『僕の彼女はサイボーグ』:2008、日本&韓国

2008年11月22日。誰も誕生日を祝ってくれる人などいない冴えない青年ジローは、大丸百貨店で腕時計を購入し、贈り物のラッピングを 頼んだ。去年の彼は、短い間だったが、誕生日を祝ってくれる恋人がいた。1年前の同じ日、デパートで彼は彼女と遭遇した。その日、彼 は20歳の誕生日に、自分へのプレゼントを買うためデパートを訪れた。そこで彼は、ボディースーツを着た彼女を目撃した。彼女は店員の 目を盗んでワンピースに着替え、お金を払わずデパートを出ていった。
笑顔で自分に目をやった彼女に、ジローは心を奪われた。ジローがデパートを出て歩いていると、また彼女がいて、視線を向けてきた。 ジローはレストランへ行き、自分へのプレゼントを開ける。祖母が「誕生日に麺を食べると長生きする」と言っていたので、今年も同じ レストランでスパゲティーを食べる。そこへ彼女が現れ、同じテーブルに着いて話し掛けてきた。
彼女はメニューを見て、大量の料理を注文した。別のテーブルでは、アメフト部員たちが盛大に誕生日祝いで盛り上がっていた。彼女が 「私も今日、誕生日だよ」と言うので、ジローは「実は、僕もなんだよ」と打ち明ける。同時に「おめでとう」と言い、微笑み合った。 大食漢の彼女は、注文した料理を全てペロリとたいらげ、「さあ、行こう」と告げた。
ジローが金額を見て困っていると、彼女は「私が払うから、先に行ってて」と言う。ジローが外で待っていると、彼女は「撤収」と言って 店から飛び出してきた。食い逃げしたのだ。慌ててジローも逃げ出した。2人は中華街に入った。彼女は金を払わずに店先からリンゴを 盗み、ジローにも渡した。警官にぶつかったジローは、かじっていたリンゴを慌てて捨てた。レストラン店長と警官に追われたジローと 彼女は、京劇の舞台上を横切り、楽屋を通って役者の服装に着替え、外へ逃げ出した。
彼女に付いてきたはずなのに、なぜかジローは自分の部屋の前に到着した。彼女は、いきなり石を投げて窓ガラスを割った。家の屋上から 外を眺めた彼女は、「ここであいつが私の肩を掴んで」と急に泣き出した。そして「私が嫌になったんだって。私は嫉妬深いんだって。 乱暴すぎるんだって。パンチも強すぎるんだって」などと愚痴を言い始める。彼女はジローの腹を殴り、ボールを投げて窓ガラスを割ると 、「この家に住む奴がムカつくのよ」と言う。
ジローと彼女は、外に出て道を歩いた。しばらく歩いていると、彼女は「もう、ここでお別れ」と口にした。「私の後ろ姿を見せたくない から、私がいなくなるまで目を瞑ってて。千まで数えて」と、彼女は言う。彼女が「ホントは自分のために買ったプレゼントなんだけど」 と人形を差し出したので、ジローは「じゃあ僕のもあげる」とフィギュアを渡した。彼女は「実は私、100年も未来からタイムマシンで 来たの。サヨナラ」と走り去った。
それ以来、ジローは本当に、二度と彼女に会うことは無かった。しかし1年後の2008年11月22日、ジローには、また彼女に会えるかも しれないという予感があった。その日、道の真ん中に稲妻が走り、ボディースーツの彼女が出現した。彼女は絡んできたチンピラ3人組を 、人間離れしたパワーで弾き飛ばした。鉄パイプで殴られてもダメージを受けず、今が西暦何年の何月何日かを尋ねた。
大丸百貨店へ向かった彼女は靴を奪い、呼び止めた店員を瞳から発した放電で失神させた。服を盗み、マネキンに化けて警備員や店員を やり過ごした。ケーキを盗んだ彼女はジローがいるレストランへ赴き、「お誕生日おめでとう」と告げた。彼女は1年前にアメフト部員が やっていたように、ジローの顔をケーキに押し付けた。その行動を、全て彼女は無表情で淡々とこなした。カウンターにいた中年男が ライフルを構え、無差別に乱射した。彼女はジローの頭を下げさせ、ライフルを奪って犯人を投げ飛ばした。
彼女は「行こう」とクールに告げ、ジローを店から連れ出した。彼女はジローの家に行くと、目を光らせて映像を投射した。すると映像の 中に老人が現れ、「私は65年後の君だ」とジローに告げた。老人は「本当は今日、彼女は来なかった。代わりに来たのが、あの銃を持った 男だった。その銃弾を浴びて車椅子生活に。しかし事件の1週間前に買っていたロトくじが大当たりした。だから私は全財産と人生を かけて彼女を作り上げた。君をあの事件から救うために」と述べた。
