『ぼくらの七日間戦争2』:1991、日本

港区立青葉中学校では、夏休み前の期末試験が行われていた。2年A組の教室に遅刻して入って来た天野健二は、軽い調子でクラスメイトに「よっ」と挨拶した。担任教師の八代謙一は「お前なんかに試験を受ける資格は無い、この落ちこぼれが」と言い放ち、廊下で立っているよう命じた。中山ひとみは「試験を受けさせないのはおかしいと思います」と抗議し、菊地英治も彼女に賛同した。すると八代は、「そんなに同情するなら付き合ってやったらどうだ」と告げた。
八代は生徒たちに、「俺は絶対に、天野に試験は受けさせない。それが気に入らなければ出て行っていいぞ」と述べた。ひとみと菊地が教室を出て行き、堀楊久美子、中尾和人、安永宏、日比野朗、も後を追って廊下に立った。試験の後、ひとみたちは職員室へ呼び出され、八代だけでなく生活指導の野沢や丹羽教頭からも叱責を受けた。八代は7人に、「明後日の月曜から夏休みまで毎朝、校門に立って全校生徒を迎え入れろ」と命じた。
帰り道、ひとみは仲間たちの前で、「このまま沖縄へ行っちゃおうかなあ」と口にする。彼女は沖縄の幼馴染から、夏休みに遊びに来るよう誘う手紙を受け取っていたのだ。その夜、ひとみを呼んで試験勉強をしていた久美子は、隣で弟と友人たちがビデオを見ていることに苛立った。彼女は蕎麦屋を営む両親から手伝いを指示され、ますます腹を立てた。菊地、天野、安永はゲームセンターへに入ろうとするが、張り込んでいた野沢たちに「夜遊びは非行の始まり」と叱られて引っ張り出された。
ひとみの父親は単身赴任中で、母親はゴルフコンペで頻繁に出掛けていた。その夜も母親は、家庭教師を付けることを一方的に通達した上で外出した。菊地たちはリュックを背負った久美子を目撃し、どこへ行くのか尋ねた。すると久美子は「ちょっと沖縄まで。ひとみとね」と笑顔で答えた。菊地たち5人の男子は金を集め、沖縄へ付いて行くことにした。フェリーで船酔いした菊地は、甲板で具志堅マリという少女と出会った。アメリカンスクールの中学2年生だという彼女は、他の面々とも知り合いになった。
7人が失踪したため、母親たちは青葉中学校へ乗り込んで抗議した。八代が「首謀者は中山と菊地です」と断言すると、ひとみの母親は「きっと沖縄へ行ったんだと思います」と告げた。八代と野沢は子供たちを連れ戻すため、沖縄へ向かった。マリはひとみと久美子に、ロサンゼルス帰りで東京に暮らしていること、生まれ故郷の沖縄へ行くことを話す。ひとみは「じゃあ私たちと一緒に行かない?」と誘い、無人島でキャンプをする予定を語った。
ひとみたちを乗せたフェリーが岸に近付くと、八代と野沢が待ち受けていた。ひとみたちはトラックの荷台に乗り、その場から逃亡した。一行は待ち合わせ場所へ行き、ひとみの幼馴染である高良陽一と会った。セントラルリゾート開発の社長を務める陽一の父・隆造は、東京の開発会社を営む佐々木が見せた完成モデルに困惑した。もう少し島の自然の地形を生かしたリゾート開発を考えていたからだ。しかし佐々木は「現実問題として、これぐらいの規模にしなければ観光客は入りませんよ」と告げ、隆造の部下である伊是名も「地元の有志が手詰まりの状態です。東京の企業のバックアップが無いと計画は進みません」と説得した。
陽一は母を亡くしており、父と姉・玲子の3人で暮らしていた。陽一はサーフショップで働く玲子に協力してもらい、ひとみたちと一緒にキャンプ道具を準備した。菊地と中尾だけは、生家があった場所へ行くマリに同行していた。しかし生家は既に無く、現在はマンションが建っていた。3人は八代と野沢に見つかり、慌てて逃げ出した。その夜、ひとみたちはボートで出発し、無人島の阿嘉奈島に到着した。翌朝から、一行は海で泳いだり、森を探検したり、食事を作ったり、花火をしたりして楽しんだ。
