『白蛇抄』:1983年、日本

父が出稼ぎに行ったまま帰らなくなり、母と二人で暮らしていた中学生の鵜藤まつの。その母が亡くなり、まつのは自分の母と姉妹のように育てられていた石立うたを頼り、彼女の嫁いだ山寺で暮らすことになった。
うたは夫を不幸な事故で亡くし、2年前に入水自殺を図っていた。その時に助けてくれた和尚・加波島懐海の後妻となり、病に伏せる彼の面倒を見ながら暮らしている。懐海には先妻との間に昌夫という高校生の息子がいる。懐海は毎日のようにうたの体を求め、そんな2人の情事を昌夫は盗み見している。
2年前にうたが自殺を図った滝で、若い女性が自殺した。滝壷を調査した村井刑事は、そこで長い腹帯が巻いてある石膏の固まりを発見する。村井はその物体に興味を持ち、それが自殺を図った時にうたが所持していたものではないかと考える。
村井はうたに惹かれており、彼女について調べる。そして彼女が前夫との間に子供を授かったが生後3日で死亡していることを知る。村井は石膏の固まりが死んだ子供を包んでいたものだと推測し、それを秘密にする代わりに、うたに自分と一緒になることを要求する。
うたに惹かれているのは村井だけではなかった。昌夫もまた、うたに好意を持っていた。ある雨の日、2人は山小屋で肌を重ね合う。やがて懐海が亡くなり、昌夫は京都の本山で修行するために山寺を出ていくのだが…。

監督は伊藤俊也、助監督は森光正、原作は水上勉、脚本は野上龍雄、企画は天尾完次&松尾守&瀬戸恒雄、撮影は森田富士郎、編集は西東清明、録音は林鉱一、照明は山口利雄、装飾は三谷巌、美術は桑名忠之、衣装は福崎精吾、音楽は菊池俊輔。
主演は小柳ルミ子、共演は若山富三郎、夏木勲(夏八木勲)、杉本哲太、仙道敦子、鈴木光枝、宮口精二、北林谷栄、大和田伸也、岡田奈々、高月忠、伊藤高、須賀良、三重街恒二、辻萬長、大沢悠里、佐川二郎、村湊豊徳、泉福之助、清水照夫ら。


小柳ルミ子が脱ぎまくり&男と絡みまくっている作品。少女時代の仙道敦子の乳首(ニップレスかも)が透けて見える&パンティ姿になるという場面もあったりする。
で、以上が観賞する時のポイント。
純粋に映画を楽しむのなら、この作品を見るのは時間の無駄。

全ての秘密はセリフによって説明され、強引に明かされていく。必然性という言葉は、ルミ子を脱がせる目的の為に忘れ去られていく。夏八木はなぜか冷蔵庫で石膏の固まりを保存しているし、ルミ子はなぜか夏八木や哲太を殺そうとする。
全ての登場人物の行動はメチャクチャである。

結局、ルミ子をヌードにするということだけが、この映画の製作意図なのだろう。誰が何の目的で何をしたいのか、そういうことは無意味なのだろう。
テーマは「ルミ子」、そういうことだ。
それでもこの作品、1983年度の文化庁芸術祭参加作品だったりする。

ちなみに杉本哲太の映画デビュー作であり、彼の仲間であるT・C・R横浜銀蝿R・S、ミッツ、Leer、桃太郎、麗灑といった面々が顔を出している(横浜銀蝿の他は、「いったい誰なんだ」と問いたくなる人も多いだろう)。
その杉本哲太、勃起したチンポで次々と障子に穴を開けていく場面がある。
だが、これは決してエロ・コメディでは無い。

 

*ポンコツ映画愛護協会