老人ジローは「だが、変えられた時間は元の次元に戻ろうと必死になる。君はいつか大きな災難に見舞われることになるだろう。だが、 彼女は必ず君を守ってくれるはずだ。今はまだ魂の無い彼女だが、君との生活の中で成長し、やがて人間らしい判断が出来るようになって いくようプログラミングされている。君には彼女に魂を吹き込むことがきっと出来るだろう。後を頼む。そして悔いの無い人生を送るよう 願っている」と語り、そこで映像は消えた。
ジローが「君はロボットなのか」と言うと、彼女は「ロボットっていう言葉は使わないで。私はサイボーダイン・モデル103」と告げた。 「災難って何のこと?」とジローが尋ねると、彼女は「未来のことを話すのは禁止されてるの」と答えた。ジローは彼女との同居生活を 開始した。彼女は学校にも付いて来た。遅刻しそうになると、彼女はジローを抱え、目に見えないほどのスピードで教室へ運んだ。ジロー は親友ケンタから彼女のことを訊かれ、「僕の友達」と紹介した。
ケンタが他の仲間も呼んで飲み会を開き、彼女にもビールを飲ませた。彼女が目を光らせたり首を一回転させたりするので、ジローは 慌てて誤魔化した。彼女はジローが働くハンバーガー店にも付いて来た。道で子供がトラックにひかれそうになった時、彼女は飛び出して 救出した。ある朝、ジローが目を覚ますと彼女の顔がススだらけだった。テレビのニュース番組では、「少年サッカーチームの合宿所で 火事が発生したが、謎の女性が現れて子供たちを救出し、現場から姿を消した」と報じられていた。
彼女は「貴方の故郷に行ってみない?」と言い出した。ジローが「故郷なんてとっくに無いよ。大地震でみんな家を無くして村を出た。 新しい町になって、今は知りもしないヨソ者だけが生活している」と告げると、彼女は「貴方は年を取って死ぬまで故郷に行けなかった ことを後悔してた」と言う。ジローは「僕も他の人間と同じように死ぬんだな」とメソメソ泣き出した。
彼女は「今から貴方の村に連れて行くわ。でも誰に会っても決して口を聞いてはダメ」と述べた。バスで故郷へ行くと、そこにはジローの 子供の頃と同じ景色が広がっていた。柿の木の家と呼ばれた実家へ向かうと、道に祖母が出ていた。そこへ子供時代のジローが駆け寄り、 2人が話しながら家へと歩いて行った。ジローは彼女に、「僕のお婆ちゃんは、実は僕の母親だったんだ。少し年を取ってから産んだから 隠してたんだって」と明かした。
故郷から戻ったジローは、体調を崩して入院した。看護師がテレビを付けると、女子高で立て篭もり事件が発生したニュースが報じられて いる。犯人の男は女性教師に刃物を当てて、包囲した警官隊に「一人じゃ死なねえ」と怒鳴った。警官が狙撃に失敗し、生徒たちが犯人を 押さえつけようとして失敗した。そこへ彼女が現れ、犯人を窓から外へ投げ落とした。
病室に現れた彼女を見て、ジローは嬉しそうに「やっぱり君は僕の彼女だ」と微笑んで抱き締めた。彼女は「全部、未来の貴方が私に 頼んだことなの。未来の貴方が胸を痛めた事件がたくさんあった」と告げた。彼女に恋をしたジローは、ある夜、キスをした。だが、彼女 は何の反応も示さず突っ立ったままだ。「胸がドキドキしたりしない?」と訊くと、「うん」と淡白に告げた。
ジローは彼女に「僕一人がこんな気持ちでいるのは、すごく嫌なんだ。愛してるって言えないなら、『私の心を感じることが出来る?』 って言ってくれたらいい」と涙ながらに訴えるが、何の反応も無い。ジローは彼女に嫉妬させようと、クラブで他の女性と踊る。だが、 彼女は何の反応も示さない。彼女は他の男にナンパされ、見事なロボットダンスを披露して客の喝采を浴びた。
ジローが女と一緒に店を出ると、彼女も付いて来た。ジローは女に「俺のボディガードなんだぜ」と言う。ジローがキスしようとして ビンタされると、彼女はその女を投げ飛ばした。「君、嫉妬したんじゃないのか」と言うと、彼女は「嫉妬?」と首をかしげた。悪酔い していたジローは、「もう付いてくるな、家も出て行け、君が嫌いになった。メチャクチャ食べるし乱暴だし、パンチも強すぎる」と言う。 ジローは「僕の後ろ姿を見せたくない、目を瞑れ」と告げて、その場を去った。
翌朝、酔いが醒めたジローは、昨日の自分のセリフは、去年会った彼女が口にした言葉だと気付いた。彼女のいない日々が戻ってきたが、 それは以前とは全く違っていた。そんな中、大地震が発生し、ジローは崩れた部屋から落下して瓦礫に埋もれそうになる。そこへ彼女が 出現し、ジローを救出した。だが、彼女は倒壊したビルの瓦礫に挟まれ、ジローは地割れに飲み込まれそうになる…。

