『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』:2019、日本

フジ博士が率いる調査団は、伝説のポケモンであるミュウが生息していたジャングルの奥地へ向かっていた。神とも悪魔とも称されるほど強大な力を持つミュウは、既に絶滅したと言われている。しかし調査団は遺跡を調べ、ミュウのまつ毛らしき化石を発見した。フジは強力なポケモンを生み出すため、その化石を研究所へ持ち帰ることにした。調査団は気付いていなかったが、生き延びていたミュウが密かに彼らの様子を観察していた。
フジたちは研究所でミュウの遺伝子を使い、強化型ポケモンのミュウツーを誕生させた。培養液の装置で目覚めたミュウツーは、自分が何者で何のために生まれたのかを自問自答した。ミュウツーが装置を破壊すると、目覚めたことを知ったフジと研究員たちは喜んだ。フジはテレパシーでミュウツーに質問され、自分たちがミュウを基にして作り出したことを説明した。ミュウツーは憤慨して暴れ出し、小島に設置されている研究所を破壊した。
ロケット団を率いるサカキはヘリコプターで小島に降り立ち、ミュウツーに「人間とお前が力を合わせれば、世界は我々の物だ」と語る。彼は「ただし力を制御しなければ世界は滅びる」と言い、「どうすればいい?」と尋ねるミュウツーに鎧を装着させた。ミュウツーは彼の指示に従い、破壊と戦いと略奪を繰り返した。「何のために戦っている?」とミュウツーが疑問を抱くと、サカキは「お前はポケモンだ。人間のために使われる。他に何の価値がある?」と告げる。ミュウツーは「作られたポケモンである私は、ポケモンですらない」と言って鎧を外し、ロケット団のアジトを破壊した。ミュウツーは自分を生み出した人間に対し、逆襲を誓った。
マサラタウンのサトシはポケモンマスターを目指し、相棒のピカチュウや仲間のタケシ、カスミたちと修業の旅を続けていた。ランチ休憩に入った時、サトシは海賊風トレーナーからポケモンバトルを持ち掛けられた。サトシは快諾し、見事に勝利した。ピカチュウを奪おうと目論んでいるロケット団のムサシ、コジロウ、ニャースは、そんなサトシたちの姿を密かに観察していた。一方、ミュウツーもサトシたちを観察しており、招待状を送るよう洗脳したジョーイに命じた。
ジョーイに派遣されたカイリューはサトシたちの元へ行き、招待状を届けた。サトシたちが招待状を開くとジョーイのホログラムが出現し、最強のポケモントレーナーであるご主人様がパーティーを開くこと、場所がニューアイランド島のポケモン城であることを説明した。サトシは迷わずに招待を受けると決め、返信カードにチェックを入れた。カイリューがポケモン城へ戻ろうとすると、ロケット団が行く手を遮る。その際、ロケット団はカイリューが落としたサトシの返信カードに気付いた。
サトシたちは突然の嵐に見舞われながらも、波止場に着いた。すると招待された大勢のポケモントレーナーが集まっていたが、ジュンサーは渡し船が欠航になったことを話す。波止場を仕切るボイジャーは、今までに経験したことの無いハリケーンがニューアイランド島の上にあることを説明した。ジュンサーはジョーイが1週間前から行方不明になっているため、ポケモンが怪我をしても治療できない状態にあることを補足した。
説明に納得できなかったポケモントレーナーのソラオ、ウミオ、スイートは、勝手に島へ向かう。ロケット団は招待を隠してサトシたちに接触し、自分たちの用意した船に乗るよう持ち掛けた。サトシたちは船で島へ向かうが、途中でロケット団の正体が露呈する。ロケット団は荒波で船から振り落とされ、サトシたちも海に飲まれた。サトシたちが何とか島に着くと、ジョーイが出迎えた。タケシはジョーイだと気付くが、彼女は「生まれた時から城にお仕えしています」と否定した。
サトシたちが大広間に案内されると、ソラオたちが待っていた。ロケット団は島に辿り着いて城に潜入するが、ミュウが近くにいることに全く気付かなかった。最強ポケモントレーナーとしてミュウツーが姿を見せると、ウミオは腹を立てて帰ろうとする。ミュウツーは彼の体を操って投げ飛ばし、攻撃を仕掛けたギャラドスを軽く倒した。ミュウツーは「お前にもう用は無い」と言い、ジョーイの洗脳を解いた。一方、ある部屋に迷い込んだロケット団は、そこがポケモンのコピーを作る研究所だと気付いた。ニャースは尻尾の毛を採取され、瞬時にコピーが誕生した。
ミュウツーはサトシたちに、「人間はポケモンにも劣る最低の生き物だ。人間のように弱くて酷い生き物が支配していたら、この星はダメになる」と語る。タケシが腹を立てて「お前のようなポケモンが支配するのか」と言うと、ミュウツーは「ポケモンもダメだ。なぜなら、この星を人間に支配されてしまった。人間のために生きているポケモンさえいる」と告げる。攻撃を受けたミュウツーは軽く弾き返すと、「無駄だ、私はいかなるポケモンより強く生まれて来た」と話す。サトシが「やってみないと分からないだろ」と反発すると、ミュウツーは余裕の態度で「やってみるか」と持ち掛けた。
ミュウツーは研究所から進化形のフシギダネ、ゼニガメ、ヒトカゲを呼び寄せ、バトルフィールドを出現させた。ソラオはフシギバナのバーナード、スイートはカメックスのクスクス、サトシはリザードンを使い、ポケモンバトルに臨む。しかし3匹とも、コピーフシギバナ、コピーカメックス、コピーリザードンの前に敗北を喫した。ミュウツーは強化したコピーを作ると言い、モンスターボールでポケモンを次々に捕獲した。
サトシはピカチュウだけを何とか救い出すが、他のポケモンは研究所に運ばれてコピーが誕生した。サトシはオリジナルのポケモンたちを引き連れてミュウツーの元へ戻り、怒りを込めて攻撃する。サトシは激しく弾き飛ばされるが、ミュウが現れて助けた。ミュウツーが襲い掛かろうとすると、ミュウは戦いを避けて逃げる。しかしミュウツーが追い掛けて攻撃したため、ミュウは反撃する。「本物は負けない」というミュウの宣言にミュウツーは「強いのは我々だ」と反論し、コピーポケモンに命じてオリジナルを攻撃させる…。

