『未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』:2007、日本

2002年。宮本さやかと福島慶太は、友人・リカの結婚式に参列した。リカは6年も付き合った彼氏と別れ、3ヶ月前に出会った男と電撃 結婚していた。結婚式の後、さやかは親友・村本美樹から「さやかと慶太はどうなの」と問われ、笑ってはぐらかした。彼女は慶太から 「ちょっと歩かないか」と言われ、2人きりになった。慶太は歩きながら、さやかに「ちょっと話があるんだけど」と告げた。
1997年。大学生のさやかは、友人のカヨに誘われて自主映画の撮影に参加した。彼女は花嫁役として、結婚式のシーンを撮影することに なった。新郎役が急に来られなくなり、監督は友人の慶太を強引に巻き込んだ。撮影の数日後、さやかはキャンパスで慶太と遭遇した。 慶太は教会の模型を作っている部屋に案内した。さやかは、その出来栄えに感心する。後日、慶太は彼女を誘い、バイクで星空を見に行く 。慶太は、サグラダ・ファミリアを見て教会の模型を思い付いたこと、ガウディーが一番好きな建築家であることを話した。
それ以来、さやかと慶太は交際を続け、デートを繰り返した。やがて、さやかは就職活動を開始するが、希望している出版社の面接で 立て続けに落ちてしまい、美樹の前で「もう一般職でもいいかなあと」と弱音を吐いた。慶太が「ガウディーになりたい」と建築の勉強を している姿を見た彼女は、卒業旅行でスペインへ行こうと誘った。2人はスペインへ行き、本物のサグラダ・ファミリアを見た。
翌日、2人は再びサグラダ・ファミリアを訪れた。慶太はサグラダ・ファミリアで働く日本人彫刻家・中島良郎を発見し、興奮して声を 掛けた。慶太は中島に頼んで、彼の工房を見学させてもらう。中島は天使像を作成中だった。それが完成するまでには10年掛かるという。 さやかは慶太に「見に来よっか、10年後。2人で」と言われ、「それだけじゃあ嫌だ。手を繋いで見に来よう」と微笑んだ。
2002年。2人が卒業してから3度目の春が近付いていた。さやかは印刷会社で働き、慶太は建築事務所でアシスタントの仕事をしていた。 ある時、福岡にいるさやかの母・陽子と妹・あすかが上京した。陽子はさやかに仕事や私生活のことを尋ね、「恋愛は人生の醍醐味。仕事 が大変でも、恋が上手く行きそうならええやないの」と告げる。さやかは慶太とデートをした時、「仕事が楽しそうじゃないね」と指摘 される。慶太は彼女に、「ホントは、まだ編集やりたいんじゃないの?」と告げる。
さやかは印刷会社を辞め、出版社の面接試験を受けた。編集長の後藤大介は彼女を気に入り、採用することにした。慶太はさやかの就職を お祝いし、「思いが強ければ叶うもんだね。これからも叶えて行こう。思いの予想図」と言う。雑誌の仕事を始めたさやかは、初めて自分 が担当したページを慶太に見せる。そんな中、慶太は所長から、スペイン行きの話を持ち掛けられた。スペインの関係者が、慶太の仕事を 気に入ったのだという。慶太は困惑し、さやかには打ち明けられなかった。
リカの結婚式が近付く中、さやかと慶太は学生時代からの友人・平尾稔から「みんなでお祝いしよう」と言われる。その際、稔がうっかり 口を滑らせたことで、さやかは慶太にスペイン行きの話が来ていることを知った。さやかは喜ぶが、慶太から「いつ帰れるか分からない。 短くても3年」と言われて暗い顔になる。リカの結婚式の後、慶太はさやかに「スペイン行きを断ろうかと思ってる。行ったら、さやかに 会えなくなる」と言う。さやかは彼に夢を叶えてもらうため、「私、慶太とずっと一緒にいる気なんて無いよ。結婚するなら、もっと稼ぎ があって頼りがいのある人じゃないと」と心にもない言葉を口にした。
その後、さやかは慶太からメールが来ても出ようとせず、携帯電話の番号を変えた。2007年、さやかは創艶花火工房の花火職人・井上拓巳 の取材を試みていた。だが、彼はどの媒体の取材も拒否していた。井上は、ネットで話題になっている「恋の叶う花火」を作る職人だった 。さやかは後藤から別の企画を出すよう指示されるが諦めきれず、井上を付け回して自宅まで押し掛けた。井上は妻・苑との関係が上手く いっていなかった。仕事に没頭するせいで、家族をないがしろにしていたからだ。
ある日、さやかは稔と再会した。稔は慶太が日本に一度も帰らずスペインで頑張っていることを語り、彼と別れたことを非難した。「自分 の気持ちばかり大切にして。お前はあいつのいいとこ、一つも分かっちゃいねえ」と言われ、さやかは「私以上に慶太のこと分かってる人 、他にいないと思う」と反論する。ある夜、さやかが会社で残業をしていると、陽子から電話が掛かって来た。他愛の無い内容だったため さやかは「忙しいから」と、すぐに電話を切った。実は、陽子の電話は病院からだった。
井上は息子・光平の運動会の日も、工房で仕事をしていた。そこへさやかが現れ、「早く行きましょう」と促した。井上は学校へ行き、 息子に声援を送った。彼はさやかに「ありがとう」と礼を言い、取材の時間を作ることを約束した。さやかは妹からの電話で、陽子が手術 を受けることを知った。彼女は慌てて故郷へ飛び、病院に駆け付ける。しかし、翌日には東京へ戻り、雑誌の仕事に復帰した。
さやかの元に、入院中の陽子から手紙が届いた。「後悔せんで生きてほしい。大切な物と出会ったら、ちゃんと伝えてほしい」という言葉 を読んで、さやかは涙をこぼした。さやかは井上をインタビューし、彼が最初は苑のために花火を作ったことを聞き出した。さやかは彼に 、「もう一度、大切な人のために花火を作ってみたらどうでしょうか」と提案した。さやかは慶太に会いたいと思うようになっていた。 彼女は井上の記事を後藤に提出した後、1週間の休暇を貰ってスペインに飛んだ…。

