウィックルズを見つけ、後を追った。建物に入ったシャギーたちは骸骨の ゴーストと遭遇し、慌てて逃げ出す。偶然にもスクービーがレバーを動かし、エレベーターが出現した。シャギーとスクービーは、それに 乗って地下へ向かった。一方、鉱山に到着したフレッド、ダフネ、ヴェルマは、ウィックルズが「計画を実行する時が来た」と男たちに 話している現場へ乗り込んだ。だが、ウィックルズは新事業として鉱山パークのプレゼンをしているだけだった。
地下の実験室に入ったシャギーとスクービーは、薬品を口に含んで変身してしまう。騒ぎを耳にしたフレッドたちは、地下室へ向かった。 3人が駆け付けた直後、薬の効果が切れた。一行が壊れた壁の向こうにある大きな部屋へ足を踏み入れると、盗まれたコスチュームが 吊るされていた。「このコスチュームを使って本物のモンスターを作るつもりだったんだわ」と口にしたダフネは、パトリックが犯人だと 確信して暗い表情を浮かべた。
「ここを見つけたのは俺たちだ。名探偵だ」と浮かれていたシャギーとスクービーは、勝手にコントロール・パネルのボタンを押した。 それはモンスター製造マシーンの起動スイッチだった。数匹のモンスターが誕生し、シャギーとスクービーは震え上がる。戻って来た フレッドがコントロール・パネルを外し、ミステリー社の面々は建物から逃げ出した。仮面の男はモンスターたちの前に現れ、「奴らを 捕まえろ。絶対にコントロール・パネルを取り戻せ。そうでなければ私の計画は台無しだ」と告げた…。

監督はラジャ・ゴズネル、キャラクター創作はハンナ・バーベラ・プロダクションズ、脚本はジェームズ・ガン、製作はチャールズ・ ローヴェン&リチャード・サックル、共同製作はジェームズ・ガン、製作協力はリッチ・コーワン、製作総指揮はブレント・オコナー& ケリー・スミス=ウェイト&ジョセフ・バーベラ、撮影はオリヴァー・ウッド、編集はケント・ベイダ、美術はビル・ボース、衣装は リーサ・エヴァンス、視覚効果監修はピーター・クロスマン、音楽はデヴィッド・ニューマン、音楽監修はローラ・Z・ワッサーマン& ダレン・ヒグマン。
出演はフレディー・プリンゼJr.、サラ・ミシェル・ゲラー、マシュー・リラード、リンダ・カーデリーニ、アリシア・ シルヴァーストーン、セス・グリーン、ピーター・ボイル、ティム・ブレイク・ネルソン、パット・オブライエン、ビル・メイレン、 ザーフ・パルー他。
声の出演はニール・ファニング。


ハンナ・バーベラ・プロダクションズ制作の同名TVアニメを基にした2002年の映画『スクービー・ドゥー』の続編。
前作は酷評を浴びたものの、北米では大ヒットを記録した。興行収入が良かったので、続編が作られたわけだ。
しかし、この続編は前作の半分程度の興行収入しか上げることが出来なかった。
監督と脚本は前作に引き続き、それぞれラジャ・ゴズネルとジェームズ・ガンが担当している。
フレッド役のフレディー・プリンゼJr.、ダフネ役のサラ・ミシェル・ゲラー、シャギー役のマシュー・リラード、ヴェルマ役のリンダ ・カーデリーニ、スクービーの声を担当するニール・ファニングは、前作からの続投。ヘザーをアリシア・シルヴァーストーン、 パトリックをセス・グリーン、ウィックルズをピーター・ボイル、ジャコボをティム・ブレイク・ネルソンが演じている。

冒頭シーン、博物館を歩いて来るパトリックにヴェルマが気付くと、わざわざスロー映像とBGMの歌を使って強調されている。
最初にアピールするポイントが犯罪じゃなくてヴェルマの恋心なのは別にいいんだけど、そこまで強調した形で描かれちゃうと、それは 違うんじゃないかと思ってしまう。そういう演出のやり方をするのであれば、そのシーンは仮面の男の来襲より後に回した方がいい。
それと、ヴェルマはパトリックからデートに誘われて拒否するなど避けるような態度を取っており、「男と親しくなるが怖い」という設定 になっているんだけど、前作のラストで、ダフネはスプーキー・アイランドにいた男とカップルになっていたはず。
その過去は、完全に無かったことにされているのか。「その男と上手く行かなかったから男性恐怖症になった」という言及があるわけでも ないし。

フレッドたちは、すぐに「仮面の男は、かつて自分たちに正体を暴かれた犯罪者だ」と確信し、ジョナサン・ジャコボを割り出す。
その推理があまりにも簡単なのは、とりあえず置いておくとしよう。
問題なのは、ジャコボがどういう人物なのかを説明するために、過去の映像が入るという構成だ。
「なるほど、前作のキャラが再登場するのか」と思った人、外れである。
そこで示される過去のシーンは、この映画のために用意されたものだ。

