『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』:1995、日本
1999年の第1の月、地中海で原子力潜水艦が爆発事故を起こした。2週間後、ノストラダムス教団の教祖であるライズリーはウィーンで集会を開き、その事故がノストラダムスの預言書に書かれていることを話す。彼は「失われた預言書が私の手元にある」と言い、預言書を掲げた。そして「その一節が間もなく当たることを予言しておこう」と告げ、第7節62節の「11人の勇者が乗った大鷲が姿を消す時、これから起こる大破壊の幕が上がる」という言葉を口にした。
大泥棒のルパン三世と相棒の次元大介は、ブラジルのリオデジャネイロで150万ドルのダイヤを手に入れた。ルパンはダイヤを人形に隠し、インターポールの銭形警部による跡を撒いた。空港にやって来た銭形は離陸しようとするプロペラ機を発見し、ルパンが操縦していると確信して追い掛けた。だが、ルパンはブラジル航空13便に搭乗し、その小型機を遠隔操作していた。ブラジル航空13便には、空港でミス・ブラジルからミサンガを贈られたブラジルのサッカー代表チーム11名も乗っていた。
ルパンが人形を抱いていると、ジュリアという少女がやって来た。彼女は生意気な態度で人形を奪い、「100ドルもあれば足りるでしょ」と金を渡して自分の席へ戻った。ルパンが追い掛けると、ジュリアの隣には峰不二子が座っていた。不二子はルパンをジュリアの席から連れ出す。ルパンが人形のことを説明して取り返すよう頼むと、不二子は「いいじゃない、150万ドルぐらい」と軽くあしらった。
13便は時限爆破装置を持った武装集団にハイジャックされ、モロッコの空港に着陸した。地元警察が要求通りにリムジンを手配し、100万ドルの用意も約束したため、ハイジャック犯は女性と子供、それに代表チームを解放した。その直後、空港の物陰から様子を見ていたクリスという男が、持っていたスイッチを作動させた。するとハイジャック犯の持っている爆破装置のタイマーが動き始めた。一味が焦り出す中、ルパンと次元は襲い掛かった。他の客も加わり、ハイジャック犯を飛行機から追い出した。
ルパンたちが飛行機から脱出した直後、大爆発が起きた。クリスはヘリコプターに乗り、ジュリアを拉致した。ルパンがダイヤのことを残念がっていると、不二子は「それどころじゃないわよ。5000万ドルの子供を奪われちゃったのよ」と言う。ライズリーは集会を開いてハイジャック事件に触れ、ウィーンでの予言が当たったのだと語った。彼は「我が教団こそが唯一の真理である。この預言書を見よ。真理は全てここにある」と人々に語り掛けた。集まった聴衆の中には、石川五エ門の姿もあった。彼はライズリーに気付かれない早業で預言書の数ページを切り取り、そこに書かれている内容を確認した。
不二子はルパンと次元に、ジュリアが巨大財閥であるダグラス財団の一人娘であること、ダグラスが次期大統領候補に出馬することを説明した。彼女はルパンたちを連れて、ダグラス財団が所有する200階建ての超高層タワー「アースビル」へ向かう。最上階の200階には金庫室があり、そこへは専用エレベーターを使わないと行くことが出来ない。そしてダグラスと妻のマリア、ジュリアだけが持つIDカードを使わないと、エレベーターは動かない。
不二子は金庫室へ行くため、ジュリアの教育係としてダグラス財団に入り込んだのだ。これまで金庫室に入ることが出来たのは、老泥棒のフィリップだけだ。そしてフィリップも入った途端に捕まり、現在は処刑島の監獄に収容されている。不二子の狙いは、金庫室に保管されているというノストラダムスの失われた預言書だった。フロリダに住む金持ちが5000万ドルで欲しがっており、彼女は既に契約書を取り交わしていた。ルパンは4対6の分け前で、不二子に協力することにした。