監督は蝶野博、原案はDREAMS COME TRUE「未来予想図」「未来予想図II」、脚本は狗飼恭子&柴崎竜人、脚本協力は川嶋澄乃、製作総指揮 は松本輝起、チーフプロデューサーは小林敬宜&水川真理子、プロデューサーは伏木賢一&藤田義則&福島大輔、アソシエイト プロデューサーは三宅はるえ&松田さやか、撮影は石坂拓郎、編集は森下博昭、録音は橋本文雄、照明は藤森玄一郎、美術は岩城南海子、 音楽監修は中村正人、音楽は岩代太郎、音楽プロデューサーは小野寺重之、 主題歌は「ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜」DREAMS COME TRUE。
出演は松下奈緒、竹財輝之助、松坂慶子、石黒賢、坂東彌十郎、原田泰造、西田尚美、加藤雅也、柏原崇、関めぐみ、弓削智久、 藤井美菜、光石研、土屋久美子、柳沢なな、石井智也、澁谷武尊、宮越かおり、土肥美緒、真山景子、昇二郎、安井真理子、笹嶋和人、 Erina、浅井明、久野達哉、桜井創、山本洋平、白井克樹、高梨亜希子、松本美姫子、青木理紗、小高三良、竹下恭司、伊東淳、村上結花、 福井利之、草野絵里奈、とまと、田中慎一郎、深町健太郎ら。


DREAMS COME TRUEの歌『未来予想図』『未来予想図II』をモチーフにした作品。
これまで助監督として経験を積んで来た蝶野博が、初めて監督を務めている。
脚本を担当した狗飼恭子と柴崎竜人は、いずれも小説家として活動している人物。
さやかを松下奈緒、慶太を竹財輝之助、陽子を松坂慶子、後藤を石黒賢、井上を原田泰造、苑を西田尚美、中島を加藤雅也、印刷会社の 課長を柏原崇、美樹を関めぐみ、稔を弓削智久、あすかを藤井美菜が演じている。

