『花の降る午後』:1989、日本

フランス料理店“アヴィニヨン”の支配人を務める葉山直衛は、クルーザーを利用したカジノに入り浸っていた。カジノで大敗した彼は、主催者の荒木実沙から勝つまで徹底的にやるべきだと勧められる。「もう賭ける物が無い」と葉山が漏らすと、実沙は「何か担保になるような物でもあれば」と言う。彼女の夫である幸雄が来て、「店があるでしょ」と口にする。「私の店じゃない。オーナーはマダムだ」と葉山が告げると、幸雄は「小娘なんでしょ、未亡人の」と述べた。葉山が顔を歪めて困っていると、実沙は「貴方も、もう自分の命しか無いのよ、アヴィニヨン以外は」と告げた。
翌朝、アヴィニヨンのオーナーである甲斐典子は近所をジョギングし、店に顔を出してシェフの加賀勝郎に挨拶する。それから隣の家に住むリード・ブラウンという老人を訪ね、チェスの相手をする。リードの息子であるマイクと妻のジルは、毛皮店のブラウン商会を経営している。典子はチェスを終えると、店に戻る。ウェイターの秋津は彼女に、葉山から腰痛で休むと電話があったことを告げる。秋津は葉山の甥で、彼の紹介で働いている。ウェイターの水野は「これで今月に入って4度目らしいですよ。年寄りのわがままも、ええかげんにしてもらわんと」と不満を口にした。
典子が「葉山さんは、主人のお父さんの代から働いてるんやから」と葉山を擁護すると、水野は「最近、支配人、夜の社交場では有名やそうですよ」と忠告した。そこへ秋津が戻り、胡蝶蘭が届いたことを典子に知らせる。胡蝶蘭には「荒木エンタープライズ専務取締役 荒木実沙」と書かれた名刺が添えてあったが、典子には全く聞き覚えの無い名前だった。水野は彼女に、夫婦で今夜の予約が入っていることを教えた。
その夜、荒木夫妻は店を訪れた。典子が挨拶に行くと、実沙は「フランス産のミネラルウォーターを頂きたかったわ」と嫌味っぽく言い、ワインに関して細かい注文を出す。加賀は厨房で典子に別のワインを渡し、それを出すよう促した。すぐに実沙は別物だと気付き、典子に指摘する。実沙が嫌味を口にすると、典子も嫌味で返した。店を出た後、実沙は試されたことへの憤慨を示す。幸雄が「精一杯の強がりだ、美しいお嬢さんの」と言うと、彼女は「私には大嫌いな美しさっていうのがあるの」と述べた。
後日、高見雅道という青年画家が典子の元を訪れ、店に飾ってある絵を1週間だけ貸してほしいと頼んで来た。彼は自分が描いた絵だと告げ、キャンパスの裏に名前と日付が入っていると言う。典子は高見の話を聞き、自分がその絵を気に入って、義直が購入した時のことを思い出した。高見は借りたい理由として、絵を扱ってもいいと言ってくれる画商がいること、そのために個展を開く必要があること、生活のために3年前からデザインスタジオで働いているので作品数が少ないことを説明した。
