『バトル・ロワイアル II〜鎮魂歌(レクイエム)〜』:2003、日本

BR法による殺人ゲームで生き残った七原秋也と中川典子が島を脱出してから、3年の月日が経過した。BR法の犠牲者は、その後も 増え続けた。反BR法組織「ワイルドセブン」のリーダーとなった七原は、連続爆破テロリストとして国際指名手配された。大人たちは、 「正義」の名の下に新世紀テロ対策特別法「BRII」を制定し、新しいゲームを開始した。首都庁舎爆破テロを実行した七原は、「かつて 俺たちを殺し合わせてきた全ての大人を許さない。俺たちは今、全ての大人に宣戦布告する」と宣言した。
高校生のキタノシオリは3年前、七原に父を殺された。彼女の父は七原たちの担任教師だった。父が最後に仕上げた絵の真ん中に描かれた 一人の女の子が自分ではないと知った時、シオリは二度と学校へ行かなくなった。そして今、シオリは父の思い出にケリを付けるため、 ゲームへの参加を決意した。彼女は全国から落ちこぼれが集められた全寮制の鹿之砦中学校3年B組に編入した。
クリスマス、3年B組の生徒42名は、バスでスキー合宿へと向かっていた。その途中、彼らは眠り込み、目が覚めるとバスは軍の施設に 入っていた。生徒は全員、首輪を装着されていた。マスコミがバスに近寄り、「BR法改正後、初の挑戦者となる」と報じていた。生徒は 軍服に着替えさせられた。担任教師RIKIはワイルドセブンが海の向こうの戦艦島に立てこもっていることを説明した。そして「今日は ちょっとみんなに戦争をしてもらいます」と告げた。
RIKIは「七原秋也を見つけ出して殺せば終わり。制限時間は3日」と告げ、足元に引かれた白いラインでグループを分け、ゲームに乗るか 乗らないかを選ばせた。もちろん生徒の全員が乗らない方に移動するが、RIKIは「負け組は用が無いので死んでもらいます」と、不参加を 選んだ者の抹殺を告げた。シオリは真っ先にゲームへの参加を志願し、リュックを受け取った。
男子15番・槙村慎太郎は「なんで俺たちが戦わなきゃならないんだよ」と叫んで参加を拒否するが、兵士によって射殺された。その直後、 女子15番・福田和美の首輪のカラータイマーが鳴って点滅した。RIKIは「今度のゲームはタッグマッチです。同じ出席番号の人と連動して いて、一人が死ぬともう片方も爆破されます」と説明した。和美は顔を引きつらせて逃げ惑い、そして爆死した。惨劇を目にした全ての 生徒は、即座に参加を決めた。
朝6時、生徒たちはタグボートで島へ向かった。ヘリからの通信で、「敵は丘の上のアジトにいる。島の禁止エリアは3つに別れていて、 時間になっても禁止エリアにいると首輪が爆発する」と説明された。島に近付くと、アジトからの狙い撃ちで男子16番から19番、女子16番 から23番が死亡した。上陸したところで男子7番・志村鉄也が撃ち殺され、女子7番・汐田早苗が首輪で爆死した。
男子2番・卜部秀悟が撃たれて重傷を負った。男子1番・青井拓馬や女子1番・浅倉なおたちが心配していると、秀悟の首輪が点滅した。 女子2番・池田美希が禁止エリアに残っていたのだ。美希は拓馬たちの元へ走るが、間に合わずに爆死した。秀悟は敵に特攻するが、射殺 された。正午、RIKIは死んだ生徒の名を読み上げ、「今回の死に様にはみんな個性がありません」と告げた。生徒たちは、しばし廃屋で 休憩を取った。糖尿病を患う女子5番・久瀬遥はインシュリンを注射した。
生徒たちは2班に別れて行動するが、男子8番・城直輝たちの班は地雷原で危機に陥った。通信を受けた男子4番・黒澤凌は拓馬たちと共 に助けに行こうとするが、女子4番のシオリが銃を向けて威嚇し、「七原の所へ行くのが先よ」と鋭く告げた。地雷の爆発によって、 男子9番・田口正勝、男子11番・長谷川達彦、男子14番・前薗健二、女子9番・戸塚保奈美、女子11番・新見麗奈、女子14番・波多量子が 命を落とした。黒澤は生き残った城に通信し、「日が落ちる前にケリを付けよう」と告げた。
拓馬たちはアジトへの突入作戦を開始した。激しい銃撃を浴びる中、錯乱した拓馬の乱射によって女子6番・鷺沢希が傷付いた。狙撃して いたワイルドセブンの桜井サキは、首輪に気付いた。アジトに入った拓馬たちは、幼い子供がいるのに驚いた。彼らはワイルドセブンの 左海貢たちに包囲され、武器を捨てろと要求される。シオリが銃を構えるが、すぐに撃ち落とされた。
