『アニー』:1982、アメリカ

10歳の少女アニーは、ハドソン通りの女子孤児院で暮らしている。院長のハンニガン先生は意地悪で、孤児達はいつも彼女の顔色を伺いながら生活している。そんな生活に耐えかねたアニーは、クリーニング屋の荷物に紛れ込んで逃亡する。
アニーは悪ガキ達にいじめられている犬を助け、サンディと名付けて仲良くなる。保険所の職員に連れて行かれそうになったサンディを引き取ったアニーだが、警官に見つかって孤児院へと連れ戻されてしまった。
億万長者オリヴァー・ウォーバックスの秘書グレース・ファレルが、孤児院を訪れた。ウォーバックスが1週間の期限で孤児を自宅に招待するという。アニーは積極的に自分をグレースに売り込み、選ばれることに成功した。
ウォーバックスは金と権力にしか興味が無く、宣伝目的で孤児を招待しただけだった。しかしアニーと触れ合う中で、彼女を引き取ろうという気持ちが芽生えてくる。だが、両親を探す意志の強いアニーは、その申し出を断った。
ウォーバックスはアニーに協力し、5万ドルの賞金を設けて彼女の両親探しを大々的に宣伝した。それを知ったハンニガンの弟ルースターと恋人リリーは、ハンニガンと協力してアニーの両親に成り済まし、5万ドルを騙し取る…。

監督はジョン・ヒューストン、脚本&製作協力はキャロル・ソビエスキ、製作はレイ・スターク、製作総指揮&ミュージカル・シークエンス創作はジョー・レイトン、撮影はリチャード・ムーア、編集はマイケル・A・スティーヴンソン、編集監修はマーガレット・ブース、美術はデイル・ヘネシー、衣装はセオニ・V・アルドリッジ、ミュージカル・ステージング&振付はアーリーン・フィリップス、作詞はマーティン・チャーニン、作曲はチャールズ・ストラウス、編曲&指揮はラルフ・バーンズ。
出演はアルバート・フィニー、アイリーン・クイン、キャロル・バーネット、バーナデット・ピータース、アン・ラインキング、ティム・カリー、ジェフリー・ホールダー、エドワード・ハーマン、ピーター・マーシャル、ロジャー・ミナミ、トニー・アン・ギソンディ、ロザンヌ・ソレンティーノ、ララ・バーク、エイプリル・ラーマン、ロビン・イグニコ、ルーシー・スチュワート他。


ハロルド・グレイの新聞連載漫画を基にしたミュージカル映画。
というよりも、「舞台劇の映画化」と表現した方が正しいだろう。
アニーを演じるアイリーン・クインは、8000人を越える応募者からオーディションで選ばれた。

製作会社はMGM。
MGMといえば、多くのミュージカル映画を作ってきた会社である。
そんなMGMが今作品の監督に据えたのが、なぜかジョン・ヒューストン。
そして、彼は全くワクワクしないミュージカルを作り上げてくれた。

金を掛けた学芸会。
キレの無いミュージカル・シーンと、コクの無いドラマ・シーン。
ただでさえ間延びした内容なのに、途中でなぜかグレタ・ガルボ主演の映画『椿姫』のシーンを挿入して、さらに意味も無く上映時間を引き延ばしている。
ただミュージカル・ナンバーを多く入れれば、作品が面白くなるというものではない。ウォーバックスがハンニガンに書類へのサインを迫るシーンなど、通常のドラマとして短く処理した方がスッキリした形になったはずだ。

ルーズベルト大統領が面会に来たアニーに「若者達に働く意欲を与えてくれ」と頼むシーンなど、何の意味があるのだか全く分からない。
「トゥモロー」という曲を使いたいのなら、もっと意味があるような別のシーンで使えば良かったのだ。

クライマックスには、逃亡して高所に登ったアニーをヘリコプターから救出するシーンを持って来ている。
この辺り、どういう作品にしたいんだかさっぱり分からない。
サスペンスじゃあるまいし。
しかも、そこで活躍するのは完全な脇役だし。


第3回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低助演女優賞[アイリーン・クイン]

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ジョン・ヒューストン]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低新人賞[アイリーン・クイン]


第5回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:最悪作品賞

 

*ポンコツ映画愛護協会