病院理事長である松木精兵衛の妻・かづ子と仲間の奥様連中が店に来る予約が入っている夜、典子はドレスアップして準備を整える。加賀は典子に夫人と水野が随分と前から不倫していることを教え、注意するよう促した。典子は個展のために東京へ行った高見からの電話で、絵の裏に手紙が隠されていたことを知る。差出人は義直で1984年5月1日の日付があり、典子宛ての手紙だと高見は告げる。それは義直が病死する5日前の日付だった。 典子は新幹線で東京へ行き、高見から手紙を受け取った。義直の手紙には、「僕には娘がいるかもしれない」と記されていた。義直は大学時代、岸部レイコという女性と付き合っていた。しかし彼女には他にも好きな男がいて、妊娠をきっかけに彼と結婚した。その女児の父親が自分だという気がするのだと、義直の手紙には書かれていた。典子から相談を受けたリードは、「義直の幻想だ。確かめようなんて馬鹿なことはしないね?」と彼女に告げた。
高見が東京から戻り、典子に絵を返した。典子は彼に、私のために絵を描いてほしいと依頼した。病院事務長の後藤が典子を訪ね、かづ子と水野の密会現場を撮影した写真を見せた。彼は典子に、それを使って秋津が松木を恐喝して来たことを話す。さらに彼は、かづ子が水野に無理やりホテルへ連れ込まれた、水野と秋津はグルだと主張していることも語る。アヴィニヨンが手を出してくるなら黙っていないと松木が言っている、と聞かされた典子は、自分が黒幕のように扱われて憤慨した。
典子は加賀から、松木が3つの病院を所有するだけでなく表でも裏でも顔が利くこと、店を潰そうと思えば簡単であることを聞かされる。彼女は松木の元へ行き、秋津は辞めさせるが、夫人と水野の関係は店の問題ではないと思っていることを話した。松木は「ワシもアホやない。家内のことは調べさせた。逆恨みしたら恥の上塗りや。せやけどな、そんな男をアヴィニヨンに置いとかれるのも、あんまり楽しいことやないなあ」と述べた。
事実を指摘された秋津が開き直った態度を見せたため、典子はクビを通告した。それを知った葉山は、憤慨して店を辞めた。水野は騒動の責任を取り、店を辞めた。典子は店を休もうと考えるが、加賀は来月からフランス留学する料理人の江見恭弥に勉強としてウェイターをやらせることを告げた。彼は典子に、「葉山さんの辞め方、おかしいと思いませんか。この店一筋にやって来たんです。それが、あないに、あっさりと。秋津にしたってそうです。なんで今頃、恐喝なんてアホなことをする必要があったと思います?」と述べた。
加賀は典子に「最初から松木さんを怒らせて、あの人の力で店を追い込むのが狙いやったんやないかと。葉山さんの後ろで糸を引いてる奴がいるはずです」と語り、黄賢明に相談するよう勧める。典子は中華街へ行き、黄の娘である芳梅に挨拶する。賢明は典子に、実沙が主催する秘密の会員制賭博場で葉山が大敗したこと、後藤も派手な負け方をしたこと、香港マフィアの下っ端だった幸雄が金と女で追放されたこと、別のコネクションから香港に近付こうとしていること、実沙と結婚して資金を手に入れたことを教えた。
葉山の考えた作戦が失敗したため、実沙は彼に怒りをぶつけた。幸雄は「俺に任せろ」と彼女に言い、3人の青年を雇って荒っぽい手を使うことにした。典子は義直の親友である私立探偵の工藤に、荒木夫婦の調査を依頼した。店の送迎係を務める小柴は、車のブレーキに細工されて怪我を負った。その夜、荒木夫婦は予約を入れ、涼しい顔で店を訪れた。典子は注文に無いケーキを出して、店を手放すつもりが無い意思を示した。その勝ち気な態度に、実沙は激しい苛立ちを見せた。