女子12番・野坂真帆は「七原秋也、お前が出てくれば終わる。ぶっ殺してやる」と喚く。黒澤は「お前たちのテロで家族を殺された。 お前らに分かるか、両親と妹を奪われた俺の痛みが」と怒りをぶちまけた。ワイルドセブンの一人が「俺たちも一緒なんだ。だから武器を 捨てろ」と説くが、真帆が撃ち殺した。それが引き金となり、双方が激しく銃を乱射した。
撃ち合いの中、黒澤、城、男子10番・名波順、男子12番・日笠将太、男子13番・保坂康昭、真帆が死亡した。シオリや女子10番・夏川結子 の首輪が点滅した。シオリはワイルドセブンの少女・敬を捕まえ、「七原秋也」と叫ぶ。上の階にいた七原は、仲間の早田マキにEMBを 用意するよう指示した。結子は爆死した。シオリは敬を解放し、「ごめん」と告げた。そこへマキたちがEMBを運んできた。EMBを 作動させたことによって、RIKIと軍の待機する本部では首輪のシグナルが消えた。
翌日、深夜0時40分。ワイルドセブンは生徒たちを司令部に連れて行き、首輪を外した。七原は「お前たちは今、何のために戦っている? 俺を殺せばこのゲームは終わるだろう。だけど、それでお前たちの戦いは終わるのか。元の暮らしに戻れるのか」と問い掛けた。拓馬が 「お前らは何のために戦ってるんだ。お前らのせいでみんな死んだんだぞ」と非難すると、七原は「俺たちは戦い続ける。全世界の大人 たちを敵に回したとしても」と告げた。
ワイルドセブンは特殊部隊の潜入を察知し、戦闘態勢に入った。司令部に残ったシオリは、七原に「人を殺してまで自分だけ生き残るって 、どんな気持ち?」と問う。そこに特殊部隊が現れたので、七原は銃殺した。シオリは銃を手に取り、七原に向ける。だが、構えたままで いると七原が掴み掛かり、「銃を向けたら、すぐに撃て。生き残るというのは、こういうことだ」と告げた。特殊部隊が突入してくる中、 拓馬たちも銃を取ってワイルドセブンと共に戦った。
3日目、12月25日。鷺沢希が息を引き取った。「また仲間が死んだ。これから俺たち、どうすればいい」と言う拓馬に、七原は「答えは 無い。自分で探すんだ」と告げる。拓馬は荒れて七原に殴り掛かり、「お前らだって大人と変わらねえじゃねえか」と喚く。生徒たちの前 で、七原は「こんな戦争なんて早く終わってしまえばいいと、俺はずっと考えてた。人はいつの間にか大人になる。生きてる俺たちに今、 出来ること、それは死んでいった奴らを忘れないことだけだ」と述べた。
シオリは司令部にあるピアノを弾き始めた。彼女は、部屋に入ってきた父に冷たく接した時のことを思い出した。部屋から出て行くよう 彼女が告げると、父は「やっぱり俺、こうした方がいいよな」と言い、指を銃に見立てて自分のこめかみに突き立てた。七原は殺人ゲーム で死んだ親友の伯父・三村真樹雄と共に戦っていた時を回想した。三村は「一人や二人殺しても、この国じゃ何も変わらん」と口にした。 彼は「お前たちは生き延びろ、そして振り返るな」と言い、特攻していった。
七原は世界中のホストコンピュータに繋ぎ、「俺たちは知っている。ひと握りの大人たちが、ひと握りの国で、世界中の自由や平和を勝手 に決めていることを。だけど俺たちが生きるこの世界は、決して1つなんかじゃない。平和の裏には、たくさんの血と汗と涙が染み付いて いる。全世界で孤独に戦う子供たち。一人を恐れるのはもうやめよう。共に立て、そして共に戦おう」と演説した。
七原の演説が終わった刹那、アジトはミサイルによる空爆を受けた。RIKIたちのいる本部に内閣総理大臣からの通信が入った。首相は 「あの国を怒らせちゃったんだよ。12時間後に総攻撃だそうだ。この際、子供の5人や10人殺してもOK。ミサイルを使って島ごと ぶっ飛ばしなさい」と指示した。しかしRIKIは「あの国はムカつく国がありゃすぐ平気で空爆する。それが大人のやることか」と拒んだ。 すると首相は自衛隊の全軍に対し、「あの国にミサイルを撃ち込まれる前に、全てのテロリストと七原秋也を殺せ」と命じた…。

