『エアベンダー』:2010、アメリカ

気、水、土、火の4つの国は、かつては互いに調和を持って共存していた。それぞれの国には、気、水、土、火のエレメントを操ることの 出来る“ベンダー”が存在した。その中でも全てのエレメントを操ることの出来るベンダーは、“アバター”と呼ばれていた。百年前の ある日、アバターとなる宿命を持った気の国のベンダーが姿を消した。アバターが消えたことにより、世界の調和は崩れた。
[Book One:Water 水の章]
水の王国のベンダーである少女カタラと兄のサカは、小さな村に住んでいた。父は戦争に行っており、母はカタラが幼い頃に殺された。 戦争中で食料が少ないので良く狩りをするが、サカは良いハンターとは言えなかった。氷った海にやって来た2人は、その下で何かが動く のに気付いた。サカが割れ目を入れると、崩れた氷の下から巨大な塊が出現した。サカは「火の国の奴らの罠かも」と警戒するが、カタラ は近付いて塊を割った。すると光の柱が天に立ち昇り、爆発が起きた。その後には、気を失っている少年アンの姿があった。
アンがグッタリしているので、カタラとサカは村へ連れ帰ることにした。意識を取り戻したアンは、「なぜこんな遠くに来たの?」という カタラの質問に「逃げ出したんだ。みんな心配してる。帰らないと」と言う。そこへ、火の国の王子ズーコが部隊を率いて現れた。彼は 兵隊に「全ての年寄りを連れて来い」と命じる。アンを見つけた兵士が、ズーコの元へ連行した。額のタトゥーを見たズーコは、苛立った 様子で「お前は何者だ?」と問い掛ける。アンは堂々たる態度で「何も言いたくない」と返した。
ズーコが「私の国に来い。来なければ村を焼き払う」と脅すと、アンは「分かった、行こう」と同行した。兵隊が去った後、カタラはサカ に「あの子を守ってあげなきゃ」と言う。サカは「だけど相手は強い軍団だ。どうやって助けるんだ?」と消極的な態度を取った。家の外 に出た2人は、アンと一緒にいた水牛が空を飛ぶ様子を目にした。一方、軍艦に連行されたアンは、ズーコと彼の伯父アイロ将軍に「私を どうしたい?」と尋ねる。アイロは「ズーコが調べたいと言っている。ここに道具を並べてもいいかな」と穏やかに告げた。
カタラとサカは祖母から、「あのタトゥーは100年以上見なかった。きっと気のベンダーのタトゥーよ。あの少年は、たぶんアバターよ。 アバターだけが精霊と話せるの。火の国は精霊に頼って生きるのが嫌だから、アバターの力を恐れてる。あの子を捜しに行きなさい。世界 はあの子を待っている」と促された。ズーコは実験によってアンがアバターだと知り、「私の捕虜だ。火の国へ連れて行く」と口にした。 するとアンは気の技を使い、船から逃亡した。
アンは水牛で崖に来ていたカタラとサカに合流し、故郷である南の気の寺へ向かった。かつてアンは修行から逃げ出し、海で溺れかけた。 気の力で自分を氷で覆い、そこで意識を失ったのだ。アンは仲間や師匠たちに会おうとするが、誰もいない。奥へ進むと、骸骨の山だった 。カタラは彼に「貴方は100年近く、氷の中にいたのよ。火の国が戦を起こしたの。彼らは気の国からアバターが生まれると知っていて、 だから皆殺しにしたのよ」と教えた。
ショックを受けたアンは、激しい風を起こした。額に矢印が光り、彼は幻覚の中で洞窟にいた。そこで彼はドラゴンの精霊から「どこに いた?」と問い掛けられた。彼はカタラに呼び掛けられ、幻覚から覚めた。火の国のジャオ司令官は、ズーコとアイロを宴に招いた。彼は 兵士たちの前で、「王子はオザイ王から国外追放され、アバターを捕らえてくるまで帰国は許さないと言われている。王は息子が頼りない と思い、後継ぎにふさわしい強さを手に入れてもらおうと期待したのだ」と述べた。ジャオに侮辱的な言葉を浴びせられたズーコは、 激しい怒りを燃やした。
アン、カタラ、サカの3人は、土の国に足を踏み入れた。アンが「征服されたのはどこまで?」と訊くと、カタラ「この辺りの小さな町は ほとんど。大きな町はまだだけど、火の国は全滅を狙ってる」と答えた。そこへ1人の少年が逃げてきた。火の国の兵隊が追って来て、 「その子を渡せ。技を使って石を投げた」と言う。アンたちは拒否するが、捕まって村へ連行された。火の国の連中は、土のベンダーを 閉じ込めていた。
