『ホーホケキョ・となりの山田くん』:1999、日本

山田家の生活を描くアニメーション映画。サラリーマンの父たかし、専業主婦の母まつ子、長男のぼる、長女のの子、まつ子の母親しげ、犬のポチという面々に加え、のの子の担任である藤原先生やのぼるの同級生キクチマミの祖母キクチババなどのキャラクターの織り成すドラマを描く。

脚本&監督は高畑勲、原作はいしいひさいち、製作総指揮は徳間康快、製作は氏家齊一郎&東海林隆&マイケル・O・ジョンソン、音楽は矢野顕子、プロデューサーは鈴木敏夫、絵コンテ&演出は田辺修&百瀬義行、作画監督は小西賢一、美術監督は田中直哉&武重洋二、彩画監督は保田道世、撮影監督は奥井敦。
声の出演は朝丘雪路、益岡徹、荒木雅子、五十畑迅人、宇野なおみ、富田靖子、古田新太、斉藤暁、矢野顕子、柳家小三治、中村玉緒、ミヤコ蝶々ら。これがミヤコ蝶々さんの遺作となった。


原作から完全に毒を抜き、テンポを奪うと、ほのぼのファンタジックなホームドラマが完成した。
短いエピソードの積み重ねで構成したことで、原作の4コマ漫画が持っていた良さを活かそうとしたのだろうが、全く活きていない。

簡単に言うと、この作品はアルコール分を完全に飛ばしたビールなのだ。
それを美味しいという人がどれほどいるだろうか。
肝心な部分を抜いてしまったら、他の部分をいくら頑張っても意味が無い。
どうしてアットホームな雰囲気に作り変えてしまったのか。
全てが台無しだ。

内容だけ見ると、完全に『サザエさん』の世界。
この内容だったら『サザエさん』を映画化した方が良かったようにも思えるけどね。
あと、どうにも顔をしかめたくなるのは妙な説教臭さ。隠し味なら許せるけれど、全面にアピールしてくるのは勘弁して欲しいと感じた。

この作品でジブリはセルを一切使わず、フルデジタル処理を使ったのだが、この作品はフルデジタルの練習台として見るべきだろう。
新しい技法をマスターするために、練習としてこの作品を作ったと見るべきだろう。
練習作品だから、作品として面白味が見当たらないのも仕方が無いのかな。

 

*ポンコツ映画愛護協会