『ヒーローマニア -生活-』:2016、日本

東京から新幹線で2時間ちょっとの場所にある、人口30万人の堂堂市。なごみ商店街では若者が「若者殴り魔」なる人物に殴られる事件が続発しており、目撃証言から、犯人の正体は小柄で初老の男と推測されていた。堂堂市では害獣のヌートリアが1万匹以上に増加しており、大きな社会問題となっていた。30歳でフリーターの中津秀利は、なごみ商店街にあるコンビニで働いている。弱気な彼は、コンビニで騒ぐ客たちを見ても注意できなかった。彼が出来るのは、金属バットで全員を殴り倒す妄想を膨らませることだけだった。
我に返った中津は、全くマナーの悪くない土志田誠という若者に「長時間の立ち読みはご遠慮ください」と告げた。カップヌードルを購入した男性客が「ポットの湯が無い」と怒鳴ったため、中津は土下座で謝罪する。彼は誠意として中津から金を奪い取るが、店の外にいた土志田が見事な格闘能力で彼を退治した。中津は逃亡する土志田を密かに追い掛け、彼が能力を下着泥棒に使う様子を目撃した。ベランダに干してある下着を物色していた目出し帽の土志田は、寺沢カオリという女子高生によるスマホのフラッシュ攻撃で転落した。
中津は土志田に、「俺と一緒に戦わないか」と持ち掛けた。彼が「君の力を使って、この町のクズどもをやっつけないか」と訴えると、困惑していた土志田は「夜だけなら、いいです」と答えた。中津は最初の標的として、花火で騒ぐ不良たちを選んだ。目出し帽の土志田は不良と戦うが、中津は何も出来なかった。ホームレスの宇野正が怯えていると、通り掛かった日下孝蔵という初老の男が「大丈夫か」と声を掛けた。彼は金槌を構え、不良たちを殴り付けて全員を退治した。
日下は中津も殴り倒そうとするが、土志田が阻止した。日下は土志田にも襲い掛かるが、落とした財布に入っていた娘との写真を中津に見られると狼狽した。彼は中津と土志田に生態系のピラミッドを説明し、怖い大人が絶滅寸前なので若者たちを成敗しているのだと語った。話を聞いていた中津は、「分かります。おとなしい奴はやられっ放しで。やられる前に、やるしかないんです」と言う。そんな3人の様子を、密かにカオリが観察していた。
中津たちは不良グループを商店街に吊るし、翌朝のTVニュースで報じられた。中津と土志田がニュースを見ているとカオリが現れ、不良を吊るす様子を撮影した動画を見せた。彼女は仲間に入れないと通報すると脅し、「自分たちばっかり、ズルいですよ」と軽く笑った。カオリは手帳を開き、次に狙う暴走族を指定する。中津は「そういうの俺が決めるから。リーダーは俺だから」と不快感を示すが、土志田はカオリの要求を受け入れることにした。
その夜、カオリは作戦を立てて暴走族を見張り、中津&土志田&日下に連絡して指示を出した。囮役を任された中津は逃げようとするが、それを知ったカオリの策略で暴走族に追い掛けられる。待ち伏せていた土志田と日下が暴走族を退治し、商店街に吊るした。4人の行動は「吊るし魔」と呼ばれるが、中津は悪い気がしなかった。その後も中津たちは活動を続けるが、ジャーナリストの久保は「ただのリンチ」と厳しく批判した。
ある日、土志田は中津がダンボール箱に入れてあった背広を見つけ、「何ですか」と尋ねた。中津は過去にサラリーマンだったこと、会社 の金を使い込んだ上司を問い詰めたら居場所が無くなって辞めたと打ち明けた。ある雨の日、日下の娘である響子は、身重の体で駅まで父を迎えに行く。その途中、彼女は黄色いレインコートの人物を目撃して不審を抱いた。レインコートの人物は通り魔殺人を開始し、カオリは退治しようと主張する。中津は「そこまでは俺たちの役目じゃない」と尻込みするが、日下は「時が来たか」と口にした。
日下は中津たちを連れて、宇野の元へ出向いた。すっかり身ぎれいになった宇野について、日下は人材派遣会社を経営していたことを中津たちに教えた。宇野はチームの法人化が必要だと言い、吊るし魔を会社にしようと提案した。警備会社「ともしび綜合警備」が設立され、宇野が社長に就任した。中津たちは社員になり、他にも大勢の新人が加入した。ともしび綜合警備は企業の警備だけでなく、ボランティアで町の見回りも実施する。
中津と土志田は社長直属の部署である裏チームの指導役として、後輩たちを訓練する立場になった。カオリは宇野の秘書を務め、日下は事務を担当した。だが、ともしび綜合警備は容疑者を監禁したり、口止め料として金品を要求したりするようになっていた。それだけでなく組織や金持ちから依頼を受けて標的を吊るす活動もしており、それを探るため久保は宇野を取材した。中津は日下に、「会社にして良かったんでしょうか」と問い掛ける。日下は「君はバイトを辞めることが出来たし、土志田君も張り切ってる」と言い、満足している様子を見せた。
土志田は裏チームを動かし、久保を捕まえて吊るそうとする。その場に現れた中津から「こいつ、誰だか知ってんの?」と訊かれた土志田は、「あること無いこと書いてるジャーナリストらしいですよ」と軽く言う。中津は久保を解放し、「なんかおかしいと思わないのかよ」と土志田に詰め寄った。彼は宇野と日下に、「辞めます。ともしびは間違ってる。こんなの、俺がやりたかったことじゃない」と告げた。宇野は「やりたかったことね。そんな物、貴方にあったんですか」と言い、調査した中津の過去を指摘した。
中津は二百万をスナックの女に注ぎ込み、業務上横領がバレて懲戒免職となっていた。中津が調査資料を奪い取ろうとすると、宇野は超能力を持つ新人の吉川に彼を吹き飛ばさせた。宇野は「貴方がやっていたことは、ヒーローごっこという名の憂さ晴らしだったんです」と見下すように言い、土志田の視線に気付いた中津は逃げ出した。追い掛けた土志田に詰め寄られた中津は、全て本当だと語った。「僕、中津さんの道具だったんですか」と言われた中津は、「そうだよ。俺の言うことだけ聞いてりゃ良かったのに」と告げる。
中津は土志田に頬を殴られ、その場から立ち去った。彼が商店街に出ると、ともしび隊員たちがオカッパのおばさんの荷物を奪って嘲笑していた。中津は止めに入るが、クビになったと知っている隊員たちに暴行される。そこへ日下が駆け付け、隊員たちを叩きのめした。彼は「君に嘘をついた」と中津に言い、「生態系の話はでっち上げだ。ホントは怖かったからだ。半年前、娘から妊娠の知らせを聞いた時、可愛い孫がメチャクチャな社会で暮らしていくのかと思うと怖くなった。気付いたら、殴り魔になっていた」と告白した。
日下は「ともしびに戻るよ。ケジメ付けなきゃな」と言い、土志田に謝るよう仲直りするよう促した。彼は隊員たちを次々に退治し、宇野に電話を掛けて「人は変わりますよ」と告げた。宇野は「困った人だ」と呟き、ある場所に電話を掛けた。雨の中を歩いていた日下は、レインコートを着た新人の佐々木に襲われて胸を刺された。現場に駆け付けた中津は、日下の死を看取った。そこに現れた隊員たちは中津が日下を殺したと決め付け、彼を会社へ連行した…。