監督は湯山邦彦&榊原幹典、原案は田尻智、脚本は首藤剛志、エグゼクティブプロデューサーは岡本順哉&片上秀長、プロデューサーは下平聡士&關口彩香&長渕陽介、製作は石原恒和&久保雅一&小島一洋&川崎由紀夫&原口宰&市川南&中島一弘、アソシエイトプロデューサーは浅井認&弓矢政法&押田裕一&宮原俊雄&盛武源、アニメーションスーパーバイザーは坂美佐子、アニメーションプロデューサーは小林雅士、アニメーションコーディネーターは吉川兆二&折方崇志、ストーリーボードは湯山邦彦&毛利和昭&岩根雅明、キャラクター設定は松島賢二&西野弘二&松宮稔展、アートディレクターは丸山竜郎、メインキャラクターデザインは阿波パトリック徹、CGIスーパーバイザーは那須基仁、音響監督は三間雅文、音響効果は神保大介&倉橋裕宗、音楽は宮崎慎二、主題歌「風といっしょに」は小林幸子&中川翔子。
声の出演は松本梨香、大谷育江、うえだゆうじ、飯塚雅弓、こおろぎさとみ、愛河里花子、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山犬子、市村正親、山寺宏一、レイモンド・ジョンソン、小林幸子、石塚運昇、藤村知可、西村ちなみ、三宅健太、神谷浩史、吉野裕行、佐倉綾音、稲葉実、古島清孝、福西勝也、大隈健太、小松昌平、最上嗣生、岩崎諒太、富樫美鈴ら。


