『私がモテてどうすんだ』:2020、日本

東乃端高校2年A組の芹沼花依は、趣味が妄想の腐女子である。学校へ向かうバスで同じクラスの五十嵐祐輔と七島希が一緒にいる様子を見た彼女は、2人が王子様としてキスを交わす妄想を膨らませた。イケメン同士が仲良くしている姿を見ると、花依の胸は熱くなるのだ。史学部の先輩である六見遊馬や後輩の四ノ宮隼人も、花依にとっては妄想の対象だ。その趣味が気持ち悪いと思われるのは分かっており、腐女子仲間の中野あまね以外には内緒にしている。
花依は『ミラージュ・サーガ』というTVアニメが好きで、特にシオンという男性キャラのファンだった。彼女の部屋はシオンのグッズで占領されており、その日はシオンのメイン回なので放送前から興奮が抑え切れずにいた。ところがシオンが戦いの末に死んでしまい、花依はショックが大きすぎて気を失ってしまう。彼女は翌朝になっても悲しみから抜け出せず、学校を休んで泣き続けた。そのまま1週間も学校を休み、食事も取らずに部屋で引き篭もった。
兄の拓郎は、母のみつこから何とかするよう頼まれた。拓郎が仕方なく部屋に乗り込むと、花依は痩せて別人のようになっていた。可愛い見た目に変貌した花依は、久々に登校すると注目の的になった。六見、五十嵐、七島、四ノ宮は変貌した花依に一目惚れし、同時にデートに誘った。花依は4人と同時にデートし、気が付くと池袋のアニメイト前に来ていた。焦った彼女は4人を別の場所に連れて行こうとするが、その日だけの限定グッズが販売中だと知って足が動かなくなった。
4人は花依が空腹だと勘違いし、それぞれが買って来る商品を提案する。誰に頼もうか考えた花依が決められずに困っていると、限定品が残り1つになってしまう。彼女は我慢できず、「リアルなんてクソゲーだ」と叫んでアニメイトに駆け込んだ。シオン抱き枕を購入して戻って来た花依は、自分のオタク趣味を4人にカミングアウトした。しかし彼女の家を訪問した4人は、全くショックを受けていなかった。拓郎が部屋にある大量のグッズを見せても、4人は寛容に受け入れた。シオンのために手作りした仏壇に花依が手を合わせると、4人も真似をして拝んだ。
翌日。 五十嵐、七島、四ノ宮は史学部の部室で花依が持っていたBL漫画を読み、その内容に困惑した。六見は彼らの輪に入らず、城の模型に夢中だった。演劇部の坂下、大森、土井たちは花依に声を掛け、ヒロインをやってほしいと頭を下げた。1ヶ月後の演劇コンクールで地区予選を突破しないと、演劇部は廃部になってしまうのだと、部長の坂下は説明した。坂下は演劇部に伝わる伝説の戯曲『豚と王子とお姫様』で勝負しようと考えており、そのために必要な圧倒的なヒロインとして花依に白羽の矢を立てたのだ。
花依はヒロイン役を引き受け、稽古に参加した。すると二科グループの令嬢である志麻が稽古の場に現れ、花依のヒロイン役に太鼓判を押した。彼女の父は演劇部の創立者で、これまで多額の援助をしていた。五十嵐、七島、四ノ宮の3人は、花依が目当てで稽古を見学していた。ヒロインにはキスシーンがあると知り、七島は反対した。翌日、六見は四ノ宮に「キスシーンなんて許せます?」と言われ、「でも脚本にそう書いてあるんでしょ」と軽く返した。「芹沼先輩のこと、好きなんじゃないんですか?」と訊かれた彼は、「好きだよ。四ノ宮くんも、七島くんも、五十嵐くんも、みんな大好き」と述べた。
そこへ宮崎琴葉が現れ、五十嵐に声を掛けた。琴葉は五十嵐の中学時代の先輩で、かつて交際していた。父親の転勤で街に戻った彼女は、来週から同じ高校に通うことを五十嵐に話す。彼女は復縁を望んでいたが、その気が無い五十嵐は黙って立ち去った。その様子を見ていた四ノ宮は、七島に「元サヤに戻ってもらえば邪魔者が1人減ります」と話した。「どうやってそんなこと出来るんだよ」と七島が言うと、四ノ宮は何の策も考えていなかった。しかし話を聞いていた琴葉が頭を下げ、協力を要請した。
琴葉は東乃端高校に転校すると、演劇部に入部した。王子様役が決まらずに坂下が頭を抱えていると、琴葉は五十嵐を推薦した。五十嵐は困惑するが、着替えた姿を花依に絶賛されたので引き受けることにした。雨の中で踊っている花依を見た六見が声を掛け、優しく「もうおしまい」と忠告した。六見が「頑張り過ぎじゃない?」と心配すると、花依は「私、嬉しいんです。誰かに期待されるの初めてだから。もっとやらなきゃ」と言う。「少し休んだ方がいいんじゃない?」と告げられた彼女は、「努力は必ず報われる」と述べた。
花依は高熱を出して寝込み、学校を休む羽目になった。1週間後、ようやく体調が戻った花依が登校すると、すっかり以前の体型に戻っていた。交代で訪れた4人が持って来た見舞いが美味しくて食べ切ってしまい、太ってしまったのだ。七島と四ノ宮は痩せた体に戻すため、花依にトレーニングを課した。六見は演劇部に頼まれ、舞台のセットを作り始めた。その作業を見た花依は二本松城の石垣に興奮し、同じ趣味を持つ六見との会話は弾んだ。
花依がヒロイン役にふさわしくない見た目になったため、坂下は頭を悩ませた。それを知った花依は、ますますトレーニングに熱を入れる。五十嵐が「そんなんじゃ体壊すよ」と連れて行こうとすると、七島と四ノ宮が激しく抗議する。そこへ六見が来て、「決めるのは君たちじゃないでしょ」と口にした。花依がトレーニングを続けようとすると、六見は「誰かに迷惑を掛けたくないだけで頑張るのは、誰かにやらさせてるのと同じだよ。芹沼さんはどうしたいの?」と問い掛けた。
花依が演劇部の稽古に行くと、坂下たちはヒロイン役を琴葉に変更すると通告した。花依は「太ってるお姫様じゃおかしいよね。準備とかは手伝わせてくださいね」と気丈に振る舞い、その場から走り去った。坂下が練習を始めようとすると、五十嵐は「芹沼さんを傷付けることは許さない」と批判した。七島と四ノ宮は屋上へ行き、花依を発見した。花依は2人に、「演劇やるって決めたのは私だし、食べ過ぎちゃったのも私だし。中途半端になってるのは私のせいだから悔しくて。本番までに絶対痩せる」と告げた。
花依が去った後、七島と四ノ宮が「俺たちに出来ることって何か無いのかなあ」と考えていると、あまねが現れた。七島と四ノ宮は彼女の助言を受け、ポイント制でご褒美にイケメン同士の絡みを見せることを花依に持ち掛けた。すると花依はダイエットを頑張り、あっという間に痩せた。すると五十嵐&七島&四ノ宮は付き合ってほしいと告げ、六見も「芹沼さんが一番好きだ。今気付いた。好きに特別があるなんて知らなかった」と言う。花依が困っていると、琴葉は「あの4人を傷付けてるって気付いてる?答えを出さないなんてひどいよ」と批判した。翌朝、花依は決意を固め、4人を屋上に呼び出した…。

