『爆走!ムーンエンジェル−北へ』:1996、日本
デコトラ“ルナ号”に乗るルナは、カミオンのマドンナと呼ばれている。“風に吹かれて号”に乗る夏子はルナをライバル視し、勝負を挑んで来たりする。ルナを信奉する和美は押し掛け弟子になっており、同居生活をしている。
ルナは北海道に住むキヨコの手伝いをするのが毎年の恒例になっており、今年も和美を連れて釧路へ向かった。キヨコには幼い息子の治がいたが、元気だったはずの彼が半年前から何も喋らなくなっていた。キヨコの離婚が原因らしい。
釧路でキヨコの仕事を手伝い始めたルナだが、なぜか夏子も来ており、またも勝負を挑まれる。ところが釧路警察の兵藤に車を止められ、許容積載量を超えていたために積み荷を降ろすはめに。そこへ11トントラックの竜神丸に乗った一匹狼の運転手・如月大五郎が現れる。
如月の好意で、ルナの積み荷を運んでくれることになった。ルナは如月に淡い恋心を抱く。そして夏子も如月に惚れる。後日、今度はキヨコが兵藤に止められる。キヨコの“鶴姫号”は改造車チェックに引っ掛かり、取り上げられてしまう。
ルナは抗議するために釧路警察署へ行くが、そこで兵藤という警官がいないことを知らされる。兵藤は窃盗団の一味で、ロシアマフィアと取り引きするために“鶴姫号”を盗んだのだ。取り引き現場の根室港に向かったルナだが、既に鶴姫号を乗せた船は出航した後だった。
現場から逃走しようとする兵藤を追いかけるルナだが、惜しくも逃げられてしまう。しかし優れたドライブテクニックに感服した如月が自分の竜神丸を譲る話を持ち掛けてくる。キヨコと共に待ち合わせの場所に向かったルナは、偶然にも窃盗団のリーダーの正体を知るのだが…。監督は山口和彦、原案&脚本は高田純、製作は田中迪、企画は表参三&武政克彦&伊藤潤、撮影監督は加藤雄大、録音は本田孜、照明は大久保武志、音楽は澤近泰輔、音楽監修は工藤静香。
主演は工藤静香、共演は清水宏次朗、永島瑛子、嶋村かおり、岡田理江、斉藤洋介、林泰文ら。
工藤静香の、工藤静香による、工藤静香のための映画。寒すぎるほど臭い台詞を下手な芝居で喋る工藤静香に、どう対処したらよいのやら。ルナ号には何だか不気味な女性の姿が描かれているが、それは工藤静香が描いたらしい。
工藤静香の歌が何曲も使われ、それに合わせた映像が流れる。内容が薄い分、彼女のプロモーション映像で尺を引き伸ばしている。彼女が音楽監修までやってるのだが、おそらく使用する自分の曲を選んだだけだろう。
兵藤の所属する窃盗団がロシアマフィアと取り引きする場面、なぜか「ハラショー」以外は全て日本語を喋るロシアマフィア。無理にカタコトの日本語を喋っているが、どう見ても日本人。ロシア人エキストラぐらい用意しなさいって。
窃盗団のリーダーは如月なのだが、なぜか夏子と和美を誘拐する。さらにキヨコから500万を騙し取る。実は如月、潜入捜査官なのだが、それらの行動が捜査に何の関係があるのやら。
大体、どうして潜入捜査してる奴がグループのリーダーになれるんだか。ルナの弟が死んだらしいことや、パリダカを目指してることや、そういう様々な伏線は提示するけど、処理せずに放置。脚本の書き込みが不足しているので、説明的な台詞で補足しようとする。何の感動も迫力も無く、ただ時は流れていくばかり。
時間を無駄に過ごしたい人にはお勧めの1本。