加賀は3人組に襲われ、右腕を折られた。加賀は全治6ヶ月で入院し、典子は彼の妻であるヨシエに詫びた。典子は店を一時休業し、工藤から調査報告を聞く。クルーザーの所有者は、悪名高い地上げ屋の西島だった。30年前、西島は部下の妻と関係を持ち、妊娠させた。彼は部下に金を払って辞めさせ、女には中絶を命じた。しかし部下は金を受け取ると即座に離婚し、女は神戸へ帰郷して出産した。その時に誕生したのが実沙だった。その話を聞いた典子は、夫の隠し子の話を重ね合わせた。
典子は工藤に、岸部レイコと長女について調べるよう依頼した。彼女は義直の母であるリツと会い、「貴方は充分やってくれたわ。でも、そろそろアヴィニヨンから自由になることも考えたら?」と再婚を勧められた。典子が店に行くと、加賀、小柴、江見、水野、料理人の阿井吾郎という残ったスタッフ全員が集まっていた。加賀は典子に、江見から「メニューを作ってくれたら調理場は阿井と2人で何とかする」と言われたことを明かした。
阿井は典子に、店を開けてほしいと訴えた。江見は店を守るため、留学を1年延期すると決めていた。加賀はスタッフの不足を補うため、水野を呼び戻していた。加賀は「調理場に立つぐらいは出来ます」と言い、小柴はクロークを担当すると申し出た。典子は元気を取り戻し、店を開けた。高見は典子に電話を掛け、スタジオを辞めたこと、神戸港の倉庫を借りて絵を描くと決めたことを話す。「甲斐さんの傍で絵を描きたいんです」と、彼は熱い気持ちをぶつけた。
高見が店に行くと言うので、典子は店の人が全て帰ってから来るよう告げた。典子が閉店後に待っていると、高見は来るなり彼女にキスをした。典子が困った様子を見せると、高見は真っ直ぐに愛情を訴えて「もし東京に帰れと言われたら、そうするつもりです」と言う。典子は「帰って」と口にするが、実際は高見に抱かれた。典子は港の倉庫へ行き、高見のモデルを務めた。その様子を密かに観察した実沙は、激しい苛立ちを示した。
実沙は3人の青年を可愛がる幸雄の前で、「貴方も頼りにならない。私の手で、あの女を跪かせてやるわ」と言う。幸雄は香港から来たブローカーの林玉徳と会い、密輸ダイヤを確認する。「5億円以上の価値がある。貴方の買値は5千万だ」と林に告げられ、幸雄は「十倍の儲けか」と笑みを浮かべた。実沙はブラウン商会へ赴いて毛皮のコートを購入し、マイクとジルを船上パーティーに誘った。マイクとジルは罠とも知らず、賭博場が開かれているクルーザーへ遊びに出掛けた。
工藤は典子に、調査報告を入れる。エリコの現在の苗字は沼田で東京に住んでおり、長女の美加は高校3年生になっていた。しかし工藤は、途中で目的に気付いたことを典子に明かし、義直に申し訳ないので調査を中止すると告げた。マイクは賭博場で大敗し、実沙は家と土地を担保にするよう要求してジルを人質に取った。そのことを帰宅したマイクから聞かされたリードはショックで倒れ、病院に運ばれた。典子は黄に相談し、「向こうがやって来るんやったら、私もやります。これは私の戦いです」と力強く口にした。彼女はクルーザーに乗り込み、小柴と水野の協力を得てジルを奪還した…。

