『プラトニック・セックス』:2001、日本

17歳の誕生日、門倉あおいは校舎の屋上に立ち、飛び降り自殺しようとする。その時、携帯電話が鳴り、、間違いメールの着信があった。それは「愛へ 誕生日おめでとう そっは寒くないですか?」という文面で、差出人は「トシ」という名前だった。そのメールを送信したトシは、4人の若者を尾行していた。彼がナイフを握り、4人に襲い掛かろうとした時、あおいからメールが届いた。「今日で17歳になっちゃいました ケーキにローソク立ってるし、みんないっぱいいるし こっちはけっこう、あったかいよ」という文面だった。トシはナイフを落とし、あおいに「愛へ 返事をくれてありがとう 僕は君がただ、生きていてくれることがうれしいです 生まれてくれて感謝です」というメールを送った。あおいは涙を浮かべた。
あおいは家に戻らず、夜の街を徘徊する。友達に電話を掛けて泊めてもらおうとするが、「彼氏が来る」と断られてしまう。所持金も少なくて困っていると、若者2人がナンパしてきた。あおいは、友人の達也たちから「暇?乗っていこうよ」と誘われて車に乗った時のことを回想する。酒を飲んで酔っ払った彼女は、車の中で輪姦された。あおいは両親に反抗的な態度を取り、父親に殴られた。
あおいは街でサラリーマンに声を掛け、援助交際で金を稼いだ。翌日、彼女はトシに「愛」という名前を使ってメールを送る。その直後、あおいはスカウトマンの金井に声を掛けられる。金井は「モデルとかタレントとか興味ない?」と話すが、キャバクラのスカウトマンだった。金井があおいをキャバクラ「ヘブンズ」へ連れて行くと、マネージャーは渋い顔をする。しかしナンバー1ホステスの明美は「いいんじゃない?雇ってあげれば」と言い、あおいに就職祝いとしてハイヒールをプレゼントした。
あおいは源氏名を愛に決め、店に出た。しかし全くやる気を全く見せず、客に生意気な態度を取る。明美は客から貰った250万の腕時計を見せ、「頑張ったらいいことがあるわよ。ここでは、儲けたお金がそのままアンタの価値になる」と語る。あおいはトシに「あなたにとってかけがえのないものって何ですか?」とメールを送信した。クラブ「CUBE」で働くトシはDJを目指していたが、まだブースに入ることは認められていなかった。仕事を終えて帰宅した彼は、「かけがえのないものって、壊してしまってから、気がつくものなのかもしれません」というメールを送信した。
あおいは勤務態度をガラリと変え、山崎という妻子持ちの常連客も付いた。ある日、石川秀行という客が現れ、マネージャーに「この店で一番かわいそうな子を付けて」と告げた。石川に付いたあおいは、輪姦され、親に見捨てられて家出したことを語る。すると石川は「他には?無いの、君のセールスポイント?」と尋ねた。あおいは「借金があります。320万」と言い、隣りに座った明美が「ブランドに狂っちゃったんです」と説明した。あおいは軽い口調で「なんか物欲強かったみたいで」と告げる。石川は「せいぜい50点だねえ、その不幸は」と述べた。
あおいが「何やってる人なんですか?」と質問すると、石川は「慈善家」と記された名刺を見せて「不幸な奴らに唯一、最大の慈悲を与える神のような男」と説明した。彼はバッグから50万円を取り出し、「1点1万だからね」と言ってあおいに渡した。あおいは石川に誘われ、CUBEへ出掛けた。しかし彼女は、全く楽しもうとしない。あおいは借金の返済が滞っており、催促の留守電が携帯に入っていた。彼女は金井に電話し、「疲れた。今すぐ迎えに来てくれないと死ぬから」と告げた。
カウンターで働いていたトシは、女に酒を浴びせられて「最低」と罵られる。その様子を、あおいは目撃していた。トシは同僚の中尾から「どうした?」と訊かれ、「私のことどう思うの?と訊かれて、眉毛抜きすぎだと言った」と語る。中尾は「お前、ホントに心無いね」と呆れた。トシはあおいに、「心って幾らで買えるものなのかなあ」とメールを送る。あおいは迎えに来た金井と寝た。彼女は金井に高級な腕時計をプレゼントし、貢いでいた。
