『ゴッドファーザーPART3』:1990、アメリカ

1979年、マイケル・コルレオーネがニューヨークに移り住んでから7年が過ぎた。息子アンソニーと娘メアリーはマイケルの元を去った妻ケイの元で育てられていたが、マイケルは自身の慈善活動に対してローマ法王から勲章を授与される式典に2人を招待する。
そこにはマイケルの甥ヴィンセント・マンシーニも姿を見せていた。ヴィンセントはマイケルの手放した事業を引き継いだジョーイ・ザザとトラブルを起こしていた。ヴィンセントはジョーイが腹黒い男だと非難するが、マイケルは和解するように勧告する。
マイケルはヴァチカンと手を結び、ヨーロッパの巨大企業イモービリアーレを手中に収めて、コルレオーネ・ファミリーを合法的な組織にしようと考える。だが、彼の動きを警戒するカソリックの実業家グループから激しい妨害を受ける。
ジョーイは古いドン達を皆殺しにして、残ったドンと手を結ぶ。それでもマイケルはジョーイと争うことを避けようとするが、ヴィンセントはジョーイを抹殺しようと動き出す。マイケルはジョーイの背後に黒幕がいるはずだと考えていたのだが…。

監督&製作はフランシス・フォード・コッポラ、原作はマリオ・プーゾ、脚本はマリオ・プーゾ&フランシス・フォード・コッポラ、製作総指揮はフレッド・フックス&ニコラス・ゲイジ、撮影はゴードン・ウィリス、編集はリサ・フルクトマン&バリー・マルキン&ウォルター・マーチ、美術はディーン・タヴォラリス、衣装はミレーナ・カノネロ、音楽はカーマイン・コッポラ。
主演はアル・パチーノ、共演はダイアン・キートン、タリア・シャイア、アンディ・ガルシア、イーライ・ウォーラック、ジョー・マンテーニャ、ジョージ・ハミルトン、ブリジット・フォンダ、ソフィア・コッポラ、ラフ・ヴァローネ、フランク・ダンブロージョ、ドナル・ドネリー、リチャード・ブライト、ヘルムート・バーガー、ドン・ノヴェーロ、ジョン・サヴェージ他。


イタリア系マフィアのファミリーを描く壮大なドラマの第3作。
パート2から16年が経過してから作られた完結編。
どうやらコッポラ監督が多額の借金を返すために製作したらしい。そんな情けない製作理由のせいか、前2作に出演していたロバート・デュバルは出演を断ったそうだ。

相変わらず壮大で、相変わらず豪華。式典や祝宴、そしてオペラの場面など、「様式」を感じさせる場面に長く時間を割いている。マイケル役のアル・パチーノは頑張っているし、彼のための完結編として見るならば、キチンと成立しているだろう。

シリーズの第3作なので、おそらく前2作を見ていない人には楽しめないだろう。
というより、これは前2作を見た人々だけに向けられた作品と言うべきかもしれない。
シリーズへの思い入れがある人だけが、感傷に浸れるという部分はあるだろう。

最大の問題はメアリー。
メアリー役は当初、ウィノナ・ライダーに決定していたのだが、彼女はノイローゼ状態になったために降板してしまった。
代わりにメアリーを演じることになったのが、コッポラ監督の娘ソフィア。
親バカの爆発により、作品に大きなダメージを与えてしまった。

製作費の問題で高額なギャラの発生する女優を使えなかったのかもしれない。
それにしても、他に選択肢はいくらでもあったはず。
よりによって、演技力にも容姿にもそれほど光るものを感じさせないソフィアを、なぜコッポラ監督は起用したのか。起用してしまったのか。げに恐ろしきは親バカなり。

ソフィアを除けば、作品そのものは充分な出来映えという意見もあるだろう。
しかし、彼女が演じるメアリーはキーパーソンの1人なのだ。
特にクライマックスにおいては、マイケルとメアリーの親子関係が重要なポイントになる。盛り上がるべき場面で彼女が登場するのだから、なんともはや。

ソフィアの存在は、全てをぶち殺すほどの力を持っている。
逆の意味で、ものすごく存在感があるわけだ。
もともと登場人物が多すぎて、全てを満足にフォロー出来ているわけではないのだから、いっそのことメアリーなんて出て来なくても構わなかったかもしれない。どうせヴィンセントとメアリーの恋愛劇なんて、そんなに厚いわけじゃないし。


第11回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低助演女優賞[ソフィア・コッポラ]
ノミネート:最低新人賞[ソフィア・コッポラ]

第20回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:1990年代最低新人賞[ソフィア・コッポラ]

 

*ポンコツ映画愛護協会