八代と野沢は隆造の元を訪れ、陽一が子供たちの居場所を知っているはずなので会わせてほしいと頼む。隆造は伊是名に「明日、ちょっと様子を見に行ってくれるか」と指示し、八代と野沢には「そう騒ぎ立てることも無いでしょう。見つけたら連絡しますよ」と告げた。隆造は玲子と話し、子供たちが阿嘉奈島へ行ったことを知った。翌日、船を出した伊是名は、双眼鏡で阿嘉奈島の様子を確認した。ひとみたちは何も知らず、島での生活を満喫していた。
次の日、伊是名は八代と野沢を船に乗せ、双眼鏡で阿嘉奈島の浜辺にあるテントを観察させた。ひとみ、久美子、マリ、陽一の4人は、カヌーで遊んでいた。陽一はひとみに「もうじき、この島で遊べなくなるんだ。親父の会社がこの島をリゾート・アイランドにするって」と告げた。菊地、天野、安永は洞窟を探検し、パラシュートを発見した。浜辺に戻った彼らの元に年上の女性たちが現れ、「一緒にマリンジェットで遊ばない?」と誘ってきた。
ひとみたちと丘を歩いていた陽一は、「リゾート計画予定地」「立ち入り禁止」の看板を見つけた。激怒した陽一が看板を蹴っていると、伊是名が手下たちを引き連れて現れた。陽一が「出て行けよ」と怒鳴ると、伊是名は冷静な口調で「そう言われても、これは貴方のお父様の命令ですからね。文句があるなら直接、お父様に言って下さい」と告げた。カッとなった陽一が掴み掛かると、伊是名の手下たちが軽く捻じ伏せた。
菊地、天野、安永は女性たちのクルーザーに招かれ、楽しい時間を過ごしていた。しかし菊地は、女性の一人が伊是名と無線で話している声を耳にした。女性が伊是名の指示で自分たちを誘い込んだこと、ひとみたちが捕まったことを知った菊地は、天野と安永に声を掛けてクルーザーから逃亡した。彼らはひとみたちが捕まっている開発事務所に乗り込むが、伊是名の手下たちに取り押さえられた。事務所の中には、ひとみら4名だけでなく中尾も捕まっていた。
子供たちを叱責していた八代は、日比野がいないことに気付いた。伊是名は「引き上げる所を見れば寂しくなって出て来ますよ」と言うが、八代は素直に賛同しかねた。その時、崖の上に日比野が現れ、太鼓を打ち鳴らした。伊是名が捕まえに行くよう手下たちに命じた直後、ひとみたちが事務所の中から飛び出した。子供たちは八代と野沢に消火器を噴射し、その場から逃亡した。伊是名は八代たちに、「今日の所は、これで引き上げましょう。手は打ってありますから」と告げた。
ひとみたちがテントを張っていた浜辺へ戻ると、すっかり荒らされていた。天野と安永が帰ろうとすると、マリが「こんなことされて何もしないで帰るなんて許せない。やり返してやろうよ」と言い出した。天野たちが拒否して立ち去ろうとすると、ひとみが「アンタたちだけ勝手なこと言って、陽ちゃんの気持ち考えたことあんの」と声を荒らげた。天野と安永は腹を立て、ひとみと喧嘩を始めそうになる。菊地は仲裁に入り、「悔しいのは、みんな同じなんだよ」となだめた。
その夜、八代と野沢がキャバレーで伊是名の接待を受けていると、隆造が丹羽を連れて来た。丹羽は八代たちを見つけると、「父兄の要請で私まで狩り出されたというのに、どういうことですか」と叱責した。陽一はひとみたちに巻き込んだことを謝罪し、マリと共に眠る場所を探しに出掛けた。ひとみたちは浜辺で缶蹴りを始め、仲直りした。菊地は陽一に「やろうぜ」と持ち掛け、ひとみは「このままじゃ帰れないよ。大人たちをやっつけよう」と告げた。ひとみたちは基地を作り、罠を準備した。
陽一は中尾を連れて隆造の会社に忍び込み、関係書類を盗み出そうとする。中尾はコンピュータを操作し、開発データを台無しにした。そこへ隆造が現れると、陽一は「あの島を壊しちゃいけないんだ」と批判する。「お前に何が分かるか」と平手打ちを浴びせられた陽一は父を突き飛ばし、中尾と共に逃げ出した。翌朝、佐々木はコンピュータのデータが壊滅していることを知って激怒する。佐々木と伊是名と手下たち、そして教師の面々は、すぐさま阿嘉奈島へ乗り込んだ…。

