『光る女』:1987、日本

北海道の山奥に暮らしていた仙作は、幼馴染みの栗子と結婚するため、彼女の住む東京へやって来た。怪しげなクラブを経営する尻内と出会った仙作は、栗子の所在を教えてもらうのと引き替えに、クラブで行われているプロレスの試合に出場することになった。
尻内の傍らには、歌えなくなったオペラ歌手の芳乃がいる。彼女は尻内の愛人だった。仙作はクラブで女形の踊り子として働く赤沼と親しくなった。赤沼は北海道で漁師をしていたが、逃げた妻を捜して上京したのだ。彼は体が弱く、バスの中で急に嘔吐して運転手に追い出される。
栗子からは手紙で経理学校に通っていると教えられていた仙作だが、彼女はキャバレーのホステスとして働いていた。仙作は彼女を連れて帰ろうとするが、彼女は北海道に戻ろうとはしなかった。栗子は尻内の愛人になっていたのだ…。

監督は相米慎二、原作は小檜山博、脚本は田中陽造、製作は羽佐間重影&大川功&矢内廣&山本洋&入江雄三&宮坂進、企画は佐藤正大&宮坂進、プロデューサーは伊地智啓&山本勉、撮影は長沼六男、編集は鈴木晄、録音は中野俊夫、照明は熊谷秀夫、美術は小川富美夫、音楽は三枝成章。
出演は武藤敬司、安田成美、秋吉満ちる、すまけい、出門英、レオナルド熊、伊勢将人、児玉茂、伊達三郎、白川和子、高山千草、森久美子、村上尊志、寺田農、小林かおり、石山雄大、長塚京三、中原ひとみ、下川辰平、中里真美、渥美裕、ブライアン・アダムス、ニコラス・ディクソン、杉崎浩一、大林隆介、井田弘樹、柴田理恵、舞門めぐみ、原田みづえ他。


小檜山博の原作を映画化した作品。
仙作をプロレスラーの武藤敬司、芳乃をジャズ・ピアニスト秋吉敏子の娘・秋吉満ちるが演じているのだが、どちらも芝居に関してはズブの素人なので、セリフの棒読みが聞いていてツライ。2人に引っ張られたのか、尻内役のすまけいまで棒読みになっている。

ヨーロッパ的な芸術フィルターを掛けたバカ映画のようにしか見えないが、どうやら相米監督はマジな恋愛劇を描こうとしているようだ。
それにしても、相米監督というのは、つくづくウソのつき方が下手なんだと思う。
幻想的であることと、シナリオ展開が不自然であることは全く違うのだ。

例えば、怪しげなクラブの存在は、ウソとしては構わない。
しかし、尻内と会っていきなり仙作がプロレスに出ろと言われるのは不自然。
仙作が尻内とのガチンコ勝負で一方的に負けるシーンだって、無理がありすぎる。
ウソをつく場所や、ウソのつき方を間違えているのだ。

尻内は以前はスカラ座で歌っていた元オペラ歌手という設定で、イタリア語で何やら喋り続けながら仙作と戦ったりする。
バカなキャラクター設定だ。
赤沼にしても、元漁師で今は女形という設定。
こちらもバカなキャラクターだ。
とにかくキャラクター設定は、みんなバカバカしい。

クラブにはピエロみたいな連中がいたり、オペラ歌手が歌う中でプロレスをしたり、演歌に会わせて女形が踊ったりと、完全にエクスプロイテーション映画の世界。
バカなキャラがバカな舞台で動くのに、映画としてはマジに作ろうとしている。
そのギャップは、埋めようが無いほど大きい。

いくら真面目にラブストーリーを描こうとしても、基本の設定がマヌケ。
だから、何も伝わってくるものは無い。
たぶん真実の愛を描こうとしているんだけど、この映画自体がハッタリだけで作られているので、真実を探し出すのは無理な作業ではないかと思われる。

 

*ポンコツ映画愛護協会