『スカーレット・レター』:1995、アメリカ
17世紀のアメリカ。マサチューセッツではイギリスからの入植が盛んだった。クエーカー教徒による厳しい戒律のあるニューエルサレムという街にやって来た若き人妻へスター・プリン。彼女は仕事のために後からやってくる医者の夫ロジャーを待ちながら、この街で暮らし始める。
ある日、彼女は馬車で教会に向かう途中、1人の男に助けられる。教会に行ってみると、その男アーサー・ディムズデイルは牧師だった。熱の込もった説教に感動したヘスターは、次第に彼に惹かれるようになっていく。一方、アーサーもヘスターに恋するようになっていく。
そんな中、ロジャーの乗った船がインディアンに教われ、乗員が全て死亡したという連絡が入る。その日、燃え上がったヘスターとアーサーは肌を重ねる。やがてヘスターは妊娠し、教会の長老達によって捕らえられてしまう。
姦通した相手の名を明かそうとしないヘスター。アーサーは自ら名を明かそうとするが、ヘスターから止められる。やがてヘスターは牢の中で女の子を産み、パールと名付ける。アーサーは知事に訴えかけ、ようやくヘスターは釈放されることになった。
しかし、ヘスターは改悛の情を示そうとはしない。長老達は姦通の印として彼女の胸にAの文字を付ける。彼女は一生、その印を付けて生きねばならないのだ。その日の夜、ヘスターの前にロジャーが姿を現す。彼は死んではいなかったのだ…。監督はローランド・ジョフィ、原作はナサニエル・ホーソン、脚本はダグラス・デイ・スチュアート、製作はローランド・ジョフィ&アンドリュー・G・ヴァイナ、製作総指揮はドディ・ファイド&トーヴァ・ライター、撮影はアレックス・トムソン、編集はトム・ノーブル、美術はロイ・ウォーカー、衣装はガブリエラ・ペスクッチ、音楽はジョン・バリー。
主演はデミ・ムーア、共演はゲイリー・オールドマン、ロバート・デュヴァル、リサ・ヨーリフ・アンドー、エドワード・ハードウィック、ロバート・プロスキー、ジョーン・プロウライト他。
何度も映画化されている小説『緋文字』を、デミ・ムーア主演で作ったのがこれ。
冒頭のパールの語りによってハッピーエンドが明かされてしまうという、その一点だけでも「サヨナラ」にしてOKな作品だが、他にも難点が多すぎる。わざとなのだろうが、妙にクラシックな作りになっている。だが、芯が無い。不倫の愛をメインに描きたいのか、強い女性の姿を中心に描きたいのか、何をどうしたいのか見えてこない。そもそも、ヘスターの強さがやや偏った強さに感じられてしまうのだ。
絞首刑になるはずだった2人が、終盤の大逆転でハッピーエンドへの道を歩いて行く。この流れが恐ろしく不自然で説得力に欠ける。
別に無理してハッピーエンドにすることは無かったのに。安っぽい結末にするくらいなら、バッドエンドで構わなかったのに。アーサー役のゲイリー・オールドマンは罪の意識に苦しむ牧師を立派に演じ切ったが、ヘスター役のデミ・ムーアがミス・キャストだと感じる。
彼女に上品な役は似合わないような気がするのは、私だけなのだろうか。ちなみに緋文字ってのは、姦通を意味する英語「ADULTERY」の頭文字「A」の赤い刺繍を、服の胸の部分に縫い付けるという罰則のことらしい。
第16回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞:最低リメイク・続編賞
ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ローランド・ジョフィ]
ノミネート:最低脚本賞[ナサニエル・ホーソンの小説を好き勝手に改作した、ダグラス・デイ・スチュアートによる脚本]
ノミネート:最低主演女優賞[デミ・ムーア]
ノミネート:最低助演男優賞[ロバート・デュヴァル]
第18回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:【最悪の女優】部門[デミ・ムーア]