監督は深作欣二&深作健太、原作は高見広春、脚本は深作健太&木田紀生、企画は遠藤茂行&深作組、プロデューサーは片岡公生&河瀬光 、アソシエイト・プロデューサーは小林勝絵、協力プロデューサーは小林千恵(千尋は間違い)、エクゼクティブプロデューサーは 佐藤雅夫&早河洋、助監督は山口晃二、撮影は藤澤(藤沢は間違い)順一、編集は阿部亙英、録音は安藤邦男、照明は小野晃、美術は 磯見俊裕、アクション監督は諸鍛冶裕太、ラグビー指導は松尾雄治、作・編曲・指揮は天野正道、音楽プロデューサーは山木泰人。
藤原竜也、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、末永遥、石垣佑磨、神戸みゆき、黄川田将也、真木よう子、伊藤友樹、加藤夏希、前田亜季、 竹内力、千葉真一、津川雅彦、三田佳子、ビートたけし、村田充、久我未来、和田聰宏、山村美智、柴木丈瑠、伊藤友樹、勝地涼、 神戸みゆき、桂亜沙美、柳沢なな、坂本真、藤平涼二、久保田武蔵、原田健二、青木崇高、山田浩太、上條公太郎、長谷部瞳、中川愛海、 佐藤翔子、金沢美波、田村圭生、豊永利行、田中丈資、池山孝明、石井明日香ら。


高見広春の小説を基にした2000年の映画『バトル・ロワイヤル』の続編。
前作を手掛けた深作欣二が今回も監督を務める予定だったが、既に前立腺ガンが脊椎に転移していた彼は、クランクインの5日後に入院 してしまった。復帰するまでの代行として息子の深作健太が起用されたが、深作欣二は死去してしまう。深作欣二が撮影したのは、わずか 1シーンのみ。なので、監督としては2人の名前が表記されているが、実質的には深作健太が単独で監督を務めた作品と言っていいだろう 。彼は本作品が監督デビューとなる。
七原役の藤原竜也、典子役の前田亜季、シオリの父役の北野武、レポーター役の山村美智、安城三尉役の竜川剛は、前作から引き続いての 出演。シオリ役の前田愛は、前作では声だけの出演だった。RIKIを竹内力、拓馬を忍成修吾、なおを酒井彩名、遥を末永遥、サキを 加藤夏希、左海を石垣佑磨、三村を千葉真一、内閣総理大臣を津川雅彦、拓馬の母を三田佳子が演じている。
すぐキレる問題児の母親役が三田佳子というのは明らかに狙ったキャスティングで、このオファーを承諾した彼女は素晴らしい。

