『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』:2014、アメリカ&フランス&ブルガリア

脱獄囚のドクを乗せた護送列車が、公式には存在しないとされているデンザリ刑務所へ向かってていた。傭兵部隊「エクスペンダブルズ」のバーニー、クリスマス、ガンナー、トールはヘリコプターに乗り、護送列車へと近付いた。操縦士のバーニーを除く3名が列車に飛び移り、エクスペンダブルズの初期メンバーであるドクを連れ出した。しかしヘリに乗るよう促すと、刑務所長に恨みを抱くドクは機関車へ向かった。彼は列車を猛スピードで刑務所へ突入させ、ヘリで脱出した。
バーニー以外の3名は、ドクと初対面だった。ドクは要人暗殺に失敗したため、8年も非公式の刑務所に収監されていた。バーニーは彼に、CIAのチャーチから情報を聞いたことを告げた。彼はミンズという武器商人の抹殺任務を請け負っていることを説明し、ソマリアのモガディシュへ向かった。先に現地入りしていたヘイルと港で合流したバーニーたちは、敵の警備情報を聞く。ヘリで到着したミンズの姿を見て、バーニーとドクは驚いた。その正体は、元エクスペンダブルズのメンバーであり、武器密売の道に走ってバーニーに殺されたはずのストーンバンクスだったからだ。
敵と銃撃戦になったバーニーたちは、その場から脱出を図る。ヘリから銃を構えたストーンバンクスは、バーニーに照準を合わせる。だが、彼は標的をヘイルに変更し、左足と背中を狙撃した。彼は爆弾を投下し、港から飛び去った。ヘイルは重傷を負って病院に運ばれ、意識不明の状態に陥った。病院へやって来た民間軍事会社のトレンチは、バーニーからストーンバンクスが生きていたことを知らされた。彼が「俺は足を洗うことにした。お前もそうしろ」と言うと、バーニーは「まだだ」と拒否した。
バーニーが病院を出ると、CIAからはチャーチではなくドラマーという男がやって来た。彼は自分が作戦担当指揮官であることを明かし、「情報を全て渡したのに、君は失態を犯した。もう一度、チャンスを与えよう」と口にした。バーニーは仲間たちを集め、「このまま今の稼業を続けても、どこかで野垂れ死にするだけだ。お前ら死を受け入れるつもりは無い。これを機械に、足を洗おう。生きるんだ」と一方的にチームの解散を通達した。
バーニーは旧友である傭兵斡旋業者のボナパルトと会い、無茶を承知で仕事を引き受ける若手を紹介してほしいと依頼した。ボナパルトはロッククライミングを楽しんでいたハッカーのソーン、クラブの用心棒を務めるルナをバーニーに紹介する。次に彼は、履歴書が届いたフェリペという男の元へバーニーを案内する。しかし行ってみると、これまで何度か経歴を詐称して応募してきたガルゴという男だった。ガルゴは「何でもするから」と必死に訴えるが、年齢が高すぎるのでバーニーとボナパルトは相手にしなかった。
バーニーはボナパルトから軍人のマーズと元海兵隊員のジョン・スマイリーを紹介してもらい、4人の若手と共に仕事をすることにした。ドラマーはストーンバンクスが取引でブカレストにいるという情報をバーニーに伝え、資料を渡した。そして彼は、「ハーグで戦犯として裁判に掛けられそうなので、始末せずに生け捕りにしろ」と任務の内容を変更した。「奴に生き残るチャンスをやるのか」とバーニーは憤るが、ドラマーは「上の判断だ」と事務的に告げた。
バーニーは新チームの4人と共に、空港で出発の準備を整える。そこへクリスマスたちが現れて不快感を示すと、バーニーは突き放すように「邪魔しないで、出て行ってくれ」と述べた。バーニーはトレンチに協力してもらい、飛行機でブカレストへ向かった。現地入りしたチームはストーンバンクスの宿泊するホテルを張り込み、作戦を立てる。バーニーは取引場所を正面から叩こうと考えるが、若手メンバーが「ソーンがサーバーに侵入し、ホテルの警備システムを無効化する」というプラスを提案したので、それに乗ることにした。
バーニーと新チームのメンバーは、ストーンバンクスが絵画に隠した武器をゴラン・ヴァータと取引する現場へ侵入した。計画通りにソーンが警備システムを無効化し、バーニーたちがストーンバンクスの一味を攻撃する。ストーンバンクスは逃亡を図るが、ソーンが巧みに誘導して仲間たちに身柄を確保させる。バーニーたちはストーンバンクスを車で連行するが、GPSで追跡して来たヘリの砲撃を浴びた。バーニーは爆風に吹き飛ばされて川へ転落し、残りのメンバーは敵に捕まった。
バーニーが陸地に上がると、ストーンバンクスの手下3名が捕まえにやって来た。バーニーは3人を始末し、トレンチが待つ空港へ辿り着いた。トレンチはバーニーに、ストーンバンクスから届いたビデオメッセージを見せた。ストーンバンクスは新メンバーを捕縛しており、「48時間やる。助けたければ奪いに来い」と告げた。バーニーが奪還に向かう準備をしていると、ガルゴが現れた。「仕事をくれ」と彼が懇願するので、バーニーは仲間に加えた。バーニーたちが飛行機で出発しようとすると、クリスマスら4人の旧メンバーが姿を見せた。バーニーは「1人で背負い込むな」という彼らを同乗させ、ストーンバンクスが拠点とするアズメニスタンの要塞へ向かう…。