監督は平沼紀久、原作は ぢゅん子『私がモテてどうすんだ』(講談社「別冊フレンド」刊)、脚本は吉川菜美&福田晶平&渡辺啓&上條大輔&平沼紀久、製作代表は大角正&玉井雄大&永田勝美&角田昌敏&井田寛、エグゼクティブプロデューサーは吉田繁暁、プロデューサーは福島大輔&田淵みのり、撮影は鈴木雅也、照明は市川高穂、美術は橋本創、大月由香里、録音は栗原和弘、編集は西潟弘記、音楽はANOTHER、ダンス監修・劇中振付はNABE、エンディングダンス振付はakane(アカネキカク)、音楽プロデューサーは高石真美、主題歌『私がモテてどうすんだ』はGirls2。
出演は吉野北人、神尾楓珠、山口乃々華、富田望生、伊藤あさひ、奥野壮、戸田菜穂、優希美青、宮崎秋人、上原実矩、坂口涼太郎、水島麻理奈、ざわちん、中山咲月、鶴屋美咲、小川桜花、増田來亜、山口綺羅、石井蘭、山田慎覇、吉岡竜輝、本村雅哉、伊藤ナツキ、榎本和紗、朝間優、入野來未、大畑優衣、桧垣涼也、成瀬隼、細井じゅん、百瀬さつき他。