監督は豊島圭介、原作は福満しげゆき『生活【完全版】』(モーニングKCDX 講談社刊)、脚本は継田淳、製作は由里敬三&遠藤茂行&木下直哉&三宅容介&寺島ヨシキ&細字慶一&大柳英樹&矢内廣、エグゼクティブプロデューサーは田中正&柳迫成彦、企画は石田雄治、プロデューサーは吉田憲一 深津智男、撮影は神田創、照明は渡部嘉、美術は花谷秀文、装飾は田口貴久、録音は石貝洋、編集は村上雅樹、アクションコレオグラファーは森崎えいじ、VFXスーパーバイザーは西尾和弘、特殊造形デザイン/武器造形製作は藤原カクセイ、音楽プロデューサーは金橋豊彦、音楽はGRAND-FUNK INC.。
主題歌「ストラト」NICO Touches the Walls 作詞・作曲:光村龍哉、プロデュース:NICO Touches the Walls&岡野ハジメ。
出演は東出昌大、窪田正孝、小松菜奈、山崎静代(南海キャンディーズ)、船越英一郎、片岡鶴太郎、村上和成、村上航、大友律、黒田大輔、沢信之(タックイン)、清水優、永岡佑、三浦力、谷口一、夏目学歩、浅野晃龍、甲斐まりの、竹松フェレイラカミラ、齊藤重巳、栄信、伊藤政臣(トラッシュスター)、小倉嵯乃、小園優、畑佐ひとみ、二ノ宮隆太郎、川並淳一、朝倉悟詞、寺十吾、中野裕太、松岡恵望子、石垣光代、松下幸史(動物電気)、日向丈、藤春あつ子、芹澤興人ら。