前作を高く評価している人もいるようだが、個人的には、あれを傑作だとは思っていない。
公開前にボンクラ衆議院議員らが「少年犯罪を助長する」と騒いでくれたことが宣伝になったのも手伝ってヒットしたが、「中学生に 見せるべきじゃない」と批判するのも、「むしろ積極的に中学生に見せるべきだ」と推奨するのもバカバカしいと感じた。
そんなに熱くなるようなモンじゃなくて、TVゲーム感覚でガキが殺し合いをする、ただのB級娯楽アクション映画だと感じた。
で、この続編である。
前述のような感想なので、「1作目が傑作だったのに台無しだ」とは思わない。
ただし、前作は青臭いメッセージが上滑りしていたし、っていうか何を伝えたいのかも良く分からなかったが、駄作というわけじゃなくて 、B級映画としては、それなりに楽しめる仕上がりだとは思った。
それに比べて今回は、B級映画としてもヒドい。完全に駄作と言い切れる。

冒頭、「七原は連続爆破テロリストとして国際指名手配された。大人たちは正義の名の下に、新しいゲームを開始した」とテロップが出る が、いやいや、もはやゲームじゃ済まないだろうに。
前作の場合はガキどもに殺し合いをさせていただけだから、それをやらせる連中はゲーム感覚でも良かったかもしれんが、今回は連続爆破 テロを仕掛けている七原たちを始末しなきゃいけないんだから、そこでゲームとか言ってる余裕は無いはずだろ。
七原は「俺たちは今、全ての大人に宣戦布告する」と宣言するけど、お前たちが倒すべき相手は全ての大人じゃないだろ。ワイルドセブン の連中を産んで育てた両親だって大人だが、そいつらも敵ってことなのか。
そんで「全ての大人に宣戦布告」と言っているけど、三村たちとは共闘してたじゃねえか。お前らにとって、三村と仲間たちは大人じゃ ないのかよ。

あと、七原たちのテロで犠牲になったのは大人だけじゃねえだろ。子供だって犠牲になっている。それはいいのかよ。
正義の名の下に戦う連中(っていうかアメリカ)を批判しておいて、七原たちもメチャクチャな論理でテロをやってる。
そういう七原たちの行動も批判的に描くならともかく、そこは擁護してるんだよな。
ホントにただのキチガイテロリストじゃねえか。
テロをやるにしても、総理大臣の暗殺を狙うとか、もっとピンポイントで狙い撃ちしろよ。
七原たちは、掲げている目的もやってることもメチャクチャだ。

シオリはモノローグで「父の思い出にケリを付けるため、ゲームへの参加を決意した」と語り、パソコンの画面にBRIIのサイトが表示 されるが、今回はネットで登録できるようになったのか。
でも、普通は自分から志願しないだろ。
なんでネット登録の形になってんだよ。
っていうか、その後に3年B組がバスごと拉致される展開になるが、だったらネット登録の意味は何なのかと。

3年B組が拉致されると、すぐに戦闘服に着替えてしまうから、「子供たちが学生服で殺し合いをする」という視覚的な効果は 消える。
そういうの、ホントに粗いなあと感じる。
ちょっと考えれば、学生服を戦闘服に変えてしまうことのマイナスなんて分かりそうなものだ。
「学生服だとワイルドセブンに子供だとバレてしまうから」という、国家サイドの思惑があるのかもしれんよ。
でも、映画を製作する立場で考えると、戦闘服に着替えさせなきゃいけない脚本にしている時点でダメだろ。

3年B組の連中が「どういう状況か全く分からない」と、首輪の意味さえ全く理解していない様子なのは変だろ。
七原たちが脱出した後も、ずっとBR法による殺人ゲームは続行していたんだろ。そして、それはテレビ中継されているはず。
なのに、なぜ自分たちの置かれている状況が全く分からないのか。
せめて誰か一人ぐらいは気付けよ。こいつら全員、誰もテレビを見ていないのか。

