『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』:1985、日本

夜のニューヨーク。老婆のロゼッタはモンスタークラブというバーに入り、客にキスして嫌がられる。カウンターにはウィリーと陳という男たちが、次元大介と石川五右ェ門に変装して周囲を観察している。怪物のマスクを被るのがルールだとマスターのサムが言うと、彼らは「もうマスクを被っている」と告げる。2人が店に来た目的は、ルパンを見つけ出すことだ。ロゼッタはゴリラの扮装をした男がルパンだと気付き、「私のこと、覚えてる?」と声を掛けた。ルパンは「しぶとく生きてたのか」と言い、酒を御馳走した。
大きな宅配便の箱に入った銭形警部が店に現れ、ルパンに銃を突き付けて逮捕しようとする。しかしルパンかバイクで逃走したため、銭形は後を追った。ウィリーと陳も追い掛けようとするが、その前に次元と五右ェ門が立ちはだかった。ウィリーたちは刀と銃で襲い掛かるが、五右ェ門に武器を切断されて退散した。バイクのチェイスを見たマフィアのボスであるマルチアーノは、ルパンが生きていると知った。そのことで静かに責められた若頭のコワルスキーは、明朝までに片付けることを約束した。
大勢の野次馬はルパンと銭形のどちらが勝つか、賭けを始めた。峰不二子も賭けに参加し、絶対に勝つようルパンにメッセージを送る。ルパンは銭形を撃退し、その場を後にした。彼はマフィアの手下が稼ぎを数えている場所に現れ、全額を奪って逃亡した。彼が安ホテルに戻るとロゼッタが待っており、「借りは返す」とストリップを始める。ルパンが慌てて「やめてくれ」と言うと、彼女は「踊りで返そうなんて思ってないわ。抱いて」と抱き付く。ルパンが狼狽すると、ロゼッタは笑って「素敵な話をしてあげる」と告げた。
ロゼッタはルパンに、古代都市のバビロンが滅びる直前に神様が現れたこと、宝物を集めて隠したことを語った。彼女が鞄から燭台を取り出そうとすると、マフィアの手下4人が部屋に乗り込んで銃を乱射した。しかしルパンは防弾ガラスで銃撃を阻止し、拳銃を構えて一味を観念させた。その間にロゼッタは、窓から姿を消していた。ルパンは手下たちを追い払い、ロゼッタが残した燭台を手に取った。彼は次元と五右ェ門に、「俺がマルチアーノに接近してバビロンの秘密を嗅ぎ出そうとしてるのを知ってやがるらしいなあ、あの婆さん。一体、何者なんだ?」と語った。
不二子は女の魅力を武器にしてマルチアーノに接近し、バビロンの財宝を狙っていた。マルチアーノは彼女に、財宝探しは父の代から続く立派な事業だと話す。彼の父はバビロンの黄金探しに夢中になり、縄張りをルチアーノに譲って引退した。きっかけとなったのは、MSGの地下鉄工事現場から見つかった粘土板だった。その粘土板にはバビロニア文字が刻まれており、父はイラクで遺跡の発掘作業に没頭した。しかし同じ時期、ヒトラーも黄金の塊を狙い、大規模な調査団を派遣していた。マルチアーノは暗黒街の仕事をコワルスキーに任せ、父の事業を引き継いだのだった。
マルチアーノは不二子を連れて、豪邸の地下にあるコレクション・ルームへ移動した。そこには粘土板の破片50枚の内、40枚が展示されていた。不二子は彼にルパンも数枚を集めていると教え、ペンダントに仕込んだ小型カメラで粘土板の裏文字を撮影した。マルチアーノは盗撮に気付き、ナイフで襲い掛かった。すると突き刺された不二子の体は風船のように膨らんで破裂し、中からルパンが現れた。不二子に化けていたルパンはマルチアーノを眠らせ、豪邸を後にした。
銭形はICPO長官の元へ押し掛け、ルパン逮捕のために直属の部下を付けてほしいと要請した。しかし長官は彼をルパン逮捕の任務から外し、別の仕事を命じた。それは世界各国の警察から選ばれた婦人警官が美を競うビューティー・コンテストの宣伝係だった。コンテストではイタリア代表のラザーニアが優勝するが、不満を抱いたアメリカ代表のキャラメール、中国代表のチンジャオ、ソ連代表のザクスカヤ、アフリカ代表サランダが長官に激しく抗議した。長官は銭形をルパン逮捕の任務に戻し、「4人を部下として引き取ってくれ。ラザーニアも付ける」と述べた。銭形は大喜びし、5人の婦警を引き連れてルパン逮捕に向かった。
