『野蛮人のように』:1985、日本
有栖川珠子は15歳の時に書いた小説が話題となり、天才少女と呼ばれた若き作家。だが最近は人生にけだるさを感じ、全く筆が進まない。海沿いの家に1人で住み、現実離れしたような生活を送っている。
一方、中井英二は関東連合の下部組織である山西組のヤクザ。兄貴分である滝口利男に取り引き現場に呼び出されて駆け付けると、そこでは山西組長が殺され、滝口が傷を負っていた。滝口に指示されるまま、何丁もの拳銃の入ったバッグを持ち去る中井。
実は組長を撃ったのは滝口だった。そして組長を撃った拳銃を取り引き用の拳銃が入ったバッグの中に紛れ込ませ、中井に持ち去らせたのだ。関東連合会長と会った滝口は組長と共に女がいたと偽証し、その女の特徴を適当にでっち上げる。
滝口のでっち上げた特徴は、街に遊びに来ていた珠子に全て当てはまっていた。偶然出会った中井と一緒にいた珠子は関東連合の男達に追われることに。中井は珠子を連れて逃げるが刺されて傷を負う。中井を珠子は家に連れ帰り、傷が癒えるまで看病の日々を続ける。
次第に惹かれ合っていく2人。ヤクザの世界に嫌気が差した中井は足を洗おうと考え、滝口に連絡する。表面上は承諾した滝口だが、裏では中井を殺そうと考えていた。中井と珠子は居場所を突き止めた滝口達と戦うことになる…。監督&原作&脚本は川島透、撮影は前田米造、美術は桑名忠之、照明は梅谷茂、編集は高島健一、音楽は加藤和彦。
主演は薬師丸ひろ子、共演は柴田恭兵、清水紘治、河合美智子、ジョニー大倉、清水健太郎ら。
「フランス映画のようにオシャレな作品」を目指して作られたらしいが、主役2人だけを見ても全然オシャレじゃないしなあ。
部屋に飛び込んでくるカモメが明らかに作り物だったりして全体的に安っぽさが感じられるし、音楽くらいじゃないの、オシャレな部分って。別に非現実的なのは構わないけど、リズム感が悪いんだよなあ。だから乗り切れないし、粋にならない。
撃ち合いの最中になぜか踊ったりするのも、単に恥ずかしい演出にしか見えない。話がメチャクチャなのも凄く粗いのも許すけど、クライマックスが家の大爆発って、どこがオシャレなんだろ。