アースビルに入ったルパンと次元は、不二子の知り合いということでゲストルームに案内される。警備員は部屋の鍵を閉めようとするが、ルパンたちは彼を引っ張り込んで拘束した。ダグラスは不二子に、ジュリア誘拐への嫌疑が晴れるまで拘束することを通告した。彼が大統領選のための映像を撮影していると、モニターにクリスが現れた。クリスは拉致したジュリアの映像をダグラスに見せ、2週間後の決起集会で不出馬を表明するよう脅迫した。
クリスは手下1名と共にアースビルのブースに侵入し、催眠ガスを使って警備員たちを眠らせていた。クリスたちが逃げるのを目にした不二子は、後を追った。ルパンと次元は200階へ行くが、そこには金庫室など無かった。突如として床が斜めに傾き、2人は落下した。貯水タンクから這い上がってビル内に戻った2人は、ダグラスとマリアの会話を盗み聞きした。ダグラスはクリスの要求を拒否する考えを明かした。マリアは夫が娘の誘拐を公表し、同情票を集めようと目論んでいることを悟って腹を立てた。
マリアが「娘のために出馬を取り止めて。代わりに私が出馬します」と言い出したところで、ルパンと次元は部屋に入った。ルパンは「この親にして、あの娘ありだな」と口にした。彼は「今度来る時には、金庫室の中のモンは頂くぜ」とダグラスに告げ、次元と共に逃亡した。手製の探査機でルパンを捜していた銭形は、アースビルへ赴いた。駐車場に入った彼は、不二子がクリスたちに車で連れ去られる様子を目撃した。そこへルパンと次元が来たので、銭形は不二子が拉致されたことを語った。
ルパンと次元は銭形を駐車場に拘束し、アースビルを後にした。車を走らせていた2人は、ノストラダムスの預言書を求めて諸国を行脚しているという五エ門と遭遇した。五エ門はルパンたちに、教団の持っている預言書が偽物であることを告げた。ルパンはフィリップに会うため、わざと万引きで捕まって処刑島へ潜入した。1年に1度の奉仕でノストラダムス教団の女たちが処刑島へ来ていたが、その中に不二子がいたのでルパンは驚いた。
ルパンは食堂でフィリップと出会い、金庫室への入り方を尋ねる。するとフィリップは「ここじゃダメだから、夜中に俺の房へ来い。メモしといてやる」と述べた。その夜、ルパンと同房のマリオと共に脱走し、フィリップの元へ向かう。看守に化けたクリスと教団の実行部隊が監獄に潜入し、フィリップを連れ出していた。クリスたちは脳内を調べれる装置を使い、金庫室に入る方法を見つけようとする。しかし流した電流が強すぎたため、フィリップは死んでしまった。
クリスはフィリップが飲み込んだカプセルを取りだそうとするが、そこへルパンがパワーショベルで突入した。ルパンはフィリップの死体を運び、監獄の外に出た。そこへ銭形が現れてルパンを捕まえようとするが、クリスたちが発砲して来たので慌てて隠れた。ルパンと銭形は海に落ち、フィリップの死体は水中へ沈んでいく。追い掛けたルパンは、フィリップの口から出て来たカプセルを手に入れた。さらにルパンは、フィリップの形見として彼の義眼を頂戴した。
次元と五エ門がヘリコプターで駆け付け、ルパンと銭形を縄梯子で引き上げる。しかしクリスたちの発砲を受け、ルパンは海に転落した。アマゾンに漂着したルパンは激流に飲まれ、河畔の村に住むセルジオという少年に救われた。一方、次元と五エ門は襲撃してきた連中のことを調べ、そのリーダーがアルジェリアの外人部隊にいたクリスだと知った。ルパンは教団本部に忍び込み、不二子とジュリアを発見する。ジュリアはルパンに、不二子が記憶を失っていることを教えた。そこへ教団の実行部隊が駆け付け、ルパンを拘束した。
次元と五エ門はクリスを捕まえるため、外人部隊が武器の調達に訪れる建物を張り込んだ。クリスたちは建物に入り、プラスチック爆弾を調達した。彼らが建物から去ろうとしたところへ、次元と五エ門は現れる。しかしクリスはヘリコプターで逃亡した。地下牢に収監されたルパンの元へ、不二子が食事を運んで来た。ルパンは彼女を強引に抱き寄せ、キスをした。部屋に逃げ帰った不二子のミサンガが汚れていたので、ジュリアはハサミで切った。すると不二子は記憶を取り戻した。