とにかく、時間経過が分かりにくい。
序盤、自主映画を撮影するシーンがある。さやかと慶太の繋いだ手がアップになった後、カットが切り替わり、キャンパスで2人が遭遇 するシーンになる。
てっきり、撮影と同じ日の、少し時間が経過してからの出来事かと思ったら、さやかが「この前はどうも」と言っている。
ってことは数日後なのね。分かりにくいわあ。
その前に、さやかと友人たちが「じゃあね」と別れるシーンがあるんだから、そこで少し会話を用意して、「あの日の撮影が」みたいな ことを喋らせればいいのに。
っていうか、それ以前に、繋いだ手のアップで撮影シーンを終わらせていることが失敗だよな。さやかのモノローグを何度か挿入して いるんだから、そこもモノローグで「このシーンは終わりです」ということを示しても良かったんじゃないの。

そういう数日レベルの時間経過だけでなく、年月の経過に対する配慮も足りない。
テロップ以外に、時間経過を示すための細工は何も無い。当時の世相・風俗を盛り込んだり、その年を象徴するようなアイコンを さりげなく取り込んだりするようなことは無いし。
っていうか、そもそも2002年から1997年、また2002年という構成にしている意味が無いんだよな。
そりゃあ結婚式のシーンから始めたいという狙いは分かるよ。最後にさやかと慶太の結婚式があるので、そこから始めたいってのはさ。
だけどね、だったら1997年の出会いのシーンを結婚式にすれば良かったんじゃないの。

もしくは、2002年のシーンから始めるのなら、「出会いからその日まで」を遡る部分は無くても良かったんじゃないの。「既に恋人同士の 2人」から始めても良かったんじゃないの。
出会いから交際までを描いた効果が何か出ているかと言うと、何も見当たらないし。
リカの結婚式のシーンは45分ほど経過して再び訪れるけど、重ねて描いている意味も全く無い。そこで初めて登場しても、何の支障も 無い。
っていうか、最後にさやかと慶太の結婚式を用意している意味も、全く無いよな。全く効果的ではないよ。

慶太はさやかに模型を見せた後、「東京って夜でも星の見える場所って少ないよなあ。都心から離れた高台に行けば、満天の星が見える 場所があるけど」と言う。
それに対して、さやかは「ホント?そこ行きたい」と口にする。
この段階で「もう慶太にモーションを掛けているのか。フットワークの軽い女だなあ」と思ったら、「今度、一緒に行ってみる?」という 誘いには困惑の表情を示す。
いやいや、「ホント?そこ行きたい」というセリフや言い方は、明らかに「私を連れてってよ」という誘いだったでしょうに。

で、その日の内に星を見に行けばいいものを、なぜか日を改めて、慶太が誘い文句を練習してから電話を掛けるという展開にしている。
無駄でしょ、その手順。
大体さ、「都心から離れた高台に行けば、満天の星が見える場所があるけど」とか「今度、一緒に行ってみる?」とか、すげえ女慣れ したような感じだったのに、いざ誘うとなったら、なんで急に緊張しているのかと。
さやかも慶太も、キャラ造形がグラグラしちゃってるぞ。

バイクで星を見に行く際、さやかは慶太から「ちゃんと捕まってて」と言われるまで、後ろで恥ずかしそうにしていて、ようやく遠慮がち に彼の腰に腕を回す。
それも、やっぱり行動として変だよ。
最初から腰に捕まっていたとしても、「軽い女だなあ」とか思わないっての。そんなの普通のことだからね。
そもそも、出会ったばかりの男から「バイクで都心から離れた場所へ行こう」と誘われて、それをホイホイとOKしている時点で、もう 軽いんだしさ。

星空を見るシーンの後、『未来予想図』が流れて、「それ以来、2人の交際が続きました」というダイジェスト処理の手順に入る。
ここで、バイクの後ろに乗っているさやかが「あいしてる」と言い、聞こえなかった慶太が「何?」と尋ねると、「ア・イ・シ・テ・ル」 と言いながらヘルメットを5回ぶつけるというシーンがある。
それは『未来予想図』と『未来予想図II』に出て来る歌詞を意識したシーンなんだけど、実際にやっちゃうと、すげえ陳腐なのね。

