『幕末純情伝』:1991、日本

幕末。江戸の町には、新選組隊士を募集する立札が設置された。近藤勇と土方歳三が「天然理心流が世に出る時が来たなあ」と意気込んでいると、道場破りをしてきた直後の沖田総司が現れた。そこに道場の門弟たちが駆け付け、総司に刀を向けた。総司は「しつこいなあ。恥かいても知らないよ」と余裕の態度で告げ、全員を蹴散らした。足元に子猫が歩み寄ると、総司は驚いて土方に抱き付く。総司が近藤たちと共に京へ向かっていると、黒船に興奮した坂本竜馬がやって来た。竜馬が黒船へ走って行くのを見て、一行は呆れた。
新選組隊士となった総司たちは、京都の鴨川で勤王派の密談が行われている屋形船を張り込んだ。屋形船の中には、竜馬と桂小五郎の姿があった。竜馬は新撰組と親しくしていることに関して桂から文句を言われるが、「沖田総司はええぜよ」と軽く告げる。桂は倒幕に燃えていたが、竜馬は「ほっといても潰れる」と言い、それよりも攘夷に目を向けるべきだと主張した。別働隊の土方が勤王派の一団に向かって突入したので、近藤は「局長は俺だ」と慌てて飛び出した。
鴨川から立ち去ろうとした竜馬だが、新選組の中に総司を見つけると「黙って帰るわけにはいかんのお」と歯磨きを始めた。総司が刀を抜くよう要求しても、竜馬は無視して抱き付いた。竜馬を川へ突き落した直後、総司は喀血した。土方が急いで駆け付け、総司を助けた。総司が屯所で養生していると、その姿を一目見ようと大勢の町人が押し寄せた。土方は不機嫌になり、町人たちを追い払った。池田屋事件がきっかけで総司の人気は急上昇し、屯所には見舞いの品が幾つも届いていた。その中には、竜馬からの品もあった。
土方は総司への想いに悩み、違反者に切腹を命じる新撰組心得を制定した。その中には、「勝手に恋愛する事を禁ず」という項目があった。町では竜馬が作らせた新撰組の絵草紙が売られているが、総司の物だけが圧倒的な人気を誇っていた。竜馬が店先に出て絵草紙を売っていると、こっそりと桂が買いに来た。桂は岩倉具視の屋敷を訪れ、西郷隆盛や大久保利通、中村半次郎たちと密談する。岩倉は薩長から先に仕掛けるのではなく、幕府を賊軍に仕立て上げようと目論んでいた。
ある夜、土方の帰りが遅いので、近藤の命令を受けた総司は井上源三郎と手分けして捜す。総司は土方を見つけ、「二人きりですね」と喜ぶ。しかし直後に女の悲鳴が響き、土方は現場へ向かった。総司は不満を抱きつつも、後を追う。土方は遊女の深雪から助けを求められ、そこに新選組を騙る連中がやって来た。深雪が土方に抱き付いたまま離れないので、総司は嫉妬心を抱いて「いちゃついてる場合じゃないでしょ」と告げる。ならず者たちの挑発を受けた総司は、苛立ちを彼らに向けて軽く始末した。
京都守護職の松平容保は屯所を訪れて近藤と会い、新選組が人斬りばかりを繰り返していることを批判た。少しは争いを控えるよう叱責した容保は、新撰組の減俸を申し付けた。土方は深雪を付きっ切りで看病し、彼女に熱を上げた。そんな土方の様子を見た総司は、苛立ちを募らせた。総司も土方も知らなかったが、深雪は桂の差し向けた間諜だった。桂と密かに接触した深雪は、手筈通りに新選組を指定の場所まで誘い出すよう命じられた。同じ頃、竜馬は岡田以蔵を伴って寺田屋に宿泊し、新政府の陣容を書状にまとめていた。
桂は西郷たちを引き連れ、料亭『花月』で宴席を設けた。その場に竜馬も訪れて書状を渡すが、新政府の顔触れに徳川慶喜の名前があることに桂たちは驚いた。新撰組は深雪に導かれ、花月へ乗り込んだ。酔っ払った竜馬は総司の姿を目にすると、「こげな可愛いおなご、ほっちょけるか」と大声で叫んだ。新撰組が激しい戦いを繰り広げる中、竜馬は武器も持たずに総司を追い掛けた。総司が困惑して逃げ回っていると、そこに土方が駆け付けた。竜馬は土方を殴り倒し、「愛について語らにゃいかんのじゃ。総司が男の格好して刀振り回すような時代は終わりにせんといかんのじゃ。少しは愛について勉強せえ」と説教した。