監督は山崎博子、原作は宗田理 −角川文庫版−、脚本は山崎博子&稲葉一広、脚色は石田芳子、製作は角川春樹&奥山和由、プロデューサーは霜村裕、撮影は鈴木耕一、照明は野口秦胖、録音は宮本久幸、美術は金田克美、編集は井上治、助監督は東田真一、スタントは二家本辰己、音楽はB.B.クイーンズ、音楽プロデューサーは石川光。
主題歌『ぼくらの七日間戦争〜Seven Days Dream〜』作詞:長戸大幸、作・編曲:織田哲郎、唄:B.B.クイーンズ。
出演は渋谷琴乃、柳志乃、具志堅ティナ、明賀則和、武内伸一郎、天間信紘、渡辺武徳、大田原清文、高良陽一、佐野史郎、鶴田忍、石田太郎、塩見三省、笹野高史、内藤剛志、池田昌子、絵沢萠子、ただのあつ子、船場牡丹、沢井孝子、西沢まこ、和泉今日子、二家本辰己、山下伸二、上根新兵、阿部由香子、藤谷果菜子、高城富士美、花原照子、茂木和範、松岡稜士、広瀬清一、大滝明利、中島正、榎本貴、所博昭ら。


宗田理の小説「ぼくらシリーズ」の第1作を基にした1988年の映画『ぼくらの七日間戦争』の続編。今回は「ぼくらシリーズ」の第10作『ぼくらの秘島探検隊』がベースになっている。
『幕末純情伝』と同時上映された角川春樹事務所の作品。
海外ロケのスタッフとして映画に携わって来た山崎博子が、劇場用長編劇映画の初監督・初脚本を務めている。
前作と同じキャラクターが何人も登場するが、同じ配役で続投しているのは八代役の佐野史郎と丹羽役の笹野高史のみ。
ひとみ役は前作の宮沢りえから渋谷琴乃、久美子役は安孫子里香から柳志乃、菊地役は菊池健一郎から明賀則和、天野役は石川英明から武内伸一郎、中尾役は大沢健から天間信紘、安永役は鍋島利匡から渡辺武徳、日比野役は金浜政武から大田原清文、野沢役は大地康雄から鶴田忍に交代。
他に、陽一を高良陽一、隆造を石田太郎、佐々木を塩見三省、伊是名を内藤剛志、玲子を池田昌子が演じている。

本名と役名が同じであることから推測すると、たぶん角川春樹事務所は高良陽一を売り出したかったんじゃないかという気がするけど、2年A組じゃないのにグループの仲間になることからすると具志堅ティナも売り出そうとしているように見受けられる。
その一方で映画のヒロインとしては渋谷琴乃がいるわけで、メインの人物が3人もいるってのは、どうにも扱いが難しい。
特に問題なのは具志堅ティナで、彼女が演じるマリというキャラは明らかに話から浮いており、無理に押し込んだという印象しか無い。
ぶっちゃけ、マリがいなくても話は成立するし、わざわざ青葉中学校の生徒じゃない彼女を仲間に加えている意味や必要性は全く無いのだ。