TVアニメ『ポケットモンスター』の映画版第22作。シリーズ第1作『ミュウツーの逆襲』を全編フル3DCGで描いたリメイク作品。
1作目を手掛けた湯山邦彦が、『ルドルフとイッパイアッテナ』に続いて榊原幹典と共同監督を務めている。脚本も1作目も首藤剛志が担当している。
声優陣はサトシ役の松本梨香、ピカチュウ役の大谷育江、タケシ役のうえだゆうじ、カスミ役の飯塚雅弓、ミュウツー役の市村正親、ボイジャー役の小林幸子など、基本的には1作目と共通。ただしサカキ(鈴置洋孝から三宅健太)やスイート(佐藤藍子から佐倉綾音)など、幾つかのキャラは声優が変更されている。
また、新たにミュウ役で山寺宏一、海賊風トレーナー役でレイモンド・ジョンソンが参加している。

ミュウツーが装置を破壊した時、フジと研究員たちは「ミュウツーが目覚めた」と喜んでいる。でも装置を破壊されるってのはトラブルのはずなのに、能天気に喜んでいる場合かよ。
で、研究所がミュウツーに破壊されるとフジは「世界最強のポケモンを作るのが夢だった」と言うのだが、世界最強のポケモンを作って何がしたかったのかが分からない。
何かの目的を達成するための手段じゃなくて、それ自体が目的だったのか。
ミュウツーの生みの親なんだから、こいつの存在って重要な鍵を握っているはずなんだよね。でも序盤で消えた後、以降は誰も言及したり思い出したりしないので、それはキャラの扱いとしてマズいんじゃないかと。

ミュウツーは「ミュウを基にして作られた」というフジの説明を受け、「ミュウが母なのか、父なのか」と尋ねる。フジたちが作ったことを知ると、ミュウツーは「私は誰だ?ここはどこだ?」と言うのだが、話を聞いてなかったのかよ。
フジが丁寧に「人間がミュウを基にして作った」と説明したじゃねえか。それが「私は誰だ?」に対する答えだろうに。
それでも「私は誰だ?」と同じ質問を口にするのは、単に理解力が低いだけにしか思えないぞ。
あと、そこで怒って暴れるのも「どういうこと?」と言いたくなるし。

ミュウツーは「人間が自分を作った」と聞き、憤慨して研究所を破壊している。なのにサカキから「人間と組めば世界は我々の物だ」と言われると、彼の指示に従って暴れている。
それは変だろ。
「力に任せて世界中をこの島のように焼き尽くしてもいいのか」と言われると「どうすればいい?」と質問して鎧を装着しているけど、これも変だよ。
ミュウツーにしてみれば、世界が焼き尽くされようが、どうでもいいはずでしょうに。

ミュウツーはサカキに言われるままに鎧を装着し、指示に従って手下として暴れる。
で、しばらくしてから「何のために戦っている?」と疑問を口にするのだが、「いや遅いだろ」と言いたくなるぞ。
サカキから破壊や略奪を命じられた時点で、「なぜ人間のために戦う必要があるのか」と疑問を抱けよ。
しばらく戦ってから「何のために?」とか言われても、「バカなのか」と呆れてしまうわ。それまで何も疑問思わずに従っていたのは、どういうことなのかと。

シリーズが長く続く中で、もはやロケット団は「強大な悪の組織」ではなくて、完全にコメディー・リリーフとしての印象が定着している。
なので、まだサカキがいた頃ではあっても、ロケット団が「恐ろしい悪の組織」として描かれるのが、違和感しか無いわ。
しかも、その直後にはムサシたちがロケット団として登場しているからね。
冒頭では「恐ろしい悪の組織」として描かれていたのに、サトシが登場した後は「ムサシたちしかいないコメディー・リリーフ」になるんだから、その落差はいかがなものかと。

ポケモンバトルに勝利したサトシたちの姿を、ミュウツーが城から観察している様子が描かれる。そして彼がジョーイに指示し、招待状を届けさせる展開になる。
でも、それって見せ方として下手でしょ。
招待状では「最強のポケモントレーナーが、有望なトレーナーであるサトシたちを招待する」と説明しているわけで。でも、先にミュウツーの動きを見せているから、こっちは「招待したのがミュウツー」ということを分かっているわけで。
そこは本来なら、後から「実は招待したのがミュウツーだった」と判明する仕掛けとして機能しなきゃ意味が無いんじゃないかと。