ルパンはパリのアジトでコンピュータに粘土板の文字を登録し、文章の一部を解読した。五右ェ門は粘土板がニューヨークで発見されたことが気に入らず、「降りる」と告げてアジトを去った。次元がコニャックを買いに出掛けた直後、ロゼッタがアジトにやって来た。「愛してるの」と彼女が言うので、ルパンは狼狽して距離を取った。ロゼッタがアレキサンダーやナポレオンから愛されたと話すので、ルパンは呆れた。ロゼッタは粘土板の出土状況を示した図面を見つけると、「バビロンの南」と呟いた。
燭台に気付いたロゼッタは、「こんな所にあったのね」と手に取って「76年ごとに光るバベルの塔に立てよ」と口にした。ルパンが燭台に付いているほうき星について尋ねると、ロゼッタは「神様はね、ほうき星でやって来るの。バビロンの黄金を見物しにね」と答えた。彼女は「バビロンに行くんだろ。覚えとくといいわ、暗闇がアンタを待ってるよ」と告げてアジトを立ち去った。次元がバーで飲んでいると、コワルスキーと手下たちが襲って来た。コワルスキーは「ルパンのアジトへ案内すれば命だけは助けてやる」と言うが、次元は反撃して店から脱出した。次元は地下水道へ逃亡するが、火炎放射器を使うコワルスキーに追い詰められる。そこへルパンが現れ、コワルスキーを退治した。ルパンと次元はトラックに乗り込み、五右ェ門を誘ってパリを出発した。
ルパンたちがオリエント急行に乗り込む様子を、マフィアも銭形と婦警たちも観察していた。ウィリーと陳は食堂車のスタッフに化けて、ルパンに近付こうとする。しかし銭形と婦警たちは厨房へ乗り込み、彼らを叩きのめした。他のマフィアも列車に乗り込んでいたが、その動きにルパンは気付いていた。キャラメールとザクスカヤは客に成り済まして食堂車へ行き、ルパンを誘惑する。2人は眠り薬を入れた料理をルパンに食べさせようとするが、マフィアのヘリコプターが列車に接近して銃撃してきた。ルパン&次元&五右ェ門が食堂車から脱出すると、列車に乗っていたマフィアが乱射して来た。
ルパンたちは銭形にも追われるが、五右ェ門が連結部分を切断して逃走する。ヘリコプターが攻撃してくるが、次元が発砲して墜落させた。バビロンに到着したルパンたちは不二子と合流し、考古学者のタルティーニを隊長とする発掘隊がバベルの塔を発見したと聞かされる。ルパンたちが発掘現場を密かに観察していると、発掘隊に出資しているマルチアーノが現れた。夜になってから、ルパンは遺跡に入った。彼は落とし穴を回避し、奥へと進んだ。
ルパンは若い美女の幻覚を目撃し、「待っていたわ。私はロゼッタよ」と告げられる。若いロゼッタは、「遠い昔、神に遣わされて地球に降り立ったのよ。ずっとここに眠っているの。76年ごとに目を覚まして地上をさまよい歩き、バビロンの黄金を捜し回っているのよ」と語る。ルパンが「妙じゃねえか。どこにお宝があるのか分からねえのか」と疑問を口にすると、彼女は「分からないのよ」と涙を流した。ルパンは両頬を叩き、幻覚から脱出した。
ルパンが壁のレバーを見つけて操作すると、床下から黄金の有翼獅子像が出現した。遺跡が崩れ始めたので、ルパンは急いで黄金像を運び出した。するとマルチアーノの一味が待ち受けており、銃を構えて黄金像の引き渡しを要求した。マルチアーノは黄金像を抱いて感激し、コワルスキーたちはルパンを始末しようとする。ルパンは空を飛んで逃走するが、不二子に黄金像を奪われてしまう。不二子はロゼッタと手を組んでおり、「どこへ持って行くの?」と問われて「任せといて」と告げた。
銭形は砂漠で車が故障し、婦警5人は通り掛かったクウェート軍を誘惑して戦車を奪った。ルパンたちがマフィアの飛行機と車に追われていると、そこへ戦車が現れた。ルパンたちは海へ逃亡し、不二子が富豪のクルーザーに黄金像を乗せて運ぶ様子を目撃した。しかしルパンは、もっと大きな黄金がニューヨークにあると確信していた。マルチアーノは不二子を捕まえ、黄金像を奪還した。ルパンがニューヨークへ戻ったと知った彼は黄金像を奪いに来たと思い込み、抹殺するようコワルスキーに命じた…。