冒頭から、青葉中学校の教師たちが徹底的に嫌な連中として描かれる。
ティーンズ向け作品ということを考えれば、教師を悪役にするのは分かりやすい図式だ。担任が生徒に試験を受けさせないという横暴な態度を取るのはともかく、それを教頭まで容認しちゃうのはどうかと思うし、今の時代なら完全にアウトな連中だろう。まず間違いなく保護者から突き上げを食らうし、八代なんかは教師を続けることさえ難しいかもしれない。
とは言え、かつての日本では、ここに描かれているような理不尽な教師が当たり前のように存在したのだ。
八代たちのキャラクター造形が「フィクションならではの誇張」という意識で描かれているのかどうかは知らないけど、全く同じではないにせよ、勝手なルールを作って従わせようとしたり、横暴な態度を取って服従を要求したりする先生は存在したし、学校もそれを容認していた。
今の時代だと、こういう映画は絶対に作れないだろうけどね。逆に問題のある生徒や保護者の方が多くて、教師は体罰を禁じられているから手を出させないし、だから「横暴な教師に生徒たちが反逆する」という図式は非現実的で時代遅れに見えちゃうだろう。

ちょっと話が脱線してしまったが、ともかく最初に「担任教師が理不尽な命令を下し、それに生徒たちが腹を立てる」というシーンを描写するのは別に構わない。
ただし、そこから始めるのなら、学校生活や教師に対する不満が後のストーリー展開に繋がるようにすべきだ。しかし、家出を決意するきっかけの1つとしては使われるものの、それ以降の筋書きにおいては全く意味の無い要素と化している。
それと、家出のきっかけとして、久美子は「勉強していても家族に邪魔される」という苛立ちがあるけど、ひとみは「母親がゴルフコンペで遊んでばかり」という程度なので、かなり弱いぞ。
そこは例えば「久美子が家庭への不満を漏らし、ひとみの元へ家出した。そこで友達思いのひとみは、じゃあ今から一緒に沖縄へ行こうと誘う」という手順でも用意すれば良かったんじゃないかと。
っていうか、もはや学校や八代への苛立ちや不満は、家出のきっかけとしても要らない要素になってるじゃねえか。

この話は「子供たちが試験をサボって沖縄へ出掛ける」という展開になっているが、そこを「夏休みに入り、子供たちは沖縄へ出掛ける」ということにしても大して変わらない。
そこで大きく変わるのは「教師たちが連れ戻しに来る」という部分だけど、それは無くてもいい。
いや、むしろ無い方がいいのだ。
そんな要素はバッサリと削って、「子供たちが島を開発しようとする大人たちに反逆する」という図式だけに絞り込んだ方がスッキリする。

隆造の指令を受けた伊是名が、翌朝になって島の様子を観察するシーンがある。
島にいる子供たちの様子が写し出された後、ホテルを出た八代と野沢が飲みに出掛けようとする様子が描かれる。
カットが切り替わると翌朝になっており、伊是名が八代と野沢を船に乗せて島を観察させている様子が写し出される。
そこは、どう考えても無駄な手順を踏んでいる。
最初から「先生たち船に乗せて島を観察し、その流れで子供たちを連れ戻しに行く」ということにすればいいでしょ。

その後の伊是名と手下たちの行動も、違和感を禁じ得ない。
彼らは暴力を行使して子供たちを捕まえたり、女を使って誘惑させたりしているが、そもそも様子を見に行くことを頼まれただけでしょ。
まずは帰るよう交渉して、それで言うことを聞かなければ次の手段を取るという形にすべきじゃないかと。
「既に開発計画を妨害されているから排除したい」とか、「見られちゃいけないモノがあるから島から追放したい」とか、そういう事情があるわけでもないんだし。

っていうか、そこで荒っぽい手段を取るぐらいなら、教師たちを連れて行く前に行動すればいいじゃねえか。どうせ教師たちは何の役にも立っていないし、伊是名も彼らに任せずに自分の手下だけにやらせているんだから。
そこは「八代と野沢が連れ戻そうとするがあっさりと逃げられてしまい、そこで伊是名が自分に任せるよう求め、手下たちを差し向ける」という流れでもあれば良かったんじゃないかと。
上映時間が80分しか無いから、「隆造の忠実な部下だと思わせておいて、実は悪党だった」という手順を踏まないのは仕方が無いとしよう(そこも実は、教師を悪役としてアピールする部分をバッサリと省いてしまえば、その時間を隆造の描写に回せるんだけど)。
ただ、悪党としての見せ方が強引すぎるわ。いきなり荒っぽい手口で子供たちを捕まえるってのは、もはや頭の悪い三流ヤクザじゃねえかと。