少年の父はアンたちに、「火の国の巨大な鉄の兵器には敵わなかった。ベンダーが囚われの身になれば、他の者は許すと言われたのだ」と 語る。アンは「なぜ戦おうとしないんですか。この土を踏みしめて下さい。大地は皆さんの一部じゃないですか」と呼び掛ける。そして 「アバターが戻れば立ち上がりますか。僕がアバターです。今こそ立ち上がってください」と言い、カタラ、サカと共に火の国の兵隊に 対して攻撃態勢を取った。サカが「みんな、力を貸してくれ」と叫び、土のベンダーたちも協力して兵隊を退散させた。
技に関する物は、村から全て持ち去られていた。しかし火の国が水の国から奪い取った巻物だけは残っており、それを見たカタラは興奮 した。サカから「土の国では多くの村が火の国に支配されている。他の村も助けに行こう」と持ち掛けられたアンは、「僕は修行の途中で 逃げ出した。他のエレメントは操れない」と告白した。驚いたサカラが逃げ出した理由を尋ねると、彼は「アバターになると普通の人生は 歩めない。家族も持てないと聞かされたからだ」と説明した。
アンは最初に、水のエレメントを学ぶことにした。するとサカは、北の水の国に行くことを提案した。そこは王女が率いる国で、強い力を 持つベンダーがいるという情報があった。サカが「そこへ行く途中で、火の国に虐げられている人々を助けよう」と言うと、アンは同意 した。一方、ジャオはオザイに、「知識の館で、精霊に関する情報の記された巻物が見つかりました」と報告していた。彼はオザイに、 「アバターと名乗る少年を部下が見つけました。罠を仕掛けましょう」と進言した。
その頃、ズーコとアイロは北の土の国にいた。火の国の第15植民地に入ったアイロは、「この町でいい女を見つけて落ち着けば、幸せに 暮らせる」と勧めた。しかしズーコは「アバターを見つけねば。女のことなど考えられない」と言う。かつて彼は、戦で犠牲にされる仲間 たちを守ろうとして1人の将軍に刃向った。決闘を命じられた彼が行ってみると、そこにいたのはオザイだった。戦いを拒否すると、父は 「妹と戦っても、お前は負ける」と嘲笑った。そして罰として、ズーコに火傷を負わせた。
アンは土の国を移動する途中、カタラに「北の気の寺が近くなので、見に行きたい」と言い出す。パワーが宿る場所に行けば、ドラゴンに 再び会えると考えたのだ。彼が一人で寺へ行くと、そこを良く訪れるという土の国の僧侶と出会った。アンは隠された石像の部屋に案内 される。そこには代々のアバターの石像が安置されていた。だが、それは罠だった。ジュオが差し向けた火の国の兵士たちが待ち受けて おり、アンは捕まってしまった。
吊るされたアンは意識を失い、ドラゴンの精霊に「火の国は知識の館から知識を奪い出し、悪用しようとしている。お前は水の国へ行け」 と言われる幻覚を見た。目を覚ました彼の前にジャオが現れ、「殺しはしない。殺しても生まれ変わる。捜さねばならない」と告げた。 その夜、青い精霊の仮面を付けた男が侵入し、アンを助け出した。2人は兵隊と戦うが、包囲されると仮面の男は刀をアンに突き付けて 脅しを掛け、ジャオに門を開けさせた。
門を出たところで矢が飛来し、仮面を直撃した。気絶した男の仮面をアンが取ると、その正体はズーコだった。アンはズーコを連れて逃亡 した。ズーコはアイロの元へ戻り、何も無かったように装う。ズーコが軍艦に戻ったところで、大爆発が起きた。アンはカタラ、サカと 再び合流し、北の水の国へ到着した。一行は宮殿でユエ王女たちと会い、アンはパク師匠の下での修業を認められた。人々はアンたちが 来たことで危機を理解し、戦いに備える。サカは互いに惹かれ合ったユエの護衛に名乗り出た。
オザイは、月と海の精霊に手を引かせれば水の国に勝てると考えていた。精霊の居場所が巻物から分かったことをジャオが報告すると、彼 は月の精霊を殺すよう指示した。ジャオは戦略家のアイロを戦いの場に呼んだ。アイロは身を隠しているズーコに対し、「お前を殺そうと したのはジャオに違いない。ジャオは精霊を尊重しない。水の国へ攻め込んでいいのか」と問い掛けた。ズーコは「アバターを生きて連れ 戻さない限り、私は国に帰れないんです」と声を荒げる。
火の国の戦艦が岸に近付く中、アイロはズーコを脱出させて先に上陸させる。アンはユエに「ドラゴンの精霊と話したい。戦いに勝つ知識 をくれる。どこかパワーの宿る場所はありませんか」と尋ねた。ユエが「都の中央に神聖な場所があるわでも急がないと」と言うので、 アンは洞窟に入り、座って瞑想を始めた。同行したカタラが立ち去ろうとすると、そこへズーコが現れた。カタラはアンを守ろうとするが 、ズーコの攻撃を受けて気を失う。ズーコによって洞窟から連れ出されたアンは、瞑想の中でドラゴンの精霊に出会う…。