監督は鈴木清順&吉田しげつぐ、原作はモンキー・パンチ(アクション・コミックス 双葉社刊)、脚本は浦沢義雄&大和屋竺、製作は藤岡豊、プロデューサーは片山哲生&佐野寿七&武井英彦、作画監督は青木悠三&柳野龍男&尾鷲英俊、美術は石垣努、撮影は長谷川肇、録音は加藤敏、編集は鶴渕允寿、設定は飯岡順一&小野田博之、製作担当は松元理人&横溝隆久、音楽は大野雄二、音楽監督は鈴木清司。
主題歌「MANHATTAN JOKE」作詞:秋元康、作曲:大野雄二、歌:河合奈保子。
声の出演は山田康雄、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗、河合奈保子、塩沢とき、カルーセル麻紀、大塚周夫、おぼん、こぼん、平野文、潘恵子、吉田理保子、戸田恵子、島津冴子、緒方賢一、大宮悌二、藤城裕士、田口昂、喜多川拓郎、小滝進ら。


モンキー・パンチの漫画を基にしたTVアニメの劇場版シリーズ第3作。
ルパン役の山田康雄、不二子役の増山江威子、次元役の小林清志、五右ェ門役の井上真樹夫、銭形役の納谷悟朗は、TVシリーズのレギュラー声優陣。
ロゼッタの声を塩沢とき、マルチアーノをカルーセル麻紀、コワルスキーを大塚周夫、ウィリーをおぼん、陳をこぼん、キャラメールを平野文、チンジャオを潘恵子、ザクスカヤを吉田理保子、サランダを戸田恵子、ラザーニアを島津冴子が担当している。
主題歌の『MANHATTAN JOKE』を歌う河合奈保子が、若いロゼッタ役で特別出演している。

監督はTVアニメの第2シリーズで監修を務めた『陽炎座』『カポネ大いに泣く』の鈴木清順と、同じく第2シリーズの演出と絵コンテを手掛けた吉田しげつぐによる共同。
脚本はTV版第2シリーズの浦沢義雄と、『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』『超人ロック』の大和屋竺による共同。
ただし、そのスタッフで製作がスタートしたわけではない。
最初は前作『カリオストロの城』を手掛けた宮崎駿の推薦によって、押井守の起用が決定した。
ところが押井守が作品の世界観を破壊するようなプロットを提案したために降板させられ、急遽、TVシリーズのスタッフを使うことになったらしい。

どんな作品を押井守が撮ろうとしていたのかというと、詳細は明らかにされていないが、どうやら「ルパンは実在しない」という設定だったらしい。そりゃ却下されるのも当然だろう。
まだ当時は押井守の正体を知る業界の人間も少なかっただろうから、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』をヒットさせた人だし、いいんじゃないかと思ったのかもしれない。
今だったら、彼に仕事を依頼することの恐ろしさを認識できる人も増えているんじゃないかな。
押井守は『うる星やつら』にしろ『機動警察パトレイバー』にしろ、原作を完全に無視して「俺様の映画」に変えちゃう人だからね。