監督・脚本は郭在容(クァク・ジェヨン)、プロデューサーは山本又一朗&池榮俊(ジー・ヨンジュン)、共同プロデューサーは佐谷秀美、 アソシエイトプロデューサーは大里俊博、企画は橋田寿宏&青木真樹、助監督は吉見拓真&李相國、撮影は林淳一郎、編集は掛須秀一、 録音は小原義哉、照明は金沢正夫、美術は丸尾知行、VFXプロデューサーは浅野秀二、VFXスーパーバイザーは立石勝、 アクション監督は諸鍛冶裕太、音楽は大坪直樹、音楽プロデューサーは古川ヒロシ、主題歌は『約束の翼』MISIA。
出演は綾瀬はるか、小出恵介、田口浩正、伊武雅刀、寺泉憲、遠藤憲一、小日向文世、竹中直人、吉行和子、桐谷健太、鈴之助、 吉高由里子、阿井莉沙、佐藤めぐみ、斎藤歩、松本莉緒、六平直政、蛭子能収、手塚とおる、納谷六朗、山口祥行、ドロンズ石本、 松澤仁晶、沖原一生、大久保貴光、アンドレ、 峰えりか、橘真由子、松葉れいな、二夜なお子、リュウ・ヒジュン、永田良輔、藤倉幸子、吉見麻美、喜内琉斗、水野花、近藤海斗、 大和田唯斗、松田一輝、馬場紘之信ら。


日本のマリオ・カサール、山本又一朗プロデューサーが、『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジェヨンを日本に 招いて撮らせた作品。
彼女を綾瀬はるか、ジローを小出恵介、レストランの犯人を田口浩正、大学の教授を竹中直人、ジローの祖母を 吉行和子、レストランの店長を手塚とおる、老後のジローを納谷六朗、ケンタを桐谷健太、ディスコのナンパ男を鈴之助、22世紀の彼女の 同級生を吉高由里子、ジローがクラブで踊る女を阿井莉沙、立てこもり事件の女性教師を佐藤めぐみが演じている。

ジローは自分で「誰も誕生日を祝ってくれる人などいない」とモノローグを語っているけど、彼の冴えない日常は全く描かれていない。 ケンタという社交的な友人はいるし、仲間との飲み会もやっているんだから、そこまで冴えない奴とも思えない。
それに、一軒家のデカい家に住んでいるし。
ってことは金持ちなのか。
ただし、今時、南京錠でドアをロックしているのは変だけど。
あと、冴えないかどうかという以前に、彼が大学生に行ったりバイトしたりという、日常生活の描写が初めて出て来るタイミングが 遅いんだよな。