それと、かなり荒っぽい手口で伊是名の手下たちが子供たちを取り押さえる様子を、八代と野沢が平気で受け入れているのは引っ掛かる。
そりゃあ八代たちも体罰としての暴力は行使するだろうし、野沢が子供たちをゲームセンターから引っ張り出す時に頭を押さえ付けたりはしているけど、伊是名の手下は容赦なく顔面にグーパンチを食らわせているからね。
それは「取り押さえるため」という名目があっても、「ちょっとやり過ぎでは」と八代たちに思わせなきゃダメでしょ。
教師を「間違った教育方針や教育方法を取る連中」として描くのはいいけど、伊是名の手口を容認すると「ホントの悪党」と同じ穴のムジナになってしまう。それは超えちゃいけない一線を越えてるわ。

開発事務所へ乗り込んだ菊地たちが取り押さえられると、いつの間にか中尾も捕まっている。
どこでどうやって捕まったんだよ。そこを省略するぐらいなら、なんで他の連中と一緒に行動させておかなかったんだよ。
あと、捕まっていなかった日比野が崖の上に現れて太鼓を叩くと、事務所から飛び出した子供たちが消火器を噴射して逃亡するんだけど、それだと日比野の行動があまり意味の無いモノになっているでしょ。そこは「日比野が大人たちを罠を陥れ、仲間を救出する」ということじゃないと。
そういう形を取らないなら、日比野も一緒に捕まっていて、「子供たちが隙を見て飛び出し、消火器を噴射する」ということでも変わらないでしょ。

ひとみはテントを張っていた場所が荒らされているのを見て「こんなことをするなんて酷い。私たち、何もしてないのに」と口にするが、それは言っちゃいけないセリフだわ。
だって、何もしてないわけじゃないでしょ。試験をサボッているし、立ち入り禁止の島にも勝手に侵入しているんだから。
その後の「アンタたちだけ勝手なこと言って、陽ちゃんの気持ち考えたことあんの」というセリフも、「そんなの知らねえよ」と言いたくなるわ。
なんで陽ちゃんのために、大人たちにやり返さなきゃいかんのかと。

その後、缶蹴りで仲直りするという安直な展開を経て、子供たちは「大人たちに仕返ししよう」という意見で一致するのだが、その反逆に全く乗れないわ。
動機の部分に無理があり過ぎるのよ。
ただ単に「自分たちが捕まって荷物を荒らされたから腹を立てて仕返ししよう」ってだけでしょ。
しかも、荷物を荒らされたのはともかく、捕まったのは立ち入り禁止区域に入ったのが理由だから仕方が無いでしょ。これが「強引な手法で島を開発して環境を破壊するのは許せない」ということで立ち上がるならともかく、そうじゃないからね。

陽一だけは「島の開発に断固反対」という立場で行動しているけど、他の子供たちは自分たちがやられたことに腹を立てて、彼に便乗しているだけに過ぎない。
しかも陽一にしたって、真剣に自然保護を考えているわけじゃなくて「遊び場が奪われるのは嫌だ」という浅い考えだけで反対しているようにしか見えない。
幾らティーンズ向けの映画だからって、あまりにもテーマに対する掘り下げが浅すぎるわ。

テーマに対する掘り下げの朝さは置いておくとしても、せめて「環境を破壊しようとする大人たちと、それに反抗する子供たち」という図式があるんだから、そこに集中して物語を構築すべきなのは誰が考えてもハッキリしている。
で、それを考えると、教師たちは明らかに邪魔なのだ。
子供たちが反逆する対象は「島の自然を破壊しようとする大人たち」のはずなのに、そこに「生徒を連れ戻しに来る教師」が介入することで話のピントがボヤけてしまうでしょ。

(観賞日:2014年9月24日)

 

*ポンコツ映画愛護協会