福満しげゆきが初めて手掛けた長編ストーリー漫画『生活【完全版】』を基にした作品。
監督は『花宵道中』『森山中教習所』の豊島圭介。
脚本は『マザー』『虎影』の継田淳が担当している。
中津を東出昌大、土志田を窪田正孝、カオリを小松菜奈、宇野を船越英一郎、日下を片岡鶴太郎、オカッパのおばさんを山崎静代(南海キャンディーズ)、響子を松岡恵望子、久保を寺十吾、吉川を黒田大輔、佐々木を村上和成が演じている。

この映画の企画がスタートした時、プロデューサーの石田雄治は『キック・アス』を見たばかりだった。そこで彼は和製『キック・アス』をイメージし、この映画を製作することにした。
ただし『キック・アス』と大きく異なるのは、主人公がヒーローになりたいとは全く思っていないことだ。なので「ヒーローマニア」というタイトルも、内容とは全く合っていない。
映画を見ているだけだとイマイチ動機が分かりにくいが、どうやら「中津は現実逃避として吊るし魔の活動を始めた」という設定のようだ。
ともかくヒーローへの憧れなんて皆無だし、ヒーローに詳しいわけでもないので、タイトルが内容とズレていることは確かだ。
そりゃあ『生活』では何の映画か伝わらないし、まるでキャッチーじゃないから、改題するのは理解できる。でも内容と全く違うタイトルはダメでしょ。

「毛皮のために飼育されていたヌートリアが放逐されて増加し、畑の作物を食い荒らしたり在来種の生息地を破壊したりする害獣になった」ってのを、中津たちの活動に重ねているんじゃないかとは思うのよ。
ただ、そういう比喩表現って、この映画にとって本当に必要なのか、効果的に作用しているのかと問われた時、確信を持って「ノー」と断言できちゃうのよね。
一応は「ヌートリアは新しいエネルギー源の可能性」というフォローが最後に入るけど、だから何なのかと言いたくなる程度の扱いだ。

カオリが中津に惹かれ、土志田がカオリに惚れるという三角関係が用意されているが、それはドラマとして全く機能していない。
また、最初は見下すような態度さえ見せていたカオリが、いつ頃から、どういう理由で中津に惹かれるようになったのかもサッパリ分からない。
もっと根本的な問題として、カオリの存在意義が皆無に等しい。なぜ中津たちの活動に参加したいと思ったのかも、まるで分からないし。
原作にも登場するキャラではあるが、せいぜい「メジャーな娯楽映画なら女っ気は必要だろ」という理由ぐらいしか見えない。

っていうか、カオリってそんなに女っ気をアピールするキャラでもないのよね。
チームで活動している時は、ただのモッサリした女子高生に過ぎない。
宇野の秘書になってからは「女」をアピールするようになるけど、それはそれで「急にキャラを変えた理由は何なのか」と言いたくなるし。
そういう行動によって、「中津に好意を寄せている」という前半の描写まで完全に死んでしまうでしょ。
そういうのって、ただの行き当たりバッタリなキャラ描写にしか見えないぞ。