あおいはナンバー2になるが、マネーシャーが用意した報酬を金井がピンハネしていることは知らなかった。あおいの借金はさらに増えていた。トシはオーナーから、月曜の午後が空いたのでブースに入ってみないかと持ち掛けられた。あおいは複数のサラ金に手を出し、マンションにまで業者が取り立てに来るようになった。相談するために石川に連絡すると、子羊園という児童擁護施設へ連れて行かれる。子供たちが寄って来ると、石川はあおいに「なんでこいつらが俺に懐いているか分かるか。金だ。寄付してる」と語った。
あおいが「500万円貸して」と頼むと、石川は「嫌だ。俺的にノーな話」と拒否した。彼女が「寝ても?」と訊くと、「セックスのことか。なんでそんな犬猫でもやることに、金を出さなきゃいけないわけ?ナンセンス。俺がお前に惚れてるとでも思ったわけ?」と石川は軽く言う。あおいは金井から、500万でAV出演の話を持ち掛けられる。彼女は「ゴールドラッシュ」というメーカーと、1本100万で5本の出演契約を交わした。18歳の誕生日を待って、初めての撮影が行われた。
撮影を終えたあおいは、雨の中を傘も差さずに歩いた。そこへトシからの「誕生日おめでとう 今日はきいてもらいたい曲があります NOT AT ALLのFrom Silenceです」というメールが届いた。あおいがCUBEへ出掛けた日、トシは初めてDJブースに入っていた。流れて来た曲がNOT AT ALLの『From Silence』だったので、あおいは驚いた。彼女は中尾にDJの名前を尋ね、トシと呼ばれていることを知った。あおいが「プレゼント、ありがとう」とメールを送ると、トシが携帯を開いた。2人は互いに、相手の存在に気付いた。その日の内に2人は熱いキスを交わし、そして同棲生活を始めた。
あおいはトシに内緒で、契約したAVの撮影をこなしていく。そんなある日、あおいはトシが「愛」という女性と一緒に写っている写真を発見する。気になった彼女は、撮影現場からトシに電話して「ホント愛ちゃんって、誰?どこにいるの」と尋ねるが、「今は説明してる暇が無い」と切られてしまった。あおいは金井を呼び出してホテルへ行く。しかし金井が抱こうとすると、「帰って」と拒否した。
あおいが翌朝になってマンションへ戻ると、拳を負傷したトシが待っていた。トシはあおいに「なあ、やめない?AV」と告げる。彼はあおいがAVに出ていることを知ってしまったのだ。あおいが「やめたいけど、お金が掛かるの。500万」と言うと、トシは「だから何?それでいいわけ?サイテー、お前」と怒って立ち去った。
トシを捜しに出たあおいは石川と遭遇し、500万を貸してほしいと申し入れる。石川は「貸してもいいよ。でも担保が欲しい。君の人生でどう?」と提案し、あおいは承諾した。あおいはCUBEへ行き、トシに「一緒に帰ろう」とすがりつく。しかしトシは「仕事してるんだよ」と怒鳴って、あおいを追い出した。あおいが「私、AVやめてきたんだよ。トシのためにやったんだよ。なんで携帯に出ないの?なんで帰って来ないの?」と泣きながら訴えると、トシは「誰に500万借りたの?」と尋ねた。あおいが「友達」と答えると、トシは「もっとマシな嘘つけよ」と冷たく言い放った。
翌朝、トシはレコードを取りにマンションへ戻るが、あおいが話し掛けても無視した。あおいが腹を押さえて苦悶したので、トシは病院へ連れて行く。あおいは妊娠していた。トシはあおいとやり直すことに決め、店を辞めて工事現場で働き始める。だが、石川との関係を疑い、「500万貸してくれる相手がただの友達かよ。嘘つくんじゃねえよ」と声を荒げる。あおいが「信じないんだ。じゃあトシ、何とかしてくれた?500万作れた?ハッキリ堕ろせって言えばいいじゃない。何もする気なんかないくせに。カッコばっかつけないでよ」と言い返すと、トシは激昂して飛び出した。あおいは石川に病院まで送ってもらい、中絶手術を受けた…。