彼女とジローがレストランの店長や警官に追われて京劇の舞台上を横切り、楽屋で役者の服装に着替えて外へ逃げ出す辺りは、ドタバタ劇 をやりたいんだろうってことは分かるけど、かなり強引だし、テンポも悪くてイマイチ。
あと、話の舞台はどこという設定なんだろうか。
喋っている言葉からすると関東っぽいけど、その追いかけっこをやっている場所は神戸の南京街だし。

レストランで犯人がライフルを乱射した時、彼女はジローの頭を下げさせるが、他の客が犠牲になる可能性はある。 それは別にいいのか。
乱射事件が起きるのは事前に分かっているはずなんだから、乱射する前にライフルを奪えばいいんじゃないのか。
あと、犯人が火達磨になってるのにフォロー無しってのは残酷すぎるだろ。
ドリフのコントみたいなオチにしているならともかく。
その後も、立て篭もり犯を窓から投げ落としたり、ペットを鍋にしたりと、ちょっと彼女の行動が乱暴すぎる。

彼女は「ロボットっていう言葉は使わないで。私はサイボーダイン・モデル103」と言うが、サイボーグじゃなくて明らかにロボットだ。 題名には大きな間違いがある。
監督の勘違いなのか、故意的に間違えているのかは知らないけど、そこは大目に見るのが難しいぞ。
あと、ジローは彼女を好きになったのなら、ずっと「彼女」で済ませるんじゃなくて、呼び名ぐらい付けろよ。
いや、好きにならなくても呼び名は付けるだろ、普通。
一緒に生活して行くのに、名前が無かったら何かと不便だろ。

彼女が「皮膚は人間と同じ生体細胞で覆われているの」と言うので、ジローは「アレも出来る、セックス?」と訊く。すると彼女は放電で 軽いショックを与えて、「顔でも洗ってきな」と告げる。
それって明らかに怒りの感情だよね。
感情が無いのなら、それはおかしいだろ。そこはセックスが出来るのかどうかを事務的に説明しろよ。
その後の芝居も、「感情が無い」というんじゃなくて、「常に不機嫌」という感じにしか見えないんだよな。
ケンタがカピバラのウンコを食べる話をした時にも、明らかに怒って殴っているし。
「冷静沈着な対応」というのが無いんだよ。

ハンバーガー店で少女の目を逸らしている間にチキンを盗むのも、ジローに向かって悪戯っぽく笑うのも、トラックにひかれそうなガキを 助けてジローに親指を立てて微笑するのも、それは感情の無いサイボーグが取る行動としては、あまりにも不自然。
ジローと一緒に服を買いに行くシーンでも、すげえ表情豊かだし。
嬉しそうにポーズしていたのに、ジローが気に入らなかったら不機嫌そうになる。
そりゃ彼女が無感情じゃないなら、ジローが普通に彼女と接しているのも当然だよな。相手が無感情なら、「少しずつ人間らしい感情を 教えていこう」ってなるけど、最初から喜怒哀楽を表現しているんだから。

「貴方は年を取って死ぬまで故郷に行けなかったことを後悔してた」と彼女が言うと、ジローは「僕も他の人間と同じように死ぬんだな」 と泣き出す」。
そりゃ変だろ。
「女みたいにメソメソすんな。今死ぬわけじゃないでしょ」と彼女に言われて「違うんだ。年取って死ぬ自分が可愛そうで」と言うが、 何が違うのか。
っていうか、そこで叱るのも無感情なサイボーグの行動として変だろ。

彼女が急に「貴方の故郷に行ってみない?」と言い出すのも不可解。
一応、「未来の貴方が故郷へ行きたがっていた」と説明するけど、それでも不自然さは消えないし、そもそも、そこのノスタルジーを喚起 しようとするような描写は、それまでの話と融合しておらず、全く別物として浮いている。
それと、ジローが見る「子供時代の故郷」は1990年代のはずなのに、レトロすぎるぞ。
ここのレトロさは監督の意向らしいけど、それはダメだろ。監督がレトロを好きで描写したいと考えても、そこは製作サイドがストップを 掛けろよ。
あと、そこでジローに村人たちが「おお、ジロー」などと声を掛けてくるのも変。
昔の村に戻れるとしても、ジローは「村人が知らない部外者」でなきゃダメでしょ。その村には、子供の頃のジローもいるんだし。