押井守って「作家」としての主張が強い人なので、いわゆる職人監督に徹することが出来ないのよ。
もちろん原作に対する愛やリスペクトなんて、全く抱かない人だしね。
ただ、それを言い出したら宮崎駿だって作家性の強い人ではあるんだけど(それもあって『カリオストロの城』の興行成績は振るわなかった)、少なくとも原作を全否定するようなメチャクチャなことはやらないからね。
あと、宮崎駿はTVアニメの第1シリーズでも演出に参加していたしね。

っていうか、根本的に宮崎駿と押井守って監督としての資質が全く違うしね。つまり作家性が強いからダメなわけじゃなくて、「押井守の作家性」がダメってことなのよね。
すっかり脱線してしまったが、ともかく本作品は途中で製作体制が変更されたため、かなりスケジュールが厳しい中で製作されたという事情がある。
そんな突貫工事で良い映画が仕上がる可能性は、かなり低いだろう。
そして実際、多くのファンから失敗作と言われるような映画に仕上がった。

ウィリーと陳が次元と五右ェ門の格好でバーに来ている意味が、全く無い。最初から別人なのはバレバレな上、すぐに自分たちでも変装だとバラすので、「本物に見せ掛ける」という狙いでやっているわけではない。
だったら、誰かが本物だと思い込むとか、逆に偽者だと気付かれるとか、そういう使い方をするのかというと、そうでもない。その変装には誰も触れないまま、2人はルパンに逃げられる。
後を追って本物の次元と五右ェ門に撃退されるのだが、それは変装していなくても成立する手順だ。
だから彼らが変装した意味は、全く無いということになるのよ。

ルパンはロゼッタと以前に会っている設定だが、どういう知り合いなのかは分からない。
かなり親しい間柄のようにバーでは話しているが、バビロンの財宝について聞かされたルパンは「一体、何者だ?」と言っている。
ロゼッタは映画にとって、ただ都合がいいだけの女になっているのだ。
話の都合に合わせてキャラを使うのは、当然っちゃあ当然だ。ただ、ものすごく扱いが雑なので、それが不細工な形で露呈しているのだ。

ロゼッタがルパンにバビロンの財宝の話をするのは唐突だが、それは置いておこう。
そんな財宝の話を聞いた時、ルパンは初耳という態度を見せている。しかし実際には、以前から財宝のことを知っていて、そのためにマルチアーノに接近しているという設定だ。
ただ、そんな風に口では言っているが、マルチアーノに近付くための行動は何も見せていない。あえて挙げるなら稼ぎを奪う行動を取っているが、それがマルチアーノに接近する目的には全く繋がっていない。
っていうか、ルパンにマフィアの稼いだ金なんか強奪させちゃダメでしょ。そういうケチな強盗じゃないはずでしょ、ルパンって。

バーに銭形が現れた時、ルパンはゴリラの格好で酒を飲み、楽しく過ごしているだけだ。そこに何か別の目的があるのかというと、何も無い。
でも、そこは何かしらの目的のために行動している設定にした方がいいでしょ。それこそマルチアーノに接近するための行動にしておけばいいわけで。
そもそもルパンがバビロンの黄金を狙っていることを提示するやり方も、上手くないんだよな。
それと、アクションで観客を引き付けたいのは分かるけど、ルパンと銭形のバイクチェイスは切り上げるタイミングを逃して間延びしている。

銭形がビューティーコンテストの宣伝係を命じられるが、審査に不満を抱いた婦警たちに詰め寄られた長官が困り果て、元の任務に戻して婦警を押し付けるという手順がある。
ここに5分ほど使っているけど、無駄な手順にしか思えないのよね。コンテストのシーンを用意するなら、もっと時間を使って大々的に描き、本筋にも絡めるべきだ。
単に「銭形が婦警5人を部下にする」という展開のためだけに持ち込むぐらいなら、そんなのは要らない。コンテストをバッサリとカットし、「部下を要請された長官が婦警5人を与える」という形で済む。
銭形がコンテストには否定的だったのに、参加していた婦警5人を押し付けられて喜んでいるのも変なのよ。だからコンテストを排除し、「婦警を部下に付けられた銭形が不満を抱くが、有能だと知って驚く」という手順にでもした方がいい。