監督は松浦雅子、原作・監修は飯島愛「プラトニック・セックス」(小学館刊)、脚本は森下佳子、製作は亀山千広&渡辺ミキ、企画は関一由&亀井修&遠谷信幸、エグゼクティブプロデューサーは宅間秋史&林秀樹、プロデューサーは佐倉寛二郎&瀧山麻土香、アソシエイト・プロデューサーは山下暉人&大澤剛&黒田知美、企画協力は小滝祥平&河村光庸、撮影監督は高瀬比呂志、照明は渡辺三雄、録音は野中英敏、美術は及川一、編集は川島章正、音楽は佐橋俊彦。
主題歌『夢追い虫』はスピッツ 作詞/作曲:草野正宗。
出演は加賀美早紀、オダギリジョー、阿部寛、加勢大周、野波麻帆、石丸謙二郎、根岸季衣、佐藤仁美、小市慢太郎、田中要次、森下能幸、村田充、三田村周三、矢作公一、山本恵美、上地雄輔、中村育二、岸博之、井之上隆志、近藤京三、原田修一、森田悟、大和一孝、高木麻依子、竹山隆範、小林高鹿、富樫真、近藤優、坂井ありす、平本一穂、宮川宏司、千葉誠樹、伊藤健一、立花秀樹、日向真帆、井出博美、香取広美、那須寿子、朝生つぐみ、結城貴史、眞島秀和、小森敬、KEI、リ・コウジ、岡村洋一、原田恵梨、森川貴史、山川太一、高良優雅、眞鍋卓也、中山美里ら。


飯島愛による同名のノンフィクション自伝(ただし実際に執筆したのはゴーストライター)を基にした作品。
監督は『人でなしの恋』『デボラがライバル』の松浦雅子、脚本は、TVドラマ『平成夫婦茶碗』でデビューし、これが初めての映画となる森下佳子。
あおいを演じた加賀美早紀はオーディションで選ばれ、これが女優デビュー。
岩崎をオダギリジョー、石川を阿部寛、金井を加勢大周、明美を野波麻帆が演じている。
他に、あおいの父を石丸謙二郎、母を根岸季衣、ゴールドラッシュの社長を小市慢太郎、CUBEの店長を田中要次、AVの監督を森下能幸、中尾を村田充、達也を上地雄輔が演じている。当時は劇団カクスコの団員だった中村育二&岸博之&井之上隆志&近藤京三&原田修一がキャバクラの客とマネージャー役で、当時は無名だったカンニング竹山があおいと援助交際するサラリーマン役で出演している。

R15というレイティングで公開された作品だが、それに見合うほどのエロ描写は用意されていない。
あおいが輪姦された後にシャワーを浴びるシーンでフルヌードになっているけど、顔を見せてないので、ほぼ間違いなく加賀美早紀じゃなくてスタント・ダブルだ。
AV撮影シーンはほとんど描かれないし、ベッドシーンもセミヌードが精一杯。
内容からしても、AV女優だったタレントの自伝が原作ということを考えても、やっぱりヒロインは脱ぐべきだったんじゃないかなあ。

いや、そりゃあさ、ヌードになったら、そればかりが話題になってしまい、内容を正当に評価してもらえなくなるという可能性は高いと思うよ。
ただ、この作品の場合、内容を正当に評価したら、たぶん称賛してくれる人は少ないだろう。
だったら、やっぱりエロ描写という部分で勝負するしか無かったんじゃないかなあと。
製作サイドは「中身の質で勝負できる」と思っていたのかもしれないけどさ。
あるいは、「原作はベストセラーだし、飯島愛は人気があるし、その訴求力だけで行けるだろう」という読みだったのかもしれんけど。