ヘルメットを5回ぶつけるってのは、2人の間に「それがアイシテルの意味」という約束事があってこそ、サインとして成立する。
何も無いのに、いきなりメットを5回ぶつけても、アイシテルのサインとして成立しない。
だからこそ、劇中では「アイシテル」と言いながらヘルメットをぶつけているんだけど、口に出して「アイシテル」と言うなら、メット をぶつける必要って無いんだよね。
それに、走っている最中、運転している人間にメットをぶつけるなんて、すげえ危ないし。

卒業旅行のシーンは、ただスペインの風景を無節操に写しているだけ。
サグラダ・ファミリアに行くけど、慶太が何かを感じるとか、そこから2人の心情を示す会話劇に移るとか、そういうのは無い。
ただ単に、ストリート・ミュージシャンの演奏を聴いたり、買い物をしたり、大道芸人と握手したり、そういう観光の様子をダラダラと 描くだけ。
少なくとも慶太にとって、サグラダ・ファミリアを見ることは大きな体験のはずなのに、彼の情熱が全く見えて来ない。

で、そのまま終わりかと思いきや、なんと「明日また見に行こう」ということで、なんと再びサグラダ・ファミリアへ行くのだ。
なんだよ、その二度手間は。
そこで慶太が、「サグラダ・ファミリアが完成まで100年以上掛かる」とか説明しているけど、そんなことは最初に行った時に喋るような ことだろ。なんで次の日になってから初めて説明するんだよ。
「中島と遭遇する」というシーンを用意したいがために、翌日もサグラダ・ファミリアへ行くという展開にしてあるんだけどさ、そんなの 最初に行った段階で出会えばいいじゃねえか。
どうせ、その後の観光シーンなんて何の意味も無いんだから。

さやかは慶太に「ホントは、まだ編集やりたいんじゃないの?」と言われて出版社の面接を受けるけど、そもそも編集に対する情熱なんて 全く伝わって来なかったのよね。
大学時代に出版社を目指していたという描写はあるけど、慶太が模型を作っていたように、編集に関連するようなことをやっていたわけ じゃないし。
なぜ編集の仕事がやりたいのかというところが、全く見えないのよね。
だから、印刷会社を辞めて出版社の面接を受けることに決めても、ピンと来ない。そんなに編集の仕事に対する情熱があったのかと。 で、どれぐらいの熱い思いがあるのかと思ったら、面接試験では「いいと思ったものや新しい物をたくさんの人に伝えたい」とか「夢を 追い続けている人を応援したくなります」とか「夢は叶え続けるんです」とか、ものすごくフワフワしたことしか言わない。
具体的に、どんな雑誌を作りたいとか、どんな記事を書きたいとか、そういうことが全く見えて来ないのだ。

さやかは出版社に合格するけど、それはラッキーにも後藤に気に入られただけだからね。
その気に入られ方にしても、女として好意を持たれただけなんじゃないのかと邪推したくなっちゃうよ。
あんなフワフワした面接の応答で合格しちゃうってのは、一瞬、「コメディーかよ」とツッコミを入れたくなったけど、仮にコメディー だとしてもその面接シーンはアウトだよな。
コメディーだったら、もっとインパクトのあるヘマをやるべきだもんな。

慶太がスペインへ行かないと言い出した時、さやかは「私、慶太とずっと一緒にいる気なんて無いよ。結婚するなら、もっと稼ぎがあって 頼りがいのある人じゃないと」と嘘をつき、離れた場所で号泣する。
それは、感動させようというシーンなんだろう。
だけど、それがバカバカしいとしか思えないのよ。そもそも、そこは「彼に付いて行く」という選択肢もあるわけだからね。
その選択肢は最初から完全に無い状態で、「彼に夢を叶えさせるために嘘をつく」という選択肢を選ばれても、感動できねえなあ。
それと、慶太が日本に留まろうとするのは「さやかと一緒にいたい」というだけじゃなくて、「さやかにスペインへ付いて来てほしいけど 、彼女の夢だった編集の仕事を辞めさせることは出来ない」という気持ちもあってほしいんだけど、そういうのは見えないんだよな。