新撰組が料亭で後先考えずに大暴れしたため、莫大な修復費用が必要となった。容保は激怒し、給金の差し止めと沙汰があるまでの謹慎を申し付けた。近藤は容保に、総司が女だということは内密にするよう求めた。しかし容保は、既に町中で噂が広まっていることを告げた。岩倉は桂たちから竜馬の書状を見せられ、「新政府の顔触れに徳川慶喜はあきまへん」と冷たく告げた。その様子を観察していた以蔵は寺田屋へ戻り、岩倉が書状で鼻をかんで捨てたことを竜馬に報告した。
新選組は市中警護の役を罷免され、高額の仕事を知って都落ちする者も現れた。屯所に残った者も、途方に暮れるばかりだった。土方が「気合い入れて出直しだ」と言うと、総司は「単純でいいなあ」と口にする。土方が「何も考えてねえよりはマシだ」と腹を立てると、総司は「私だって考えてます」と反発した。2人は言い争いを始め、近藤が制止しても耳を貸さない。土方が刀を抜くと、総司は余裕の態度で挑発する。総司は土方の刀を弾き飛ばし、彼の態度を激しく非難した。
総司は土方の刀を折った直後、吐血した。土方は「血の匂いのする女は嫌いじゃ」と怒鳴り、屯所を飛び出した。その夜、総司が養生していると、竜馬が現れた。彼は屯所に残っていた5名の隊士に、「人斬りをやめてワシと一緒に兵庫へ行かんか」と持ち掛けた。彼は自分が購入した船の図面を見せ、「これで世界を駆け巡るんじゃ」と言う。総司たちは兵庫へ赴き、竜馬が値切って買ったオンボロ船に乗った。竜馬は近藤たちに水兵服を着せ、総司は女の着物に着替えさせて写真を撮った。
竜馬は徳川慶喜の宿へ乗り込み、警備の侍を押し退けて上がり込んだ。宿から戻った彼は、総司の前で嬉し泣きしながら「天下の将軍さんが頭下げよったぜ。土佐中笑いもんじゃったワシが、世の中引っ繰り返したぜよ。夜明けが来るんじゃ」と語った。彼は新撰組を船に残し、京へ戻った。残された総司たちは、会津が薩長に暴挙を働いたという新聞記事を知った。その暴挙の徒は、土方が率いる新撰組の残党だと記されていた。
竜馬は岩倉や桂たちの元へ行き、慶喜に約束させた新政府網要八策を見せた。「大政奉還を約束させたから許してやれ」と竜馬は促すが、岩倉たちは不愉快そうな態度を崩さない。そこで竜馬は、岩倉が幼い現在の帝に「先代を殺したのは慶喜」と吹き込んでいること、実際に先代を殺したのが岩倉であることを指摘した。さらに竜馬は、桂が新撰組と自分を戦わせ、両方を始末しようと目論んでいたことも指摘した。それを盗み聞きしていた土方は屋敷に乗り込み、「俺の夢を、俺の青春を、どうしてくれる」と怒鳴った。
土方が岩倉ちに刀を向けると、竜馬は彼を制して「ちょっとだけ辛抱せえや」と告げた。竜馬は岩倉たちに土下座し、「慶喜の顔を立ててやってくれ。それで世の中丸く収まるんじゃ」と頼んだ。竜馬は「好きなだけやってええきに」と土方に告げ、その場を後にした。土方は竜馬を追い掛け、「はいどうぞと人が斬れるか」と文句を言う。土方は自分の住み家に竜馬を招き、酒を酌み交わした。竜馬は土方に、「一緒に蝦夷へ行かんか。総司も行くことになっちょる」と誘った。
寺田屋に戻った竜馬は、総司が眠っているのを見つけた。竜馬は布団に入り込もうとするが、目を覚ました総司が悲鳴を上げたので女将のお登勢や近藤たちが駆け付けた。総司たちは竜馬から土方と会ったことを聞き、翌朝を待って捜しに出掛ける。一方、竜馬は討幕の密勅が出されたことを知り、岩倉に撤回を懇願する。しかし岩倉は冷徹に拒絶し、竜馬を嘲笑した。落胆して宿へ戻る竜馬の元へ土方が現れ、総司が桂たちに拉致されたことを告げる…。