第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞した、ぢゅん子による同名の少女漫画を基にした作品。
監督は『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』の平沼紀久。
脚本は『純平、考え直せ』の吉川菜美、『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』の福田晶平、平沼紀久と組んだ舞台で演出を務める渡辺啓、『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』の上條大輔、平沼監督による共同。
六見を吉野北人、五十嵐を神尾楓珠、激ヤセ後の花依を山口乃々華、激ヤセ前の花依を富田望生、七島を伊藤あさひ、四ノ宮を奥野壮、みつこを戸田菜穂、琴葉を優希美青、拓郎を宮崎秋人、あまねを上原実矩が演じている。

平沼紀久はLDH JAPAN所属で、『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』はLDHのメンバーが出演した映画。
ってなわけで、製作委員会にLDH JAPANは入っていないが、これがLDH物件であることは言うまでもないだろう。
脚本の渡辺啓もLDH JAPANの所属で、出演者の吉野北人はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE。山口乃々華は、当時はE-girlsのメンバーだった。
そして主題歌を歌うのは、LDH JAPANがソニー・ミュージックレーベルズと共同でマネジメントするSL Square LLP所属のGirls2だ。

「富田望生が痩せたら山口乃々華になる」ってのがイメージできるのかと問われたら難しいが、そこは大した問題じゃない。問題なのは、2人の身長に大きな差があるってことだ。
本来は身長が変わらない女優を起用すべきだと思うけど、それは別にいいとしよう。そもそも、見せ方を工夫すればバレずに済むはずだし。
でも、どうやら誤魔化す気が全く無いみたいなんだよね。何しろ冒頭のミュージカルシーンで、山口乃々華と富田望生を並ばせてしまうんだから。
あと、なぜか花依は痩せて変貌した途端、今まで使っていた眼鏡を掛けず、髪型まで変えているのよね。いや、なんでだよ。
あと、急に痩せたのなら服のサイズも合わないはずなのにピッタリだし。

変身して登校すると主題歌が流れ、花依が踊りながら校内を走り回るミュージカルシーンになる。
これは演出として悪くないのだが、それならオープニングロールとして描いた方がいいとと思うのよね。だけど、ただ歌を流して出演者を踊らせるだけなのだ。
それでも、全体としてミュージカル映画として作っているなら、そこが1発目のミュージカルシーンってことで納得できる。
だけど、そうじゃないからね。ミュージカルシーンは、最初と最後だけだからね。

粗筋を読んだだけでハッキリと分かるだろうけど、ルッキズム丸出しの作品である。
その時点で不快感を覚える人もいるかもしれないが、そもそも恋愛漫画なんて大半がルッキズムの世界だからね。
イケメン男子と可愛い女子が恋に落ちる内容に、読者は引き付けられるわけで。
たまに片方が美形じゃないケースはあるけど(例えば『俺物語!!』とかね)、どっちも容姿がイマイチというケースは皆無に等しいのよ。
っていうか、私は具体的な作品がパッと思い付かない。