クリスはライズリーの元へ戻り、ダグラスに出馬を取り止めるつもりが無いことを報告した。ライズリーが「次の手を打とう。我々の前に立ちはだかる者には破壊あるのみだ」と口にするので、クリスは「我々の目的は富と権力の世界制覇にあったはず。これでは本当の破滅の道を」と反発する。しかしライズリーは高笑いし、クリスの批判を軽く受け流して「もう小娘に用は無い。始末してくれてもいい」と言う。地下牢から脱出したルパンは不二子とジュリアの部屋へ行き、2人を連れて逃走した。
ルパンたちが岸辺にあった小舟へ乗り込むと、セルジオが眠っていた。それはセルジオの船だったのだ。ルパンたちは船を漕いで岸辺を離れ、木陰に隠れて追っ手をやり過ごした。不二子はルパンに、教団が無線でミサンガに仕込んだ針を動かし、神経を麻痺させていたことを話した。実行部隊に発見されたルパンたちは逃げ出そうとするが、ジュリアが連れ去られた。その直後、次元と五エ門がヘリコプターで到着し、ルパンたちを引き上げた。セルジオはルパンたちに、教団が村を焼いて住民たちを皆殺しにしたことを語った。
ルパンたちがフィリップのメモを見ると、金庫室へ入るにはIDカードだけでなく義眼が必要だと記されていた。ジュリアの名前を冠にしたサッカー大会が開催され、挨拶に立ったマリアは出馬を取り止めない夫を批判した。出場するブラジル代表チームを見ていた不二子は、腕のミサンガが気になった。その夜、クリスは無線でブラジル代表チームを操り、用意したボールをアースビルのあちこちにセットさせた。寝床へ戻る彼らを目撃した五エ門は、ミサンガを切った。彼が落ちて来たボールを真っ二つにすると、それは明日の午後3時にタイマーがセットされた時限爆破装置だった…。総監督は伊藤俊也、監督は白土武、原作はモンキー・パンチ(中央公論社刊)、脚本は柏原寛司&伊藤俊也、企画は武井英彦、プロデューサーは伊藤和明&伊藤響&中谷敏夫&松元理人、演出は富沢信雄、総指揮は漆戸靖治、担当プロデューサーは竹内孝次、イメージスケッチは友永和秀&富沢信雄&八崎健二、絵コンテは白土武&友永和秀&富沢信雄、作画監督は八崎健ニ、美術は工藤ただし、撮影は長谷川肇、録音監督は加藤敏、編集は瀬山武司、色彩設計は酒井智子、音楽は大野雄二、音楽プロデューサーは嶋田義三、音楽監督は鈴木清司。
エンディングテーマ「愛のつづき」作詞:荒川洋治、作曲:大野雄二、唄:坂上伊織。
声の出演は栗田貫一、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗、安達祐実、小松方正、檀ふみ、大塚明夫、阪脩、八奈見乗児、荒川太郎、日吉孝明、定岡小百合、立木文彦、平田康之、吉川虎範、辻村真人、野村洋子、麻丘夏未、藤本譲、石黒久也、入江崇史、落合弘治、角田久美子、藤井恒久など。
モンキー・パンチの漫画を基にしたTVアニメ『ルパン三世』の劇場版第5作。
この作品の前には声優を一新した『ルパン三世 風魔一族の陰謀』がOVAとして企画され、小規模ながら劇場公開された。ちなみに『風魔一族の陰謀』はファンから大不評で、黒歴史のような扱いになっている。
ルパン三世の声はTVシリーズの最初から山田康雄が担当してきたが、アフレコの直前に脳出血で倒れたため、山田ルパンの物真似をしていた栗田貫一が代役を務めている。意識不明で病院に搬送された山田がそのまま死去したため、これ以降も栗田貫一がルパンの声優を担当することになった。
次元役の小林清志、五エ門役の井上真樹夫、不二子役の増山江威子、銭形役の納谷悟朗は、TVシリーズのレギュラー。
ジュリアの声を安達祐実、ライズリーを小松方正、マリアを檀ふみ、クリスを大塚明夫、ダグラスを阪が担当している。序盤から色々と無理があるシナリオだ。