脚本 監督は薬師寺光幸、原作は つかこうへい−角川書店刊−、製作は角川春樹&奥山和由、プロデューサーは霜村裕、プロデューサー補は貝原正行&由里敬三、撮影は浜田毅、照明は長田達也、美術は稲垣尚夫、録音は弦巻裕、編集は荒川鎮雄、殺陣は森岡隆見、「ええじゃないか」振付はラッキー池田、音楽は国吉良一、音楽プロデューサーは石川光、主題歌「幕末純情伝」「沖田総司はBカップ」はBY-SEXUAL。
出演は渡辺謙、牧瀬里穂、杉本哲太、伊武雅刀、津川雅彦、柄本明、榎木孝明、財前直見、木村一八、伊藤敏八、松金よね子、石丸謙二郎、桜金造、野崎海太郎、五島拓弥、貞永敏、友居達彦、角田英介、笑福亭笑瓶、伊藤克信、武野功雄、井手らっきょ、長江英和、金田明夫、佐藤恒治、岩城正剛、松本幸三、佐藤孝輔、植村喜八郎、草薙仁、ピンクの電話、杉村由紀、立原友香、亜崎研二、北斗辰典、山田公男、佐藤結樹、南場雄貴ら。


つかこうへいの同名小説を基にした角川春樹事務所の映画。
『ぼくらの七日間戦争2』と同時上映された。
総帥の角川春樹が自らメガホンを執った『天と地と』で助監督を務めていた薬師寺光幸が、監督と脚本を担当している。日活ロマンポルノ映画『愛人 悦楽の午後』が監督第1作で、これが2作目。
『天と地と』の主演を急病で途中降板した渡辺謙が、竜馬役でスクリーン復帰している。
総司を牧瀬里穂、土方を杉本哲太、近藤を伊武雅刀、岩倉を津川雅彦、桂を柄本明、容保を榎木孝明、以蔵を木村一八、中村を伊藤敏八、お登勢を松金よね子、大久保を石丸謙二郎、西郷を桜金造が演じている。

冒頭、総司が道場の門弟たちを軽く始末するシーンでは、剣士としての優れた腕前をアピールしておきたいところだ。
しかし、何しろ演じているのが牧瀬里穂なので、殺陣の技能など会得していない。
たぶん撮影前に少しは稽古を積んだだろうけど、そんな付け焼刃では「凄腕の剣士」としての説得力を持たせることは無理だ。
カットを細かく割ったり手元をアップで捉えたりして誤魔化す方法もあるのだが、薬師寺は愚直に撮っているので、その剣術にキレもスピードも無いことが露呈してしまっている。

猫に驚いた総司が土方に抱き付き、2人が見つめ合った時が、タイトルを入れるタイミングとして適しているんじゃないかと感じる。
でも実際は、カットが切り替わると京へ向かう一団が写し出される。総司、土方、近藤は分かるが、他の面々が仲間になった経緯は分からない。
その辺りはモノクロになっており、黒船へ向かう竜馬に一団が呆れたところでタイトルが入ると、そこからはカラーになる。「過去のシーンはモノクロ」という意図は分かるが、モノクロにしていることの効果は無い。
むしろ、そこで変に渋さが漂ってしまい、総司たちの高揚感がダイレクトに伝わらずに抑制されてしまう。
もっと分かりやすく、のっけから明るさや華やかさを出した方がいい。