最初の15分ぐらいで、「小太りのヒロインが痩せて美少女に変身したら逆ハーレム状態になりました」という状況が手早く提示される。
この時点で、「最終的には、ヒロインが見た目じゃなく中身で惚れてくれる相手を選ぶんだろう」と推測する人もいるかもしれない。
ベタな展開としてはそうなるだろうし、それならルッキズム問題を回避できる可能性もあるだろう。
しかし、この映画は予想の斜め上を行く結末を用意していた。
いや、もはや結末と言うべきがどうかさえ微妙な結末なのだ(それについては後述する)。

4人から同時にデートを申し込まれるので、「誰にしようか」と悩むのか、あるいは誰か1人に決められないので全て断るのかと思ったら、「4人と同時にデートする」という展開になる。
まず、ヒロインがそういう決定を下している時点で「おいおい」とツッコミを入れたくなるし、それで男子が納得しているのも「おいおい」案件だ。
「なんでそうなるの?」と欽ちゃんバリに言いたくなるのだが、その経緯は思い切りスッ飛ばされている。
それはテンポが良いんじゃなくて、ただ手抜きしているだけにしか思えないぞ。

4人は花依に惚れてデートを申し込んだのに、彼女を放置して勝手に歩いている。
それは変だろ。「4人が並んで歩くのを花依が見て妄想を膨らませる」という状況を作りたかったのは分かるけど、そのために「4人がナルシシズム満開で花依を完全に無視する」という姿を見せちゃったら本末転倒だわ。
あと、4人が並んで歩くシーンでは、また歌が流れるんだよね。
ついさっき歌と踊りでタイトルを入れて区切りを付けたばかりなのに、また歌ってのは構成として大いに難があると言わざるを得ないわ。

花依がアニメイトの前で悩んでいると、画面にはニコニコ動画のようにコメントが流れる。それによって花依の心情を表現しているのだが、常にそういう手法を取っているわけではないので、違和感が強い。
あと、2020年の作品でニコ動のネタってのは、ちょっと古くないかね。
しかも花依が4人の前から走り去るシーンではTM NETWORKの『Get Wild』を流して止め絵になり、カットか切り替わるとエンドロールを入れるのだ。ようするにTVアニメ『シティーハンター』のパロディーなのだが、これも古いでしょ。
そして古いか否かという問題を抜きにしても、「なんで『シティーハンター』なの?」と言いたくなるし。確かにアニメではあるけど、花依のオタク趣味には全く繋がらないタイプの作品でしょ。
あと、アニメのパロディーってそれぐらいだから、そういう意味でも要らないわ。

花依は演劇部にスカウトされた時、「ヒロインのお姫様は踊りが好きな女の子か。踊りか。それなら行けるかなあ」と呟く。
でも、なんで踊りなら行けると思えるのか。
「花依は踊りが得意」とか、そんな設定には全く触れていなかったでしょ。序盤にミュージカルシーンはあったけど、それは現実と切り分けて考えるべきシーンだし。
あと、演劇部員としてスカウトされたのに、やたらとダンス練習のシーンが多いのも、「だったら最初から演劇部じゃなくてダンス部にスカウトされる話にしろよ」と言いたくなるわ。

ざわちんが演劇部員の土井を演じていて、ずっとマスクを装着している。スカウトされた花依が「なんで私なんですか。綺麗な女優さんなら、そこに」と土井を示した時、七島が「広瀬すず」と興奮する。
だけど、そう言われないと「広瀬すずっぼい」とは感じない。
その後には滝川クリステルの物真似メイクで「おもてなし」のパロディーをやるシーンもあるが、「これ、何?」と言いたくなる。
ざわちんがブレイクした直後なら分からんでもないけど、そういうことでもないんだし。
なんで今さら彼女の特技をフィーチャーしたパートを用意して、わざわざ出演させているのか謎。