去年のクリスマスにワイルドセブンによるテロが起きていて、それから今回の出来事まで、国は何もしていない。 なんでだよ。
島の詳しい地図やアジトの場所まで全て分かっているんだから、さっさと空爆すれば済むことだろ。
七原たちも、なんで島なんかに篭城すんのよ。テロ組織が島に篭城って、どんだけバカなんだよ。
全滅させてくださいと言っているようなモンじゃねえか。

RIKIは生徒たちの前で日本、北朝鮮、グアテマラ、コンゴ、ペルー、ラオス、カンボジアなどと次々に国を言いながら黒板に書いていき、 「これらはみんなこの60年間でアメリカに爆撃を受けた国です。人の命は平等なんかじゃありません」と言う。
いきなりアメリカ批判のメッセージを語り、これ以降も、何度か同様にアメリカを批判するセリフが語られる。
ハッキリ言って、ウザいよ。
で、RIKIは「七原秋也の宣戦布告は受け入れないことにしました。そんなに戦争がしたければ、どうぞ子供同士でやってください」と言う が、いや宣戦布告を受け入れるも何も、向こうはテロを仕掛けてくるんだから。
宣戦布告を受け入れないという考え自体、そもそも変だろ。

今回のルールはタッグマッチで、一人が死ぬと同じ出席番号の人が死ぬのだが、こっち側で刺客の数を減らしてどうすんのさ。
目的は七原を始末することでしょ。だったら数は多い方がいいだろうに。
時間になっても禁止エリアにいると首輪が爆発するという説明もあるが、だからさ、なんで自分たちで勝手に人員を減らそうとするの。
っていうか、その禁止エリア、最初に一人が死ぬ以外、まるで意味が無い設定になってるし。

生徒たちはボートで島へ向かい、途中で自動操縦から手動に切り替わるが、なんで普通に操縦できてるんだよ。
で、そこで狙い撃ちされて一気に男子16番から19番、女子16番から23番が死亡するが、あっさり片付けるのね。
っていうか、その時点で男の20から23まではタイマーが作動するんじゃないのかと思ったら、男子は19人しかいないのね。
ってことは、女子の20から23まではペアを組んでいないってことじゃねえか。その時点でタッグマッチというルールに問題が生じている だろ。

上陸する際の映像は完全に『プライベート・ライアン』の模倣。手ブレ映像は、目がチカチカしてツラい。
今回は全員の武器が銃だから、変な道具を利用して武器にするということは無い。
で、軍のヘリが近付いて弾薬を投下するが、そのヘリをワイルドセブンは狙わないのね。
そんで弾薬にはアタリとハズレがあるんだが、なんでハズレを用意するのよ。
本気で七原を殺す気があんのかよ。

3年B組の生徒たちは、初めての戦闘、初めての銃撃なのに、なんでそんなに上手に銃を扱えてるんだよ。
もう長い期間、訓練を積んだかのようだぞ。
あと、誰か死ぬ度に「残り何人」とテロップが出るが、その残り人数を出しても、意味が無いでしょ。
今回は最後の一人になるまで互いに殺し合うわけじゃなくて、目的は七原を見つけて殺すことなんだから。

秀悟は「俺に構わず先へ行け。タク、ずっと一緒だったな。けどもう誰もお前を止めてやることは出来ない。あんまりキレんじゃねえぞ。 俺たちは仲間だ」と、そんな状況で有り得ないぐらいカッコ付けたセリフを吐いて特攻する。
その後も、製作サイドが主要キャラとして考えている面々は、カッコ付けたセリフを吐いてから死ぬ。
その間は、敵も銃撃を休んでいてくれる。
七原がEMBの用意を指示すると、マキは「あれは私たちの脱出のための」と言うけど、どうやって脱出のために使うつもりだったんだ。
っていうか、どういう装置なのか良く分からないし。それと脱出する気があったのなら、なぜ今まで篭城を続けていたのか。さっさと 抜け出せよ。
そんで今回は簡単に首輪が外れるが、だったら、さっさと彼らにそのことを呼び掛けて、外してやれば良かったじゃないか。そいつらが 首輪で脅されていることは経験上、分かっていたはずだし。