っていうか、過去のシーンなんてバッサリとカットしてもいいと思うんだよね。
竜馬は総司に「可愛い顔しちゅうのお。ワシとメリケン行かんか」とは言うものの、本気で惚れているという感じではなく、すぐに黒船へ走って行くから、そこは「竜馬が総司に一目惚れした」ということを示す役割を担っているわけでもない。
だから、京に舞台が移り、竜馬が総司に夢中になっている様子が描かれた時に、むしろギクシャクした印象に繋がる。
だったら、いきなり「総司が新撰組として行動している」という京のシーンから始めた方がいい。
今までの経緯を脳内補完できるので、そっちの方がいい。

「土方が総司に惚れていながら素直になれずにいる」ってのを序盤から描こうとしていることは分かるが、上手く表現できていない。
また、ここも冒頭にある過去のシーンが邪魔になっている。
そこが無い方が「出会ってから今までの総司と土方の関係」を脳内補完できるので、何かと都合がいいのだ。過去のシーンを削除して京のシーンから開始し、まずは総司と土方の様子を描写した方がいい。川でのバトルなんて、後回しでいい。
総司が土方に惚れていることは「二人きりですね」という台詞を口にした辺りで何となく伝わってくるけど、その前から恋心が見える形にしておいた方がいい。
そのためには、これまた冒頭に配置されている過去のシーンが要らない。

総司が女であることを隠して生活しているのかどうか、それがボンヤリしている。
屯所にファンが押し寄せる辺りで男を装っていることは分かるが、まだ「総司が女であることを、いつ頃から竜馬や土方は知っているのか」「どの辺りの人間までが女だと知っているのか」ってことはハッキリしない。
そこをボンヤリさせておくことには、何のメリットも無いはずだ。もっと早い段階で明確にすべきだろう。
っていうか、そもそも「総司が女なのに男を装っており、それは一部の人しか知らない」という設定が、あまり意味を持った要素になっていないように感じるんだよな。
「当時は衆道が当たり前だったから、別に男でもいいんじゃねえか」とか、「最初から全員が女だと知っている設定でも内容に大差が無いんじゃないか」と、そんな風に思ってしまう。

屯所で養生している総司の元へ大勢のファンが押し寄せると、「池田屋以来、凄い人気ですよ」と井上が言う。
でも、池田屋事件なんて、この映画では描かれていない。
まさか、あの屋形船を襲った出来事を池田屋事件という設定にしているわけでもないだろうし。そもそも、その出来事は「総司が大活躍した」という印象が無いし。
だから、「なぜ総司が大人気になっているのか」というところが、まるでピンと来ないのだ。

総司の人気が高まっているのは、単純に「イケメンだから」というだけなのか。
だったら別に「池田屋以来」とか要らない。京のシーンで総司が登場した段階で、大人気であることを描けばいい。
それを考えても、やはり京のシーンで最初に戦闘を配置したのは上手くない。色んな意味で、モノクロにしてある冒頭のシーンは邪魔なだけだなあ。
そこに限らず、全体を通して、構成も編集もよろしくない。ずっとガチャガチャしていて、散らかっている。

屋形船を張り込んでいた総司たちが突入して戦いが開始されると、BY-SEXUALの歌が流れて来る。
その段階で、「ああ、アイドル映画的なノリでやっていくのね」と感じさせられる。
そこにあるのはコメディー映画としての心地良い軽妙さではなく、空虚を伴う軽薄さである。
料亭の戦いに顕著に表れているように、たぶんドタバタ劇をやりたいんだろうと思うけど、メリハリの付け方が悪く、まとまりに欠けているため、ドタバタ劇の面白さではなく「落ち着きの無さ」という印象が強くなっている。