ジャコボが強盗をやらかしたり、モンスターを発明しようとして失敗したり、刑務所からの脱獄に失敗して落下する映像が流れる中で、 ヴェルマが彼について解説する。
だけど、今回が初登場の人物なのに、その処理は違うんじゃないかと。やはり容疑者は「過去の人」じゃなくて、初めて登場する人に すべきだよ。
そう考えると、「犯人は過去に捕まえた犯罪者の誰かだ」という推理の進め方自体を変えた方がいい。
これがシリーズの4作目や5作目で、過去3作に登場した犯罪者を容疑者として挙げるのであれば、それは有りだろうけど。

ジャコボの次にフレッドたちが容疑者として挙げるウィックルズも「かつて捕まえた黒騎士ゴーストの正体」という設定だけど、それも アニメ版でしか描かれていないエピソードなんだよね。
アニメ版をリスペクトするのはいいし、アニメ版を見ていた人だけが楽しめる遊びを入れるのもいいだろう。
しかし、あまりにもアニメ版ありきの内容に仕立て上げるのは、実写映画としてのアプローチとして違和感を禁じ得ないんだよなあ。
しかもプテロゴーストに関しては、アニメ版での正体はジョナサン・ジャコボじゃないし。

無理をして原作のキャラクターを登場させるぐらいなら、映画オリジナルのキャラクターを使って話を組み立てた方がいい。
原作のキャラを登場させてアニメ版のファンを引き付けたいという狙いがあったとしても、せめて今回が初対面という形にした方がいいん じゃないか。
後半にはミステリー社の面々が昔のオフィスに戻り(これも前作では登場しておらず、アニメ版の頃を回顧するという形だ)、「あの頃は 楽しかった」と回想するシーンもあったりするが、なんで過去を振り返るような形になってんのかと。

一応は「ミステリー社の面々が謎を解き明かして犯人を見つけ出し、退治する」という筋書きになっているのだが、謎を解き明かす過程は 、ものすごく淡白でサクサクと進められる。
何か1つ謎を見つけたら、ヒントを揃えたり情報を集めたりという苦労は無くて、すぐに解明される。
例えば古代ケルト語の本を発見したら、すぐにヴェルマが解読し、モンスターの製造法が記されていることを知る。
モンスター製造に欠かせない成分が鱗に含まれていることも、その成分が閉鎖された鉱山で採取されることも、すぐに判明する。

「THE FAUX GHOST」というメモを発見したシャギーは、それがゴーストでなくバーの名前であることを、なぜか最初から分かって いる。
「このコスチュームを使って本物のモンスターを作るつもりだったんだわ」と口にしたダフネは、なぜか次の瞬間には「パトリックが犯人 に違いない」と確信している。
その推理が正しいかどうかはともかく、その答えに到達する方程式が全く分からない。
もちろん、この映画にミステリーとしての面白さを求めている観客など皆無に近いだろうけど、それにしても物語の処理がテキトー すぎやしないか。

シャギーとスクービーは、基本的にはコメディー・リリーフ的なポジションってことなんだろうけど、ただ浮かれポンチで余計なことを やらかしているだけで、ホントに何の役にも立っていないんだよな。
バーでウィックルズと出会うんだから、そこでヘマをやらかすにしても、せめて何かしらの情報は入手するんだろうと思っていたが、何も 掴んでいない。
そんで「大変だったけど、楽しかったね」で終わりだ。
いやいや、なんだよ、そりゃ。
だったら、そのシーンは何のためにあるのかと。

コメディー・リリーフと呼ぶには、シャギーとスクービーの扱いが大きくて出番が多いので、それなのに本筋に関わらないバカ騒ぎしか していないってのは厳しい。
だんだんウザったい奴らに思えてくるのが困りものだ。
個人的にミュージカル・シーンって好きなんだけど、バーでスクービーがノリノリになって踊るシーンなんかは、取って付けた感じしか 受けないし、ちっとも楽しい気分になれなかった。

とにかくシャギーとスクービーを使って楽しい雰囲気を出そうとしていることは分かるけど、内輪受け的な感覚があるし、とりとめが無い と感じる。
あと、フレッド、ダフネ、ヴェルマが全く笑いの発信役を担当せず、喜劇に関与しないってわけでもないから、こっちの3人 だけでも別に充分じゃねえかとさえ思ってしまう。
それと、フレッド&ダフネ&ヴェルマ、シャギー&スクービーという2組が完全に別れて行動している時間帯が長いのも引っ掛かる。
みんな揃ってミステリー社じゃないのかと。

(観賞日:2013年10月4日)


第25回ゴールデン・ラズベリー賞(2004年)

受賞:最低リメイク・続編賞


第27回スティンカーズ最悪映画賞(2004年)

ノミネート:【最悪の続編】部門
ノミネート:【チンケな“特別の”特殊効果】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会