監督はパトリック・ヒューズ、原案はシルヴェスター・スタローン、脚本はシルヴェスター・スタローン&クレイトン・ローゼンバーガー&カトリン・ベネディクト、製作はアヴィ・ラーナー&ケヴィン・キング=テンプルトン&ダニー・ラーナー&レス・ウェルドン&ジョン・トンプソン、共同製作はロバート・アール&サミュエル・ハディダ&ヴィクター・ハディダ&ガイ・アヴシャロム&ジギ・カマサ、製作総指揮はトレヴァー・ショート&ボアズ・デヴィッドソン&ジョン・フェルトハイマー&ジェイソン・コンスタンティン&イーダ・コーワン&ベイジル・イヴァニク&ガイモン・キャサディー、撮影はピーター・メンジースJr.、美術はダニエル・T・ドランス、編集はショーン・アルバートソン&ポール・ハーブ、衣装はリズ・ウォルフ、音楽はブライアン・タイラー。
出演はシルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、アーノルド・シュワルツェネッガー、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、ジェット・リー、ウェズリー・スナイプス、ドルフ・ラングレン、ケルシー・グラマー、ランディー・クートゥア、テリー・クルーズ、ケラン・ラッツ、ロンダ・ラウジー、グレン・パウエル、ヴィクター・オルティス、ロバート・ダヴィ、イヴァン・コスタディノフ、ニコライ・イルチェフ、ダニエル・アンジェロフ、スラヴィ・スラヴォフ、ディミタール・ドイチノフ、ニコライ・スタノエフ、ハリー・アニチキン、ボズウェル・マロカ、ナタリー・バーン他。


p>シリーズ第3作。
監督は『レッド・ヒル』のパトリック・ヒューズ。脚本は主演のシルヴェスター・スタローンと『エンド・オブ・ホワイトハウス』のクレイトン・ローゼンバーガー&カトリン・ベネディクトによる共同。
バーニー役のスタローン、クリスマス役のジェイソン・ステイサム、トレンチ役のアーノルド・シュワルツェネッガー、イン役のジェット・リー、ガンナー役のドルフ・ラングレン、トール役のランディー・クートゥア、ヘイル役のテリー・クルーズは、シリーズのレギュラー。
新しい顔触れは、ドラマー役のハリソン・フォード、ストーンバンクス役のメル・ギブソン、ガルゴ役のアントニオ・バンデラス、ドク役のウェズリー・スナイプス、ボナパルト役のケルシー・グラマー、スマイリー役のケラン・ラッツ、ルナ役のロンダ・ラウジー、ソーン役のグレン・パウエル、マーズ役のヴィクター・オルティス、ヴァータ役のロバート・ダヴィら。
前2作に出演していたブルース・ウィリスが高額な報酬を要求したので降ろされ、その代わりにハリソン・フォードが加わった。