総司と土方が屯所でと言い争いになった時、「覚えてますか、土方さん」という総司の言葉で回想シーンに入る。
そこでは土方が総司に「これからはお仕着せの時代じゃねえべ。志持つ者の時代が来る。嫌な相手に無理して嫁ぐことはねえ。自分の志で幸せを掴めばいいんです、きっと、そういう時代になるべ」と語った時の様子が描かれる。
でも、それって本作品で初めて登場するシーンなのよ。そうじゃなくて、それは先に現在進行形で見せておくべきなのよ。
そうじゃないと、そこで初めて「こんなことが過去にありました」という見せ方をしても、期待しているような効果は得られないのよ。

総司は「御前試合の後、言われた通りに待ってたんです。約束しましたよね、ここで待っててくれって。でも土方さんは来なかった」と語り、御前試合で総司が土方を破った時の様子が挿入される。
で、総司は「土方さんだから負けたくなかった。女に負けたことがどんなに悔しかったか、知らなかったとでも思ってたのか」と声を荒らげる。
でも、そんな出来事があったことも、そこで初めて明かされるのだ。
そうじゃなくて、「そういう背景があったから、土方が総司に対してひねくれた態度を取っていた」というのは先に明示しておくべきだわ。そこを短い台詞と回想シーンだけで処理するのは、ものすごく雑だわ。

船に乗った総司が町娘の格好に着替えて写真を撮っているのは、ものすごく違和感がある。
なぜ喜んで女の着物に着替え、それどころか、それ以降もずっと町娘の姿で生活するのか。
そうなると、「じゃあ今まで男の格好をして、男のフリをしていたのは何だったのか」ということになってしまう。
女としての立ち振る舞いや格好が嫌だったから、男を装っていたんじゃなかったのかよ。望んで女の格好になり、「まんざらでもない」と嬉しがるぐらいなら、ずっと女として生きていれば良かっただろうに。
「今までは男を装って生きていたが、女として生きたくなった」という心境の変化をもたらすきっかけになるような出来事があったわけでもないし。

しかも、総司が女の姿に変身した辺りから、その存在意義がすっかり弱くなってしまう。
出演者の表記順からすると渡辺謙がトップなので、竜馬がメインになっていくのは正しい流れなのかもしれない。
しかし、前半は明らかに総司がメインで竜馬は「たまに出てくる重要な脇役」という立ち位置だったのに、途中で主役の座を乗っ取り、総司が中身の無いコマとしての脇役に成り下がるのは、受け入れ難い。
その主役交代は、スムーズに行われていない。

総司が桂の手下たちに捕まる際、近藤たちも一緒にいるのだが、なぜ彼らは捕まることも無く、始末されることも無く、無傷で解放されているのか。また、なぜ桂たちは総司を拉致監禁したのか。
その理由がサッパリ分からない。
これが例えば「桂が総司に欲情し、自分の女にするために拉致した」ということなら、筋書きとしての陳腐さは置いておくとして、理由としては納得できる。
しかし、そうではなくて、どうやら岩倉の指令らしいんだよな。
でも、総司だけを拉致して、何がしたいのかサッパリ分からないのだ。

総司が町娘の姿に変身して以降は、男装して新撰組隊士になっていたという設定は、ますます無意味に思えてくる。
そんな総司が監禁先から救出された後、竜馬を斬るために寺田屋へ乗り込むという展開は、まるで理解不能だ。今まで親しくしておいて、なぜ今になって命を取ろうという気持ちになったのか。
今さら斬っても全く意味が無いし、「竜馬を斬る」と決意するきっかけも見当たらないし。
そこに限らず、全体を通して、登場人物の心情や人間ドラマを充分に描写していないのに、決められた段取りだけは消化しようとした結果として、空虚さと散漫さだけが伝わって来たんじゃないかという印象を受ける。

(観賞日:2014年7月11日)

 

*ポンコツ映画愛護協会