日下が金槌で戦うので、世直しヒーローとして全く応援できない。
武器を使うのは構わないけど、金槌はダメだわ。
それで思い切り頭や腹を殴り付けているんだから、下手すりゃ相手を殺しかねない。殺さなくても、死ぬまで直らない障害を残す可能性は大いに考えられる。
彼が退治する相手を、快楽殺人犯とか、連続レイプ魔とか、それぐらい卑劣だったり残忍だったりする悪人に設定しているなら、殺傷能力の高い武器を使うのも別にいいだろう。
だけど、せいぜい街で騒ぐ不良とか、暴走族とか、その程度だからね。

実際に日下が不良や暴走族を殺すわけではなくて、「痛め付けて吊るしました」というだけになっている。
だけどね、金槌で人の頭を思い切り殴ったら、その程度じゃ絶対に済まないのよ。
この作品は映画『ドロップ』と同じで、「そんな簡単に人は死なないんだよ」という考えに基づいて作られているんだろう。
だけどね、簡単には死なないかもしれないけど、金槌で思い切り頭を殴ったら死ぬ可能性はあると思うよ。
そういうトコの無頓着な感覚って、どうにも受け入れ難いわ。

日下が中津たちを宇野に会わせて法人化に動き出すのは、かなり強引で色んな手順をスッ飛ばしているように感じる。
まず、日下と宇野の接点が乏しい。日下が登場した時に宇野と会っているけど、あくまでも「たまたま通りかかって遭遇した」というだけだ。それ以降、彼が宇野と再会したり、その正体を知ったりする様子なんて全く描かれていない。
なので、その前に姿は見せていたものの、会社を作るための人材として日下が連れて来るのは唐突にしか思えない。
まだ宇野の方から接触して来るならともかく、そうじゃないのでね。
あと根本的な問題として、法人化する必要性が全く分からないぞ。

唐突に持ち込まれた法人化の提案を、中津たちが即座に承知しているのも「なんでだよ」と言いたくなる。
宇野のことなんて良く知らないのに、なぜ全面的に信用しちゃってるのか。
いや全面的に信用はしていないのかもしれないけど、だったら即答は変でしょ。
幾ら中津がヘタレな人間であっても、そこは少しぐらい考える時間を貰えよ。むしろヘタレだからこそ、そこはキナ臭い話だと感じたり、断る方向で考えたりしろよ。

久保は宇野を取材する際、「容疑者を監禁したり、口止め料として金品を要求したりしている」「組織や金持ちから依頼を受けて標的を吊るし、社会的に抹殺している」という疑惑に触れる。
だが、それは単なる疑惑ではなく、実際に行われているという設定だ。
しかし中津も土志田も、それに対して何の疑問も抱かず、宇野や日下に抗議することも無い。カオリにしても、粛々と仕事をこなすだけだ。
チームを始めた当初とは活動内容が大きく変化し、ただの醜悪な犯罪集団に成り下がっているのに、それを4人は受け入れている。

中津が日下に「会社にして良かったんでしょうか」と尋ねるシーンはあるけど、「卑劣な犯罪集団になっている」ってことへの反発心があるというわけじゃなくて、漠然とした違和感を抱いているだけだ。
久保が吊るされそうになった時、ようやく中津は「なんかおかしいと思わないのかよ」と言うけど、それだとタイミングが遅すぎるのよ。
いや声を荒らげるのは、そのタイミングでも別にいいのよ。
だけど、それ以前から会社がヤバい状態になっているのは分かっていたはずで。
そこで何の疑問も抱かず新人を指導している様子だけを描いていたので、それは違うんじゃないかと。