脚本&製作&監督はM・ナイト・シャマラン、原作シリーズ創作はマイケル・ダンテ・ディマーティノ&ブライアン・コニーツコ、製作は サム・マーサー&フランク・マーシャル、共同製作はホセ・L・ロドリゲス、製作総指揮はキャスリーン・ケネディー&スコット・ アヴァーサノ&マイケル・ダンテ・ディマーティノ&ブライアン・コニーツコ、撮影はアンドリュー・レスニー、編集はコンラッド・バフ 、美術はフィリップ・メッシーナ、衣装はジュディアナ・マコフスキー、視覚効果監修はパブロ・ヘルマン、音楽はジェームズ ・ニュートン・ハワード。
出演はノア・リンガー、デヴ・パテル、ニコラ・ペルツ、ジャクソン・ラスボーン、ショーン・トーブ、アーシフ・マンドヴィー、クリフ ・カーティス、セイチェル・ガブリエル、フランシス・ギナン、ランダル・ダク・キム、 キャサリン・ホートン、デイモン・ガプトン、サマー・ビシル、ジョン・ダロンゾ、キーオン・シム、アイザック・ジン・ソルステイン、 エドマンド・イケダ、ジョン・ノーブル、モーガン・スペンサー、カリーム・ショード、マヌ・ナラヤン、ケヴィン・ヤマダ、テッド・ オヤマ他。


アメリカのテレビ局「ニコロデオン」で放送され、エミー賞を受賞したアニメ『アバター 伝説の少年アン』の第1シーズンを基にした 作品。全3部作として企画が発表されている。
2Dで製作されたが、ポストプロダクションの際に3Dへと変換された。
アンをノア・リンガー、ズーコをデヴ・パテル、カタラをニコラ・ペルツ、サカをジャクソン・ラスボーン、アイロをショーン・トーブ、ジャオを アーシフ・マンドヴィー、オザイをクリフ・カーティス、ユエをセイチェル・ガブリエルが演じている。

主人公のアンに、全く魅力が無い。それはノア・リンガーの演技力やスター性にも問題があるし、キャラ造形にも問題がある。どっちにも 魅力が無い。
配役に関しては、「テコンドーの黒帯だから」というのを起用理由にする必要性って無いでしょ。技を出す時に武術の型を用いるという だけで、実際に格闘するわけじゃないんだし。
っていうか、普通に格闘するシーンもあるけど、ホントは必要が無いんだよな。
キャラ造形については、とにかく生意気で喜怒哀楽の無い奴という印象しか与えない動かし方。
あと、少年の成長物語になっていなきゃいけないはずなんだけど、ちっとも成長している印象を受けないぞ。