病室にいたジローは立て篭もり事件のニュースを見るが、彼じゃなくて部屋に来た看護師がテレビを付けるのが不自然。
それと、あのタイミングで警官が狙撃するのは有り得ない。
その後、彼女が来て、「全部、未来の貴方が私に頼んだことなの。未来の貴方が胸を痛めた事件がたくさんあった」と述べる。それまで、 彼女がやたらと事件に首を突っ込もうとするのが不自然に思えたのだが、その説明を、そこでしているわけだ。
ただ、説明があっても、納得できるもんじゃないな。
なんで未来のジローが、それらの事件を阻止しようと考えるのかというところに引っ掛かる。
大体、よく覚えてたよな、それらの事件を。世の中には多くの事件が起きているのに。

ジローがセックスのことを口にした時には腹を立てた彼女が、キスをしても何の反応もしない。「少しビリっとしたよ」と言うジローに、 「私がもっとビリッとさせてあげようか」と、まるで誘惑するようなことを言うのも変。
無感情というキャラ造形を徹底できていないから、「愛を理解してくれないから腹が立って」という展開にも無理が生じてくる。
仮に喜怒哀楽の感情も「プログラミングされたもの」だとしても、だったらキスされた時も、それに合わせた感情を示すはずだし。

ジローが「愛してるって言えないなら、私の心を感じることが出来る?って言ってくれたらいい」と涙ながらに訴えるが、何の反応も無い。
そこだけ急に無感情なんだよな。まるで機能が停止したみたいになってる。
で、ジローは彼女に嫉妬させようと、他の女の子とクラブで踊るが、冴えない男だったはずなのに、よく女をナンパできたな。
そこでも彼女は無反応で、男にナンパされるが、なぜその男にホイホイと付いていくのか。それはジローへの愛が無いにしても不可解。
ロボットダンスを披露してるのも変。

ジローは「もう付いてくるな、家も出て行け、君が嫌いになった」と彼女に言うが、その前にナンパした女を彼女がブン投げていることに 関して「君、嫉妬したんじゃないのか」と言ってるよね。あれが嫉妬かもしれないということで、ちょっとは希望があるという風には 考えられないのか。
嫉妬させようとして、実際に嫉妬かもしれない行動を取ったのだから、成功じゃないのか。
瓦礫に挟まれた彼女が、ジローを助けるために下半身を切り離して上半身だけで進むのを感動的なシーンとして描いてるけど、グロテスク なだけ。
で、「僕一人でなんか行けないよ」とジローが言うのを聞いた彼女が微笑んで「私、貴方の心を感じることが出来る」と言うけど、 そこまで一貫して無表情で、そこで初めて微笑したのなら、その微笑も活きるけど、何度も見せているから、「初めてジローの心を感じて 笑った」という見せ場として成立しないのよ。

タイムパラドックスに関しては、もう整合性を取ろうとはハナから全く考えていないようだ。
ある程度は許容しようかと思っていたけど、話の締め括りに来て、重要なポイントになっているところで辻褄の合わないことを やっちゃってるので、それはキツいわ。
キレイに伏線を回収しようとする箇所で、タイムパラドックスを完全シカトしているってのはキツい。荒っぽいにも程があるだろ。
大体、西暦2133年の学生の彼女(生身の人間)が、2070年に作られたロボット彼女の記憶を自分に取り込もうとするのも 不可解だし。
それに、ジローは2070年に作られたロボットの彼女に好意を抱くようになったのに、それとは別の、最初に会った時の彼女(つまり瓜二つ の別人。2133年の学生である生身の人間)が現われると、外見は似ているけど愛する対象ではないわけで、ややこしいことに なってないか。
ある程度の矛盾は許容する気持ちで見ていたが、ここまで引っ掛かりがデカいと、許容範囲に収まりきらない。

(観賞日:2010年3月23日)

 

*ポンコツ映画愛護協会