まずサッカーのブラジル代表チームが空港でミサンガを受け取るシーン、11人しかいないのは変だ。試合に行く代表チームが11人だけで移動するなんて有り得ない。
そりゃ「海外でプレーしている選手たちは現地で合流する」ということは考えられるけど、そういう設定じゃないんだよね。
まあサッカーは11人でやるスポーツだから、分かりやすく11人だけにしてあるということなんだろうけど、でも変なものは変だよ。13便が離陸する際、すぐ近くからルパンの用意したプロペラ機も離陸しているが、小さな空港じゃあるまいし、あれだけ大きな空港で勝手にプロペラ機が待機していて排除されないってのは有り得ない。
っていうか、そもそも持ち込むことが不可能。
13便がハイジャックされた後、クリスは遠隔操作で時限爆破装置を起動させるが、その事件を起こした目的は何なのか。単に「予言が的中したように見せ掛ける」という目的のためだけなら、他の出来事だっていいわけだし。
もしもジュリアを拉致するために仕掛けた作戦だとしたら、無駄に手間が掛かり過ぎているし、無駄に大掛かりになり過ぎている。冒頭、登場したルパンはサンバ・カーニバルを見ながら、盗んだダイヤを人形に隠している。
でも、なぜ人形に隠すのか。そこには「安全に持ち運ぶため」「周囲に気付かれないようにするため」という理由があるはずだが、いい歳をしたオッサンが人形を持っているのは、かなり不自然でしょ。
しかも飛行機の中でチューしてるんだから、そりゃジュリアからロリコン扱いされるのも当然だ。
ルパンが機内に持ち込むために隠すのであれば、もっと「大人の男が持っていても自然に見える道具」を隠し場所に選ぶべきでしょ。
もちろん、ダイヤの隠し場所を人形にしてあるのは、「ジュリアがそれを奪う」という展開を用意するためなんだけど、そのためにルパンに不自然な行動を取らせるってのは本末転倒だ。ジュリアがルパンの人形を奪い取るのも、行動として不自然に見える。クリスたちに空港で追われた時、わざわざ落とした人形を取りに戻るってのも同様。
そんなに執着するほど、その人形を欲しがっていたようには見えなかったし。
それと、彼女が不二子と2人だけで移動しているのも不可解。
巨大な財団の令嬢で、しかも大統領選に出馬する人物の娘なのに、SPが1人も付いていないってのは奇妙だ。
アースビルの警備は厳重にやっているのに、なんでダグラスは娘に1人のSPも付けないのかと。っていうか、「アースビルの警備は厳重」と書いたけど、ルパンと次元は簡単に200階まで到達しているし、クリスたちはブースへ侵入しているし、厳重なはずなのに杜撰だよな。
それと、ルパンたちが前半の内に200階まで到達することで、「200階までは専用エレベーターを使わないと行くことが出来ないし、それを動かすにはダグラス家の3人しか持っていないIDカードが必要」という設定が完全に無意味になってしまっているぞ。
そういう説明があったからには、「IDカードを手に入れようとする」という展開に行くべきでしょ。200階が斜めに傾いてルパンと次元を転落させるのは、侵入者を排除するためのシステムのはずだ。
しかし、その排除した侵入者を捕獲しようとする動きは、まるで見られない。
で、ルパンたちはアースビルの中に戻り、「貯水タンクから這い上がり、風力発電の部屋を通り、階段を上がって隠し扉を開けるとダグラスとマリアが話している部屋へ」という移動をするのだが、どういう構造になっているのかと。
なんか変じゃないか、アースビルの構造って。なぜ五エ門がルパンたちと行動を共にするのか、それが良く分からない。
彼は次元ほどルパンと強い絆で結ばれているわけではなく、何か行動目的が無ければ共闘しないはず。
いや、もちろん「ノストラダムスの預言書を見つけるため」ってのは本人が言っているから分かる。
でも、なぜノストラダムスの預言書を見つけようとしているのかが分からないのよ。