七原は生徒たちに、「3年前、ゲームから脱出した後、20年も戦争が続くある国へと渡った。溢れ出る難民、空爆の傷跡、その国の生活は 俺の想像を遥かに超えた。だけど苦しい暮らしの中にも誇りを持って生きる人々の笑顔があった。真っ直ぐな子供たちの笑顔があった」 などと、呆れるほど寒々しいセリフをシリアスに語る。
その後も、「俺たちは知っている。ひと握りの大人たちが、ひと握りの国で世界中の自由や平和を勝手に決めていることを。だけど俺たち が生きるこの世界は決して1つなんかじゃない」とか、とにかく彼の吐く言葉の全てが寒い。そして彼もまた、「日本、中国、北朝鮮、 グアテマラ」と、例の国々を列記する。
「お前らは何のために戦ってるんだ。お前らのせいでみんな死んだんだぞ」と拓馬に言われた七原は「俺たちは戦い続ける。全世界の大人 たちを敵に回したとしても」と言うが、いや、それって何の説明にもなってないし、しかも大人だけじゃなく、子供たちからも敵視されて いるし。
これって、どう考えてもワイルドセブンをアルカイダ、戦う相手をアメリカと重ね合わせてるよな。
で、この描き方だと、完全にアルカイダ擁護だよな。
それを受け入れろというのか。
アメリカ批判として並べ立てる主張も陳腐だし、おまけにアメリカ批判だけじゃなくてアルカイダ擁護とは、恐れ入ったね。

戦後のシーンは、明らかに蛇足。山崎の最期を戦友の小宮山が語り、それが回想シーンで描かれるが、そんなのは佳代が体験した出来事 でもないし、要らない。
佳代の最期を描く最終エピソードは、もっと不要。
大人になった娘たちとして倍賞千恵子と戸田恵子が登場すると、違和感たっぷりだし。
子役の志田未来と佐藤未来は、なかなかの好演なんだけどね。

軍は特殊部隊を潜入させて、あっさり駆逐される。
だからさ、なんで空爆しないのよ。
首相が「全軍、戦闘態勢に入れ。あの国にミサイルを撃ち込まれる前に、全てのテロリストと七原秋也を殺せ」と命じた時も、また海から 部隊を上陸させている。
その前に首相は「ミサイルを使って島ごとぶっ飛ばしなさい」と言ってたじゃねえか。なんでミサイルを使わないんだよ。

首相は「あの国を怒らせちゃったんだよ」と、決してアメリカという国名は出さない。
で、「この際、子供の5人や10人殺してもOK。ミサイルを使って島ごとぶっ飛ばしなさい」と指示するが、そもそもBR法でやらせてる ゲームで子供を何人も殺してるのに、今さら「子供の5人や10人殺してもOK」とか言うのは変だろ。
あと、そこでRIKIが「ごちゃごちゃうるせえんだよ、この人殺し野郎」と怒鳴るが、アンタも殺人ゲームをやらせていただろうに。
そんで「あの国はムカつく国がありゃすぐ平気で空爆する。それが大人のやることか」と急に怒るけど、アンタのやってることも狂ってる のに、アメリカを批判できる立場かよ。

七原は拓馬に、陸まで通じている可能性の高い坑道を発見しているので、そこから逃げるよう告げる。
っていうか、そんな坑道を発見しているのなら、なぜ今まで、そこから脱出しなかったのか。
それと、彼は拓馬に「子供たちと一緒に脱出しろ」と言うが、お前たちは子供じゃないのかよ。子供として、大人に宣戦布告したん だろ。
そこでの子供が「幼い面々」を意味していることは理解できるけど、まるで自分たちと子供を別モノとして考えているようなセリフを平気 で吐かせちゃダメだろ。
そもそも続編を作ること自体が間違いだったとは思うけど、それにしてもヒドい仕上がりだな。

(観賞日:2010年4月1日)

 

*ポンコツ映画愛護協会