アヴァン・タイトルの時点で、もう上手くない構成だなと感じる。
最初にトシの姿を見せて、つまり間違いメールの相手を見せてしまうという構成に疑問を覚える。
これが、あおいとトシの恋愛劇としての話なら、まあいいかもしれんけど、これってヒロインがピンで主役を取る物語のはずでしょ。
つまり、あおいの物語の中の恋愛パートで相手役を務めるのがトシっていう配置だから、まるで同列扱いのような入り方は、望ましくないんじゃないかと。

あと、これって飯島愛の自伝が原作ってことになっているんだけど、「自殺しようとするタイミングで携帯に間違いメールが届き、それがきっかけで自殺を思い留まる」という入りの段階で、「ああ、完全にフィクションとして作っているんだね」ってことが分かっちゃうよね。
都合のいいタイミングで、都合のいい内容の間違いメールが届くという展開が、まず引っ掛かる。
それ以前の問題として、飯島愛が高校生だった頃って、まだそんなに携帯メールが普及している時代じゃないはずだしね。

まあ、そもそもヒロインの役名が「飯島愛」じゃないんだから、そりゃあフィクションなんだろうけどね。
ただ、もう最初の段階で「実話が基になっている」という部分のメリットを消しちゃうのね。
どんなに陳腐でも、バカバカしくても、「これは実話です」と言ってしまうことで、観客を納得させようとするような手口は取らないのね。
それは、ある意味では誠実だけど、プラトという原作を作っている時点で、そこに訴求力を求めたはずなのに、なんか商売の方法として、一貫性が無いようにも思えるんだが。

致命的なのは、このヒロインに全く同情も共感も出来ないってことなんだよね。
まず序盤に描かれる輪姦から。
そりゃあ、もちろん強姦した連中が一方的に悪いのよ。それは前提として置いておくとして、だけど幾ら友達だからって、男3人に誘われてホイホイと車に乗り込み、酒を飲んで遊び歩くってのは、あまりにも不用意じゃないかと。
「被害者にも問題がある」っていう言い方は好きじゃないんだけど、っていうか大嫌いなんだけど、それにしても、ヒロインが無防備すぎるんだよなあ。
「世間知らずのお嬢様だから」とか、「天然おバカだから」とか、そういうことでの無防備さじゃなくて、ヤンキー娘の愚かしさなので、そこに同情するのは難しいんだよなあ。

あと、両親が叱るのも、殴るのも、あおいが強姦されたことに対して批判しているんじゃない。
あおいは「被害者は私なんだけど」と言うけど、それ以前からの振る舞いが重なった末での激怒だろうから、そこでも同情できない。
娘が強姦されたのに父親が怒るのは、ホントは理不尽なことなんだけど、なんか両親サイドに立ちたくなるんだよね。
「ヒロインがドロップアウトして親に反抗するようになる経緯」というものが描かれていれば、あおいに共感できたのかもしれんけど、その重要な部分は省略されているのでね。

キャバクラの仕事を始めたあおいは全くやる気を見せず、客に生意気な態度を取る。そんな彼女に明美は客から貰った高額の腕時計を見せ、「頑張ったらいいことがあるわよ。ここでは、儲けたお金がそのままアンタの価値になる」と語る。
だったら、そこからは「明美の言葉をきっかけに、あおいの勤務態度が変化する」という様子が描かれていくのかと思いきや、なぜかトシのターンに移る。
で、それを挟んでから、勤務態度が変わったのを描くんだけど、それは違うだろ。それだとタイミングとして遅いのよ。
明美の言葉があったら、すぐに「あおいの勤務態度が変化する」という展開へ移らないと。
そもそも、トシの描写なんか、そんなに多く割かなくてもいい。
ぶっちゃけ、あおいが実際に対面するまで、トシは登場しなくてもいいんじゃないかと思うぐらいなのに。

その後の展開は、ますますヒロインに対する同情や共感の気持ちが沸かない内容になっていく。
金井に貢ぐのも、物欲が旺盛すぎて借金が増えるのも、それを返すためにAV出演を決めるのも、自業自得でしかない。
「孤独な気持ちを埋めるために買い物に走ったり、金井に依存したりしてしまう」という風に、彼女の行動を哀れに感じさせるような背景、その心情がアピールされていれば印象は大きく違っただろう。
だけど、そういうところへの掘り下げは全く無いのでね。