ルパンが遺跡に入ると、ロゼッタが神の使いであることが明らかにされる。
でも、だったらルパンとの接点はどこなのか。黄金を探して地上を徘徊している時に出会ったってことなのか。
そんなロゼッタが、なぜ執拗に追い掛けるほどルパンを愛しているのかも全く分からん。愛するきっかけとなる出来事も無いんだし。
もっと根本的なことを言っちゃうと、ロゼッタって要るのかと。
ルパンにヒントを与えるなど、一応の役割は担っているのよ。ただ、「謎めいた老婆」としての動かし方が上手くないので、物語を足元の定まらないボンヤリしたモノにしちゃってるのよね。

ロゼッタはルパンのアジトを去る時、英語の歌を口ずさむ。だが、ルパンは「2500年生きて来たってのか、あの婆さん」と、まるで歌には関係のないことを呟いている。
だから、その歌は特に意味が無いのかと思いきや、遺跡でルパンが思い出し、「落とし穴が3つある」ってこを意味する内容だったことが判明する。そして彼は「宝の秘密を、こともあろうにマザーグースの歌に仕込んでおくなんて」と口にする。
だけど、そう言われるまで、マザーグースの歌ってことに全く気付かなかったわ。
それと、それは宝のありかを示しているわけじゃなく、「落とし穴が3つある」ってのを教えているだけなのよね。しかも、ルパンが前述の台詞を喋るのはロゼッタの幻覚から脱出した直後なので、タイミングがおかしいし。

アクションシーンが幾つも用意されているが、映画を盛り上げる役目としては今一つになっている。ストーリーの薄さや起伏の乏しさを誤魔化すために、必要性を度外視して持ち込んでいるように感じるのだ。
アクションに特化した映画であれば、ストーリーがシンプルで薄くなっているケースも少なくない。
そういう映画の作り方がダメとは言わないが、この作品はアクションに特化しているわけでもないし。
あと根本的な問題として、アクションシーンがそこまで面白いわけでもないし。

各国代表の婦人警官5人を登場させているが、まるで使いこなしていない。チンジャオに五右ェ門と惹かれ合う要素があるぐらいで、他の面々は個性が皆無に等しい。チンジャオにしても、そのロマンスは強引さが目立つし、大して膨らまない。
そもそも、この5人って必要性が感じられないのよね。銭形がルパンを逮捕しようとして追い掛ける際、一緒に行動しているだけ。
だったら、その仕事の大半は銭形に担当させればいい。
そりゃあ女の武器で誘惑したりするのは無理だけど、そこは別の方法を採用すればいいわけで。婦警5人の出番を増やすために銭形の扱いが悪くなっているので、それは本末転倒なんじゃないかと。

不二子がルパンから黄金像を奪った後、ロゼッタが一緒に行動している。
だが、この2人がどこで接点を持ったのか、まるで分からない。また、不二子にとってロゼッタと行動するメリットが何なのかも分からない。
もっと分からないのは、なぜロゼッタが不二子と行動しているかってことだ。
彼女はルパンに惚れて、彼に黄金のありかを見つけ出すよう促していたはず。それなのに、ルパンを裏切るような行動に同調しているのは、どういうことなのか。

ルパンが「もっとデカい黄金がマンハッタンにある」と言い出した時点では、その根拠を示さない。実際にMSGの地下で黄金を発見した後、彼は「マンハッタンもんじゃ(粘土板の破片のことを劇中でそう呼んでいる)は丸く飛び散っているので、真ん中を掘れば何か出てくるんじゃないかと思った」と言うが、まあ弱い根拠だこと。
しかもMSGの地下を掘ったら簡単に見つかっちゃうので、謎解きとしての面白さは全く無い。
「なぜバビロンの黄金がニューヨークの地下にあるのか」という謎については、「かつて神様がバベルの塔を人間に作らせて、それを宇宙へ持ち上げようとしたら落としてしまった。その場所にニューヨークが作られた」という設定だ。その神様の正体は、巨大宇宙船で飛来した宇宙人という設定だ。
そのバカバカしさ満開のトンデモ設定を全面的に受け入れたとして、「なぜ宇宙人が黄金を必要とするのか」という理由はサッパリ分からない。

(観賞日:2017年11月23日)

 

*ポンコツ映画愛護協会