イン・ヤンはエクスペンダブルズのメンバーからヌルッと離脱しており、後半に入って「トレンチの仲間」として登場する。
出番が少ない上に、マーシャルアーツで活躍するシーンも用意されていない。
ものすごく残念に思ったのだが、実はジェット・リーが甲状腺の病気で思ったように動けない状態だという事情があるのだ。
「動けないジェット・リーに存在価値はあるのか」と問われたら、このシリーズに限っては「ある」と答える。

新しい顔触れを軽く紹介しておくと、ケラン・ラッツはボクシング、ブラジリアン柔術、ムエタイを習っていた経験がある。
ロンダ・ラウジーは総合格闘家で、ヴィクター・オルティスはボクサーだ。
グレン・パウエルは格闘技の経験が無いようだが、ソーンはエンジニア担当なのでOK。
ケルシー・グラマーも業者役なのでOK。っていうか、この人は私生活で3度の離婚歴があるので、そこでエクスペンダブルズっぽさが出ているけど。

メル・ギブソンやアントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプスといった面々は、わざわざ説明しなくても大半の人が知っているだろう。
「なぜ出演者として選ばれたのか」という部分に触れると、まずメル・ギブソンは私生活で幾つものトラブルを起こし、それに関連してユダヤ人や同性愛者や女性に対する差別発言を口にした。そのせいでハリウッドの嫌われ者になってしまい、すっかり仕事のオファーが来なくなってしまった。そんなメルに、スライが手を差し伸べたというわけだ。
アントニオ・バンデラスは、かつては『デスペラード』『レジェンド・オブ・ゾロ』などの主演作を持ち、スライとは『暗殺者』で共演していたが、最近はめっきり仕事が減っている。
そんな彼に、この映画では「何でもするから仕事をくれ」と叫ばせる自虐ネタをやらせている。
ウェズリー・スナイプスは『ブレイド』3部作以降は降下する一方で、1作目に出演する予定だったが、脱税で捕まって刑務所に入っていた。ムショに入った理由をクリスマスたちに問われて「脱税だ」と嘘を答えるのは、それを踏まえてのネタだ。

ハリソン・フォードはすっかりお爺ちゃんみたいな状態になっていて、アクションシーンには全く関与しないのかと思いきや、最終決戦にはヘリの操縦という形で参加するので、意外に活躍している。
アントニオ・バンデラスは、自ら考えた「やたらと饒舌でウザったい」というキャラ設定も手伝って、コメディー・リリーフ的な役回りではあるが、かなり目立っている。
一方で精彩を欠くのがメル・ギブソン。前作のヴァンダボーみたいに格闘能力で個性を発揮できるわけじゃないので、ストーンバンクスというキャラに悪党として肉付けしないとマズいんだけど、そこが不充分なのだ。
その結果、「わざわざメル・ギブソンを使っている意味があるのかな」と思ってしまうほど、冴えないボスキャラになっている。すんげえバカに見えちゃうのよね。

シリーズが立ち上がった時のコンセプトは、「かつては活躍していたが、最近は今一つな肉体系アクションスターを結集させる」ということだった。「エクスペンダブルズ(消耗品)」というタイトルには、「消耗されて活躍の場を失ったアクション俳優たち」という意味も込められていた。
このシリーズは、かつて男たちを熱くさせたオッサンのアクション俳優たちが結集したお祭り映画であり、ある種のオールスター映画なのだ。
そういう意味合いが強いシリーズなので、1作目で傭兵軍団に元NFLのテリー・クルーズや総合格闘家のランディー・クートゥアが入っていた時には「なんでだよ」と不満を抱いたし、第2作でチャック・ノリスやジャン=クロード・ヴァン・ダムが起用されたことは大歓迎だった。
ゲイリー・ダニエルズやスコット・アドキンスのように、「スターとは言えないけどアクション映画で地味に活躍していた格闘系の俳優」を起用したのも嬉しかった。

まだまだ他にも「かつて活躍していたけど最近はパッとしないアクション俳優」ってのは大勢いるので、シリーズを続行することには諸手を挙げて賛成できる。
ただし、「2作目を超えることは出来ないだろうな」という風には感じている。
その理由は簡単で、第2作目ではチャック・ノリスを登場させ、しかも特別扱いでカッコ良く活躍する見せ場を用意したからだ。
世界的な知名度とか、マネー・メイキング・スターという視点からすると、チャック・ノリスを超えるアクション俳優は大勢いるだろう。
しかしシリーズのコンセプトやテイストを考えると、存命のアクション俳優ではチャック・ノリスが頂点だと思うのよね。