ミュウツーはサトシに招待状を届けた直後、ハリケーンを呼び寄せてポケモントレーナーたちが島に近付けないようにする。
でも、自分で招待しておいて来られないようにするって、どういうことなのかと。
「試練を与えて振るいに掛けた」ってことなんだけど、招待状を送るために観察している決める時点で、選抜のための作業は終わっているはずでしょうに。
そこで有望なトレーナーを選んだはずなんだから、そいつらは全員を城に招待すればいいだろ。大半の人間が来られないようにする意味が分からん。

巨大なハリケーンの襲来で渡し船が欠航になっても、ソラオたちは荒れた海へ飛び出していく。そしてサトシたちも、ロケット団の船で島へ向かう。
下手すりゃ死ぬかもしれないのだが、それでも島へ向かう理由は「そこに最強のポケモントレーナーがいるから」ってことだ。
それは命懸けの行動を取るための理由として、かなり弱くないか。
そんなことに命を懸けるのは、「勇敢」とか「冒険心がある」とかじゃなくて、単に無謀なバカにしか思えないぞ。

ロケット団が正体を隠してサトシたちを船に乗せるのは、何が目的なのかサッパリ分からない。ニューアイランド島までサトシたちを送り届けて、どういうメリットがあるのか。
ロケット団の目的は、ピカチュウを手に入れることなんでしょ。サトシたちを船で島まで送って、その目的が達成できるわけではないでしょ。
「送ると見せ掛けて途中でピカチュウを奪って」ってことも、ハリケーンの真っ只中では無理だし。そして、そういうことを狙っている様子も無いし。
企みに対して、行動がまるで合っていないのよ。

ジョーイがサトシたちを大広間に案内して「最強のポケモントレーナー様がおいでになられます」と言うと、ミュウツーが現れる。
だが、そのまま話を続けず、城に潜入したロケット団が地下道を歩いている様子を挿入する。そして再び大広間に戻って、「ミュウツー様です」とジョーイが紹介する手順になる。
でも、そこを分割している意味が全く無い。最初の時点で、もうミュウツーを登場させちゃってるし。
だから、「ミュウツー様です」という紹介を引っ張っても、何の効果も無いのよ。

っていうかさ、そこに限らず、ロケット団のシーンを無駄に入れ過ぎなのよ。
こいつらって基本的にコメディー・リリーフのはずなのに、それにしては出番が多いのよね。
舞台がニューアイランド島になってからは、サトシたちのパートとロケット団のパートをカットバックのように構成しているけど、それは違うでしょ。ロケット団の登場シーンって、3分の1ぐらいの分量でいいよ。
後半にはポケモン同士の争いに心を痛めている様子も描かれるけど、別に要らんよ、そんなの。

ミュウツーは「お前にもう用は無い」とジョーイに言うが、じゃあ用済みだから始末するのかというと、洗脳を解いて解放する。
それって、ある意味では優しい行動になっちゃってるだろ。ちっとも人間に対する冷酷な行動になってないだろ。
「人間など私の力をもってすれば、どうにでもなる」と言うけど、ヌルい奴になっちゃってるぞ。
そりゃあ、『ポケットモンスター』という作品のテイストを考えれば、そう簡単にミュウツーに人殺しなんかさせられないのは分かるよ。しかも相手はジョーイだしね。
ただ、それなら簡単に洗脳を解くような展開にしなきゃいいのよ。

ミュウツーは自分を生み出した人間に怒りを燃やし、逆襲を誓っている。
ところがサトシたちを城に集めた時、彼は「人間のように弱くて酷い生き物が支配していたら、この星はダメになる」と言い出す。
いやいや、そんな「この星の将来を懸念して人間を滅ぼすことにした」みたいな思想犯チックな意識なんて、何も無かったはずでしょ。ただの個人的な恨みだったはずでしょ。
いつの間に、スケールの大きい怒りに変化しているのかと。

