『もっともあぶない刑事』:1989、日本

鷹山敏樹、通称タカ。大下勇次、通称ユージ。2人は横浜港署の刑事だ。拳銃密造所の手入れに向かった鷹山と大下は、犯人の宮坂を追い詰める。しかし後輩刑事の町田透に手柄を譲ろうとしたのがアダとなり、宮坂を取り逃がしてしまった。
宮坂を操っていた銀星会の前尾源次郎に接触した鷹山と大下だったが、そのことで命を狙われるようになる。宮坂の撃った銃痕が15年前の貿易商殺害事件で使われた銃と一致したため、近藤課長は2人を捜査に当たらせる。
当時、犯人の1人は射殺されたが、もう1人は現在も逃走中で時効まで4日しかなかった。事件の担当者だった県警の本多局長に会った鷹山と大下は、当時のことについて話を聞く。やがて2人は、江本真由美という女性に目を付ける。
真由美は15年前の事件で射殺された犯人の妹であり、彼女の恋人である北野和夫は事件の共犯者だった。北野は貿易商を装っていた麻薬の密売人を殺害したのだが、その命令を下したのは銀星会の前尾だった。
やがて鷹山と大下は、前尾と本多局長の間に黒い繋がりがあることを突き止めた。しかし、本多局長は圧力を掛けて2人に捜査を打ち切らせようとする。鷹山と大下は、北野を時効まで守り切って事件の真相を語らせようと考える…。

監督は村川透、脚本は柏原寛司、企画は岡田晋吉&清水欣也&黒澤満、プロデューサーは初川則夫&伊地智啓&服部紹男、撮影は柳島克己、編集は山田真司、録音は木村瑛二、照明は井上幸男、美術は小林正義、音楽は都志見隆、音楽監督は鈴木清司、音楽プロデューサーは高桑忠男。
出演は館ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、中条静夫、柄本明、真梨邑ケイ、刈谷俊介、佐藤仁哉、芥正彦、木の実ナナ、ベンガル、山西道広、秋山武史、衣笠健二、御木裕、伊藤洋三郎、飯島大介、賀川幸史郎、海一生、加藤大樹、石川雄大、長谷部香苗、監物房子ら。


『あぶない刑事』に続くTVシリーズ『もっとあぶない刑事』の終了後に公開された作品。“あぶ刑事”の劇場版としては3作目になる。お馴染みのレギュラー陣の他、前尾役の柄本明や真由美役の真梨邑ケイがゲスト出演している。

観客は前2作やTVシリーズを見ており、レギュラー陣のキャラクター設定や相関関係を全て把握しているという前提で、説明は全て省略されたままでストーリーは進められる。もはや劇場版も3作目であるから、それも当然のことと言えるかもしれない。
例えば浅野温子演じる真山薫が、警察署の中に派手な着物姿で現れるというシーンは、彼女が少年課の刑事であるという設定を知っていてこそ、笑いとして成立する。ただし、設定が分かっていても笑えないという意見もあったり無かったり。

張り込みあり、聞き込みあり、尾行あり、柴田恭兵の「カモン!」「行くぜ!」という掛け声あり。アクションは「足で走って、銃を撃って、車で走って、銃で撃って」という感じ。2人の軽い掛け合いを中心にして、ストーリーを引っ張って行く。
お調子者で女には甘いファッショナブルな2人の刑事が、ピンチにも余裕を見せつつ、色っぽい女や悪の組織や小悪党と絡みつつ、女と仲良くなったりしつつ、途中で失敗もありつつ、上司の方針に逆らいつつ、それなりに大きな事件を、派手な活躍で解決する。

良くも悪くも、既にガッチリと作り上げられたパターンをキッチリと守っている。
つまり、良くも悪くも相変わらずだということだ。
テレビのスペシャル版でも充分なのではないだろうかという印象も、やっぱり相変わらずなのである。

 

*ポンコツ映画愛護協会