五エ門は不二子と違って転売目的で預言書を入手しようとするような奴じゃないし、オカルト系の事柄に個人的関心を持つようなキャラでもないはずだし。処刑島の牢獄は厳重に警備されているはずなのに、クリスたちは簡単に侵入した上、勝手に牢獄の中の部屋を使ってフィリップの脳を調べることまで出来ている。
あと、教団の女たちが奉仕に来ているんだけど、処刑島と教団はどういう関係なのかと。それは全く説明が無いんだよな。
その教団に捕まって記憶を失っていた不二子は、ルパンにキスされて慌てて部屋へ戻る。てっきり「ルパンにキスされて記憶が戻る」という展開なのかと思ったら、ジュリアがミサンガを切って記憶が戻るのね。
なんかキスシーンが無駄に使われている印象を受けるぞ。
あと、ミサンガがスープで汚れていたからって、それをハサミで切断するってのは行動として不自然でしょ。ルパンは正義の味方でもなんでもなくて、ただの泥棒だから仕方が無いっちゃあ仕方が無いんだけど、目の前でジュリアが拉致されても、不二子が連れ去られたことを知っても、彼女たちを救出するための行動に移ることは無くて、金庫室の預言書を手に入れようとするのね。
もちろん不二子とジュリアが殺されることは無いけど、教団が容赦なく始末する可能性だって考えられるわけで、そっちより泥棒を優先するってのは、ちょっと引っ掛かる。
で、そのくせ、フィリップのメモを手に入れた後は、すぐに金庫室へ行こうという動きには移らず、不二子とジュリアを助けるんだよな。
なんか行動がメチャクチャに見える。ミサンガで操られたブラジル代表の選手たちは、サッカーボールを蹴ってアースビルの柱にハメ込んだり、貯水槽に蹴り込んだりする。
廊下などでもサッカーボールを蹴っているんだが、それを監視カメラで見ている警備員が「練習している」と解釈して見逃すのは変だろ。明らかに奇妙な行動だし、注意すべきだろうに。
あと、そうやって爆破装置をセットするって、なんちゅう作戦だよ。もっと他に幾らでも方法はあっただろ。前半でクリスたちは、ブースまで楽々と侵入していたんだし。
神経を麻痺させて操ることが出来る装置があるのなら、それをアースビル内部の人間に使ってもいいだろうし。教団の目的は金庫室の預言書を手に入れることのはずなんだけど、だったらダグラスに出馬取り止めを要求する理由は何なのか。本当の目的を、それでカモフラージュしているってことなのか。
だとしても、カモフラージュする意味が良く分からないし。
ジュリアを拉致した後は、彼女からIDカードを奪って金庫室に入ろうとすればいい。もしジュリアがカードを持っていなければ、ダグラスなりマリアなりを脅してカードを手に入れればいい。あるいは、預言書そのものを交換条件にしてもいいし。
目的と行動が一致していない。サッカーボール作戦にしても、ライズリーが爆破予告をすることで人々をビルから遠ざけ、その間に預言書を奪うってのが目的なのかもしれないけど、人々を遠ざける必要性も感じない。
上述のように、大勢の警備員がいても実行部隊は簡単に侵入しているわけで、
もはやライズリーは預言書を手に入れる目的よりも、破壊衝動の方が大きくなっているということなのかもしれない。
だけど、そこも物語の中で上手く表現されていないから不自然に感じるし。そもそも「ルパンが預言書を手に入れようとする」という話と、「教団の企みを阻止する」という話が、上手く融合していない。
むしろ、互いに打ち消し合っていると言ってもいいぐらいだ。
「ルパンと教団が預言書を巡って争う」という形になっていればいいんだろうけど、教団の目的がボンヤリしたまま物語が進行しており、預言書を狙って行動しているように見えないんだよな。
「預言書を狙っているので、邪魔なルパンを排除しようとする」という動きになっているわけでもないし、だから2つの要素がバラバラになっている。(観賞日:2013年9月12日)