あと、ミュウツーは「この星を人間が支配するのはダメだけど、ポケモンもダメ」と言うけど、だったらどうすりゃいいと思っているのか。「この星は人間にもポケモンにも支配されるべきじゃない」と考えた結果として、ミュウツーは何を目的として動いているのか。
それがサッパリ分からないのだ。
「この星を人間が支配しちゃダメ」という主張すらすると、とりあえずは「人間を絶滅させる」ってのが目的の中にはあるはずだ。
しかし、選抜したポケモントレーナーを城に集めても、その目的が達成されることなんて絶対に無い。

この作品は、『ポケットモンスター』においてタブーにしておいた方がいい問題に、かなり雑な形で触れてしまっている。それは、「人間がポケモンを捕獲して支配している」という問題だ。
ミュウツーが「人間の言いなりになっているポケモンもいる」と指摘した時には、「ピカチュウは好きでサトシと一緒にいる」という反論が用意されている。ただ、とりあえずピカチュウは置いておくとしても、基本的にポケモンってのは人間にゲットされて従属する生き物だ。原作がそういうゲームだから、そこは絶対に変えられない。
そこで問題提起すると、そういう事実が浮き彫りになっちゃうのよね。
そこを否定することは出来ないので、ミュウツーに問題提起させておきながら、マトモに答えずに誤魔化している。

ミュウツーは進化形のコピーポケモン3匹を呼び寄せ、ポケモンバトルをサトシたちに持ち掛ける。でも、そんな必要は全く無いでしょ。
それまでミュウツーは、トレーナーやポケモンに攻撃されて、反撃していたでしょ。つまりバトルフィールドなんて無い状況でも、普通に戦っていたわけで。
だったら、「やってみないと分からないだろ」とサトシが主張した時、その場で戦いを始めればいいでしょ。
それに、サトシの言葉は、ミュウツーの「いかなるポケモンより強く生まれたから戦っても無駄」という説明に対する反論だ。仮にサトシたちがコピーフシギバナ&コピーカメックス&コピーリザードンに勝ったとしても、「ミュウツーにも勝てる」という証明にはならないのよね。
ハッキリ言って、ただの無駄で無意味な戦いなのよ。さっさとミュウツーが力の差を見せ付ければ、それで終わるのよ。

サトシは研究所からオリジナルのポケモンたちを連れてミュウツーの元へ戻った時、怒りに燃えて「俺のポケモン、俺の仲間を守る」と口にする。そして拳を握り、ミュウツーに殴り掛かる。
だけど、素手でポケモンに勝てるような戦闘能力なんて持ち合わせていないでしょ。
だからこそ、普段は敵と遭遇しても(ポケモンバトルっていう意味じゃないよ)、手持ちのポケモンに指示して戦わせているんでしょうに。
そんな時だけ急に「仲間を守る」と攻撃を仕掛けても、取って付けたような印象しか受けないよ。

ミュウツーの目的は「人間への逆襲」だったのに、ミュウが現れると攻撃を仕掛け、「本物は負けない」という言葉への反発からコピーをオリジナルに差し向ける。
いつの間にか、ミュウツーの目的が「オリジナルのポケモンを倒すこと」に摩り替わっている。
だったら最初から、「オリジナルを駆逐して自分たちがオリジナルになる」ということにでもしておけばいいでしょ。
そっちの方が、「ミュウツーが自身のアイデンティティーに悩む」という部分の処理としても分かりやすいし。

序盤でミュウツーがロケット団と組んだり、「人間への逆襲だ」と宣言したりしたせいで、話がブレブレになっちゃってんのよね。
そんな部分は、全て無くしちゃえばいいのよ。
ミュウツーを生み出した科学者たちにしても、恨みを買うような連中じゃなくて、「ポケモンを心から愛して純粋に研究していた」という設定にすればいい。
そんで「科学者の思いを知ったミュウツーが改心して」みたいな形で結末に持って行けば、話が上手く収まるんじゃないかと。

(観賞日:2021年5月8日)

 

*ポンコツ映画愛護協会