あおいは相手が間違いメールを送って来たことを知った上でメールのやり取りを続けているけど、トシの方は、イジメを受けて自殺した妹に向けて送信しているわけだから、相手を「妹の“愛”」と想定しているはず。
もちろんホントに生きているとは思っちゃいないだろうけど、それでも一応は「妹の代わり」という気持ちのはず。
だったら、見知らぬ女がメールの相手として出現したら、そこに戸惑いや動揺はあって当然だと思うのだが、そういう様子は皆無で、なぜか簡単に受け入れている。
しかも、妹の愛に対する感情でメールのやり取りをしていたはずなのに、すぐに同棲を開始し、恋人関係になる。
それもおかしな話だぞ。ってことは、トシは妹に対してヤバい感情を抱いていたのか。

大枠はフィクションだけど、たぶん「借金を返すために仕方なくAVに出て、でも虚しさばかりがあったし、辛い経験だった」みたいな描写は、原作にもあるんだろう。
だけど、飯島愛ってAVで有名になって、それがきっかけでタレントとしても活躍するようになったわけで。
それなのに、自分が育ててもらい、世話になった業界に対して後ろ足で砂を浴びせるようなことを書いちゃうってのは、そりゃあ良くないよなあ。
加藤鷹が批判したのも理解できる(後に和解したらしいが)。

この映画化作品に関しては、飯島愛は監修を務めているわけだから、ノータッチというわけではない。
で、ここでもAV業界を望ましくない場所、嫌な場所として描いているんだから、それはダメだろ。
そりゃあAV業界も千差万別で、かなりタチの悪いメーカーや人間もいるだろう(実際、問題を起こして新聞や雑誌に取り上げられたケースもあるし)。
しかし少なくとも飯島愛の場合、AV業界には世話になった人、親切だった人もいるはずで、そういう人たちに対して失礼だよ。
脚本家も監督も女性だから、AVを全否定しちゃうようなことになるのは仕方が無いのかもしれんけどさ。

っていうか、そもそも本作品の内容だったら、ヒロインがAV出演するという筋書きの意味が感じられないんだよね。
たまに撮影シーンがサラッと出て来るだけで、AV女優として人気者になって環境が変化していく様子とか、それに伴う心情の変化とか、そういうことは全く描かれない。
それどころか、あっさりと500万を作って途中でAV女優を辞めてしまい、二度と戻ることは無いのだ。

筋書きを考えると、トシがあおいに対して腹を立てる口実さえ用意すれば、それで事足りるんだよね。
そこはAV出演じゃなくて、他のことで嘘をついていたという設定でも、何の支障も無いのよ。
それこそ、「あおいは買い物中毒のせいで作った借金返済のために、石川から金を借りていた。それに関連して、トシが石川との関係を疑って激怒する」ということでも成立する。
そうすれば、キャバクラを辞めてAV女優に転身する筋書きは不要になるんだよね。
そうじゃなくて、もっと「ヒロインがAV女優になる」って部分に大きな意味を持たせる内容にすべきだったんじゃないかなあ。

原作が自伝であることを考えると、なるべくリアリティー重視でやらなきゃいけない素材のはずなんだけど、筋書きに応じて都合良く金を貸さなかったり貸してくれたりする「慈善家」なるキャラを登場させたりして、ものすごく「絵空事」としての印象を強めている。
それって、アプローチとして正解なんだろうか。
あと、何となく、ケータイ小説っぽいモノになってないか。
ラスト近く、「道に飛び出した園児が走って来たトラックにはねられそうになり、助けたトシが死亡する」という、取って付けたような“死の悲劇”なんて、見事なぐらいケータイ小説チックだぜ。
原作がケータイ小説なら仕方が無いけど、そうじゃないんだし。
ケータイ小説っぽいモノを狙っているとか、そういうことなのか。
でもケータイ小説っぽいモノを狙うことのメリットが分からんし。

(観賞日:2012年11月16日)

 

*ポンコツ映画愛護協会