脚本・監督は大森一樹、原作は宮本輝(角川書店 刊)、製作は角川春樹、プロデューサーは三堀篤&瀬戸恒雄、コーディネーターは桃原用昇、撮影監督は姫田真佐久、美術は桑名忠之、照明は篠崎豊治、録音は林鑛一、編集は西東清明、助監督は渡邊孝好、音楽プロデューサーは石川光、音楽は加藤和彦。
主題歌「花の降る午後」作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:新川博、唄:カルロス・トシキ&オメガトライブ。
出演は古手川祐子、高嶋政宏、桜田淳子、夏夕介、円広志、梅宮辰夫、高品格、古尾谷雅人、小林昭二、室井滋、苅谷俊介、黒部進、東銀之介、上田耕一、赤座美代子、明日香尚、東恵美子、田村英里子、長倉大介、白石貴綱、松岡一ケン[門に月]、勝村政信、黒田隆哉、今井靖彦、石渡譲、砂川真吾、高橋ひろ子、大倉なお美、山家千花、市橋真智子、守屋瑠美、デヴィッド・ブラッタン、ジャニス・ゲイツ、沢田喜代美、西美子、大森一翔ら。


宮本輝の同名小説を基にした神戸市政100周年記念映画。
脚本&監督は『トットチャンネル』『「さよなら」の女たち』の大森一樹。
典子を古手川祐子、高見を高嶋政宏、実沙を桜田淳子、幸雄を夏夕介、工藤を円広志、加賀を梅宮辰夫、黄を高品格、義直を古尾谷雅人、葉山を小林昭二、芳梅を室井滋、小柴を苅谷俊介、松木を黒部進、リードを東銀之介、後藤を上田耕一、ヨシエを赤座美代子、かづ子を明日香尚、リツを東恵美子、美加を田村英里子が演じている。

冒頭、客船での荒木夫妻と葉山のやり取りが描かれ、カットが切り替わると典子がジョギングに出掛ける様子が写し出されてカルロス・トシキ&オメガトライブの主題歌『花の降る午後』が流れる。
そのオープニングは、ものすごく安っぽいイメージが強い。
どうして、そこに主題歌を流しちゃったのかなあ。
そもそも曲自体が映画に合っていないんじゃないかという問題はひとまず置いておくとしても、それをオープニングで流すのは違うと思うんだよなあ。せめてエンディングだわ。

神戸が舞台ということで、古手川祐子や梅宮辰夫は関西弁を喋っている。
しかし、関西出身ではない古手川たちの関西弁は、かなり違和感を抱かせるイントネーションになっている。関西出身である円広志が、演技力はともかくネイティヴな関西弁を喋っていることもあって、その差が歴然と出ている。
標準語で話している面々もいるし、無理に関西弁を使わせなくても良かったんじゃないか。「神戸なのに関西弁を喋らない」という違和感よりも、下手な関西弁によって生じる違和感の方が遥かに大きいよ。
っていうか、この映画の場合、神戸なのに関西弁を喋らないってのは、全く違和感に繋がらないし。そもそも、神戸の風景は写し出されているが、物語としては神戸が舞台であることの意味なんて皆無に等しいし、いっそのこと舞台そのものを関東に移してもいいぐらいだよ。

リードや黄といった外国人たちが、謎の人物になっている。
典子との関係については、リードは隣人、黄はたぶん「父の代からの知人」ということなんだろうけど、ミステリアスが過ぎるんじゃないかという印象を受ける。
なぜ黄は、あれほどまで裏の世界に詳しいのか。彼は香港マフィアの手伝いもしているみたいだけど、どういう男なのよ。そして、そんな男と、どういう経緯で典子、もしくは彼女の父親は親しくなったのよ。
リードにしても、「含蓄のある言葉を口にする老人」というキャラだけど、ステータスが謎だし。今は有閑貴族っぽい生活をしているようだけど、元々のステータスが良く分からんし。
黄に関しては、急に出て来て詳しい情報を知っている上、典子の窮地も救ってくれるので、単なる御都合主義のキャラにしか思えんよ。

荒木夫妻がアヴィニヨンを奪い取ろうとする物語と、典子が隠し子のことを知って調べる話と、高見と出会う話が、完全に分離している。それらは相乗効果を生まず、バラバラのままで進行する。
実沙の出生について知った典子が夫の隠し子と重ね合わせるシーンがあるけど、無理やり感が否めないし、有効に機能していない。
特に高見の存在は、完全に浮いている。高見は恋愛劇の部分で使われるキャラとして登場するんだけど、そもそも恋愛劇が要らないと感じるんだよなあ。
典子が店を奪おうとする荒木夫婦と戦う話と、高見との恋愛模様って、まるで融合しておらず、完全に別物になっているのよ。どこに焦点があるのか分からず、ボヤけてしまっている。

ブレーキの細工で小柴が事故を起こすのも、加賀がリンチされて右腕を折られるのも、明らかに事件なのだが、なぜか警察が動いている気配は全く無い。
典子が警察に相談している様子も無いので、そもそも彼女が通報していないってことだろう。だけど、なぜ典子が警察に連絡しないのか、その理由はサッパリ分からない。警察に動いてもらえば、それが荒木夫婦に対する圧力に繋がる可能性もあるだろうに。
そもそも、「海の上だから簡単に手が出せない」と黄は話しているけど、クルーザーの会員制賭博場に関しては警察もマークしているはず。
だったら、それを主催する荒木夫婦を立件できるかもしれない出来事なんだから、たぶん相談すれば警察は本気で動いてくれるんじゃないかと思うのよ。