カタラとサカが、連れ去られたアンを助けに行こうとする動機が弱い。
まだ氷の中から助けたばかりで、アンがどういう奴なのかも全く分かっていない。もちろん交流なんてしていないから、絆も芽生えて いない。それなのに「守ってあげなきゃ」「あの子を見つけたのは私たちだから戦わなきゃ」とカタラが言い出すのは無理がある。
そう思うのはともかくとして、実際に行動するというのは無理がある。
たぶん「使命感」を動機にしてあるんだろうけど、それで納得しろってのは苦しいぞ。カタラが正義の味方としてのアイデンティティーを 、充分にアピールできているわけでもないんだし。

とにかくシャマラン監督は、アクションシーンを描くのが下手だ。
最初にエレメントの技が使われるシーンって、それなりにサプライズ感とか高揚感があってほしいのに、なんか当たり前のように、サラッ と処理される。
アンが能力を使う最初のシーンなんて、「ただのガキに見えるのに、スゴいパワーを発揮する」という驚きがあるべきだろうに、まるで 感じられない。船からの逃亡も、まるでアクションシーンとして盛り上がらない。
あと、アンが脱出する前に、カタラとサカは「アンを助けに行く」と決めて村を出ているはずなのに、助けに行く展開が全く描かれない。
アンが船から空を飛んで脱出し、カタラたちのまたがっている水牛に着地するのだ。その場所へカタラたちが来るまでの経緯が、バッサリ と省略されている。
っていうか、アンが簡単に脱出できてしまうなら、わざわざ助けに行く必要なんて全く無いしね。

カタラのナレーションで進行しているのは大失敗。
大事なトコは全て、ナレーションで説明しちゃうんだよな。
だけど、例えばアンが氷に覆われた理由なんて、彼の口からセリフで喋らせるべきでしょ。
っていうか、「修業を逃げ出した」って、ダメじゃん。アバターなのに。そのせいで世界の調和が終わり、世界が乱れたんでしょ。そんで 「目覚めたアンが世界を救うために修業して戦う」って、もう完全にマッチポンプじゃねえか。
本人に責任があるとしても、何か仕方の無い事情があって氷に覆われたのならともかく、修業が嫌で逃げ出しただけなんだぜ。まるで 情状酌量の余地が無い。

ナレーションだけでなく、とにかく色んなことを不器用な形で説明したがる。
例えば「ズーコが将軍に刃向った、決闘を命じられたが相手は父親で、だから戦わなかった。すると父親は嘲笑い、罰として火傷を 負わせた」ということを、ズーコに問い掛けられた植民地の少年が語るという形にしてある。
いやいや、どういうセンスなのかと。
そこはズーコの回想で、ドラマとして描けばいいでしょうに。

アンがカタラに「北の気の寺が近くなので見に行きたい」と言った後、カタラがサカに「アンは南の寺でドラゴンの精霊と会った。パワー が宿る場所に行けば、またドラゴンに会えると考えた」と説明するシーンにしても、そんなのはアンの口で喋らせた方がいい。
っていうか、そもそも北の気の寺で幻覚を見た段階で、アンがカタラたちに「ドラゴンの精霊に出会った」と言っておけば、そんな不恰好 な説明の形にならずに済んだはずだ。
そこでは「寺に行って来ていいかな。またパワーが宿る場所に行けば、ドラゴンに会えるかも」と言わせるだけで、観客が理解できる形に なるでしょ。

北の水の国では、宮殿に到着した途端、「兄と王女さまは、すぐに心を通わせた」という、たった一言のナレーションで、その2人の 恋愛感情を説明してしまう。
なんちゅう雑な処理なんだよ。
っていうか、そこはサカがユエに目を奪われ、ユエがサカのことを意識する素振りを示すだけで充分でしょ。
そこ、ナレーションが無くても、2人が互いに相手に好意を持ったことは分かるぞ。