日下は「ケジメを付けなきゃ」と言った後、商店街にいた隊員たちを退治する。
だけど、それはケジメを付けることにならないでしょ。どういう行動を取るかは置いておくとして、彼が向かうべきは宇野の所でしょ。
っていうかさ、法人化を考えて宇野を呼んだのは日下なんだから、それに対して責任や罪悪感を抱こうぜ。そういうのは全く見えないのよね。
なんか全面的に宇野が悪いってことにしてあるけど、彼を引き入れただけでなく、そういう状況になるまで黙認していた日下も充分すぎるほどの罪があるぞ。

そんな日下が電話を掛けて「人は変わりますよ」と告げた後、宇野は「困った人だ」と呟く。彼が電話を掛ける様子の後、カットが切り替わると日下がレインコート姿の佐々木に襲われて死亡する。
その流れで一目瞭然だが、佐々木は宇野が差し向けた手下だ。
だが、そこで大きな疑問が湧く。「なぜ通り魔が宇野の手下なのか」ってことだ。
「佐々木は通り魔じゃない」ってのが、その答えだ。レインコートは着ているけど、通り魔は他にいるのだ。
そこで意外性を出そうとしたのかもしれないけど、無駄にゴチャついているだけ。

っていうかさ、そのタイミングで「日下が通り魔の犠牲になる」という展開自体、違うんじゃないかと。そこは宇野が邪魔になった日下を排除しようとする流れでいいでしょ。
それを考えると、そもそもレインコートの通り魔なんて要らないんだよな。そいつの存在って、どう考えてもストーリーの中で浮き上がっているのよ。
あと、日下が死んでしまう展開も要らないよ。この映画で、死人なんて出しちゃダメよ。金槌で殴っても死人は出ていないのに、そんなトコで雑に日下を死なせるのは間違いだよ。
もはや「金槌で頭を思い切り殴っても誰も死なない」ってのも含めて寓話みたいな世界観になっているんだし、その中で人が死ぬ展開を用意すると余計な生々しさが出ちゃうのよ。
そういうの、この映画には邪魔なだけだから。

もっと酷いことに、日下が刺された現場に駆け付けた中津が、土志田と隊員たちから殺人犯と誤解されるという展開が待ち受けている。
っていうか、その筋書きから逆算して、「日下が殺される」という手順を用意した可能性は高い。
だけどね、あの状況で「中津が日下を殺した」と思うのは、ものすごく不自然だよ。
あとさ、「リンチされた中津を土志田が助けて逃がす」という展開も、土志田が寝返ることへの違和感が強いぞ。そこに至るまでに、中津が土志田に詫びるとか、土志田が中津の心情を知るとか、そういう和解に向けた手順なんて何も無いのでね。

カオリが駆け付けて中津と土志田に協力するのも、これまた同様だ。彼女が会社に疑問を抱いている様子なんて全く無かったし、いつ頃から裏切りを画策していたのかサッパリだよ。
それと、カオリって会社の金庫にあった金を盗んで、それを元手に防犯グッズの会社を企業して儲けるのだ。
だけどさ、この映画では中津の現金横領が「唾棄すべき犯罪」として提示されているのよ。それなのに、カオリの横領は正当化しちゃうのか。
幾ら宇野が悪党であっても、それは違うんじゃないかと。

っていうかさ、中津は単なるヘタレ野郎ってだけじゃなくて、スナックの女に貢ぐために会社の金を横領してクビになっているんだから、もう完全にアウトじゃねえか。そういう過去が無くても全く「愛すべきダメ人間」ではないけど、もはや全く愛せる要素が無くなっている。
それでも、「過去に愚かな間違いを犯したけど、世直しヒーロー活動を通じて人間的に成長する」というドラマがあれば、まだ何とかなる可能性は残されている。
だけど中津って基本的には流れに乗せられたり巻き込まれたりしているだけで、ほとんど成長していないのよ。最後に「コンビニにいる若者たちを注意する」という様子を描いているけど、取って付けたような印象しか無い。
あと、注意しただけで言うことを聞いてくれる物分かりのいい連中なのかよ。その程度で簡単に分かってくれるのなら、殴って吊るす活動は不必要だったということになっちゃうでしょうに。

(観賞日:2017年12月27日)

 

*ポンコツ映画愛護協会