加賀が入院した後、典子は歩きながら「潰れるんやったら潰れたらええ。もう嫌になった」と吐き捨てるように言うが、そのタイミングで、そのセリフや態度は違和感があるぞ。
荒木夫婦への怒りとか、スタッフが傷付けられたことへの悲しみとか、そういう気持ちを表現するのなら分かるけど、なんで捨て鉢みたいな態度になるのか。
その後にスタッフが店の再開を求める展開があって、「落ち込んでいた典子がスタッフの意欲を知って元気を取り戻す」ってことならストーリーテリングとして腑に落ちるよ。
だけど「捨て鉢になっていた典子が云々」というのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんだよなあ。

実沙がマイクを罠に掛けてブラウン邸を奪おうとするのも、ちょっと意味がよく分からない。
確かに典子はリードと仲良くしているけど、「典子を跪かせる」という目的からすると、ちょっと遠いトコから攻めているなあと感じる。
そもそも、リードは何度か登場するけど、マイク&ジルは冒頭シーン以降、実沙が買い物に行くまでは完全に消えていた。だから、その2人を実沙が標的にした時に、「典子から遠いなあ」という印象なのよ。
っていうかさ、ブラウン一家って存在を丸ごと削除しても特に支障が無いぐらいなんだよなあ。

実沙はマイク&ジルを罠に掛ける直前、高見との密会現場を見て苛立っているんだから、攻めるんだったら彼の方がいいんじゃないのか。
ブラウン邸を巡る戦いの後、実沙は高見の絵を高額で買っているけど、それまでの行動からすると、レベルが下がっていると感じるし。
最初は店を奪おうとして、次はブラウン邸を奪おうとしていたのに、それに比べると、絵を高値で買い取るってのは単なる嫌がらせレベルでしかないでしょ。
あと、その程度で泣き出す典子もどうかと思うぞ。

ブラウン一家にしろ、高見にしろ、隠し子である美加にしろ、最終的には「実沙が典子を跪かせるために利用する」という形で使われていて、だから一応は「女同士のバトル」という構図に関係付けてある。
だけど、とてもじゃないが上手く絡んでいるとは言い難い。
典子と高見の恋愛劇もビミョーな感じで終わっちゃうし、美加なんて残り数分程度にならないと画面に出て来ないし、ブラウン一家も前述した通りだし。
繰り返しになるけど、全てがバラバラのままで、強引にくっ付けようとしてるけどツギハギが露骨に見えてるのよ。

なぜ実沙が執拗にアヴィニヨンを狙うのか、その理由がサッパリ分からない。
夫婦はクルーザーで金を荒稼ぎしており、香港マフィアとも近付こうとしているような連中なんでしょ。そんな奴らが、歴史はあるけど大して価値がデカいとも思えない一軒のレストランに固執しているのは、どうにも解せない。
ラスト直前になって、「良く来ていた場所からの眺めに店があって、どんな人が来るのかと思っていた」と語っており、どうやら理不尽な妬みが動機らしいが、なんだ、そりゃ。
しかも、その動機が語られただけでも「なんだ。そりゃ」と感じる上に、そこに来て実沙は「私や母に惨めな思いをさせた男や金や世の中、あらゆる仕組みに復讐したかった」と吐露し、理不尽だったことを認め、同情や共感を誘おうとするのだ。
でも、それは悪女を悪女で徹底させられない単なる腰砕けにしか感じないし、もちろん同情心なんか全く沸かない。
典子は笑顔で許し、まるで「良きライバル」のように終わらせているけど、まるで腑に落ちないぞ。

(観賞日:2015年3月16日)

 

*ポンコツ映画愛護協会