とにかくナレーションによる説明の多さが災いして、ずっと総集編を見せられているかのような仕上がりなんだよな。
アンがパクの下で修業を積む経緯も、全く描かれていない。
初めてパクの下で稽古しているシーンが写ると、もう「久しぶりに私と稽古して見ないか」と言われている。いつの間にかアンは、水の技 を会得しているのだ。
「苦労して会得する」「壁にぶつかってそれを乗り越える」という経緯は、ものすごく重要なはずなのに。

気の寺を出たアンたちが、なぜ土の国に行ったのか良く分からない。
カタラたちはアンを助けたのなら、とりあえず自分たちの村へ戻ればいいんじゃないのか。そして、あの物知りっぽい祖母にアンを 会わせて意見を求め、これからどうすべきかアドバイスを貰えばいいんじゃないか。
土の国に行った目的が全く分からないんだよな。どうせシリーズ化を想定して作られているんだし、1作目で全ての国を出そうというのは 欲張り過ぎじゃないか。
それに、土の国を出しても、その村だけなんだよな。名も無き連中と少し絡んだだけで、すぐにアンたちは水の国へ移動してしまう。
あと、サカが「そこへ行く途中で、火の国に虐げられている人々を助けよう」と言うと、アンは同意しているが、実際に途中で人々を 助けるようなシーンは全く無いし。
だったら、アンが軍艦から逃亡した後、すぐに水の国へ戻り、そこで話を進めていけばいいのに。

アンは土の国の人々に「なぜ戦おうとしないんですか。この土を踏みしめて下さい。大地は皆さんの一部じゃないですか」と呼び掛けるが 、すげえ偉そうなガキにしか見えない。
それまでにアンが何かを成し遂げているとか、敵に立ち向かっているとか、そういうことなら分かるよ。だけど、修行から逃げ出して、 百年の眠りから覚めて、まだ何もやっていない。
テメエが逃げ出しておいて、なんで生意気な態度で「立ち上がれ」と呼び掛けるのかと。
そんな資格は無いだろ。
そんなことよりも先に、責任を感じて反省しろよ。

土の国でのアクションシーンのモタモタっぷりにはゲンナリさせられる。
サカが「力を貸してくれ」と叫んだあと、土のベンダーも協力しての戦いを長回しの1カットで撮影しているんだけど、それは明らかに 失敗。
場面によっては長回しが大きな効果を生むこともあるし、例えば格闘の出来る2人の対決をカットを割らずに見せるってのなら分かるよ。
だけど、集団戦闘を長回しで描くことによって、すげえテンポが悪くなっている。
一つの攻撃が終わった後、次の攻撃までに、いちいち無駄な間が開いてしまうのよ。
まず攻撃があって、それが終わったら別の奴が動いて、それが終わったら別の奴という風に、順番を待って動いているのが露骨に見えて しまう。

南の気の寺へ行く途中、カタラのナレーションで「彼は逃げ出して」と言っているのだから、その時点で既にアンから説明を受けたのかと 思ったら、土の村でアンから「僕は逃げ出して、他のエレメントは操れない」と告白されたカタラは「なぜ逃げ出したの」と尋ねている。
それはタイミングが変だろ。
その直前にもアンが「逃げ出した」と口にしているんだし、「なぜ逃げ出したの」と訊くチャンスは幾らでもあったはずだぞ。
そこで質問するなら、そこまではアンが逃げたことをカタラは知らない形にしておくべきじゃないのか。

サカは「師匠について修業を積めばいい」と言っているけど、その前にアンが一人で修業している段階で、水を操ることが出来ている。
だったら師匠の所へ行く必要性があるのかと。
そこは師匠の元に到着するまで、水を操ることは出来ない形にしておくべきでしょうに。
途中で「僕には無理だ、助けがいる」と言っているけど、それは途中でビビってやめてしまっただけなんだよね。そのまま続けていれば、 難なくマスターできた感じなのよ。
っていうか、「無理だ、助けがいる」って途中で言い出すぐらいなら、最初から操ろうとするなよ。サカが「師匠に教えてもらうべき」と アドバイスしているんだから、それまで待てばいいじゃねえか。なんで師匠の元に行く前にマスターしようとしてんだよ。
そんで「助けがいる」と言って寺へ行くんだけど、助けてもらう相手はドラゴンの精霊なのかよ。水の国にいる強い師匠じゃないのかよ。
なんでドラゴンの精霊なのかサッパリ分からないぞ。