最初に4人が一緒にデートを申し込んで横並びで扱われていたのに、そのデートシーンの後は六見だけ距離を置くようになり、「芹沼先輩のこと、好きなんじゃないんですか?」という質問に「好きだよ。四ノ宮くんも、七島くんも、五十嵐くんも、みんな大好き」と答えている。
そんなに急にスタンスを変えられても、違和感しか無い。
確かに、花依が痩せて登校した時も六見だけは明確な「一目惚れ」の演出は無かったし、デートへの誘いじゃなくて「今週の部活のことだけどさ」とは言っていたよ。でも「で、誰と行く?」は声を揃えていたし、実際のデートシーンも他の3人と一緒に来ていたわけで。
なので、そこに来て「彼だけは他の3人と違って恋心を抱いていたわけじゃない」という感じにされても、無理があるのよ。

高熱で寝込んだ花依が元の体型に戻った時、痩せさせるべきだと主張する七島に対して五十嵐が「そりゃあ少しポッチャリしたなって思うけど、芹沼さんが健康なら、それでいいんじゃない?」と言う。
だけど、花依が太っていた頃に惚れていたかって、違うでしょ。痩せて別人のようになって、初めて心を奪われたわけで。
なので、今さら「体系は関係ない」というスタンスを取っても、「どの口が言うのか」でしかないよ。
交流している間に気持ちに変化が生じたとか、そういう経緯が描かれているわけでもないんだから。

七島と四ノ宮のダイエット指令に、花依は素直に従う。これが「4人からチヤホヤされる状況に戻りたいから」ってことなら分かるけど、そういうことではないのよね。どうやら、「演劇部に迷惑を掛けたくない」ってのが理由のようだ。
だけど、そこへの強いモチベーションを理由にするのなら、「花依が演劇部にスカウトされ、大会に向けて頑張る」ってのがメインじゃないとダメでしょ。
だけど、話としては「痩せて別人になった花依が4人から同時に告白されて」という逆ハーレム物であり、演劇のエピソードは恋愛劇の飾りみたいなモンだ。
なので、そこに来て急に「迷惑を掛けたくない」という花依の考え方を強く押し出されても、不自然さしか無いわ。
極端なことを言うと、演劇部のエピソードなんか外してシナリオを構成してもいいぐらいなんだから。

六見たちがダイエットの褒美として腐女子に受ける芝居をして、それを見た花依&あまねが興奮するシーンが、3つ繰り返される。
ここは、やたらとダラダラして間延びしている。
花依が褒美を提示されてダイエットに励む手順を描いたら、すぐにシーンを切り替えて痩せたことを見せちゃってもいいぐらいだ。
実際に褒美が与えられるシーンなんて、バッサリとカットしてもいい。そんなトコを丁寧に描いても、何の意味も無いでしょうに。

ただ、そう思っていたら、花依が4人を呼び出して相手を決める展開に入っても、またダラダラするんだよね。
ここで彼女は「誰か1人を選ぶなんて出来ないよ。だから勝負しましょう」と言い、自分にまつわるクイズ対決で勝った人と付き合うと告げる。
ここも律儀に、何問も花依がクイズを出して4人が答える様子を見せているのよね。
だけど、そんな安易な方法でマトモな結果が出ないことは分かっているし、何の盛り上がりも無いのよ。

前述したように、4人は並列扱いではなく、六見だけは他の3人と違う扱いになっていた。見せ方としては下手だけど、それでも明らかに六見だけは「最初から容姿で判断していなかった」という形にしてあった。
そういう扱いで描いている以上、最終的には花依が六見を選ぶ結末にするのがセオリーってモンだろう。
しかし完全ネタバレだが、この映画は驚くべきことに「花依が誰も選ばない」という結末を用意しているのだ。
クイズ対決の勝利者は六見だが、その彼が「花依は4人の誰にも恋していない」ってことで権利を放棄する。そして最終的には、「花依はイケメン同士の絡みを見て興奮するポジションに戻って満足する」という形で終わる。
ただし、痩せたままの姿で。なので、「見た目が可愛くなって自信が付いたから、安心して腐女子のポジションに戻った」という感じになっている。

(観賞日:2022年7月31日)

 

*ポンコツ映画愛護協会