このシリーズは「演出がシナリオが云々」ということよりも、「どういうアクション俳優を起用するか」「どういう見せ場を用意するか」ってことの方が遥かに重要なわけで。
だからチャック・ノリスを登場させ、イケてる見せ場を用意した時点で、それを超えることは絶対に無理だろうと感じたのだ。
今回だって、新たなアクション俳優を登場させることはもちろん歓迎できる。
だけど、それよりもチャック・ノリスを再登場させてくれた方が、興奮できたんじゃないかと思うぐらいなのよ。

今回の新顔であるハリソン・フォードやメル・ギブソンは、もちろん世界的な知名度でも、俳優としてのランクでも、B級映画の俳優だったチャック・ノリスと比べれば圧倒的に勝っている。しかし登場した時の興奮度は、1作目からの他のメンツも含めて、チャック・ノリスがダントツで高いからね。
今回のメンツだけに限っても、ハリソン・フォードやメル・ギブソンよりウェズリー・スナイプスの方が嬉しさは上だよ。
そこはシリーズのコンセプトってのがあるからね。
例えばクリント・イーストウッドが登場したら、もちろん凄いなあとは思うだろうけど、でもショー・コスギやサニー千葉の方が興奮度は高いだろう。それは日本人だからってことじゃなくてね。

ウェズリー・スナイプスは冒頭のアクション・シークエンスで1人だけ別行動を担当し、身軽に建物から飛び移るパルクールっぽい動きを見せた後、マーシャルアーツで見張りを倒す。重機を操作し、他のメンバーが隠れたコンテナを運ぶ。
ちゃんと見せ場を用意するのは歓迎できるが、軽業の部分は完全にスタント・ダブルを使っているので、「そういうことじゃないんだよな」と言いたくなる。しかも、そこを過ぎると、あまり活躍しなくなっちゃうし。
スタント・ダブルにパルクールをやらせるよりも、もっとマーシャルアーツで戦わせたり、ブレード・アクションを担当させたりしようぜ。
今回はジェット・リーが動けないから、その分野は彼に任せりゃいいでしょ。

前述したように、これまでの2作は「かつてのアクションスター」を集めるだけでなく、ゲイリー・ダニエルズやスコット・アドキンスのようなメンツもボスの側近として起用し、ボンクラ魂を刺激してくれた。
ところが今回は、そういう楽しみが無い。
ストーンバンクスの側近であるクリュッグを演じるイヴァン・コスタディノフは格闘家&スタントマンであり、俳優としての実績は無い。
そこは「かつて低予算映画で主演を張ったことのあるアクション俳優」を起用すべきでしょ。

今回はバーニーがチームを解散して若手を集める展開があるが、これは明らかに失敗だ。シリーズのコンセプトから外れている。そういうことをやりたければ、他の作品でやるべきなのだ。
おまけに若手メンバーの顔触れは、「現役バリバリのアクション俳優」というわけでもないし。
若手に多くの出番を与える暇があったら、その時間をスナイプスやバンデラスに与えてくれよ。
そりゃあロンダ・ラウジーは存在感を見せるけど、だったら悪党の刺客として登場させりゃいいのよ。
しかも彼女以外は、まるでパッとしない。スマイリーなんて、わざわざ「仲間を死なせた罪悪感が云々」という設定まで用意してあるけど、すんげえ薄っぺらい扱いだし。

っていうかさ、バーニーが若手メンバーを集める時は、わざわざ1人ずつ場所を移動し、ボナパルトがステータスを説明するという手順を踏んでいるぐらいだから、任務遂行の中でどれだけ特技を披露して活躍するのかと思いきや、あっさりと捕まっちゃうんだよな。そして旧メンバーが集結する展開に移り、すっかり噛ませ犬状態なのだ。
一応は「旧メンバーと新メンバーが協力して戦う」という展開になっているけど、どう見ても旧メンバーの方が圧倒的に存在感が上。
どうせ噛ませ犬状態になってしまうのなら、新メンバーは無名キャストを揃えて、ザックリと紹介するだけで終わらせちゃっても良かったんじゃないか。「若手はオッサンを輝かせるための比較対象」と完全に割り切ってしまっても良かったんじゃないか。
まあ、そもそもメンバーを若手に切り替える展開自体が要らないけど。若手を出したいなら、ストーンバンクスの手下として出せばいいだけだ。