寺で捕まったアンは、仮面男と共に戦う。
で、そのまま普通に脱出すればいいのに、追い込まれた仮面男がアンに刀を突き付けて、ジャオに門を開けさせるというのは萎える。
それで脱出できちゃうのなら、最初からそうすりゃいいじゃねえか。戦う必要は無かったじゃねえか。
あと、ジャオは寺で待ち伏せていたということは、そこに来ることが分かっていたってことだ。さらにジャオは、再びアンが仲間と合流 したことも、北にある水の国へ向かったことも全て知っている。
どうして、そんなに詳しく分かっているのか。
あと、アンの行動を全て把握しているのなら、捕まえるのは簡単でしょ。なぜ手の届かない水の国に入るまでに、捕まえようと しなかったのか。

ジャオたちが近付く中、アンはユエに「ドラゴンの精霊と話したい。戦いに勝つ知識をくれる。どこかパワーの宿る場所はありませんか」 と言っているが、何故そんなギリギリになって言い出すんだよ。
攻めて来ることは事前に分かっていたはずなんだから、もっと早い段階でドラゴンの精霊に会おうとしておけよ。
っていうか、ドラゴンの精霊がそういう力を持っているという設定が、そこまで分からないのは説明不足でしょ。
やたらとナレーションで説明したがるくせに、一方で説明不足の箇所も多いんだよなあ。

終盤、国同士の戦いが始まったのに、アンとズーコが格闘している構成には呆れる。
2人ともテコンドー黒帯だから、そういうシーンを用意したかったのかもしれないけど、「さっさとエレメントを使えよ」と言いたくなる 。
っていうか、もう個人のバトルをやっている場合じゃねえよ。
あと、いつの間にかメインのバトルは始まっているんだけど、場面構成や絵の作り方が下手だから、なんか「大勢の兵隊が激しく戦って 殺し合っている」という印象が薄いんだよな。

ジャオが月の精霊を始末する時になって急にビビるとか、ユエが急に自己犠牲を言い出して悲劇的に盛り上げようとするとか、とにかく 「急な展開」「唐突なシーン」のオンパレード。
何かしらの出来事が起きるたり変化が生じたりする上で、そこに向けての流れを全く用意していないので、そんなハメになってしまう。
ユエなんて、キャラ描写がペラペラで、ほとんど存在意義が無かったので、そこだけ急に「悲劇のヒロイン」になろうとしても、感情は 動かされないよ。

終盤に入り、「アバターは他の者を傷付けてはならんのだ」とドラゴンの精霊が言うけど、そうなるとアンは敵を殺せないんだよね。
そんな足枷を付けられちゃうと、テンションが下がるよ。
まあ不幸中の幸いで、この映画に関しては、「主人公が相手を始末できない」という縛りの有無に関わらず、それ以前に駄作だから、何の 影響も無いけどね。
って、それがホントに「幸い」なのかと問われたら、そこはコメントを濁したくなるけど。

(観賞日:2012年2月23日)


第31回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低作品賞
受賞:最低助演男優賞[ジャクソン・ラスボーン]
<*『エアベンダー』『エクリプス/トワイライト・サーガ』の2作での受賞>
受賞:3-D乱用目潰し映画賞
受賞:最低監督賞[M・ナイト・シャマラン]
受賞:最低脚本賞

ノミネート:最低助演男優賞[デヴ・パテル]
ノミネート:最低助演女優賞[ニコラ・ペルツ]
ノミネート:最低スクリーン・カップル賞&スクリーン・アンサンブル賞[『エアベンダー』の全キャスト]
ノミネート:最低リメイク・盗作・続編賞


2010年度 HIHOはくさいアワード:第5位

 

*ポンコツ映画愛護協会