さやかは慶太と別れ、5年の歳月を感じさせない5年後になって、井上の取材を試みる。
その井上が取材を拒否しているのは、どうやら夫婦関係が上手くいっていないってのが理由らしい。
だけど、取材を受けようが受けまいが、夫婦関係には何の関係も無いよな。
で、さやかが自宅まで押し掛けたせいで、井上は妻から「あの人、誰?」と関係を疑われる。
さやかが付きまとったせいで、ますます夫婦関係はギクシャクしている。

結局、さやかは取材のOKを貰ったが、彼女が運動会に井上を連れて行った時、それを見ている苑の表情は怖い。明らかに2人の関係を 疑っている目だ。
仕事としては成功かもしれんけど、他人の夫婦関係を悪化させている。
しかも何のフォローも無いままだ。
だけど、苑が雑誌の記事を読むことで、さやかへの疑いが晴れ、夫婦関係は修復される。
なぜ、そうなるのかは、サッパリ分からない。

さやかは当ても無いままスペインへ飛ぶが、もちろん慶太と会って話をするのが目的のはずなんだから、とにかく彼を捜そうとするのかと 思いきや、ただ適当にブラブラと歩いているだけ。
で、それなのに見事な御都合主義で彼を発見する。
なんちゅう粗いシナリオだよ。
中島の元に立ち寄ったのなら、一応は彼のことを知らないかどうか質問してみるべきだろうに。同じ業界の人間なんだからさ。

で、さやかは慶太を目撃するのだが、そこにイタリア人女性と&幼い子供がやって来る。
さやかは彼の妻子だと勘違いし(実際は中島の妻子)、見つからないように立ち去る。で、さやかが歩いている姿からサグラダ・ ファミリアにカメラがパン・アップして、次のカットになると、彼女は東京にいる。
「いやいや、繋がりとして変だろ」と思ったら、東京じゃなくて福岡だった。
ひでえ編集だな。

その後、「さやかがスペインへ来ていたのでは」と思った慶太は、稔に電話を掛ける。
で、稔は「この前、会ったよ」と言い、さらに「ごめん。俺、お前が結婚してるって言っちゃった」と謝る。
ってことは、さやかを非難したシーンで、そんなことも喋っていたのか。
でも慶太の結婚を知らされたら、さやかはショックを受けるはずでしょ。
だったら、そのシーンを描かないのは手落ちだろ。

っていうか、さやかは「慶太が結婚している」という嘘を信じたまま、スペインへ渡ったのかよ。
だったら、スペインの街で慶太を目撃したシーンは、「彼に妻も子供もいると知ってショックを受けた」ということじゃないのね。
それなら、あのショックを受けたという反応は何なのか。「結婚は知ってたけど、相手がイタリア人なのも、子供がいるのも知らなかった からショック」ということなのか。
そもそも、「慶太が結婚していると嘘をついていた」という設定の必要性がまるで分からないぞ。

さやかの記事を読んだ慶太が帰国する気になるのは、ワケが分からない。
たぶん「思いの予想図」というフレーズがきっかけだとは思うけど、そんなに観客を納得させられるほどのパワーを持っていないよ、その 言葉。
その後、さやかは慶太から告白されて受け入れるけど、それって変でしょ。
だってさ、その段階では、彼女は慶太が結婚していると思い込んでいるはずなんだよ。そこで告白を受け入れたら、「私は彼と不倫します 」という意味になっちゃうぞ。
そこは、その前に誤解を解くための作業が必要でしょうに。

クライマックスが花火大会って、その構成も変だよな。
だってさ、あれだけ分かりやすく、「10年後、天使像を一緒に見に来よう。2人で手を繋いで」というネタ振りをしているんだよ。
どう考えたって、そこがクライマックスになるべきでしょ。
そこをエピローグに回してしまい、2人にとって何の思い出も無い打ち上げ花火のシーンをクライマックスにするって、メチャクチャ だよ。
っていうか、エピローグの結婚式のシーンも、ただの蛇足だし。

(観賞日:2011年12月3日)


第1回(2007年度)HIHOはくさい映画賞

・最低助演男優賞:石黒賢
<*『未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』『ミッドナイト イーグル』の2作で受賞>

第4回(2007年度)蛇いちご賞

・新人賞:松下奈緒

 

*ポンコツ映画愛護協会