「オッサンを活躍させるべきで、若手なんか要らねえ」という意味だけでなく、シナリオの作り方としても、バーニーがチームを解散して新メンバーを集める展開は間違っている。
バーニーは「仲間が死ぬのを見たくない」ということでチームを解散しているのよ。
それなのに「無茶を承知の奴らが欲しい」ってことで若手メンバーを揃えるんだけど、ってことは「初対面の若い奴らなら死んでも心が痛まない」という風にしか受け取れないのよ。
それはマズいでしょうに。

ストーンバンクスの取引現場を襲うシーンは、若手メンバーの考えたハイテクを利用する作戦が成功している。
だが、ストーンバンクスを連行する際、GPSに気付かずに追跡を受け、あっさりとバーニー以外のメンバーが捕まる。
襲撃作戦は成功しているけど、その直後に「全てお見通し」みたいな反撃を食らうので、何となくボンヤリした感じになってしまう。
そこは「最初から若手メンバーのハイテク作戦がストーンバンクスに見抜かれていた」ってことで、取引現場を襲撃した段階で失敗する形にしてもいいんじゃないかと。どうせ襲撃作戦にしても、活躍が目立つのはルナぐらいだし。

ストーンバンクスは拉致した面々をビルに放置し、わざと兵隊を配置せずにバーニーたちを誘い込む。で、ビデオメッセージを写し出し、爆弾のタイマーをスタートさせる。
しかし、ソーンが装置を使って起爆信号を妨害し、25分の猶予を作る。そこに来て、また若手に活躍の場を与えるのだ。
もう「オッサンが活躍して若手を助ける」という関係性を徹底した方がいいだろうに。
で、ストーンバンクスは作戦が失敗すると部隊を送り込むのだが、すんげえバカっぽいぞ。どっちにも得の無い内容になっている。

「若手メンバーを単なる噛ませ犬に終わらせず、ちゃんと活躍の場を与える。でも、あくまでもオッサンたちの方がメインであり、それを邪魔しない程度に活躍させる」というバランス感覚が、この映画をヌルい仕上がりにしてある。
そりゃあ映画を作る上で、バランス感覚ってのは重要だ。ただ、そこのバランス感覚は要らないのよ。
「ベテランと若手の世代対立から結束へ」という展開を描きたかったんだろうけど、そういうのは要らない。
大勢の若手を登場させたいのなら全て悪党サイドにすればいいのよ。そんで「敵はハイテク設備を使いこなし、現代的な考え方をする若い奴ら」ってことにして、「オッサンたちが昔気質のやり方で、フレッシュな若手を倒す」という内容にでもすればいいのよ。

スライが「幅広い世代に見てもらいたい」ってことでR指定をPG-13に下げるよう内容を修正しているが、そこも含めて今回はヌルい出来になっている。
スライは修正を悔やんでおり、R指定に戻して第4作を製作する意欲を見せている。シリーズ実行は歓迎するが、新しいメンバーの人選は難しいだろう。
ぶっちゃけ、新たなメンバーを加えるよりも、1作目と2作目の出演者であるミッキー・ローク、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、チャック・ノリスを呼び戻した方が、パワーはあるんじゃないかと思うぐらいだ。
ヴァン・ダムは演じたキャラが前作で死んでいるけど、そこは「良く似た別人」と言い張ればいいよ。

(観賞日:2015年11月23日)


第35回ゴールデン・ラズベリー賞(2014年)

受賞:最低助演男優賞[ケルシー・グラマー]
<*『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』『オズ めざせ!エメラルドの国へ』『ベガス流 ヴァージンロードへの道』『トランスフォーマー/ロストエイジ』の4作での受賞>

ノミネート:最低助演男優賞[メル・ギブソン]
ノミネート:最低助演男優賞[アーノルド・シュワルツェネッガー]

 

*ポンコツ映画愛護協会